スキル管理・アサイン管理支援ツールfapi(ファピー)を提供する株式会社エフ・ディー・シーのDXサービス事業推進部 佐々木舞美が、200名以上のITエンジニアのスキル管理を25年以上行ってきた経験をもとに、ITエンジニアのスキルマップに入れるべき項目を職種別に解説します。
ITエンジニアのスキルマップは、「全職種共通の項目」「職種別の専門項目」「評価レベル」の3つを分けて設計すると、項目の抜け漏れと粒度のばらつきを防げます。この記事では、この3つの順に項目例を紹介します。
ITエンジニアのスキルマップ項目は3層で設計する
| 層 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 1. 共通項目 | 職種を問わず全エンジニアに求めるスキル・知識 | セキュリティ知識、ドキュメント作成、顧客折衝 |
| 2. 職種別項目 | 職種ごとの専門技術 | 言語・フレームワーク、クラウド、DB設計 |
| 3. 評価レベル | 各項目の習熟度の段階 | ITSSを参考にした3〜5段階 |
職種別項目だけを並べると、プロジェクトのアサインで必要になる「顧客対応ができるか」「設計書を書けるか」が抜けがちです。共通項目を先に固定し、職種別項目はチームごとに追加する形にすると、後から職種や技術が増えても管理表が崩れません。
全エンジニア共通のスキルマップ項目
| カテゴリ | 項目例 |
|---|---|
| 情報セキュリティ・法令 | 情報セキュリティの基礎、個人情報保護法の理解、社内規程・顧客ルールの遵守 |
| 開発プロセス | 要件定義・設計・テストの工程理解、バージョン管理(Git)、レビューの実施 |
| ドキュメント | 設計書・手順書・議事録の作成、仕様の文章化 |
| コミュニケーション | 顧客・他部門との折衝、進捗報告、後輩への指導 |
| 業務知識 | 担当業界(金融・製造・流通など)の業務知識、自社サービスの理解 |
共通項目は10〜15項目程度に絞ります。多すぎると評価の負担が増え、更新が止まる原因になります。
職種別のスキルマップ項目例
職種別項目は「大項目→小項目」の2階層にし、小項目に具体的な技術名を置きます。以下は代表的な4職種の例です。
アプリケーションエンジニア(Web・業務システム開発)
| 大項目 | 小項目の例 |
|---|---|
| プログラミング言語 | Java、C#、Python、JavaScript/TypeScript |
| フレームワーク | Spring、.NET、React、Vue.js |
| 設計 | 画面設計、API設計、クラス設計 |
| テスト | 単体テスト、結合テスト、テスト自動化 |
サーバーサイド・バックエンドエンジニア
| 大項目 | 小項目の例 |
|---|---|
| API・サーバー開発 | REST API設計、認証・認可、バッチ処理 |
| データベース | テーブル設計、SQL、パフォーマンスチューニング |
| 運用・保守 | ログ監視、障害対応、性能改善 |
| セキュリティ | 脆弱性対策、セキュアコーディング |
インフラ・クラウドエンジニア
| 大項目 | 小項目の例 |
|---|---|
| クラウド | AWS、Azure、Google Cloudの設計・構築 |
| サーバー・ネットワーク | Linux、Windows Server、ネットワーク設計、ロードバランサ |
| 自動化 | IaC(Terraform等)、CI/CD、コンテナ(Docker、Kubernetes) |
| 運用 | 監視設計、バックアップ、セキュリティ運用 |
プロジェクトマネージャー・リーダー
| 大項目 | 小項目の例 |
|---|---|
| 計画 | WBS作成、見積り、要員計画 |
| 管理 | 進捗・課題・リスク管理、品質管理、コスト管理 |
| 顧客対応 | 要件調整、提案、報告 |
| チーム運営 | アサイン、メンバー育成、評価 |
DX案件が多い企業は、経済産業省・IPAの「デジタルスキル標準」で定義されている5つの人材類型(ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティ)も、職種区分の参考になります。
評価レベルはITSSの7段階を参考に3〜5段階へ
項目を決めたら、各項目の習熟度を表す段階を定義します。IT業界では、経済産業省が策定しIPAが公開している「ITスキル標準(ITSS)」の7段階が基準として広く使われています。
| レベル | ITSSの定義(要約) |
|---|---|
| 1 | 情報技術に携わる者に最低限必要な基礎知識を有する |
| 2 | 上位者の指導の下に、要求された作業を担当できる |
| 3 | 要求された作業を全て独力で遂行できる |
| 4 | 独力で業務上の課題の発見と解決をリードし、後進を育成できる |
| 5 | 社内でテクノロジやメソドロジ、ビジネスを創造しリードする |
| 6 | 社内だけでなく市場においても創造しリードする |
| 7 | 市場全体から見ても先進的なサービスの開拓や市場化をリードする |
自社のスキルマップでは、ITSSをそのまま使うより、レベル1〜4程度に対応する3〜5段階へ縮めた方が評価しやすくなります。各段階は「指導を受ければできる」「一人でできる」「他者に教えられる」のように、行動で定義してください。
ITSSの職種区分や、Excelでのスキルマップの作り方は次の記事で解説しています。
項目を決めるときの注意点
| 注意点 | 理由・対策 |
|---|---|
| 粒度をそろえる | 「Java」と「プログラミング」が同列に並ぶと評価できない。大項目・小項目の階層を守る |
| 技術名は定期的に見直す | フレームワークやクラウドサービスは入れ替わりが早い。年1回は項目を棚卸しする |
| 自己評価だけにしない | 自己評価は甘辛が出る。上長評価か、担当案件の実績で裏付ける |
| 更新のタイミングを決める | 案件終了時・半期ごとなど、更新する契機を決めないと古い情報のまま残る |
項目が増えたらスキル管理ツールで運用する

職種別項目×レベル×人数で管理表が大きくなると、Excelでは更新と検索に時間がかかります。当社のfapi(ファピー)は、スキル項目を自社の職種に合わせて自由に設計でき、「条件に合うエンジニアを探す」「案件にアサインする」までを一つのツールで行えます。ITエンジニア200名以上のスキル管理を行ってきた当社の運用をもとに開発したツールで、IT導入補助金2025の対象です。
まとめ
ITエンジニアのスキルマップは、共通項目・職種別項目・評価レベルの3層で設計します。職種別項目は大項目→小項目の2階層で具体的な技術名まで置き、評価レベルはITSSを参考に3〜5段階へ縮めて行動で定義してください。技術名は年1回棚卸しし、更新の契機を決めて運用を続けることが重要です。
