深刻な人手不足に浸透しないDX化、若手が育たないなど課題の多い建設業界。
工務店は早急に業務改善に取り組み、働きやすい環境作りと生産性向上を目指す必要があります。
この記事では工務店が業務改善を急ぐべき理由と、業務効率化がもたらすメリットについてお伝えします。
業務改善の具体的な方法と進め方をわかりやすく解説するので、工務店の課題を一つでもクリアしたい方は参考にしてください。
工務店における業務改善の必要性

人手不足が深刻化しているから
工務店をはじめ建設業では、長い間人手不足が大きな課題となっています。
国土交通省が公表した「大工就業者数の推移」によると、2000年に約65万人もいた大工が2020年になると約30万人にまで減少。
たった20年で大工が半減していることを考えると、異様な早さで人手不足が進んでいることがわかります。
人手不足の大きな原因といわれるのが「職人の高齢化」と「若年従事者の離職率の高さ」です。
実際に「家を建てたいけど大工がいない」という現実は、私たちのすぐ側まで来ています。
DXが浸透していないから
工務店にDXが浸透していないことも、業務改善が必要な理由です。
営業は対面方式、予算はどんぶり勘定、やり取りは紙や電話という工務店も多いのではないでしょうか。
旧態依然とした業務・管理は非効率なケースも多いため、業務改善すべきポイントのひとつです。
ブラック労働を忌避する傾向が強まっているから
20〜30代の若年従事者を中心に、ブラック労働を忌避する傾向が高まっています。
工事スケジュールがカツカツなうえ給料が低い、となれば若者離れが進むのも無理はないでしょう。
1980年代のバブル期以降、建設業界は「3K(きつい・危険・汚い)」といわれた時代がありました。
近年は「新3K(給与・休暇・希望)」を提唱し人材の定着を目指していますが、ブラックな労働環境は早急に見直すべき課題です。
業務改善を促進するメリット
工務店で業務改善を促進するメリットは大きく4つあります。

人材の定着
工務店が働きやすい環境を作ることで、人材が定着しやすくなります。
そのためには人手不足を解消し、業務負担を軽減する施策が必要です。
人材の定着は「家を建てたいけど大工がいない」という問題を解決できますし、工務店経営を続けるために欠かせない要素となります。
若手の育成
業務改善によって若手の育成に時間を使えると、工務店のレベルアップ、案件受注数の増加が見込めます。
若年従事者は離職率が高いので、モチベーションやエンゲージメントを高める業務改善が大切になります。
生産性を向上して利益を生み出す
工務店の「ムリ」「ムダ」「ムラ」を改善すれば、生産性が向上して利益を残せます。
工務店における「ムリ」「ムダ」「ムラ」の例を以下にまとめました。
ムリ | ムリなスケジュール |
ムダ | ムダ遣い、ムダな在庫 |
ムラ | 仕事量のムラ、品質のムラ、仕事の理解度のムラ |
業務改善には施工管理をしっかりと見直し、生産性の向上を目指すことが大切です。
コスト削減
業務改善はコスト削減にも大きな効果があります。
普段業務をしていて「これはムダだな」「こう改善したらいいのに」と思ったことは、一度はあるはずです。
工務店一丸となって業務改善に取り組めば、コストを削減して利益率向上を目指せるでしょう。
工務店で業務を改善する具体的な方法

業務効率化ツール(システム)の利用
業務効率化ツールは工務店の業務改善に大いに役立ちます。
ツールの機能や管理方法は以下のようなものです。
- スキル管理
- 顧客管理
- 案件管理
- 勤怠管理
- スケジュール管理
- 請求管理
- コスト管理
- コミュニケーション機能
- 予実管理
例えば施工管理ツールを導入することで、進捗度を見える化したり建築現場の原価を計算できたりします。
職人や社員の負担を減らせるので、業務時間を効率良く使うことができます。
なお、業務効率化ツールはクラウド型でアプリに対応したサービスがおすすめです。
ルーティンワークの自動化
どの工務店や住宅メーカーにも、毎日決まった業務を行うルーティンワークが存在するもの。
具体的には請求書や見積書の作成、契約更新の確認業務などが挙げられます。
思った以上に時間がかかるルーティンワークですが、ツールを活用すれば自動化や半自動化により業務を効率化できます。
特にエクセルで作成を行なっている工務店にとっては、業務改善の恩恵を強く感じるはずです。
作業マニュアルの見直しと周知徹底
作業マニュアルを見直し、工務店で周知徹底することで業務改善が見えてきます。
自分流で業務を進める社員がいる場合、やり方が効率的か非効率か判断しにくいのが問題です。
マニュアルがあると年齢性別問わず、作業のムラが出にくいというメリットがあります。
意見やアイデアを工務店内で出し合い、必要に応じて改善を加えていってください。
施工管理の見直し
「施工管理」はさまざまな施工管理を行う建設現場に欠かせない存在です。
工務店における施工管理は、4つの管理を担っています。
- 工程管理
- 安全管理
- 品質管理
- 原価管理
「施工管理システム」を活用すれば工程管理業務の効率化、図面や書類の一元管理と、生産性向上に一役買ってくれます。
長時間労働から解放されるなど労働環境の改善にも期待できるので、工務店の経営者は導入を検討してみてください。
図面や資料を電子化する
図面や資料の電子化は紙や印刷代の節約をはじめ、保管コストを削減できます。
パソコンやタブレットで簡単に書類を呼び出せるため、時間や手間がかからず業務改善に大きく貢献するでしょう。
紙での保管とは違い、紛失のリスクがないことからセキュリティ対策にも期待できます。
【4ステップ】工務店の業務を改善する手順
ここでは工務店の業務改善の手順について、ポイントを絞って解説します。
工務店の業務改善の手順 | |
---|---|
ステップ1 | 業務改善したい業務を洗い出す |
ステップ2 | 優先順位を決める |
ステップ3 | 施策を実行する |
ステップ4 | 効果を検証・改善する |
業務を洗い出すことで工務店の現状や課題、業務のムダがわかります。
はじめから多くの業務改善はできないため、取りかかりやすくリターンに期待できる業務から改善を始めてください。
具体的に業務改善すべき課題は「どんぶり勘定問題」「施工ミスが起こりやすい業務」などです。
次に、業務改善の優先順位が高い順から施策を実行してください。
施工管理および業務フローの見直しや業務効率化ツールの導入で、業務改善を目指しましょう。
最後に、施策の進行状況に応じて効果の検証・改善を行います。
業務改善が達成できなかった場合は、施策に手を加えながら効果的な方法を模索していきます。
業務改善が達成できた場合は工務店内で情報を共有して、定着させていくことが重要です。
業務改善を進める際の注意点

業務は可視化すること
業務改善には業務の可視化が欠かせません。
なぜなら現状を把握できないと改善策や対策を立てられず、ズルズルと業務を進めてしまうからです。
例えば、節約をするときは家計簿をつけてお金の流れを掴むところから始めますよね。
業務の可視化は最適な人材配置が行えたり課題が見つかったりと、大きなリターンを得られることが見込めます。
属人化を防ぐこと
エクセルで顧客管理やプロジェクト管理を行なっている工務店は「属人化」に注意してください。
属人化とは「特定の業務を特定の担当者しか対応できない状態」です。
担当者が急に仕事を休んだり辞められたりすると、業務がストップするばかりか業務改善が遠のいてしまいます。
一人ひとり仕事の進め方や管理が異なるのは当然ですが、属人化する前に情報共有・人材育成を行うことが重要です。
チャットやコミュニケーションツールを活用すること
チャットやコミュニケーションツールは、導入が簡単で業務改善に大きく貢献します。
メールで業者や顧客とコミュニケーションをとる場合は、堅苦しい印象を与えるうえ作成にも時間がかかります。
チャットやコミュニケーションツールは、LINEのようにフランクな使い方ができるところがメリットです。
相手との関係性次第ですが、業務を効率化したい工務店は導入を検討してみるといいでしょう。
まとめ
生産性の向上!なぜ工務店は業務改善を急ぐべきなのか
この記事では工務店の業務改善を促進する5つの方法と、具体的な進め方をお伝えしました。
業務改善には施工管理を効率化して、生産性を向上することが大切です。
生産性向上を実現し、従業員の業務負担を軽減するには「業務効率化ツール」の導入が欠かせません。
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