「組織が大きくなるほど、誰が何を得意としているのかが見えなくなる」

これは組織拡大に直面する多くの企業がぶつかる共通の壁です。

スキル管理・アサイン管理支援ツール「fapi」は、単なる便利ツールとして生まれたわけではありません。
そこには、自社の組織変革に挑んだ経営者の葛藤と、現場との泥臭い試行錯誤がありました。
株式会社エフ・ディー・シー(FDC)代表取締役の和田氏が、「fapi誕生の裏側」を赤裸々に語ります。

プロフィール

株式会社エフ・ディー・シー 代表取締役
和田氏

2016年の大規模な組織改編の際、開発本部長として全技術者のアサインや組織マネジメントの指揮を執る。
その中でエクセルによるスキル管理の限界を痛感し、社内向けツールとして「fapi」の立ち上げを主導。
2021年に代表取締役に就任。
「技術で業務課題を解決する」という軸はブレさせず、経営理念(MISSION/VISION)の再定義を行い、fapiを多くの企業の組織成長を支えるプロダクトへと成長させている。

組織改編で露呈した「属人的な人材管理」の危機

――fapi誕生の大きなきっかけとなった、2016年の組織改編について教えてください。

和田氏: 弊社は「技術で業務課題を解決する会社」として、徹底した業務理解を前提としたITソリューションを提供しています。
2016年、さらなる専門性の向上を目指し、従来の事業部制から「機能単位の開発本部制」へと大幅な組織改編を行いました。

当時、私は開発本部長を務めることになり、全技術者(約160人)の案件アサインや、組織の強み・弱みの把握を一手に担うことになりました。

私たちのビジネスはプロジェクト単位で動いているため、プロジェクトの要件に最適な人材を適材適所でアサインしていくことが何よりも重要です。

しかし、そこで直面したのが「エクセルによる属人管理の限界」でした。
技術者の情報は一人ひとりバラバラのエクセルファイルで管理されており、内容の精度も鮮度も不揃いでした。
一元的に集計したり、組織横断でパッと把握したりできる状態では到底ありませんでした。

――組織改編直後、社内や現場の空気感はいかがでしたか?

和田氏: 組織改編後に色々な現場の管理職の方々と話す機会がありましたが、事業部制から本部制に変わったことで上司と部下の関係もガラリとシャッフルされていました。

「新しく自分の部下になった人が、一体どういう技術を持っているのか把握するのに苦労している」という声が非常に多く、私が本部長として感じていた危機感を、現場のマネージャー陣も全く同じように感じていたんです。

ただ救いだったのは、組織改編そのものに対する社内の反発やネガティブな空気は、私が予想していたよりもずっと少なかったことです。

みんなが「これは経営改革のために必要なんだ」という意図をしっかり理解してくれ、新しい組織をなんとかうまく運用しようと、前を向いて尽力してくれていました。

FDC組織改編図

「仕組み化」への決断:場当たり的な対処からの脱却

――「このままではまずい、仕組みが必要だ」と決断した決定的なきっかけは何だったのでしょうか。

和田氏: やはり、「技術者のパフォーマンスをどう最大化していくか」が、会社の業績に直結するという点です。
人材管理をどう最適化していくかは、経営において最も重い課題でした。
これまでのように個人の記憶や経験といった「属人的なやり方」では、160人規模の組織を回すには限界があります。

何かしらの仕組みを作って、情報の鮮度を常に高く保ち、それを全員共通の基盤として共有することが絶対に必要だ、というのが当時の明確なテーマでした。

――もしあの時、仕組み化へ踏み切っていなかったら、今はどうなっていたと思いますか?

和田氏: アサインはプロジェクトの成否を分ける最も重要な要素です。
プロジェクトの要件に合わない人を無理にアサインしてしまえば、当然プロジェクトが失敗するリスクは跳ね上がります。

もし仕組み化をしていなければ、適切なアサインが選べず、技術者が適切にステップアップして成長していく機会も失われていたでしょう。

技術者が成長しなければ、当然会社全体のパフォーマンスも上がらない。

…あまり考えたくはない未来ですね(笑)。

――投資コストや、現場の負担増に対する葛藤はありませんでしたか?

和田氏: 組織が変わったばかりで、現場のメンバーも日々の運用を回すだけで余裕がない時期でした。

そこに新しいシステムを入れるとなれば、一時的に「現場の負担がさらに増えるのではないか」という懸念は当然ありました。
また、システム化への投資コストに対して、それに見合うだけの結果(リターン)が本当に戻ってくるのかという経営的な不安もあり、正直迷いはありました。

それでも決断できたのは、長期的な「組織の成長」を一番に重視したからです。
仕組み化を先延ばしにすれば、時間が経つにつれて現場がその状態に慣れ、「なんとなく上手く回っているかのような状態」にはできたかもしれません。

ある程度、表面上のトラブルがない状態は作れたと思います。
しかし、私たちが本当に大事にしたかったのは、「技術者を成長させ、それが長期的に会社の成長へとつながるサイクル」でした。

そのためには、今ここで根本的な仕組みを作る投資が必要だと腹をくくりました。

「エクセルの方が良い」現場の酷評を強みへと変えた「自由度」

fapi's_Inside_story3

――そうした課題解決のために生まれたfapiですが、始まりはどのような構想だったのでしょうか。

和田氏: 最初は製品化するつもりはなく、開発本部長だった私が「自社の目の前にある課題を解決するため」だけの内製ツールとしてスタートしました。

しかし、開発がスタートして間もなく、会社全体として「自社プロダクト事業(自社サービス)を強化していく」という経営方針が打ち出され、プロジェクト開始直後というタイミングもあって、「他社にも提供できる製品として方針転換しよう」ということになりました。

――社内ツールから一転、「外販向け製品」にするための開発は一筋縄ではいかなかったですか?

和田氏: 自社向けであれば、課題も自社の業務プロセスも明確なので「何を解決すればいいか」のゴールが見えやすいです。

しかし、他社に提供するとなると話は別です。
利用される様々な企業の業務を理解し、どんな機能が必要とされるかを広く想定して組み込まなければならないため、情報収集や分析には本当に苦労しました。
何より、当時の開発メンバーには外販向け製品を作るノウハウがまだ十分に蓄積されていなくて…そこも苦労の一因でしたね(笑)。

特に大変だったのが、企業によって全く異なる管理方法や項目に合わせて、システムを柔軟にカスタマイズできるようにしなければならなかった点です。
これを一つの製品のパッケージ内で実現しようとしたため、システムの作りが非常に複雑になってしまいました。
当初想定していた開発コストを大きく超える規模になり、テスト工程も膨大かつ複雑を極め、当時は最初のリリースまでこぎ着けるだけでも本当に必死でした。

――それほどの苦労をして、システムの「設定の自由度」を高くしたメリットは今感じていますか?

和田氏: 間違いなく、あの時こだわって良かったと思っています。

当時と今とでは、弊社自身の組織状況や管理したい項目、登録情報もかなり変わっています。
もしあの時に仕様を固定的に作っていたら、今の変化に対応できず、自社ですら使い続けられていなかったはずです。

結果的に、あの時の苦労が現在のfapiの最大の強みになっています。

――苦労の末にようやくfapiを導入した当時、社内の反応はいかがでしたか?

和田氏: 実際に使ってもらった社員から返ってきたのは、私たちが期待していた「便利になった!」という声ではありませんでした。
開発側としてはものすごくショックでしたね(笑)。

それこそ現場からは、「これだけ苦労して入力する割には、今までのエクセル管理の方が良くない?」なんて言われてしまって…。
当時はかなり凹んでいました(笑)。

でも、解決すべき課題が明確だったからこそ、そこで諦める選択肢はありませんでした。

現場から上がってくるリアルな不満やニーズ、フィードバックをすべて受け止め、少しずつ機能を改善し、粘り強く運用を続けました。

人材管理の最適化は会社にとって避けては通れない巨大な課題であり、これをクリアすることこそが会社の成長に繋がると信じていたからこそ、形にすることができたのだと思います。

「感覚からデータへ」仕組みがもたらした組織の変革

fapi1位獲得

――苦難を乗り越えてfapiが定着した今、組織にはどのような変化が生まれましたか?

和田氏: 一番劇的に変わったのは、アサイン会議の「質」です。

これまでの「経験や勘」による感覚的な議論から、全員がシステム上の「同じデータ」を見ながら、客観的かつロジカルに議論できるようになりました。

属人的なやり方だった頃の最大の失敗パターンは、それぞれのマネージャーの頭の中にある情報だけでアサインを判断してしまうことでした。

例えば、同じ「Aさん」という技術者に対して、ある人は『こういう人だ』と思い、別の人は『いや、こういうイメージだ』と、各自の主観で得意不得意をバラバラに捉えていたんです。

その認識のズレが原因で、いざプロジェクトにアサインして作業を始めた後に「やっぱりスキルが合わなかった」となってメンバーを変更したり、最悪の場合は強引に進めてプロジェクト自体が失敗してしまったりという、痛いスキルミスマッチが頻発していました。

fapiの導入によって客観的なスキルが可視化されたことで、こうした主観による判断のブレが一切なくなりました。

万が一うまくいかないケースが出たとしても、「なぜ合わなかったのか」の原因分析が正確にできるようになり、次への明確な対策が打てるようになったのも大きな進歩です。

――案件が発生してからアサインを決定するまでの「スピード感」にも変化はありましたか?

和田氏: 圧倒的に早くなりました。

以前は、案件が出てきて「さあ誰にしようか」となってから、社内の詳しい人に聞いて回ったり、過去のエクセルファイルを一つずつ掘り起こして個別に探したりしていました。

今はすべての情報がシステムに格納されており、組織全体のスキル分布を統計的にいつでも把握できます。

あらかじめ全体像が見えているので、突発的な案件や問題が起きても、解決に向けた意思決定のスピードが格段に上がりました。

「勘と経験」に頼らざるを得なかった当時の不安は、完全に解消されましたね。

――マネジメントだけでなく、現場の「若手社員」への好影響なども見られますか?

和田氏: 弊社には個人目標管理として、その年のテーマを決めてスキルアップに取り組む活動があるのですが、その際に「自分の現在地(スキル)」を正しく把握して振り返るツールとしてfapiが定着しています。

「今のスキルがこうだから、次はここを目指そう」と、上司と部下が共通のデータを真ん中に置いて認識を揃えて話せるため、社員本人にとっても非常に分かりやすく、未来の目標を立てやすくなったという嬉しい声を聞いています。

fapi's_Inside_story2

仕組みは「人を管理するため」ではなく「人を活かすため」のもの

――最後に、これからの人材管理や組織づくりにおいて、大切にしていきたい思想を教えてください。

和田氏: 弊社では新たに、「働くを愉しく、自分たちの世界のために」というミッションを掲げました。

私たちが考える「働くを愉しく」とは、社員一人ひとりが自ら成長し、その高めた力を仕事の中で存分に発揮して、達成感や充実感を得ながら次の成長を目指していく、というポジティブな成長サイクルを意味しています。

fapiは、まさにその理想のサイクルへと近づくための、重要な「手段(ツール)」です。

fapiを開けば、先輩社員のスキルやこれまでの歩みがすべて可視化されています。「この先輩のようになりたい」「将来はこの領域にチャレンジしたい」と、身近なロールモデルを見つけながら、自らワクワクする目標を設定することができます。

fapiは、会社が社員を上から「管理するため」の道具ではなく、社員自らが次のステップへ「チャレンジするため」の仕組みなのです。

「人が成長するための仕組み」としてfapiがあり、それを組織としてどう使いこなし、活かしきれるか。

FDCとしても今、まさにそこへ向けて現場と一体となって全力でトライしている最中です。

私たちは、特定の個人に依存する組織から脱却し、すべての「人を活かす」組織へ変わっていくための強力な原動力として、これからも現場の声に寄り添いながら、fapiを進化させていきます。

YouTube動画で公開中

記事でお届けした内容の元となった、インタビュー動画をYouTubeで公開しています。

テキストだけでは伝えきれない、当時の生々しい葛藤や、仕組み化によって現場が活気づいていく様子を、ご本人の「生の声」と「リアルな表情」でぜひご覧ください!

FDCLab_fapi開発秘話vol.1


――スキル管理・アサイン管理支援ツールfapiのよくある質問

Q
Excel®(エクセル)でのスキル管理からfapiへの移行はスムーズにできますか?
A

はい、スムーズに移行可能です。既存のExcel®フォーマットを活かしたインポート機能があり、現場の運用を変えずにデータの一元化を実現します。

Q
アサイン管理ツールとして、どのような検索や抽出が可能ですか?
A

「スキル」「経験年数」「過去のプロジェクト実績」などを組み合わせた複合検索が可能です。Excel®では難しかった組織横断での「隠れたスキル」の可視化により、最適な要員アサインを支援します。

Q
スキル管理・アサイン管理支援ツールfapiの推奨される導入規模は?
A

数十名から数千名規模まで対応しています。Ver. 3へのアップデートにより、膨大なデータを持つ大規模組織でも高速かつ柔軟に運用できる基盤を整えています。

執筆・監修:株式会社エフ・ディー・シー DX事業推進部 佐々木 舞美

私たちは「現場で使い続けられる」をモットーに、設立30年以上にわたるシステム開発の知見をプロダクトに凝縮しています。
『スキル管理・アサイン管理支援ツールfapi』は単なるツール提供に留まらず、PM経験豊富なコンサルタントによる運用設計サポートをセットでご提供しています。


開発実績:設立以来30年以上にわたり、金融、流通、製造など多岐にわたる業界のシステム開発を支援。

現場主義のサポート:ツールを売って終わりではなく、PM経験者がお客様の現行フローを分析し、最適な運用設計をコンサルティングします。

セキュリティ:ISMS認証取得済み。大手企業・官公庁基準の厳しいセキュリティ要件にも対応。