近年、工務店の業務は煩雑化しており、規模に関係なく的確かつ効率的な情報共有が欠かせません。
情報共有を効率化できれば伝達ミスが減り、膨大なデータを基に顧客一人ひとりにあったアプローチが可能となります。
営業から経理、経営までを見える化できる便利なツールが「顧客管理システム」です。
この記事では、2024年版工務店向けの顧客管理システム12選を1997年から25年以上システム開発を専門に業務効率化や生産性の向上、近年では脱属人化のお手伝いなど住宅・建設業界に限らず多くの企業をサポートしてきました弊社が工務店と共同でシステムを開発・運用している経験やノウハウ・実績をもとに、わたくし、DXサービス事業推進部 佐々木がこの機会に解説します。
導入は簡単で操作に慣れれば業務の効率化や顧客満足度の向上、ひいては売上アップにつながります。
人口減少や情報過多で顧客獲得難易度が上がっている今こそ、本記事を参考にして導入を検討してみてください。
顧客管理(CRM)とは?

顧客管理(CRM)とは顧客の名前や年齢といった属性のほか、趣味や購買履歴などの情報を一元管理することです。
情報は集めるだけでなく、精査を重ね顧客のニーズを把握すれば顧客と良好な関係性が築けます。
顧客のニーズを汲み取れば興味のある商品を提案できるため、結果的に売上アップも期待できます。
ちなみに、CRMとは「Customer Relationship Management」の略で「顧客関係管理」という意味です。
CRMは顧客管理だけではなく、管理するためのツールやシステムを指す言葉でもあります。
近年、日本は人口減少や少子化が深刻化し、顧客の獲得競争が激化しています。
情報も膨大に溢れていて、顧客獲得のためには一人ひとりにあわせたマーケティングが必要です。
工務店が顧客管理を導入すれば情報管理が容易になり、受注頭数を伸ばすことにつながるのです。
工務店の顧客管理のメリット・必要性
工務店では一品ごとに受注するのが一般的で、工事費用や顧客の要望もさまざまです。
ここでは、工務店が顧客管理を行うメリットや必要性を3つ紹介します。

1.注文住宅営業効率化
顧客管理システムで一元管理した情報を参考にすれば、誰でもスムーズに顧客に対応でき、営業を効率化できます。
顧客管理システムは、顧客からの要望や建具の変更といった情報を簡単に共有できます。
そのため、引き継ぎの時間を最小限に抑え仕事の効率化が図れるでしょう。
また、担当者が変わって同じ顧客にアプローチしてしまう、というミスの防止にもつながります。
2.顧客満足度の向上
顧客管理システムを活用すれば顧客のニーズが理解でき、最適な提案によって顧客満足度の向上や売上アップ効果が期待できます。
工務店では一品ごとに受注するのが一般的で、工事費用や顧客の要望もさまざまです。
顧客管理システムでは顧客からのクレームや購入履歴などを一元管理できるので、一人ひとりにあったサービスを提供できます。
また、クラウド型なら外出先でも情報にアクセスできるため、その場で直接顧客に提案も可能です。
3.新規集客のマーケティング最適化
顧客管理システムでニーズや販売方法のノウハウが蓄積すれば、新規集客のマーケティングを最適化できます。
かつてはDMの一斉送信で集客につなげていましたが、現代では不快に思う顧客が多く効果的な手法とは言えません。
顧客管理システムを分析して興味や関心のある提案ができれば、新規顧客を獲得する大きなチャンスです。
結果的に、広告費をはじめとしたコストや時間も大きく削減できるでしょう。
工務店の顧客管理のデメリット
工務店へ顧客管理システムを導入するにはデメリットも存在します。
デメリットはありますが導入するメリットも大きいので、工務店内でしっかり検討することが大切です。

1.時間がかかる
顧客管理システムはただ導入して効果を発揮するわけではありません。
うまく活用するには理解や慣れが必要で、時間がかかります。
研修期間や従来のデータベースを移行する作業も必要になることを覚えておきましょう。
使い方に慣れれば工務店の作業効率を劇的に向上させられるので、前向きに検討してみてください。
2.費用が発生する
顧客管理システムを利用するには、イニシャルコストとランニングコストがかかります。
無料版もありますが、機能に制限があったりシステム上のトラブル対応が不十分だったりするので注意が必要です。
ただし、有料版の顧客管理システムも工務店の状況とあわせて十分に検討してください。
最大350万円の補助が受けられる政府の「IT導入補助金(2023年)」もありますので、うまく活用しましょう。

環境の変化に対応し、生き残る工務店へ。インサイドセールスの役割とメリットを解説。
新規顧客獲得単価と紹介による顧客獲得単価の違い

「1:5の法則」という法則があるように、新規顧客の獲得には既存客の5倍の費用がかかります。
新規顧客獲得単価(CPA)は「コスト÷コンバージョン数」で計算できます。
例えば30万円のコストをかけて新規顧客を10人獲得できると、CPAは3万円です。
一方、紹介による顧客獲得単価は報酬内容によって変わってきます。
報酬は数百円分のQUOカードから数十万円の現金までとさまざまで、工務店によって違います。
いずれにしろ、顧客獲得単価を抑えるには顧客管理システムの導入がもっとも効果的です。
顧客に最適なアプローチを施し、工務店に少しでも多くの利益を残しましょう。
【工務店向け建設業向け】顧客管理ソフトの種類とおすすめツール

工務店・建設業向けの顧客管理ソフトやツールを、種類別に12個紹介します。
円滑に経営するためにも、気になるところはホームページを確認したり見積もりをとったりしてみてください。
無料(フリーソフト)
フリーウェイ顧客管理
フリーウェイ顧客管理は無料で使えるクラウド型顧客管理システムです。
手元のExcelやスプレッドシートを活用できるので、時間や手間をかけずに顧客管理ツールを使いたい工務店におすすめです。
ただし、アプリの用意はなくスマホやタブレットでは使用できません。
特徴 | ・1,000データまで無料(データ共有は3人まで) ・シンプルな画面デザイン ・いろんなDBが作れる |
料金 | 無料(有料版あり) |
HubSpot
アメリカのHubSpot社が提供する無料のCRMツールで、最大100万件のコンタクトを登録できます。
ナレッジベースではHubSpotツールの使い方を学べるので、初めて顧客管理を導入したい工務店にもおすすめです。
特徴 | ・最大5人のユーザーまで無料 ・CRMツールをGメールなどと連携できる |
料金 | 無料(有料版あり) |
システム
アイピア
アイピアは、株式会社アイピアが提供する顧客管理システムで「ITが当たり前の世界」を目指して開発されました。
工務店(建築業)に必要な機能が搭載されていて、直感的に操作できるところも魅力的です。
集計データの作成や帳票カスタマイズなど要望に合わせたカスタマイズが可能で、工務店のニーズを常に反映してくれます。
特徴 | ・経営者から営業、経理まで建築業に特化したツール ・スマホ対応で外出先で入力や確認が可能 |
料金 | 月額10,000円(5ユーザーまで)〜 |
AnyONE
営業から現場、経理まで工務店業務を一元管理できる顧客管理システムです。
「営業進捗管理」では打ち合わせや着工日の管理が可能で、案件が増えても抜けや漏れなく営業活動を進められます。
お客様継続率99.4%という数字からも、評判の高い顧客管システムの一つと言えるでしょう。
特徴 | ・導入企業2,700社超 ・見積もりはExcelに近い操作感でできる ・スマホ対応 |
料金 | 月額17,600円〜 |
Oasis
工務店をはじめ建築業におけるさまざまなデータを一元管理し、業務の最適化が図れるツールです。
顧客を抽出してDMや年賀状の発行もできるので、あらゆる業務をこなせます。
特徴 | ・見積もり管理や発注管理、原価管理も可能 ・財務会計ソフトと連携可能 |
料金 | オープン価格 |
建て役者
建築業界の経営を見える化したクラウド型CRMツールです。
柔軟なカスタマイズが可能で、工務店にあわせて情報管理の効率化を図れます。
特徴 | ・強固なセキュリティー ・無料体験や操作説明会あり |
料金 | 月額4,000円(5ライセンス〜)〜 |
Saas
キントーン
キントーンは株式会社サイボウズが提供する顧客管理ツールで、CMなどでご存知の方も多いかもしれません。
属人化された顧客情報や案件情報を見える化し、工務店の効率的な営業活動を支援します。
また、ドラッグ&ドロップで誰でも簡単にアプリの作成が可能です。
特徴 | ・納期などにリマインド機能がある ・毎月500社以上が導入(2021年実績) |
料金 | 月額780円(1ユーザー)〜 |
Patio
工務店3社との共同開発で生まれたPatioは、工務店に本当に必要な機能や項目を集約。
入力されたデータを元に資料が自動生成されるため、資料作りの時間を短縮できます。
「今やらなくてはならないこと」をお知らせしてくれるので、ミスや漏れを防ぎ、顧客満足度の向上が期待できます。
特徴 | ・3ヶ月無料トライアルあり ・初期費用無料 ・300社以上の工務店で導入 |
料金 | 月額19,250円(10ユーザー)〜 |
工務店クラウドEX
工務店クラウドEXはその名の通り、地域工務店の営業・商談管理からアフターサービスまで、幅広い情報を管理できます。
情報の一元化で「工事台帳の作成が手間」や「全体像を把握できない」といった悩みを解決します。
特徴 | ・クラウド型で場所を選ばない ・ユーザーサポートがある |
料金 | 要相談 |
アプリ
つながる家づくり‐plantable‐
工務店との共同開発から生まれた、工務店・住宅ビルダー向けのコミュニケーションアプリです。
顧客と工務店の間で起こる「言った言わない問題」を起こさないように、図面へのコメント機能で双方の認識のズレを無くします。
また、話題ごとに対応済みか否かを登録できるので、コミュニケーションが円滑になり失注率の低下につなげます。
特徴 | ・無制限で図面登録可能 ・図面とコメントの連動が可能 ・未読コメントのリスト化 |
料金 | 月額30,000円(5ユーザーまで)〜 |
工務店向けコミュニケーションツールつながる家づくり‐plantable‐の詳細はこちら
Fullfree
Fullfreeは、工務店にあった顧客管理システムを自由自在に作成できるCRMアプリです。
工務店にあわせてカスタマイズを行えたり、Excelのように手軽に使えたりするところも魅力的です。
特徴 | ・クラウド対応で場所を選ばない ・メールサポートあり |
料金 | 無料(有料版あり) |
Excel
Microsoft Excel
データの集計や分析に役立つExcelを導入している工務店も多いことでしょう。
誰でも扱いやすいところが魅力的ですが、マクロや数式を複雑にすると管理が大変になる場合があります。
顧客管理ツールの中にはExcelを活用できるものもあるので、組み合わせも検討してみてください。
特徴 | ・データ集計やグラフ作成が簡単 ・データのやり取りが容易 |
料金 | 月額1,284円〜 |

工務店DXにおけるクラウドサービスの重要性・課題やおすすめのサービスをご消化します。
顧客管理アプリの自作方法
顧客管理データベースを自作するにはExcelやスプレッドシートが有効です。
多くの大手ハウスメーカーや工務店、リフォーム会社で使われる、Excelを例に顧客管理の自作方法を紹介します。
- 顧客管理データベースで管理する項目を決める
- 顧客の個人情報や購入商品などを入力する
- 一行おきに色をつけるなど見やすく体裁を整える
大まかな流れは以上ですが、Excelは膨大なデータに対応できないので注意が必要です。
また、複数人で同時に作業ができず、フリーズやデータ破損の恐れもあります。
顧客数100人以上や複数人でファイル共有したい場合は、顧客管理システムの導入を検討しましょう。
【工務店向け】顧客管理ソフトの選び方・ポイント

工務店向けの顧客管理ソフトの選び方やポイントを3つ紹介します。
システムの導入を検討する際にぜひ参考にしてみてください。
シンプルな操作性
工務店によってはパソコン操作が苦手なスタッフもいることでしょう。
スマホのようにシンプルな操作性なら、簡単かつスマートな業務が可能です。
顧客管理ソフトを選ぶ際は、スタッフの年齢や使用状況にあう使い勝手の良いものを選んでください。
工務店(建築業)向けの機能性
工務店と顧客との間でもっとも起こりやすいトラブルが「言った言わない問題」です。
顧客も営業担当者もすべての話を覚えられないとはいえ、大きなお金が動く家づくりでは無視できない問題です。
例えば、顧客と工務店が情報をミスなく共有できる、工務店に特化した機能が求められます。
また、工務店向けの機能が充実していれば、下請け業者とのコミュニケーションも円滑になります。
情報共有のしやすさ
クラウド型なら外出先でも情報を共有できるため、最新情報に気軽にアクセスできます。
情報共有がしやすい顧客管理システムは、社内や顧客との連絡がスムーズになり「ミス・漏れ・遅れ」を防げます。

工務店DXにおけるクラウドサービスの重要性・課題やおすすめのサービスをご消化します。
つながる家づくり‐plantable‐の導入による相乗効果の理由

顧客との「言った言わない問題」を解決したいという思いから、工務店と共同開発されたのがプランテーブルです。
コメント機能に力を入れており、図面に変更要望などのコメントの入力や返信ができます。
特に、図面とコメントの連動機能や未読コメントのリスト化(顧客側)は、プランテーブル独自の強みです。
工務店をはじめ家づくりに関わるすべての人が確認できれば、情報の漏れやミスをなくすという大きなメリットが生まれます。
実際に、プランテーブルの導入によって「失注率80%減」や「打ち合わせ回数50%減」といった成功事例もあります。
プランテーブルの導入は、最大350万円の補助が受けられる「IT導入補助金」をご活用ください。
顧客との「言った言わない問題」を解決し、顧客一人ひとりに適したアプローチで業績を伸ばしたい工務店はぜひ導入を検討してみてください。

工務店向けコミュニケーションツールつながる家づくり‐plantable‐の詳細はこちら
まとめ:工務店が顧客管理ソフトを活用すべき理由
工務店が顧客管理システムを活用すれば、打ち合わせ回数やコストを減らせるうえ顧客満足度の高い提案が可能です。
顧客管理システムは、顧客の個人情報からクレーム、工事の進捗など家づくりに関するあらゆる情報を一元管理できます。
システムを導入する際は、一般企業向けではなく「工務店に特化」したものがおすすめです。
写真添付機能があれば詳細がより伝わりやすくなるので、顧客管理システム選びの参考にしてください。
人口減少や情報過多で顧客獲得難易度が上がっている今、ITツールをうまく使いこなし顧客獲得競争から抜け出しましょう。