DXやAI、ICTなどの登場で工務店を取り巻く環境は常に変化していますが、基本的な経営戦略は変わりません。

工務店が地域ナンバーワンになるために必要なのが「ランチャスター戦略」です。

この記事ではランチャスター戦略の概要や弱者・強者がとるべき経営戦略、有名な成功事例をわかりやすく解説します。

工務店は何から始めるべきかお伝えするので、ランチャスター戦略で地域シェア1位を目指す人は参考にしてください。

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ランチャスター戦略とは?

ランチャスター戦略とは?

ランチャスター戦略とは2つの視点からマーケティングを分析・実践する経営戦略です。

2つの視点には「強者からの視点」と「弱者からの視点」があり、立場によって取るべき戦略が変わります。

ランチャスター戦略の由来は第一次世界大戦時にF.W.ランチェスターが提唱した、戦争理論(ランチェスター法則)です。

「戦闘力は、戦車や戦闘機などの武器性能と兵力をかけ合わせて決まる」というものです。

のちの田岡信夫氏がランチェスター法則を経営手法へ活かし「ランチャスター戦略」が誕生しました。

ランチャスター戦略は「弱者が強者に勝つための戦略」として認知されており、世界で最も利用されている経営戦略のひとつです。

ランチャスター戦略の2つの法則

ランチャスター戦略には戦い方によって2つの法則があります。

ランチェスター第一法則

原始的な戦いにおける法則で、一騎打ちの法則ともいわれます。

武器の効率(性能)×兵力数=戦闘力

ランチェスター第一法則を考えるときは、戦国時代の武士の戦いをイメージしてください。

例えばどちらも刀を持った武士10人と20人が戦をすると、20人いる側が10人生き残り、10人側は全滅します。

また、刀を持った武士10人と鉄砲を持った10人が戦った場合は、銃の方が武器効率が高いため銃を持った側が勝利するのです。

ランチェスター第一法則とは、原始的かつ局地的な戦いでは兵力あるいは武器性能が高い方が勝ち残ることを意味します。

ランチェスター第二法則

近代的な戦いにおける法則で、集中効果の法則とも呼ばれます。

武器の効率(性能)×兵力数の2乗=戦闘力

ランチェスター第二法則は広域戦や遠距離戦をイメージしてください。

上記のランチェスター第二法則に当てはめて、AチームとBチームが戦闘します。

Aチーム武器性能兵力数戦闘力
55の2乗=25125
Bチーム武器性能兵力数戦闘力
74の2乗=16112

AチームとBチームが戦った場合は、戦闘力125のAチームが勝利します。

マンチェスター第二法則は兵力が2乗して計算されるように、人数の数が結果に大きく影響することがわかります。

ビジネスにおける弱者・強者がとる戦略とは?

ビジネスにおける弱者・強者がとる戦略とは?

まず前提として、ランチャスター戦略における弱者・強者の定義を説明します。

  • 強者・・業界シェア1位を誇る企業のみ
  • 弱者・・2位以下のすべての企業(どれだけ大企業でも弱者の扱いとなる)

つまり、基本的にどの企業も「弱者の戦略」をとることになります。

ランチェスターの法則では「戦闘力=武器の効率(性能)×兵力数」です。

これをビジネスに当てはめると「営業力=商品力×販売力」となります。

弱者の戦略「強者から部分的なシェアを勝ち取るための戦略」

弱者の基本戦略は競合他社との「差別化戦略」です。

一騎打ち競合他社が少ない市場で一騎打ちに勝利する
局地戦ニッチ市場やスキマ市場に絞って上位企業と戦う
接近戦競合他社ではなく顧客に接近する
一点集中商品やターゲットを無駄に広げず一点に集中する
陽動作戦強者がやらないアイデアで差別化を図る

ランチェスター弱者の戦略では強者が固執していないニーズ、もしくは想定外のニーズにおけるシェア1位を目指します。

弱者が強者に勝つには営業の人数や広告費を増やす、あるいは商品力・ブランド力を向上させるしかありません。

強者の戦略「弱者を抑えて総合的なシェアを確保するための戦略」

強者の基本戦略は「ミート戦略」です。

ミート戦略とは弱者の差別化戦略に対して、その差別化ポイントに追随(ミート)して弱者の競合優位性を潰すことを意味します。

広域戦事業を広い範囲に展開する
確率戦競合やターゲットが多い市場に商品を大量に投入する
遠隔戦広告などを使ってより多くのターゲットに立直する
総合戦ヒト・モノ・カネを総動員して勝負する
誘導作戦値下げ合戦を仕掛けたり類似商品を作ったりして戦いやすい場所に誘導する

このように、シェア2位以下の追随を押さえ込み、シェア1位を死守するのがランチェスター強者の戦略です。

ランチャスター戦略3つの結論

ランチャスター戦略には3つの重要な考え方があります。

ナンバーワン主義

ランチャスター戦略で最も重要な考えは「2位以下を圧倒的に引き離した1位を狙う」というものです。

具体的には安定目標値である、シェア率40%以上を目指してください。

一つの商品でナンバーワンを獲得したら次の商品でのナンバーワンを狙い、それを繰り返して全体のナンバーワンを目指します。

足下の敵攻撃の原則

足元の敵(1つ下の企業)から売上を奪うという意味で、かつては弱いものいじめの原則と呼ばれました。

簡単にいうと、自社より上位の企業ではなく「勝ちやすいところへ勝負を仕掛けて勝利する」という考えです。

勝てる確率は当然高まりますし、自社の成長とともに他社との差を広げます。

一点集中主義

ランチャスター戦略における「一点集中主義」は、勝ち目のあるマーケットに絞り込むという考え方です。

中小工務店は経営リソースに限りがあります。

工務店がランチャスター戦略をとるメリット・デメリット

工務店がランチャスター戦略をとるメリット・デメリット

工務店がランチャスター戦略をとるうえでのメリット・デメリットを簡単に紹介します。

ランチャスター戦略のメリット

  • 弱者が強者に勝てること
  • 強者が弱者を圧倒できること
  • ブランドイメージが手に入ること
  • 信頼性が高まること
  • 得意分野が認知されやすいこと

ランチャスター戦略の一番のメリットは、弱者が強者に勝てる確率を高められることです。

そのための理論・戦略がまとめられていることからも、工務店がランチャスター戦略をとるのは必然ともいえます。

工務店やリフォーム会社が顧客を獲得するには、地域顧客からの「信頼」が重要です。

土俵を絞り込んで顧客との接点を増やし、経営リソースを集中投下してシェア1位を目指してください。

ランチャスター戦略のデメリット

ランチャスター戦略のデメリットは特にありません。

強いていうなら、自社のポジションを間違えると成果が出にくいことでしょう。

弱者と強者の立場を間違えると相手の土俵で戦うことになり、勝算は限りなく低くなるので注意してください。

ランチェスター弱者の戦略を活用した成功事例「ソフトバンク」

ソフトバンクは、ランチャスター戦略で大成功した代表例です。

携帯キャリア事業に参入した際、すでにNTTドコモという圧倒的な強者が存在しました。

ソフトバンクは真っ向勝負ではなく、ランチェスター弱者の戦略を踏まえた「低価格」を武器に局地戦を仕掛けます。

具体的には通話料やメール「0円」を採用して、新聞などで広告をばんばん打ち出しました。

その後は学生向け市場の開拓やiphoneの導入によって、徐々に差別化を図っていきます。

とうとう2014年にはNTTドコモを抜き去り、国内携帯電話市場のシェア1位を獲得しました。

【工務店】ランチェスター戦略の実践方法

【工務店】ランチェスター戦略の実践方法

工務店がランチャスター戦略をとる際に活用したいのが、自社ホームページを使ったWebマーケティングです。

Webマーケティングは低コスト・低リスクで始められるうえ、効果は絶大です。

インターネットは広域戦のイメージがありますが、実は「局地戦」です。

例えばユーザーは工務店を検索する際に「工務店 東北3県」「工務店 山陰地方」など、地域名を入れて検索します。

ホームページづくりでは「○○市の〜」とキーワードを絞り込んだ方が検索上位に表示されやすく、ユーザーからクリックされやすくなります。

ホームページで「自社の強み」や「他社と差別化できている部分」をきちんとアピールできれば、工務店の魅力が伝わって受注へとつながるのです。

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【まとめ】ランチェスター戦略は工務店が勝ち抜くカギ

ランチャスター戦略は、工務店(弱者)が競合他社(強者)に勝つための戦略です。

局地戦に挑み部分的にシェア1位を増やしていくことで、地域ナンバーワンの工務店が実現できます。

まずは「SWOT分析」や「3C分析」で自社の強み・弱みを整理してみましょう。

自社の立ち位置や経営方針を確認したら、ぜひWebマーケティングを実施して、地域ナンバーワンの工務店を目指してください。