建築資材の高騰はいつまで続くのか、気になる工務店経営者は多いでしょう。
この記事では建築資材が高騰を続ける8つの理由を解明し、2024年以降の動向について解説します。

なお、本記事は住宅購入を検討しているお客様へ説明する際にも参考になる内容です。工務店が建築資材の高騰を乗り切る対策も解説しているので、工務店経営者はぜひ最後までご覧ください。

建築資材高騰の8つの原因

建築資材高騰の8つの原因

早速、建築資材が高騰している8つの理由を見ていきましょう。

ウッドショック

建築資材が高騰する原因の一つが、ウッドショックによる木材価格の高騰です。

近年、気候変動による林木の生育が不安定化し、森林火災が増加したことで林木が不足しています。
それに加えて、2020年以降のコロナウイルスの影響によるリモートワークの普及や新興国の経済成長に伴い、アメリカ・中国を中心に郊外に家を建てる人が急増しました。世界的な建築需要の増加と森林資源の減少が起因し、木材の需要と供給のバランスが崩れ、価格が急騰しているのです。

また、日本の建設現場に使われる木材は、実に7割を輸入に頼っています。燃料価格の上昇が輸送コストを押し上げ、これが価格に反映されています。

そのため「建築資材が足りなくて工事ができない」「住宅価格が上昇した」といった問題が各地で起きています。

アイアンショック

木材と同様に、鉄の価格も高騰で推移しています。この現象は、中国における鉄鉱石供給の減少や需要の急増、国際的な運送コストの上昇、環境規制の強化などが複合的に影響しました。

鉄は住宅や設備以外にも、ビルやマンション、商業施設で重要な建築資材として使われています。鉄も輸入に頼っている部分が大きく、鉄鉱石に関しては100%輸入に依存しているのが現状です。

ロシア・ウクライナ戦争

2022年に始まった、ロシア・ウクライナ戦争を起因とするロシアへの経済制裁も、建築資材が高騰した要因の一つです。これまで日本はロシアから木材を輸入して いましたが、2022年以降は輸入がストップしています。

品目輸入量にロシアが占める割合(2021年)
チップ8.1%
丸太4.1%
単板82%

ロシア・ウクライナ戦争の終結はまだまだ不明瞭であり、住宅価格の値上がりはしばらく続きそうです。

参考サイト:ロシアによる「非友好国」への単板等の輸出禁止|林野庁

コンテナ料金

コンテナの高騰が建築資材価格に与える主な影響は、輸送コストの増加です。前述したように建築資材は主に国際的に取引されており、コンテナはその中核を担っています。

現在、需要の急増やコロナ禍の影響を受けた世界的な船舶不足とそれに伴う人手不足による混乱した港湾状況により、需要と供給の不均衡が生じ、コンテナ料金が急上昇しています。

また、国内においても、荷物の配送やネットスーパーなどの需要が高まりコンテナが不足しており、材料および設備の運送費は上昇しています。

前述したように建築資材は主に国際的に取引されており、コンテナはその中核を担っています。コンテナ料金の上昇により、輸送コストが急騰し、これが住宅価格の上昇に直結しています。

円安

2022年に「1ドル=150円台」の歴史的円安を記録したのは、記憶に新しいでしょう。

円安が進むと輸入にかかる費用が増加するため、輸入に 頼らざるを得ない日本にとっては手痛いニュースとなりました。

また、国内のほとんどの住宅会社は内需企業であり、海外進出して円安の恩恵を受けるのが難しいという問題があります。

ガソリン代や電気料金の高騰

ガソリン代や電気料金が高騰しているのは、みなさんご存知の通りです。

2023年8月にはレギュラーガソリンの1リットルあたりの価格が、180円台を突破しました。

また、電気料金も2021年7月から値上がりが続いています。

ガソリン代は運送費に、電気料金は製造費に関係することから、建築資材の高騰へとつながっています。

人材不足

人材不足で人件費が上昇していることも、建築部材や建設費が高騰する理由の一つです。

建設業における就業者数はピーク時(1997年)の685万人から、2022年に479万人まで減少しています。

今後も、建設業界は人手不足のまま推移することが予想されます。

そのため、建築部材や住宅の価格上昇は避けられません。

参考:建設業を巡る現状と課題 国土交通省

半導体不足

世界中でテレワークが普及し、スマホやパソコンの需要が高まり半導体不足が起こっています。

半導体はエアコンから給湯器、作業車に墨出し用ロボットまで、あらゆる製品に用いられています。

どの業界でも半導体を必要としていることから、今後も建築資材の高騰に影響を与えるでしょう。

建築資材高騰のグラフ

建築資材高騰のグラフ

国土交通省「2022年 最近の建設業を巡る状況について【報告】」をもとに、建築資材の物価指数がどう変化したかを一覧にしました。

2022年5月の建築資材の一覧(2021年5月と比較)
型粋用合板(100枚当たり)+47.7%
生コンクリート(10㎥)+2.1%
管柱(KD)(円/㎥)+85.9%
経由(kl)+18.4%
H 型鋼(t)+36.9%
セメント(円/10t)+9.0%
異形棒鋼(t)+53.2%
コンクリート用砕石(円/10㎥)+6.6%

特に管柱は85.9%、異形棒鋼は53.2%、型粋用合板が47.7%と、大幅な上昇率です。

また、生コンクリートやセメントも緩やかに上昇していることから、2024年以降も高騰が続きそうです。

参考:国土交通省「2022年 最近の建設業を巡る状況について【報告】」 

【2024年】建設費の高まりと今後の動向

【2024年】建設費の高まりと今後の動向

2024年における、建設費の高まりと今後の動向について解説します。

価格高騰はいつまで続くのか

結論から言うと、2024年以降も建築資材の高騰は続くことが予想されます。

なぜならウクライナ情勢や円安、人材不足に環境問題など、すぐに解決できない問題が多いからです。

仮にすべての問題が解決しても、市場の価格に反映されるまでにあと数年はかかるでしょう。

そのため、建築資材高騰による住宅価格の値上がりは、しばらく続くと考えるのが自然です。

今後の動向・見通し

少なくとも今後数年先までは建築資材の価格は上昇したままです。

ウクライナ情勢を例に挙げると、戦争が終結してもロシアとの貿易関係がすぐに解消されるとは考えにくいです。

資源大国であるロシアとの関係がいつから元通りになるのか、誰もが注目しています。

また「建築資材の高騰が長引きそうだ」「時給率アップは難しい」などの理由から、海外へ進出する住宅会社が増えることが予想されます。

建築資材の高騰対策3選

建築資材の高騰対策3選

ここでは、住宅会社ができる建築資材の高騰対策3選についてお伝えします。

早期の仕様決定と発注

建築資材の高騰対策として、仕様決定と発注スピードを早めることが効果的です。

ここまでお伝えした通り、建築資材は値上がりの一途を辿っています。

早め早めに動くことで建築資材を確保しやすくなり、少しでも価格を抑えることができます。

しかし、納期ギリギリの発注になると「仕入れに時間がかかる」「工事がストップする」などの問題が起こりやすくなります。

スケジュールに余裕を持たせて建築資材高騰の影響を少しでも抑えることが、価格高騰を乗り切るカギです。

スライド条項の適用

スライド条項の適用も、建築資材の高騰対策に有効です。

スライド条項とは工事の契約締結後に賃金・物価水準が一定程度を超えた際に、請負代金を見直せる制度です。

スライド条項の適用は、住宅工事のケースだと施主の了解が必要になります。

契約時にはスライド条項の概要や適用条件、請負代金がどのくらい変わるのかなどをきちんと説明することが重要です。

自治体によって条件は異なりますが「工期が12ヶ月を超える工事」「残工期が2ヶ月以上ある」などが当てはまります。

スライド条項の説明をしないまま工事を進めると、施主から反発されて適用できない可能性があるので注意してください。

工務店DXへの取り組み

工務店DXへの取り組み

DXは単なる流行語ではなく、工務店が今後の競争に勝ち残るために欠かせません。

DXとはデジタル技術を用いて新しい価値を創出し、競争上の優位性を確保することです。

工務店DXは業務の効率化や利益増加など、自社に有益なメリットをもたらします。

例えばクラウド型の「業務効率化システム」を導入すると、外出先でも情報の確認・編集が可能です。

人材不足対策や2024年問題対策にもなりますので、DX化への積極的な取り組みが求められます。

まとめ

この記事では建築資材が高騰する原因と今後の推移、工務店がとるべき対策について解説しました。

建築資材の高騰は世界情勢や環境問題が深く関わっており、すぐに解消されそうにありません。

しかし、何も対策をとらないままでは、会社の利益は下がってしまいます。

建築資材高騰に対応して、業務効率化・利益増加を実現するためには工務店DXがおすすめです。

「顧客管理システム」や「業務効率化システム」は無料トライアルを実施している製品が多いので、まずは問い合わせから始めてみてはいかがでしょうか。