プロジェクト進行中は予期せぬトラブルやリソース不足が起こり、プロジェクト遅延が発生します。
あらかじめプロジェクト遅延の原因を押さえて適切な対策方法を理解しておけば、リカバリは十分に行えます。
この記事では炎上プロジェクトやプロジェクト遅延の恐ろしさと原因、具体的なリカバリ方法を解説します。
「プロジェクト遅延に対してどのようにリカバリするか」を学びたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
なぜプロジェクトは炎上するのか?

プロジェクトの炎上はシステム開発の現場で起こる現象です。
炎上プロジェクトとは当初想定していた予算や人員、開発期間が足りなくなり、期日までの納品が難しくなることを指します。
プロジェクトが炎上する主な原因は、次の3つです。
- プロジェクトの進捗状況を把握できていないから
- 要員計画に問題があったから
- エンジニアのスキルを可視化できていなかったから
炎上プロジェクトは利益の確保が難しく、クライアントから信頼を失うリスクもあります。
プロジェクトの失敗率はどのくらい?

実際に、システム開発のプロジェクト失敗率はどのくらいなのでしょうか。
日本情報システム・ユーザー協会が発表した「企業IT動向調査報告書 2024」からは、プロジェクトの失敗率が高いことが読み取れます。
「工期」「予算」「品質」の3つのカテゴリーに分けて、プロジェクトの規模を「100人月未満」とした場合の、データを紹介します。
- システム開発の工期に関して、予定通りに完了した割合:32.8%
- システム開発の予算に関して、予定通りに完了した割合:38.7%
- システム開発の品質に関して、予定通りに完了した割合:24.0%
3つの「予定通りに完了した割合」を平均すると「31.8333%」です。
つまり、何かしらの原因で満足できていない可能性(プロジェクト失敗率)が「約68%」もあるということです。
プロジェクトが計画どおりに進む可能性は低いため、対策を立てたりリカバリしたりする必要があります。
参照:企業IT動向調査報告書 2024|日本情報システム・ユーザー協会
炎上理由の一つ「プロジェクト遅延」とは?

プロジェクト遅延とは、スケジュールどおりにプロジェクトが進行せずに、遅れが生じることです。
原因はさまざまで、対処方法も変わってきます。
プロジェクト遅延が発生しないまま、スケジュールどおりに進むということは、まずありません。
プロジェクトマネージャーは、遅延を想定しながら、すぐに対応できるように準備しておく必要があります。
プロジェクト遅延が発生する6つの原因
プロジェクト遅延が発生する原因は以下の6つです。
- スケジュールの不備
- 要員の割り振りが不適切(アサインミス)
- 進捗報告・進捗管理が不十分
- 外注先(ビジネスパートナーなど)との連携不足
- 遅延発生時の対応ミス
- リカバリのミス
原因を知って、プロジェクト遅延のリカバリにつなげましょう。
スケジュールの不備
プロジェクトでは必ずゴールから逆算して、目標達成に向けたスケジュールを作成します。
スケジュールを組む際には、トラブルや遅延の発生を想定してバッファをもたせることが大切です。
スケジュールをカツカツに設定すると、少しのミスで命取りになる可能性があります。
要員の割り振りが不適切(アサインミス)
要員の割り振りが不適切だった場合の事例です。
別々の人が同じタスクをこなす場合は、得意な人と不得意な人で完成までの時間や品質に違いが生じるものです。
アサインミスを減らすためには、要員のスキルや業務経験、特性などを把握しておく必要があります。
進捗報告・進捗管理が不十分
進捗報告・進捗管理が不十分なときは、プロジェクト遅延を招く恐れがあります。
たとえばタスク完了ごとではなく一日の終りにまとめて進捗報告をしていては、遅延状況をリアルタイムで把握できません。
また、進捗報告で虚偽の報告を行う可能性もあるでしょう。
初期の遅延を見過ごすと、プロジェクトの途中で取り返せない事態になることを覚えておきましょう。
外注先(ビジネスパートナーなど)との連携不足
外注先との連携不足により、プロジェクト遅延に気づくのが遅れるケースです。
外注先へ業務委託している場合、情報共有や進捗管理を怠ることが原因でしょう。
さらに途中から、目標達成に対するお互いの認識のズレが生じることもあります。
成果物が完成した後から問題が発生すると、リカバリは困難になることを覚えておいてください。
遅延発生時の対応ミス
プロジェクト遅延が発生した際の「対応力」は重要です。
プロジェクト遅延は必ずと言ってよいほど発生するものなので、いかに早く対応できるかが問われます。
原因を見つけられないと、プロジェクト遅延の解決が難しく、遅延がさらに深刻化する恐れがあります。
リカバリのミス
プロジェクト遅延に対するリカバリ方法を間違うと、遅れがさらに広がる結果となります。
遅延の原因を見誤ったりメンバーに負荷がかかったりするリカバリ方法は、ミスを誘発してうまくいかないことが多いです。
プロジェクト遅延は必ず挽回できるわけではないため、プロジェクトマネージャーは冷静に問題へ対処しなければなりません。
プロジェクトのリカバリとは?

プロジェクトのリカバリとは、重大な問題を抱えているプロジェクトを正常な状態に戻す活動です。
重大な問題とはスケジュールやコスト、品質において、大幅な見直しが避けられないことを指します。
どんなに時間をかけてリソース計画やスケジュール計画を立てても、プロジェクト遅延は起こるものです。
プロジェクトを最後までやりきるには、プロジェクト遅延が発生した際に素早くリカバリすることが重要になります。
まずはトラブルの原因の分析からはじめて、プロジェクト遅延の解決および再発防止に講じましょう。
プロジェクト遅延を防ぐ2つのリカバリ方法

プロジェクト遅延を防ぐ効果的なリカバリ方法について紹介します。
ファスト・トラッキング
ファスト・トラッキングとは現在進行中のタスクと後工程で着手するタスクを同時に進行して、スケジュールを短縮するリカバリ方法です。
本来は序盤の工程で遅れが発生した際に、後工程のスケジュールに遅れが出ないよう応急処置として実施されます。
前工程が終わるのを待たずに済むので、大幅な時間短縮に期待ができます。
ただし、前工程にミスがあった場合は、同時に進行している後工程もやり直しになるかもしれません。
たとえば設計とプログラミングを同時に進めていても、設計に問題があればプログラミングもやり直すことになるでしょう。
スケジュールの時間短縮に効果は見込めますが、やり直しのリスクをはらんでいることを覚えておいてください。
クラッシング
クラッシングとはプロジェクトに人員やツールなどの新たなリソースを追加して、予定よりも短期間でタスクを完了させるリカバリ方法です。
新しいリソースの追加はリカバリ方法として有効な気がしますが、クリティカルパスを特定したうえで実施しなければなりません。
クリティカルパスとは、プロジェクトの全工程を最短時間で完了するために、もっとも重要なタスク群です。
クラッシングを採用しても、経験の浅いメンバーを増やしていては、かえって作業が遅れるかもしれません。
したがって、該当するタスクがプロジェクトの進捗にどれほど影響を与えるかを見極め、適切なリソースを追加することが大切です。
【炎上案件にしない】プロジェクト遅延は事前対策で防ぐ事をおススメします。
プロジェクト遅延対策として「プロジェクト管理ツール」や「アサイン管理ツール」の導入がおすすめです。
「プロジェクト管理ツール」と「アサイン管理ツール」はプロジェクト遅延の防止策として有効です。
プロジェクト管理ツール | プロジェクトに関連するリソースを一元管理できるシステムのこと。タスクの進捗管理やコスト管理、情報共有などが可能 |
アサイン管理ツール | 人員のスキルや稼働状況を一元管理できるシステムのこと。プロジェクトに最適な人員を割り当てたり管理できたりする |
システム開発でプロジェクトを動かすのは人であり、プロジェクトの成功は人にかかっています。
プロジェクト遅延は事前に対策を講じることで、発生する可能性を大きく削減できます。
スキル管理・アサイン管理支援ツール「fapi」とは?

「fapi」はシステム開発のプロジェクトに特化した、スキル管理・アサイン管理ツールです。
この記事でお伝えしたとおり、プロジェクト遅延を少しでも防ぐには、スケジュールや人員のスキル・アサイン状況をリアルタイムで把握することが重要です。
「fapi」は部署をまたいだスキル検索や項目のカスタマイズ性に優れており、直感的な操作でプロジェクト担当者を支援します。
30日間の無料トライアルを実施しているので、機能性や使い方を知りたい方はお気軽に試してみてください。
まとめ
この記事ではプロジェクト進行中に発生する、プロジェクト遅延の原因や対処法を解説しました。
プロジェクト遅延は原因を知って適切なリカバリ方法を実施することで、少しでも正常な状態に戻すことができます。
プロジェクト遅延を事前に防ぎたいという方は「プロジェクト管理ツール」や「アサイン管理ツール」の導入をぜひ検討してみてください。