要員計画は事業計画を達成するために必要な人員数や人件費、人員配置などを予測・計画することです。

特に人件費は利益に大きく影響するため、基準や計算方法を理解しておく必要があります。

この記事では要員計画時の算出・計算方法が必要な理由と、具体的な計算方式について解説します。

グローバル時代に勝ち残るノウハウを学び、要員計画に落とし込みたい方は参考にしてみてください。

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要員計画とは

要員計画とは

要員計画とは事業計画を達成するために必要な人員数や人件費、人員配置などを予測・計画することです。

具体的には「他の部署から人員を補填するか」「人材育成も加味するのか」などを計画に盛り込みます。

要員計画を立てるメリット・目的は次の3つです。

  • 適材適所の人員配置で生産性アップ
  • 目標と課題が明確になる
  • 人材のミスマッチを減らして離職を防止

要員計画ではさまざまな観点から人材戦略を明確にして、人員数や人件費を策定します。

要員計画と人員計画の違い

要員計画と人員計画の違い

要員計画と人員計画は策定する「目的」が異なります。

要員計画は事業計画に人材が何人必要かという「量」を重視するのに対して、人員計画ではどのような人材が必要かという「質」を重視します。

なお、人員計画は要員計画を策定した後から決めるのが一般的です。

要員数の算出・計算方式は?

要員数の算出・計算方式は?

要員数の算出・計算には「トップダウン方式」と「ボトムアップ方式」を採用します。

大規模な方針決定には「トップダウン方式」が適しており、課題解決には「ボトムアップ方式」が最適です。

トップダウン方式

トップダウン方式は経営戦略や利益計画をもとに、適正な人員数を導き出す計算方式です。

トップダウン方式の計算式は2通りあります。

必要な人員数 = (売上高×付加価値率×労働分配率) ÷ 1人あたりの人件費
必要な人員数 = (目標売上高×適正人件費率) ÷ 1人あたりの人件費

人件費と採算を考慮しながら人員を補填するため、予算がオーバーしにくく、目標利益を算出しやすいところがメリットです。

ボトムアップ方式

ボトムアップ方式は各部署の業務量から人員数を求める計算方式です。

ボトムアップ方式の計算方式は次のとおりです。

必要な人員数 = 総業務量 ÷ (1人あたりの標準業務量 × 所定労働時間)

目標売上高を達成するために人員を多めに見積もる傾向があるため、人件費がオーバーしないように注意しましょう。

労働分配率の算出・計算方式は?

労働分配率の算出・計算方式は?

労働分配率は人件費に付加価値をどれだけ分配したかを表す指標のことです。

労働分配率は次の計算式で求めることができます。

労働分配率(%) = 人件費 ÷ 付加価値 × 100

基本的に人件費が増えると労働分配率は高まり、付加価値が増えると労働分配率は低下します。

労働分配率が高いと従業員のモチベーションが保たれ、将来的な成長につながりやすいのがメリットです。

労働分配率が低いときは、売上に対して人件費がかけられない状態であり、過剰な労働環境になっていることがわかります。

適正人員数の算出・計算方式は?

適正人員数の算出・計算方式は?

適正人員数は事業計画の実現や目標を達成するために適した、人員のことです。

適正人員数には4種類の計算方式があります。

損益分析方式売上高や損益分岐点などから人件費を算出して人員を算定する
業務分析方式業務量から必要な工数を割り出して適正人員数を算出する
組み合わせ方式損益分析方式と業務分析方式を組み合わせて算出する
ベンチマーク方式自社あるいは他社の過去の事例から算出する

それぞれの計算方式にはデメリットが存在するため、うまく組み合わせることが大切です。

計算方式を組み合わせることで、精度の高い適正人員を算出できます。

人件費は利益の何パーセント?

人件費は利益の何パーセント?

人件費は利益の何パーセントが適正かを確認しましょう。

中小企業庁による「令和4年中小企業実態基本調査」にもとづき、業種別の人件費率をまとめました。

  • 情報通信業:31.6%
  • 製造業:20.8%
  • 小売業:13.0%
  • 飲食サービス業:38.0%

業種や会社の規模にもよるので一概には言えませんが、適正な人件費率はおおむね50%以下です。

参照:令和4年中小企業実態基本調査|中小企業庁

適正な人件費を測る指標

適正な人件費を測る指標として「売上高人件費率」と「労働分配率」があります。

売上高人件費率売上高に占める人件費の割合のこと
労働分配率人件費に付加価値をどれだけ分配したかを表す指標のこと

前述したとおり、現場によって異なるものの人件費率の平均値は50%以下です。

人件費率が平均値から大きく乖離している場合は、高くしたり低くしたりするといった対策が必要になります。

人件費を削減するには

人件費を削減するには

作業時間を見直す

人件費の削減には効率良く作業をこなして、作業時間を最大化することが大切です。

一般的な作業時間を8時間と仮定すると、時間外労働を減らすことにもつながります。

人材1人ひとりの作業時間を把握するためには「要員管理ツール」がおススメです。

「いつ」「誰が」「何をしているか」を可視化できるため、人件費の削減対策が講じやすくなります。

適材適所に人材を投下する

適材適所の人材配置は、人件費を削減する重要なポイントになります。

従業員のスキルや特性にマッチする要員計画を立てることで、従業員の能力を最大限に発揮できるようになるからです。

適材適所の人材配置は生産効率や成果物の品質アップにつながり、人件費削減を可能にします。

また、適材適所の人材配置は、従業員のモチベーションやエンゲージメント向上という好循環を生み出すのです。

要員計画を立てるステップ

要員計画を立てるステップ

要員計画は、以下の5ステップで策定します。

  1. 現状把握
  2. 要員の調査
  3. 要員の調整
  4. 要員計画
  5. 要員計画の実施

まずは各部署の人材を把握するために、スキルマップを作成しましょう。

要員計画に必要なデータを「トップダウン方式」と「ボトムアップ方式」を用いて、集計します。

要員数を比較して適切かどうかを確認し、必要に応じて調整を重ねてください。

必要なデータや情報が揃ったら、要員計画書にまとめます。

要員計画書はインターネット上にあるフォーマットを活用することで、1から作成する手間を省けます。

要員計画の運用中は現場とコミュニケーションを取りながら、進捗状況や事業計画にズレがないかを確認してください。

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こちらの本のメインテーマは、要員や人件費というテーマに対して科学的・定量的にアプローチし、強い筋肉質な組織構造を作り上げることです。

グローバル時代で企業が勝ち残るために必要な、法則やポイントが7つのストーリーで解説されています。

要員計画と人件費について学びたいというニーズに応える、モデルケース例が非常に参考になる良書です。

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最適な人件費・要員計画の策定をサポートするわかりやすい解説と、エクセルでそのまま使えるツールが収録されています。

要員計画・人件費を算出する計算方法がさまざまな観点からまとめられ、事業計画に対してステップを踏みながら分析できます。

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要員計画には「スキル管理・アサイン管理支援ツールfapi」の活用がおススメ

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まとめ

要員計画は経営リソースのなかでもっとも重要な、人材を適切に配置したり無理のない採用を進めたりするために欠かせません。

要員計画は「トップダウン方式」と「ボトムアップ方式」を併用することで、精度の高い要員計画を策定できます。

業種や職種にもよりますが、人件費率は50%以下がベストです。