新型コロナウイルス感染症拡大の影響も相まって、工務店経営の課題が多岐にわたり、弊社にも経営戦略のひとつでDX化の為のシステム構築の依頼や弊社工務店向けのコミュニケーションツール(つながる家づくり‐plantable‐)のお問合せを多くいただきます。
そのため、今回住宅業界・工務店における経営課題とはどういったものなのか、具体的に何をすればよいのかと、工務店の経営者さんや営業担当者からの声をもとに、同じような課題を感じている工務店さん・住宅営業の担当者さんの疑問・不安を少しでも解消し、工務店経営の課題解決・経営戦略の参考になればと思い、今回の記事を作成致しました。
弊社は、1997年から25年以上システム開発を専門に業務効率化や生産性の向上、近年ではDX化のお手伝いなど住宅・建設業界に限らず多くの企業をサポートしてきました。
工務店と共同でシステムを開発・運用している経験やノウハウ・実績をもとに、わたくし、株式会社エフ・ディー・シー DXサービス事業推進部、佐々木舞美がこの機会に解説します。
工務店経営(住宅業界)の課題

背景には、少子高齢化や新型コロナウイルス感染症の拡大、新規着工数減少に伴う市場の縮小、ウッドショックやウクライナショックによる資材の高騰などの環境の変化があります。工務店経営の課題は、ハウスメーカー・住宅ビルダーに限らず、社員数が少ない、あるいは個人経営の工務店も関わっています。
工務店経営(住宅業界の課題)の重要ポイント①【住宅業界の状況】
人口減少などの原因に加え、ウクライナ侵攻や新型コロナの感染拡大、働き方改革、インボイス制度、人材不足など多くの経営課題が工務店に直面しています。
国土交通省が公開している住宅経済関連データによると、平成20年度は103万戸だった新設住宅着工数が、令和3年には86万戸に減少しています。
(令和4年度)こうした環境の変化に応じ、工務店も経営のあり方を見直し、柔軟に対応していく必要があるでしょう。
(参照元:国土交通省が公開している住宅経済関連データ)
工務店経営(住宅業界の課題)の重要ポイント②【市場の減少・集客】
原価の高騰:職人の減少によるコスト増・資材・材料・住宅設備(ウッドショック・ウクライナショックなどの恒常化)
人件費・採用コストの高騰:業界の魅力度の低下・働きやすき業界への敗北・他業界の賃上げなど、
原価の高騰・人材コストの高騰は工務店経営において絶対に避けては通れません。
工務店経営(住宅業界の課題)の重要ポイント③【DX化による生産性向上が必須】
市場の減少・コストの高騰は避けて通れません、その為経営の舵取りや方向修正が必要になります。
例えば、高利益・高生産性を意識した経営が必須と考えられます。
その為にも粗利を確保できる生産体制、販促管理費をおさえた組織づくりに焦点をあわせてシフトしないといけません。
その為、建設・建築業界だけではなく世界全体でデジタル化による生産性の向上・デジタル投資へのシフトチェンジが、工務店経営には必須になります。
工務店経営の3極化

弊社サービスのご利用工務店様もお話をきくと下記の3つのフェーズに分かれそれぞれのフェーズで課題・テーマが違い、今後更に資金に体力のある工務店・資金不足の工務店が分かれると考えています。
簡単ではありますが3フェーズの課題と今後のテーマを紹介いたします。
・売上が順調の工務店
⇒今後は他社よりも先に組織全体をDX化し、生産体制、販促管理費をおさえた勝ちパターンを作るフェーズ
・黒字は維持できているが年々棟数や集客数が減少傾向にある工務店
⇒減少傾向にある販売・集客の営業・業務フローに焦点をあてアナログ業務をデジタル化し経費をおさえ粗利を確保の仕組みを作るフェーズ
・赤字・棟数や集客数が減少している工務店
⇒ビジネスモデル・業務フローを変える事が課題のフェーズ
工務店経営(住宅業界)の課題【事業変革施策】

3極化の進む工務店経営、その中での利益増を実現している、事業変革施策の3つのモデルを紹介します。
工務店経営(住宅業界)の課題【事業変革施策】①住宅のローコスト化
・企画住宅の販売
企画住宅を販売している住宅FC等に加盟、または自社内でパッケージ化された住宅を販売
・商品の標準化
・住設設備や部材などを絞る
・業務の効率化
・引渡しまでのリードタイムの短縮・打ち合わせの効率化・業務フローの見直し
工務店経営(住宅業界)の課題【事業変革施策】②工務店経営・事業の多角化
・リフォーム業の強化・移行
・分譲住宅の販売
・外構(エクステリア)事業への強化・移行
・公共事業への強化・移行
工務店経営(住宅業界)の課題【事業変革施策】③工務店・住宅DX化(デジタルトランスフォーメーション)
・アナログ業務をデジタルシフトし人材コストを抑える
・業務フローを見直しデジタルツール活用による生産性の向上
・組織全体での業務をデジタルへ移行し組織全体の業務効率
工務店経営に求められる生産性向上

上記の工務店経営(住宅業界)の課題の事業変革施策を踏まえ、今すぐできる生産性向上はDX化ではないでしょうか?
なぜ生産性向上が工務店経営に必須なのか?
生産性向上とは、どれだけの資源(ヒト・モノ・カネ)を投入した結果、どのくらい成果が得られたか、少ない資源で利益を出すということになります。
例えば、社員の業務内容を分解すると大きく2つにわけられます。
売上に直結する「商談時間・マネジメントの時間」などの主体工数と移動や事務処理などの雑務な事務といった「商談以外の時間」の付帯工数です。
最短で生産性を向上させる為には、まずこの主体工数と付帯工数の割合を把握する必要があり、その上で主体工数の割合を上げる為に、アナログ作業やデジタルシフトできる付帯工数を見直す事(例:遠方の商談をオンライン商談に切り替えるなど)が工務店経営で今後重要になります。
工務店経営でたとえるなら契約棟数を伸ばす為に、商談数を増やす・契約率を上げる・リードタイムを常に突き詰める必要があるのではないでしょうか?
工務店経営で重要な社長の仕事とは?

工務店経営で生産性向上の話しをしてきましたが、工務店の社長の仕事も付帯工数を減らし、主体工数を上げる事で生産性向上を目指す、スーパーセールスマン社長が必要かというと逆です。
理由は2040年度の新設住宅着工戸数は49万戸に減少と予測されている為、経営に集中する必要がある為です。
工務店の社長は、OB、OGのお施主様、社員さん、取引先の業者さん、地域の方、地元の住宅にかんするスペシャリストでないといけなく、会社を継続させていかないといけない責任があります。ボランティア活動ではないので、利益の確保をしながら会社経営をしないといけません。
その為にも、営業シーン・プランニングシーン・工事のシーンすべてにおいて現場から放れ、会社の企業理念をもとに現場責任者を育成・管理が必要になります。
ただ人材育成には莫大な予算と時間を必要とします。
他業界ではこのような人材育成の時間をDX化する事でカバーしているケースがあります。
Amazonのレコメンド機能はご存じでしょうか?
簡単に説明すると、「よく一緒に購入されている商品」や「この商品を買った人はこんな商品も買っています」といったタイトルの下、関連が高い商品が掲載されるものです。
今では多くのECサイトでも搭載されている機能で、ユーザーの購入情報に基づいた商品や、過去の購入履歴を活用し、推薦商品を自動で表示するという仕組みです。
その為、デジタルツールを活用すれば、トップセールスマンの「経験やノウハウ」をデータベース化すればその「知識」を全員が共有できるとういわけです。自分がもう一人いたらな…と思った事はありませんか?
デジタルツールをベースに業務フローの構築、教育、運用をする事で簡単に生産性を向上させる事ができます。
工務店経営(一人 工務店)の場合
一人工務店や少数陣営の工務店の場合はすべての業務を自分自身で行わないといけない為、必然と付帯工数が増えてしまいます。
仕事が増えれば増えるほど付帯工数も増えます。
付帯工数の処理スピードを上げないといけないので、実はデジタルツールの活用が必須になります。
デジタルツールを活用する事で、必要な情報の整理が用意にできるようになりますので、
デジタルツールに苦手意識を持っている場合、単純に付帯工数が増える事になってしまいます。
苦手な方こそ是非、新しい事に挑戦してみて下さい。
デジタルツール導入の際はサポートが熱い、操作簡単などのツールをおススメします。
工務店向けコミュニケーションツールつながる家づくり‐plantable‐の詳細はこちら
地方工務店の経営課題は?

業界全体が右肩下がりの状況であるのに加え、より集客の課題、人手不足、資金繰りなど課題が多岐にわたります。
その為、従来の経営だけではなく、事業領域拡大やコスト削減、DX化などが必要です。
特に地方工務店さんは紹介からの集客がメインの工務店さんも多い為、「信頼関係」を強化できる
コミュニケーションツールの導入をおススメします。
工務店向けコミュニケーションツールつながる家づくり‐plantable‐の詳細はこちら
工務店経営で把握すべき工務店の強み・弱み
住宅業界のシェアは、実は大手メーカーが全体の26%程度で、中小工務店74%を占めていています。
他の業種では、⼤⼿企業が独占するような市場ですが、その為中小工務店が地域のシェアをとる事も可能です。
大手にはできない小回りのきくスピード感のある、地域密着型やお客様ごとにあわせた経営が、
工務店の最大の強みではないでしょうか?
しかしこれらの⼯務店は、⾼齢化や後継者不⾜や跡継ぎ問題・資金繰りなど経営課題を抱えていることも多いことが弱みではないでしょうか?
工務店の経営跡継ぎ・事業継承
工務店では、経営者の高齢化が大幅に進んでおり、親族や会社従業員から次の世代に経営を引き継ぐ必要があります。
同時に、人材不足からの後継者不足も問題となっています。
他にも、M&Aでの売却も近年伸び、助言・仲介する事業者も増加しています。
より詳しく知りたいかたはコチラの記事を参考にしてください。
出典:株式会社レコフデータ 令和2年度中小企業実態調査事業(中小企業の経営資源集約化に関する委託調査)調査報告書
工務店経営での経営のスムーズな引き継ぎの課題の解決の1つは、社内業務の整理・フロー化ではないでしょうか? その為にも、デジタルツールを活用し情報を一か所にまとめる事や、そのツールを軸とした業務フローの新しい仕組みを構築する事ではないでしょうか?
工務店経営で重要な差別化

工務店経営では、自社のポジショニング、設計重視なのかローコストなのかなどとセールスポイントを明確にする必要があります。
ここに関しては、きちんと取り組まれている工務店さんが大半かと思います。
まだまだ多くの工務店さんが、その先の集客後の接客方法での他社との差別化ができていない工務店さんが大半です。
施主が工務店を決める理由を別の記事で記載していますのでコチラも参考にしていただけますと幸いです。
決める理由を結論でいうと、施主とコミュニケーションがしっかり取れていてかつ担当者と強い信頼関係が構築できているかです。
では、どのように差別化をはかるかといと各セールスマンの力量勝負ではなく、デジタルツールを活用したセールスをおススメします。
実際に他業種ではデジタルツールを活用したセールスが当たり前の事ですが、工務店さんで実践されている企業さんはまだまだ少ないのではないでしょうか?
デジタルツールを活用すると集客後の商談からアフターフォローまでワンストップで情報の共有から顧客対応、ノウハウの蓄積まで可能になります。
商談の効率化だけでなく、人材育成、利益確保など多くのメリットがあります。
デジタルツールの活用は工務店経営を加速させる引き金にもなるので活用を検討してはいかがでしょうか?
工務店経営でDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むメリット
に取り組むメリット-1024x675.png)
・ 業務効率化・生産性の向上が期待できる
・ 蓄積されたデータを可視化するなど活用し経営戦略を立てられる。
業務効率化・生産性の向上が期待できる
工務店がDX化を進めるにあたり最初に取り組むべきはコミュニケーションツールの見直しです。
何故コミュニケーションツールかというと、利益に直接かかわるからです。
アナログ業務になりがちな顧客対応や商談をコミュニケーションツール導入することによって、
接点(タッチポイント)強化で受注角度を上げる事や、施主とのやり取りや社内でのやり取りでムダな工数を減らす事で、
業務効率化や生産性の向上を可能にします。
何よりも、現在利用しているメールやチャットツールから乗り換えるだけなので、
導入後の運用も他のツールに比べ非常に楽なところもポイントです。
リアルタイムの市場データを活用した経営戦略が立てられる
リアルタイムの市場データを活用した経営戦略が立てられる
アナログで管理をデジタル化する事で、必要な情報を必要なタイミングで分析する事ができます。
例えば、施主の受注までのリードタイムやパターンなどを容易に分析や可視化する事が可能です。 工務店経営では社内のDX化や業務のデジタル化は取り組むことが重要になります。
工務店経営必須のデジタルツール3選

まず、アナログな業務をデジタルに置き換えることだけでも営業部門・設計部門・工務部門の業務改善を実現する事が可能ですので参考にしてみて下さい。
MAツール
MAツール(マーケティングオートメーション)とは
新規で獲得した顧客情報(リード情報)をデータベース化し、新規顧客へのマーケティング施策を最適化するツールです。
インサイドセールの強化、営業マーケティング部門に課題がある工務店さんはMAツールを活用する事で新規顧客の開拓・潜在顧客の育成ができ生産性の向上が期待できます。
施工管理アプリ
施工管理アプリとは、
工務店や建設事業者が、建築現場において、工務担当者や下請けの施工業者と建築図面や作業工程表作成、日報といった施工管理の業務を効率化し生産性を向上させるためのITツールになります。
着工後の効率化を課題としている工務店さんにオススメです。
コミュニケーションツール
コミュニケーションツールとは、
社内・お施主様との意思疎通や情報の伝達をスムーズにするツールです。
工務店の業務では家を販売・建築する事になります、特に注文住宅の場合はお施主様との土地探し、予算決め、間取り決め、住宅設備決め…など検討事項が多岐にわたります。
従来はメールや電話が主流でしたが、インターネットの発達により多くの情報を簡単に手に入れられる事や、働き方の多様化や社会情勢などの影響により、チャットツールをはじめとしたコミュニケーションツールの活用が当たり前になりました。
「言った、言わない」問題や打合せの効率化、顧客満足度の向上を意識したサービス提供をしている工務店さんには必須ツールではないでしょうか?
弊社工務店向けコミュニケーションツール『つながる家づくり-plantable- 』は、お施主様とのつながりをより強いものに、理想の家づくりの打合せをひとつのtableを囲んでお話しするように気軽に、工務店様に寄り添い「言った、言わない」問題、打合わせの効率化など、工務店経営の課題解決をお手伝いします。この機会に是非参考にしてください。

工務店向けコミュニケーションツールつながる家づくり‐plantable‐の詳細はこちら
【まとめ】工務店経営の課題と経営戦略のポイント
いかがでしょうか。
今回の内容をまとめます。
工務店経営の事業変革施策は、
・住宅のローコスト化
・工務店経営・事業の多角化
・工務店・住宅DX化(デジタルトランスフォーメーション)
特に工務店経営では、少子高齢化による働き手不足の課題、ウッドショック・ウクライナショックでの資材の高騰、新型コロナウイルスがきっかけで大きく変化した、施主の生活や働き方の多様化などに対応する為にも、デジタルツールを活用し工務店経営の課題を工務店・住宅DX化へ取り組みは必須になってくるのではないでしょうか?
以上、工務店経営の課題と経営戦略のポイントをまとめてみました。
参考にしていただけますと幸いです。