マーケティングとは、商品やサービスが売れるための仕組み作りのことです。
マーケティングの重要性は理解しているものの、「何から始めるかわからない」という工務店経営者は多いことでしょう。
この記事では、工務店にこそマーケティングが必要な理由や具体的な手順について解説します。
工務店のマーケティング戦略とフレームワークもお伝えするので、これからマーケティングを取り入れたい方は参考にしてみてください。
工務店こそマーケティングが必要な理由
マーケティングを活用して顧客自身の理解を深め、潜在的なニーズを把握して希望に添うことができれば、おのずと成約数と売上は上がります。
提供するコンテンツの方向性を見誤らないためにも、マーケティングは欠かせないものなのです。
現代における工務店の集客方法は、Webマーケティングが主流です。
ランチャスター戦略にもあるように、ライバル工務店と差別化を図る意味でも、自社商品やサービスが売れるための仕組み作りを始めましょう。
セールスとマーケティングの違い

セールスは顧客に商品やサービスを購入してもらうための活動で、いわゆる営業のことです。
マーケティングは市場のニーズやトレンドを分析して、商品やサービスの価値を伝えることで、顧客の隠れた関心や信頼を引き出すための活動です。
セールスは、営業担当の努力によって得られるものが変わります。
一方のマーケティングはセールスの土台となる部分で、商品やサービスが自然と売れ続ける仕組みを作ることを目標としています。
集客活動は具体的に何をやるの?

市場調査(マーケティングリサーチ)
工務店のマーケティングでは、はじめに市場調査を行います。
商品やサービスのターゲットはどんな人なのか、何を求めているか、市場のニーズはどれほどなのか、などを徹底的に調査しましょう。
リサーチの目的が明確になり調査課題が浮き彫りになったら、調査方法を検討します。
調査方法には定量調査と定性調査があり、2つを組み合わせるのが一般的です。
定量調査
定量調査とは、最終的な調査結果が「数値」で表せられる調査のことです。
例えば「Aの質問に【はい】と回答した人は○○%」という表し方をします。
定性調査
定性調査は個人の感情や行動など、数値ではなく「言葉」で表せれる調査を指します。
例えば、該当調査で聞き出した消費者の生の声をまとめたものが挙げられるでしょう。
マーケティング戦略設計
マーケティングリサーチで収集したデータや情報をもとに、具体的な戦略設計を検討します。
一般的に、戦略設計には「ターゲティング」「ポジショニング」「マーケティングミックス(4P)」のプロセスがあります。
ターゲティング | 市場調査で把握した顧客のニーズや価値観を自社の商品やサービスに反映させて、ターゲット層にアプローチすること |
ポジショニング | ターゲット層に自社の商品やサービスの良さや価値観を認識してもらうこと |
マーケティングミックス(4P) | 後述するマーケティングミックスに当てはめて、顧客にアプローチする方法を模索するステップ |
商品やサービスの価格、どのような方法で顧客へ届けるかなど、細かい部分まで設計を行うのがポイントです。
実施
ここまでに策定した戦略を実行するプロセスになります。
工務店のマーケティング方法として代表的なのは、次の7つです。
- ホームページやブログでSEO対策をする
- InstagramやXといったSNSを運用する
- YouTubeに動画を投稿する
- Googleビジネスプロフィールに登録してMEO対策をする
- 住宅展示場・イベントを開催する
- 広告や看板で認知してもらう
- リスティング広告を出稿する
オフラインとオンラインを組み合わせることができれば、工務店の集客率をより高めることが可能です。
評価・改善
マーケティング戦略の結果を振り返り、プロセスの良かった点や問題点などを分析・評価します。
戦略設計のステップに分析結果を当てはめて、今後の戦略に活かせるように改善策を煮詰めていきましょう。
工務店のマーケティング戦略とフレームワークの効果

3C分析
3C分析とは「Customer(顧客)」「Company(自社)」「Competitor(競合)」の3つの観点から、客観的に分析するフレームワークです。
目の前の顧客や競合と照らし合わせながら考えるので、自社の強みやアピールポイントをより具体的に検討できます。
3C分析を活用すると、自社に合わないマーケティング施策をしたり競合の成功事例に振り回されたりといった事態を回避できるのが特徴です。
4P・4C(マーケティングミックス)
4P | 4C |
Product(製品) | Customer Value(顧客にとっての価値) |
Price(価格) | Customer Cost(顧客にかかるコスト) |
Promotion(広告宣伝活動) | Communication(顧客と企業の接点) |
Place(流通) | Convenience(顧客にとっての利便性) |
4Pは企業視点でのマーケティング手法ですが、近年のマーケティング手法は顧客の視点を中心に考える4Cが主流です。
商品やサービスを売るための具体的な施策・戦略を策定して、何を実行するかを決めるためのフレームワークになります。
STP分析
STP分析とは「Segmentation(市場の細分化)」「Targeting(ターゲット市場の選択)」「Positioning(選択した市場における自社の立ち位置決め)」の、3つの頭文字からとったフレームワークです。
自社のターゲットを定め、競合他社に対してどのような立ち位置をとるかを決めるのに役立ちます。
施策がブレにくくなるので、主に新商品や新コンテンツの立ち上げ時に効果的といわれます。
SWOT分析
SWOT分析とは何をなすべきかを考えるために、内部環境と外部環境を整理する方法です。
分析に使う4つの要素「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の頭文字をとり、SWOT分析と呼ばれます。
例えば工務店をSWOT分析に当てはめた場合、以下のようになるでしょう。
プラスの要因 | マイナスの要因 | |
内部環境 | 強み(技術力が高い、顧客の視点で考えられる) | 弱み(社員が高齢化している) |
外部環境 | 機会(エコ住宅に対する補助金申請が認可された) | 脅威(新築住宅の需要減少、お客様と会いづらくなった) |
WEB集客とオフライン集客の特徴・活用ポイント

WEBマーケティング
Webマーケティングとはインターネットを使った集客方法のことで、SNSやSEO、Web広告を指します。
Webマーケティングは幅広い層にリーチできるのが利点で、人件費や労力を抑えられるのがメリットです。
インターネット上には広告が乱立しているので、自社の広告がユーザーの視界に入るように戦略を立てる必要があります。
オフラインマーケティング
オフラインマーケティングとはインターネットを使わない集客方法で、 TVCMや広告、ダイレクトメールのことです。
リーチできるターゲットは限られますが、確実に情報を届けられるというメリットがあります。
両者の組み合わせ(ハイブリットマーケティング)
工務店の集客方法は、オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッドマーケティングが有効です。
リアル集客で顧客を集め、実績が増えてきたらWeb集客も併用すると、より安定的に集客ができるようになります。
その他:ダイレクト・マーケティング
ダイレクトマーケティングとは、企業が顧客と直接コミュニケーションを取りながら商品やサービスを販売する手法です。これにより顧客の反応を即座に把握し、マーケティング戦略を柔軟に調整することが可能です。「ダイレクトマーケティングの父」と称されるレスター・ワンダーマンが、1967年に体系化したマーケティング手法であり、現代ではスマートフォンの普及により、電子メールやSNSを活用したダイレクトマーケティングが主流となっています。
参考:ダイレクトマーケティングとは?選ばれる理由と実践ポイントを紹介 | DMMチャットブーストCV
工務店マーケティングの手順

- コンセプトを決める
- ターゲットとなる顧客を想定する
- ターゲットの行動を分析する
まずは自社の強みを明確にして、他社と差別化を図れるポイントを見極めたうえでコンセプトを決定しましょう。
次に、どんなユーザーに届けたいのかを想定して、以下の項目に沿って具体的にペルソナ設定を行います。
- 地域(エリア)
- 年齢
- 性別
- 家族構成
- 趣味
- 仕事
- 興味関心
マーケティングは、一度戦略を立てたら終わりではありません。
定期的なデータ分析と改善が必須です。
例えば「ターゲット層はどんな行動を取るか」「どんなマーケティングが効果的なのか」を分析して、実施、分析と繰り返していきます。
まとめ:【保存版】マーケティングを始める工務店が最初に読むコラム
工務店のマーケティング戦略は、オンラインとオフラインを組み合わせることが大切です。
徐々にWebマーケティングも取り入れることで、より安定的な集客が狙えるようになります。
まずはSWOT分析からはじめて、自社の強みや弱みを理解しましょう。