「DX」という言葉は、ビジネスだけでなく一般社会にも浸透しつつあります。
DX化していない企業では「リアルタイムで経営状況が把握できない」「経理や労務に追われて本来の業務に集中できない」といった課題が多いことでしょう。
人手不足や旧態依然とした業務プロセスを改善したいという、工務店経営者の方も多いかと思います。
この記事では工務店向けに、工務店DXが重要な理由と具体的な進め方について解説します。
工務店DXに役立つITツールやDX推進における国の支援など、「工務店DXを始めたい!」という方の悩みを解決する内容です。
工務店DXを進める必要性とは?

工務店DXが必要な背景には、以下のような多くの理由があります。
- ビジネスのオンライン化が進んだため
- 働き方改革・建設2024問題に対応するため
- 2025年の壁に対応するため
- 生産性の低さを解決するため
- 高齢化と人材不足に対応するため
- 消費者の購買行動が変化したため
この中でも、特に問題視されているのが「働き手の減少」です。
実際に、国土交通省が公表した「大工就業者数の推移」によると、2000年に約65万人いた大工は2020年に約30万人にまで減少しました。
工務店DXを進めることで、少ない労力で業務を進めることができます。
工務店DXの進め方で得られるメリットについて、ここから詳しく解説していきます。

工務店DXを進めるメリット

生産性の向上
例えば営業支援ツールを導入することで、営業活動で成約に至るプロセスを管理・標準化が可能となるため、仕事中のムダを省けます。
生産性の向上は利益の確保や企業競争力の向上など、大きなメリットにつながるのです。
BCP(事業継続計画)の充実
BCPとは災害やパンデミックといった不測の事態が発生しても、事業が継続できるように具体的な方針やプロセスを策定することです。
DX推進とBCP対策はどの業界でも課題となっていますが、工務店DXの推進は間違いなく事業計画性の強化につながります。
新型コロナウイルスの蔓延で半ば強制的にデジタルシフトや働き方の見直しが行われたことは、BCPが拡充する結果となりました。
中長期的な企業業績の向上
工務店DXは初期投資こそ必要なものの、中長期的な視点に立つと生産性や利益が向上します。
なぜならビジネスのオンライン化でコスト(時間・費用)を削減できたり、顧客の購買行動の変化に対応できたりするからです。
少しでも早くDX化に取り組むことで生産性向上や利益確保が実現して、企業の競争力が高まるでしょう。
DXの進め方で重要となる3つの要素

工務店DXの進め方では次の3つの要素を意識してみてください。
工務店DXの進め方で重要な要素
業務をデジタル化すること |
DX推進体制を整備すること |
業務プロセスを改善すること |
工務店の業務とは営業活動や顧客管理、総務系業務などを意味します。
住宅購入プロセスを例にすると、業務をデジタル化すると以下のようになります。
- オンライン商談・打ち合わせ
- デジタル展示会
- 顧客のデータベース化
- オンライン集客に力を入れる
- 顧客コミュニケーションツールの活用
DXを推進するためには、社員がDXツールを使えなければなりません。
OJTやリスキリング、研修などを継続して行い、全社一丸となってDX化に取り組みましょう。
DXの進め方・6つのステップと工務店DXのプロセス

ステップ1.DX推進の目的を明確化
まずは、DX推進の目的を明確化したうえで全社員で共有します。
DX化の目的は、さまざまな業務やサービスをデジタル化して、競合他社より利益を伸ばすことです。
目的が明確になることで、DX化の投資に力を入れたりリソースを確保しやすくなったりします。
ステップ2.DX戦略を立てる
DX戦略を策定する前に、現状の業務プロセスを分析して課題を洗い出してください。
現状分析が終わったら、改善すべき業務プロセスや導入すべきITツール・システムを盛り込んだ「DX戦略ガイド」を策定しましょう。
工務店向けのツールは「営業支援」や「顧客管理」などさまざまな種類が存在し、業務効率化を力強く支援します。
ステップ3.経営層の理解
工務店DXの成功は、経営層の「理解」と「行動」に大きく左右されます。
工務店DXの進め方では、経営層がDXの必要性や重要性を十分に理解しているのが前提です。
経営層は「工務店DXでどのように価値を生み出すか」「どのようなビジネスモデルを展開するか」を明確にして、DX戦略を打ち出す必要があります。
ステップ4.DX人材を確保
工務店DXにあたり、DX人材を確保しましょう。
建築業界はDXの重要性が増しているにも関わらず、DX人材の確保が大きな課題となっています。
社内にDX人材が足りない場合は、ヘッドハンティングやパートナー企業を活用するのも一つの手です。
ステップ5.DXのための投資
DXに必要なITツールを導入したり、DX人材を育成したりします。
DX人材の育成方法は、DXセミナーへの参加や研修、現場での実践です。
ITツールにはコストがかかりますが、中長期的に考えるとコスト削減や利益向上につながるので安心してください。
ステップ6.DX推進の開始とPDCA
実際に、工務店DXに向けて社内でDXを推進します。
PDCAサイクルとDXを組み合わせることで、デジタル技術を戦略的に活用しスピーディーな変革を実現できます。
PDCAを回したら、取り組み結果の分析や見直しをできる限り細かく行って、DX推進の課題を見つけましょう。
長期的に改善と行動を繰り返して、工務店にとってのベストアンサーを見つけ出してください。
工務店DXの進め方に役立つツール

工務店DXの進め方に役立つツールを、わかりやすく一覧にまとめました。
営業支援ツール | 営業活動や顧客に関する情報を一元管理して、商談や時間配分の見直しなどに活用できるツール(SFA)のことです。 |
WEBマーケティング支援ツール | 見込み顧客の獲得から管理、顧客育成を支援するツール(MA)で、顧客の趣向や行動に合わせて情報を提供してくれます。他にも顧客の囲い込みや効果的なアプローチによってファン化を支援する、CRMが有名です。 |
施工管理システム | 人員管理や原価管理、工程管理など建設現場における施工管理を支援するツールのことです。 |
経理・会計ツール | 収支をはじめとした会社のお金の動きを管理できます。データの自動集計や帳簿作成など、どんぶり勘定から脱却できるのがメリットです。 |
コミュニケーションツール | 主に営業担当者と施主間でやり取りを行う際に活用されます。意見の食い違いを防いだり打ち合わせ時間を短縮できたりします。 |
製品によっては無料トライアル期間を設けています。
資料や成功事例に目を通して、操作性や機能性が自社にマッチするかを確認してみてください。
DX推進における国の支援

デジタルガバナンス・コード2.0
デジタルガバナンス・コードとは企業のDX推進を後押しするために、経営者に向けた指針などをまとめたガイドラインです。
改訂版にあたるデジタルガバナンス・コード2.0には、社員のリスキリングを含めた戦略的な人材育成・確保が追記されました。
工務店DXの進め方においては「中堅・中小企業向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き」も活用することをおすすめします。
DX認定制度
DX認定制度とは「情報処理の促進に関する法律」に基づき、「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業を国が認定する制度です。
※出典:経済産業省より
DX認定制度に申請して認可されれば、スムーズにDXを推進できたり税制優遇が受けられたりするなどのメリットがあります。
税制優遇はデジタルツールを導入する際に、税額控除(5%・3%)または特別償却(30%)ができるもので、2025年3月末まで実施されます。
DX補助金
工務店DXの進め方では、活用できる補助金があります。
それぞれ支給を受けるための要件や給付額が異なるため、自社で申請できるかを確認しましょう。
他にも自治体が独自に実施している補助金・助成金もあるので、常に情報のアンテナを張っておくことをおすすめします。
『plantable』は工務店におすすめのクラウドツール

『plantable』は工務店の業務を効率化する、新しいチャットツールとして活躍するクラウドツールです。工務店と施主間の「言った言わない問題をなくしたい」という声から生まれ、施主とのつながりを強める役割があります。
plantableを活用して見える化するメリットは、大きく3つです。
- 図面とコメントの連動・イメージ共有で、認識のズレをなくす
- 「連絡未返信」といったお知らせ機能により、返信の遅れや対応漏れを防げる
- 必要書類や顧客情報を一元管理して、工務店での共有がスムーズになる
施主とのやり取りが見える化するので、社内共有や情報管理が容易になり業務工数を大幅に削減できます。顧客からの要望をリアルタイムで共有し、スムーズな施工から顧客満足度の向上を目指してください。
まとめ
この記事では工務店DXの推進がもたらすメリットや、工務店DXの具体的な進め方について解説しました。
ITツールの導入やDX人材の育成は、業務効率化や顧客満足度の向上、利益の確保につながります。
工務店DXは一朝一夕でできるものではないため、1日でも早く動き出すことが重要です。
変化の激しい時代に乗り遅れないように、工務店DXによって競合優位性を保つことを強く意識しましょう。