工務店経営の存続のためにも、利益率を伸ばし将来の投資資金を確保することが必要不可欠です。
しかし、住宅業界全体として新規受注数の減少や資材高騰などにより利益率を伸ばすことが難しくなっている今、具体的にどのようなアプローチ方法があるかについて悩まれている経営者様もいらっしゃるかと思います。

弊社は、1997年から25年以上システム開発を専門に業務効率化や生産性の向上、近年ではDX化のお手伝いなど住宅・建設業界に限らず多くの企業をサポートしてきました。工務店と共同でシステムを開発・運用している経験やノウハウ・実績をもとに、わたくし、DXサービス事業推進部 佐々木がこの機会に解説します。

詳しくは、弊社コーポレートサイトをご覧ください。

工務店の売上に対する利益率と原価率の平均

工務店の売上に対する利益率と原価率の平均

工務店の平均の利益率(粗利率)は新築の場合、25%前後です。
(リフォームの場合は利益率が高く、平均利益率は30%前後です。)
規模や業態、受注件数などそれぞれの内情は異なるため、一概にいうことはできませんが20%を切るとやり繰りが大変になってくると言われています。

そもそも利益率とは、売上高に対する利益の割合のことです。単純に「利益」といっても粗利や営業利益などの種類があるため注意が必要です※。

  • 本記事では、売上高に対する粗利の割合を利益率(粗利率)として扱います。

利益率(%)= 売上総利益(粗利)÷ 売上高 × 100

また、原価率とは、売上高に対するコスト(費用)の割合のことです。消費者にとっては売上原価が高いほど良い商品・サービスを安く手に入れることができる可能性が高まります。しかし、工務店側にとっては原価が高ければ、得られる利益は少なくなります。

原価率(%) = 売上原価(製造原価) ÷ 売上高 × 100

利益率の重要性

では、なぜ利益率(粗利率)が重要なのでしょうか。

利益率(粗利率)は、工務店がどれだけの利益を出しているのか、工務店の収益性を知るための重要な指標です。
利益(粗利)は、工務店の蓄えとして将来的な投資を可能にします。
利益(粗利)が少ないと、新しい施策や広告などの集客にお金をかけることができなくなります。
工務店経営の将来に関わってくるものであり、市場に生き残る工務店になるために利益率は重要な指標なのです。

平均利益率を目指すべき理由

平均利益率を目指すべき理由

先述したように工務店ごとの内情によって、確保すべき利益率(粗利率)は変わってきますが、他社との競争力を目指すためには平均利益率(粗利率)を目指すことは重要です。一つの目安として目標を設定し、自社がどのポジションに位置しているかを把握するのにも役立ちます。

利益率が低ければ、受注数を増やし原価を下げればよいと考えることもできますが、現状難しい状況にあります。住宅業界全体の課題として、新規受注数の減少、人手不足の課題があるためです。工務店の業務の場合、受注数をこなすためには、「人」が必要です。

また、現代はモノの移り変わりが激しく、将来が保証できません。時代の変化に対応できなければ、企業活動の継続は難しくなります。そのため、将来のための投資資金となる利益(粗利)を平均利益率(粗利率)に押し上げる動きは重要となってきます。

儲からない工務店3つの共通点

  1. 商談管理ができず言った言わないのクレームが多い
  2. 顧客管理をシステム化DXができてない
  3. 既存の顧客から紹介がない

商談管理ができず言った言わないのクレームが多い

商談管理ができていない状況は、お施主様との打ち合わせの進行に悪影響を与えます。

例えば、工務店スタッフとお施主様の認識が合わず「思っていたものと違う」、「伝えたはずなのに」といったトラブルです。特に建築が始まった後に発覚した認識のズレは、工務店側が追加費用を出して改修することが多いため、利益率の低下につながります

このような商談の過程によるお施主様からの要望の管理ミスは、工務店にとって費用面で痛手になるだけでなく、お施主様との信頼関係にも影響を与えます

顧客管理をシステム化DXができてない

住宅業界・工務店は特に、管理すべき項目が多く社内間での情報共有が重要であるため、システムで管理することがポイントです。

現状、担当者が個別に管理している属人化(ある業務の手順や進捗状況などを特定の担当者しか把握しておらず、社内に情報が行き届いていない状況)状態の工務店も多いです。属人化した管理方法は、担当者の負担を拡大させ、新しいビジネスチャンスを逃す可能性も高まります。

また、業務フローが知らないうちに複雑化し、余分なコストがかかるため、利益率の低下の原因となるのです。

既存の顧客から紹介がない

注文住宅の定番の集客方法の一つが、紹介受注です。紹介からの商談は、契約が決まりやすい傾向があります。

工務店や住宅メーカーの紹介は、トラブルの懸念や担当者との相性といった理由から、紹介する側にもためらいがあり、容易なものではありません。
一方で、紹介された側は、友人・知人が満足したというある種の保証付きの工務店や住宅メーカーという認識を持つようになります。

よって、工務店やメーカー選定時の有力候補となることが期待できます。 そのため、広告宣伝費をかけずに契約に繋がる可能性が高く、一棟当たりにかかるコストの削減につながります。結果として、利益率の向上につながります。

工務店が業務効率化DXして利益率を高める5つの方法

工務店が業務効率化DXして利益率を高める5つの方法

売上を増やす

シンプルですが、売上を上げると利益が増えるため、利益率が高まります。
売上向上のためには、受注棟数を増やす・単価をあげる必要があります。
しかし、受注棟数を増やすためには対応する「人」がいなくてはなりません。従業員を増やすためには人件費がかかり教育のためのコストもかかります。一人当たりの対応件数を増やす場合、長時間労働に拍車をかけることになり、2024年問題が目前に迫っている今、慎重に検討する必要があります。

原価を下げる

利益率は、売上から売上原価を引いた残りであるため、売上原価を下げることで利益率が改善されます。

工務店の売上原価として、材料費や工事費などが挙げられます。住宅業界は他の業種と比較すると、工事費が占める割合が高いことも特徴です。現場の改善余地がある部分は、積極的な見直しをかけることで売上原価を抑え、利益率を改善することが期待できます。

また、外注企業とのやり取りの中で情報共有やコミュニケーション不足によるトラブルが起きていないかについても再度見直すことで、予想外の出費を抑え、利益率を確保することができるのではないでしょうか。

固定費を下げる

経営をしていく中で毎月・毎年必ずかかってくる固定費を見直すことも、利益率の改善に効果的です。
月単位で見ると、小さな額になってくるかもしれません。しかし、長期的な視点で見ると、十分に利益率の改善が見込めます。

工務店でいう固定費とは、人件費・備品・広告宣伝費や光熱費などが挙げられます。単に削っていけば良いという考え方ではなく、「小さな無駄」を省くことがポイントです。

付加価値を高める

お施主様に値段以外の面で選ばれる工務店を目指すために、付加価値の付与・向上が必要不可欠です。
前述したように工務店の売上を増やす方法の一つとして、単価をあげることが挙げられます。しかし、単なる販売単価の向上は契約数の低下にもつながります。

木材など原価の高騰が相まって住宅業界全体として値上げが避けられない中、どうしたら選ばれる工務店になれるかに重きをおいて、積極的に検討すべき項目です。

(例)

  • 接客面での工務店/スタッフの信頼
  • アフターサービス・リフォームの充実
  • 独自のデザイン性や高い機能性

お施主様の満足の向上は、次につながる(紹介や口コミなど)営業でもあります。他の工務店との差別化を図ることにもなるため、利益率向上に着実につながります。
実例として、一条工務店が「高性能」という付加価値を高めることで、単価をあげ利益率を伸ばすことに成功しています。

営業業務を効率化する

工務店において、必要不可欠となる「人」に対するコストの見直しは利益率向上につながります。ここでいう「人」に対するコストの見直しは、人員の削減ではありません。営業業務を効率化することで、一人当たりが担当できる棟数を増やし、一棟当たりにかかるコストを削減することで、利益率を高めることができます

近年、住宅業界・工務店の間では、DX化によるシステム導入によって業務効率化を図る動きも活発化しています。詳しくは後述しますが、業務効率化には工務店向けのデジタルツールの活用が有効的です。

利益率30%を確保し、儲かる工務店を経営するツール紹介

高い利益率を確保しつつ、お施主様に選ばれる工務店を経営するための住宅業界向けツールを3つ紹介します。

利益率30%を確保し、儲かる工務店を経営するツール紹介

アイピア

アイピアは、株式会社アイピアが提供する顧客管理システムで「ITが当たり前の世界」を目指して開発されました。工務店(建築業)に必要な機能が搭載されていて、直感的に操作できることも魅力的です。集計データの作成や帳票カスタマイズなど要望に合わせたカスタマイズが可能で、住宅業界・工務店経営のニーズを常に反映してくれます。顧客管理システムの導入により、業務を効率化することで利益率が改善することが期待できます。

特徴経営者から営業、経理まで建築業に特化したツール・スマホ対応で外出先で入力や確認が可能
料金月額10,000円(5ユーザーまで)〜

工務店クラウドEX

工務店クラウドEXは、顧客管理システムだけでなく、見積書の作成、原価管理、スケジュール工程管理、アフター管理など工務店の業務に必要な情報を一元管理することができます。「工事台帳の作成が手間」や「全体像を把握できない」といった工務店経営の悩みを解決し、業務効率化を図ることで利益率の改善につながります。

特徴クラウド型で場所を選ばない・ユーザーサポートがある
料金要相談

つながる家づくりplntable

工務店との共同開発から生まれた、住宅業界・工務店向けのコミュニケーションアプリです。お施主様と工務店の間で起こる「言った言わない問題」を起こさないように、図面へのコメント機能で双方の認識のズレを無くします。お施主様との商談管理・顧客管理として活用し、お施主様の要望を汲んだ事前準備・提案をすることで、信頼の工務店という付加価値向上による利益率の改善が期待できます。

特徴無制限で図面登録可能・図面とコメントの連動が可能・未読コメントのリスト化
料金月額30,000円(5ユーザーまで)〜

ツール選びのコツ

住宅業界・工務店の利益率向上につながるツールの選び方のポイントを解説します。

工務店の利益率向上につながるツール選びのコツ

商談(打ち合わせ)管理が可視化されるか

住宅業界・工務店の業務において、最も重要な業務のうちの一つが、商談(打ち合わせ)です。打ち合わせは、お施主様への提案のための事前準備から始まり、日程調整や追加質問の対応など、労力がかかります。そのため、商談時だけでなく前後の業務の効率化を図るような機能が付いていることが望ましいです。
また、経営者や上司にとってもリアルタイムで商談状況を把握できることで、アドバイスやフォローがしやすくなります。お施主様とのやり取りの記録を全員が確認できる状況を作ることで、人的ミスやトラブルを防ぐことにもつながるのです。

社内での情報共有がスムーズにできるか

社内間の情報共有は、ナレッジ(企業などの組織にとって有益な知識・経験・事例・ノウハウなど付加価値のある情報)の蓄積であり、工務店経営において将来の財産です。ナレッジ共有が活発化することによって、一人一人がより高いパフォーマンスを発揮できるようになります結果として、一棟当たりにかかる時間を短縮でき、利益率の改善につながるのです。
時間がない中で新たに情報をまとめ、社内で共有する時間を割くことは難しいため、業務の流れの中で情報共有も兼ね備えることができる「工務店向け」ツールを選択すると良いでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。工務店が利益率を上げて儲かるための業務効率化についてまとめます。

  • 利益率は工務店の収益性を知るための重要な指標であり、将来の投資資金である
  • 利益率を高める5つの観点から、現状を見直し改善していくことが重要である
  • 高い利益率を確保するためには、業務効率化ツールの活用が有効的である

工務店経営において、どこに改善の余地があるのかを慎重に検討していくことで、利益率アップを目指すことができます。

弊社の工務店、住宅メーカー向けコミュニケーションアプリ『つながる家づくり-plantable- 』はお施主様とのコミュニケーション手段を切り替えることで、、商談管理や顧客管理に活用でき、業務効率化をサポートします。お施主様とのトラブルを軽減し、「信頼の工務店」という付加価値を高めることで、利益率の改善につながります。是非資料をご一読ください。

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