プロジェクトの炎上という言葉は、IT業界に身を置いた経験があれば、聞いただけで身震いしてしまう方もいらっしゃるかと思います。燃え盛る火の中で消火に明け暮れるような鬼気迫る状況で業務を続けることは、可能な限り避けたいものです。
今回は、
・炎上プロジェクトあるある
・プロジェクト炎上の原因
・プロジェクト炎上の防止策
について、ITエンジニアを200名以上抱え、20年を超えるエンジニアの要員管理経験とスキル管理・アサイン管理ツール開発経験を持ち、業務効率化しながらISO9001を取得している弊社、DXサービス事業推進部 佐々木舞美が解説いたします!
炎上プロジェクトとは?

ITシステム開発における炎上プロジェクトとは、計画段階で確保していた予算や開発期間が足りなくなり、期日までの納品が難しい状況に追い込まれてしまったプロジェクトのことです。
クラッシング※などの手法を用い、人員を増加して開発スピードを上げる対策方法もありますが、予算の問題や、専門性が高いなどの理由で雇える人員が限定される場合には取りにくい方法です。
(※クラッシング:新たに人員を追加して開発のスピードを上げること)
追加人員の投入は作業に慣れるまでの工数や雇用コストが必要で、ただでさえリソース不足なプロジェクトで更なるリスクを負うことになります。そうして結局、メンバーひとりひとりの作業量を無理やり増やし、全員連日残業続き……といったような、「デスマーチ(死の行進)」と呼ばれる状況に追い込まれることがあります。
このように、一度プロジェクトが炎上してしまうと、再び正常な状態に戻すのは非常に困難です。さらに、顧客との契約金額の変更に関わる裁判や交渉が発生することもあるので、可能な限りの防止策を取っていくことが必要となります。
炎上プロジェクトあるある事例

事例1:炎上プロジェクトはエースを潰す!? 事例
<<Aチームの抱えるプロジェクトが炎上してしまった…!>>

チームリーダーの佐藤君はすごいな、彼さえいればこのプロジェクトもなんとか無事に納品まで持っていく事ができるかもしれない…!!

佐藤君、君のおかげで助かったよ。君は次期プロジェクトマネージャー候補だよ!
<<お昼休憩中……>>

佐藤さん、さすがです!

……田中君、実はね

? どうしたんですか?

僕、このプロジェクトが終わったら退職しようと思っているんだ
「炎上プロジェクトはエースを潰し、リーダーを育てる」と言われることがありますが、それはどういった状況でしょうか。炎上プロジェクトを経験したことがある方の中には、エース級のメンバーが「転職したい」と口をこぼしたり、プロジェクト後に休職や退職などで突然姿を消してしまったり……という場面に遭遇したことがある方もいるのではないでしょうか。
確かに、炎上プロジェクトの経験は、その時のプロジェクトマネージャーやリーダーの采配力を大きく育て、次回以降のプロジェクトで優秀な責任者となるきっかけになります。しかし、プロジェクト遂行に大きく貢献してくれるメンバーを失うことは、せっかく育ち切ったマネージャーが十分なメンバーを得られずに、マネジメント能力を発揮する機会さえ失うことにつながりかねないのです。
事例2:ためにならない炎上事例
<<Bチームのプロジェクトで、緊急会議が行われたようです……!>>

さて、現在のプロジェクトが炎上と言っていい状況に追い込まれているわけだが……

この原因を作ったのは誰だ?
スケジュールに無理があるのなら、早めに相談するように言ったはずだが?

いや、誰と言われてもこの場では言いづらいし……。
どちらにせよ、結局責任を取るのはリーダーの僕なんだよなあ
プロジェクトが炎上した際に起こりがちなのは「責任の追及」です。「誰が炎上の原因をもたらし、誰に責任を取らせるか」に目が行きがちですが、それがプロジェクトの鎮火につながるとは限りません。「誰が」よりも、「どのタイミングで」「何が」炎上原因になったのかを突き止め、改善策を練ることを優先的に考えなければ、参画したメンバーの今後のためにもなりません。
事例3:炎上プロジェクトで退職事例
<<飲み会が解禁! 同期の鈴木君と田中君がぼやいています>>

Aチームの佐藤さん、結局退職しちゃったのかー

そうなんだよー。あの炎上の中で転職先もバッチリ決めてたみたいでさ。
本当にやり手だよ。

そうか…。うちのチームもさ、山田くんがプロジェクト中に突然退職しちゃったし、森さんも休職が長引いてるんだよね……。

僕も退職しようかなあ…

えっ!!?
炎上プロジェクトは無理にリソースを割いて完了に持っていかなければならず、メンバーにはどうしても長時間の残業や精神的な負荷を課すことになってしまい、メンバーたちの不満や心身のストレスが蓄積していくものです。「過重な労働ストレスから自身の身を守る」という価値観が重視されている昨今、自身の仕事の完遂よりも心身の崩壊を防ぐためにプロジェクトからの離脱を選ぶメンバーも多く出てくることでしょう。そして、メンバーたちのそういった選択はもちろん間違いではありません。社員の退職は連鎖的に起こることもあるので、極力プロジェクト炎上を防ぐための対策を取っていく必要があります。
事例4:炎上プロジェクトの兆候
<<定時後>>

……

あれ、マネージャー今日も残業して行くのかなあ…。
今回のプロジェクトはそんなに差し迫っている雰囲気じゃないけど……

はあ…要件定義が曖昧だなあ。また質問を出さないと…これで何回目だろうなあ。
おう、田中君。今日は上がりかい、お疲れ様

あの……。今回の案件は僕ずっと待機みたいな状態になってまして……
何かお手伝いしましょうか?

そうだったのかい!? いやー、実は基本設計が順調じゃないんだよね。
うーん、マネージャーからは何の指示もないし、
チーム内での連絡がかなり疎かになっている気がするなあ
他のプロジェクトメンバーの状況が見えないけれど、一人一人の作業量にかなり差があるような気がする。それでも、プロジェクト計画書は一向に変更される気配がない……。そういった状況では注意が必要です。顧客と請負人、プロジェクトマネージャーとプロジェクトメンバーといったように、プロジェクトは人と人との関わりの中で成り立つものなので、認識の齟齬や作業ペースのずれは必ずと言っていいほど発生します。そういった中でコミュニケーションを疎かにすることは誤りの修正機会を逃し、プロジェクトの滞りや後戻りの原因となります。プロジェクト炎上のきっかけにコミュニケーション不足は大きな原因として挙げられますので、こまめな進捗管理や顧客との認識合わせ、スケジュールの見直しを行うようにしましょう。
炎上プロジェクトの原因

ここまで、プロジェクト炎上のあるあるを紹介してきました。炎上プロジェクトはリーダーを成長させることはありますが、技術者の心身に悪影響を及ぼし、退職やメンバー内の信頼関係の悪化に繋がってしまうことをお分かりいただけたかと思います。では、炎上のきっかけをひとつひとつ取り除いていくために、ここではさらに細かく「プロジェクトが炎上してしまう原因」を見ていきましょう。
原因1:進捗状況の把握が弱い
プロジェクトが炎上してしまう代表的な原因の一つが状況の伝達不足です。メンバーにこまめな進捗報告を促すことは基本ですが、やみくもにチームメンバーに進捗を報告させるだけでは、日報が「日記化」してしまい、必要な情報が得られないことがあります。進捗管理の目的は計画に対する進み具合を管理することです。WBSを作成済みであれば、各々の進捗報告とWBSを照らし合わせることで、どのタスクがどの程度遅れているか・進んでいるかを細かく管理でき、遅延度を数値的に把握しリカバリ策を練る材料にもなります。ここでの進捗報告(≒日報)は、人材の評価材料だけに留まりません。プロジェクトの進捗を管理するマネージャーやリーダーは、メンバーが進捗報告を行う際に「何がどの程度まで進んだか」「遅れを取り戻すために必要な工数と対策」を意識して報告するように促す必要があるでしょう。
原因2:要員計画ミス
プロジェクトは、基本的に要員調達が必要になる数か月前から計画が動き出し、規模の大きなプロジェクトであれば年単位の事前準備が必要となることもあります。この準備期間は重要で、社内の要員調達者はパートナー企業と「プロジェクトの時期」「プロジェクトの規模」「必要な技術やスキル」「必要な調達人数」などの情報を定期的に共有する必要があり、これらは要員計画における必須の情報となります。ここで、「必要な技術やスキル」「必要な調達人数」の認識違いがあったり、社内で技術者それぞれの明確なスキル情報を把握できていなかったりすると、要員計画のミスが起こってしまい、プロジェクトの円滑な進行への大きな妨げとなります。要員計画ミスは、情報共有の方法や利用中の要員管理ツールが適切でないことが原因として挙げられます。社内で抱える技術者のスキルやアサイン状況の管理が適切に行われていれば、要員調達者がパートナー企業と必要な技術や調達人数を調整する際の大きな手助けとなります。
原因3:エンジニアのスキルをリアルタイム可視化できていない
プロジェクト炎上の際に問題となるリソース不足の一因であり、かつそれを悪化させる原因が技術者のスキルの把握不足です。プロジェクトが炎上の危機に陥り、いざ新しいメンバーを投入しようとした際に、適切なスキルを持った要員を確保できなければ、教育のためにより多大な工数と費用がかかるリスクがあります。 スキルの把握不足の原因には下記のようなものがあります。
- 部署ごとにスキル管理をバラバラに行っている
- スキルマップのフォーマットやスキル管理システムが定着していない
- エンジニアが自分のスキル情報の更新を疎かにしている
もし、この中に当てはまるものがあれば社内のスキル管理方法を見直した方がよいかもしれません。
スキルマップの活用方法ついては、下記の記事でも詳しく紹介していますので、よろしければぜひ参考にしてみてください。
炎上プロジェクトの防止策
先ほどはプロジェクトが炎上してしまう原因について紹介してきましたが、次はその原因を掘り下げながら、プロジェクト炎上の防止策を紹介します。これから紹介するような内容は、もう既に意識されているプロジェクトマネージャーの方や要員調達担当の方もいらっしゃるかと存じますが、おさらいとして、または新たな角度からのアプローチに繋がる可能性もありますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
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プロジェクト炎上防止対策1:適切なスケジュール・進捗管理
これまでプロジェクト炎上の原因として、「スケジュールの見積もりの甘さ」・「進捗管理の甘さ」を述べてきました。そこで、炎上を防ぐための綿密なスケジュールを組むために、意識すべきことを以下に挙げます。
スケジュール作成の3か条
- タスクを洗い出す:タスクの抜け漏れを防ぐため
- タスクごとに適切な作業時間を見積もる:タスクを細分化することで見積もりと進捗管理がしやすくなるため
- スケジュールにバッファを設ける:割り込みのタスクが発生する可能性があるため
①タスクを洗い出す
→ まずプロジェクトにおけるタスクの認識に抜け漏れがあると、スケジュールに大きく影響します。WBSやロジックツリーなどの手法を用い、計画の段階でタスクの抜けを防ぐことに尽力しましょう。タスクの洗い出しの際は、実際にそれぞれの作業を行うチームメンバーに意見を聞く機会を作るのもおすすめです。
②タスクごとに適切な作業時間を見積もる
→ タスクの作業時間の見積もりはなかなか難しいものですが、①で紹介したとおり細分化しておくことで見通しが立てやすくなります。細分化したタスクの中から、以前経験したものと似たようなタスクがあれば、それにかかった時間を意識して計画を立てるのもよいでしょう。過去のプロジェクト経験を最大限に活用するため、工数の記録や管理ができるツールを日ごろから使用し、後から見直せる状態にしておくと便利かと思います。
③スケジュールにバッファを設ける
→ 仮にタスクの抜け漏れが0だったとしても、後から追加でタスクが発生するようなことはどんなプロジェクトでも多々あることかと思います。突然、メンバーが抜けてしまうようなこともあるでしょう。そういった予想外の事態に対処するためにも、余裕を持ったスケジューリングにしておくことは不可欠でしょう。
次に、適切な進捗管理の方法について紹介します。
進捗管理の3か条
- 各自の作業状況をこまめに報告するようチームメンバー全体を教育し、習慣づける
- 作業のチェックポイントを細かく設ける
- リアルタイムなコミュニケーションツールの活用
①各自の作業状況をこまめに報告するようチームメンバー全体を教育し、習慣づける
→ まずはこまめな報告をし合う環境づくりをしていきましょう。しかし、仮に進捗報告が当たり前になったとしても、大切なのはその報告の質です。報告が「何をした」のみにとどまらず、どのタスクがどの程度終わっていて、あとどのくらいの時間が必要かということが明確になるような報告を心がけるよう、メンバーに伝えておくとよいでしょう。チームメンバーそれぞれが使えるガントチャートのツールなどを使用してもよいかもしれません。
②作業のチェックポイントを細かく設ける
→ 先ほどの「スケジュールの見積もりの甘さ」対策で述べたとおり、タスクを細分化することがポイントとなります。細かいチェックポイントを設けることで、報告者も報告内容を整理しやすく、また、作業に遅れが発生した際もリカバリーしやすくなります。タスクを細かく分割しての進捗管理は少し面倒ではありますが、遅れやスケジューリングのミスを発見しやすくするために習慣づけるようにするとよいでしょう。
③リアルタイムなコミュニケーションツールの活用
→ 進捗報告や相談がしやすいよう、チーム内のコミュニケーションの風通しをよくすることは非常に重要となります。さまざまな人が集まって行うのがプロジェクトですから、中には進捗報告さえ委縮してしまう人や、こまごまとした報告が非効率だと突っぱねる人もいるかもしれません。コミュニケーション不足はそういった感覚の違いなどからも起こりやすいですし、近年ではリモートワークを導入する企業も増えているので、そういった面からも連絡不足が起こりやすい状況となっています。
気軽にコミュニケーションが取りやすいチャットツールなどを利用して、定期的にチームメンバーと些細なことでもやりとりできる環境づくりを積極的に行っていきましょう。
ここまでで紹介してきた内容でわかるように、管理業務はなかなかに骨が折れ、さらにその管理内容を人間の頭の中だけで整理するのはかなり難しいことと思います。そのため、そういった細かい記録はツールの力を借りて一挙に管理してしまうのもおすすめです。以下の記事では、先ほど挙げたようなスケジュール管理や進捗管理のほか、社員のスキル管理や各種見積もりに関するツールを紹介しておりますので、よろしければぜひ参考にしてください。
プロジェクト炎上防止対策2:適切な要員計画
要員の不足やスキル不足は、プロジェクト炎上の大きなきっかけとなり得ます。ここでは、プロジェクト炎上を防ぐための適切な要員管理の方法をおさらいしていきます。
プロジェクト計画の際には、そのプロジェクトに必要な人員の数や、そのプロジェクトにはどのようなスキルが必要とされるのかを明確にする必要があります。これらは、顧客側と十分に確認を取り合って決めておきましょう。また、同様のプロジェクトを経験したことがある人が社内にいれば、どのくらいのリソースが要るか尋ねてみるのもよいでしょう。
必要な要員について明確になったら、要員計画を行います。ここでポイントとなることを下記に挙げます。
要員計画のチェックポイント
- 社員のスキルや経験の正しい把握
- 新たなプロジェクトによる業務引き継ぎなどの発生有無
- 本人の希望把握
①社員のスキルや経験の正しい把握
→ 社員のスキルや経験を正しく把握しておくことは基本と思われますが、意外と抜けや齟齬があったり、長い間スキル情報が更新されていなかったりということは起こりがちです。また、内部評価など、外向けに用意する業務経歴表だけでは賄いきれないような情報も要員計画には意外と重要だったりします。プロジェクトの実行には、そのプロジェクトに必要とされるスキルと社員のスキルや経験がマッチすることが不可欠となりますので、社員のスキル管理の手法がいまいち確立されていない場合には、スキル管理ツールなどの導入をおすすめします。
②新たなプロジェクトによる業務引き継ぎなどの発生有無
→ プロジェクトにマッチするスキルや経験を持つ社員が見つかった際、別途で発生する引き継ぎなどの業務工数がどれだけ必要になりそうかを見積もることも大切です。適切なマッチングは業務工数の削減へとつながりますが、新しいプロジェクトへの人員配置後は、当然配置された人員への教育期間をある程度設けなければなりません。その対策として例を上げると、その社員が、新しい現場で新しい作業に適応し定着するまでの平均期間などを、要員管理ツールや資料に記録してみてもよいかもしれません。業務経歴表などにはあまり書かない情報ですが、こうしたものも教育工数の見積もりの手掛かりとなるかもしれません。
③本人の希望の把握
→ こちらはスキル情報など実務的な部分とは直接関係ありませんが、意外と重要です。技術者も人間なので、そのプロジェクトに対する意欲は業務パフォーマンスに大きく関わります。マネージャーや営業担当者は、技術者である社員それぞれの希望を聞く機会を設け、もし明確にやりたい仕事がある社員がいれば、積極的にそういった仕事にアサインすることで大きくパフォーマンスを上げることができるかもしれません。また、社員の要望・希望なども記録しておけるツールやシステムを社内で用意しておくのもよいと思います。
プロジェクト炎上防止対策3:スキルマップの作成
先ほどの、「プロジェクト炎上対策2:適切な要員計画」でも少し触れましたが、プロジェクトを円滑に進めるためにはプロジェクトに必要なスキルとアサインする社員のスキルが一致していること・社員のスキル情報がきちんと更新されていること がポイントになってきます。いざ、適切なプロジェクトメンバーを探そうという際に、社員のスキル情報の更新が滞っていたり、部や課ごとに管理方法やフォーマットがバラバラであったりと、スキル管理の方法が杜撰になっている場合は適切なメンバーをアサインすることが困難です。そうなると、プロジェクト進行中に緊急で要員を増やすなど、リスキーな選択を取らざるを得ない可能性が増えてきます。
スキルマップ(力量管理表)の作成は、こうした状況の回避に非常に役立ちます。スキルマップとは、社員のスキル情報を以下のような形でまとめたものです。
- スキル項目をツリー形式で一覧化する
- スキルをカテゴリごとに分類する
- 力量評価基準を定め、各スキルに対して評価する(例:5段階評価)

また、③の力量評価基準については、きちんと補足や評価基準をつけることで、例えば評価の中央値である3に評点が集中する…といった現象が起こりにくくなります。また、スキルマップ作成時は社員によるスキルの自己評価から始め、上司が適宜それを確認して修正する、といったフローを定常化しておくのもよいでしょう。こういった形でスキル管理方法を明確に定めておくことで、プロジェクトにマッチした要員のアサインがしやすくなり、プロジェクトの円滑な進行につながっていきます。
また、弊社ツールのfapiは、スキルマップのフォーマットをあらかじめご用意した状態で提供可能です。
各スキル項目も利用企業様の方で自由に修正や変更が可能ですので、無料トライアルやフリーデモ環境にて、ぜひスキルマップ作りを体感してみてくださいませ!
炎上プロジェクトの火消し、立て直し方法

ここまで、プロジェクト炎上の防止策について紹介してきました。しかし、既に炎上してしまったプロジェクトの火消しはどのように行えばよいのか……。そういった不安を抱える方も多くいらっしゃるかと思います。ここからは、炎上プロジェクトの火消しと、立て直し方法について紹介いたします。
プロジェクトの立て直し方法1:体制によるプロジェクト炎上原因を突き止める
プロジェクトが炎上してしまったら、まずプロジェクトの計画書・進捗状況などと、プロジェクトの体制図を並べて見比べてみましょう。誰かに負担が集中していなかったか、リソースが空いている人やチームはあるか、プロジェクトにおけるメンバーの役割を今一度見直してみるとよいでしょう。
プロジェクト炎上の原因は、もしかしたら重役を担っていた一人のメンバーにあるのかもしれません。ただ、決してやってはいけないのは一人で解決しようとすること・一人で解決させようとすることです。これまでの段階で、炎上の原因となった一人(または数名)をチーム全体がリカバリーすることができなかった点もしっかりと念頭に置きましょう。炎上の原因となった要員を単純に入れ替えるだけで済ませようとするのではなく、チーム全体の役割分担を今一度見直し、進捗状況の共有や、他の人の遅れをカバーできるような風通しの良い体制をしっかりと整えていきましょう。
炎上プロジェクトの立て直し方法2:火消し要員の見極め
火消しのため、とにかく追加要員の手配を急いではいないでしょうか? しかし、ちょっと待ってください。要員の追加にはコストと引き継ぎの工数がかかります。その前に、一旦立ち止まって確認してみてほしいことがあるのです。
炎上プロジェクトの立て直し方法1では、プロジェクト体制や作業配分の見直しについて取り上げましたが、そうしたプロジェクト体制の見直しを行っていく中で、チームの進捗管理に長けたメンバーや、突出して進捗率が高くリソースに余裕のあるメンバーはいなかったでしょうか?そういったメンバーは、プロジェクトの立て直しに大きく貢献してくれる人員である可能性が高いです。
もしあなたが炎上プロジェクトのマネージャーで、一人で多くの仕事を抱え込んでいた場合には、迷わずにそのようなメンバーに力を貸してもらえないかどうか相談を持ち掛けてみましょう。マネージャーの右腕・左腕的な存在として、こうした特段頼りになるメンバーと密に連絡を取り合い、開発から各チームの管理まで、彼らのそれぞれ得意な分野で協力を仰ぐことができれば、マネージャーの業務負担は十分に軽減されることでしょう。さらに、このような形でマネージャーの”側近”的な存在をつけておくことは、将来的に優秀なプロジェクトマネージャーを育てることにも繋がります。
プロジェクトマネージャー育成に関する記事もございます。よろしければこちらも参考にしてみてください!
炎上プロジェクトの立て直し方法3:即席でいいので、メンバーのスキルを再管理する
炎上プロジェクトの立て直し方法1、2 と少し通ずる内容になりますが、プロジェクト体制の見直しや、プロジェクトの火消しに大きく貢献してくれそうなメンバーを探す中で、「この人には実はこういうスキルがあった」「この人のこの作業に対するスキルは、実はまだ未熟だった」というような、メンバーのスキルに関する新たな発見があるかと思います。そのような情報はその場限りのものとせず、しっかりと記録しておきましょう。プロジェクトの再計画にあたり、急ぎで作れるメモ程度のものでも構わないので、そのプロジェクト専用のスキルマップを用意し、新たな作業分配へのマッチング材料とするのです。そうすることで、同じような采配ミスを繰り返してさらに工数がかさんでしまうのを防ぐこともできますし、書き溜めたスキル情報をプロジェクト完了後に既存のスキルマップ等に反映させることで、次のプロジェクトで要員をアサインする際のリアルな資料にもなります。
弊社スキル管理・アサイン管理支援ツールのfapiの例を上げさせていただきますと、スキルマップのフォーマットや管理項目をいつでも自由に変更することができ、さらにオプションによってはタブを追加することでカテゴリごとにスキルマップの種類を増やすことも可能です。こういったツールを用い、定常のスキルマップと、現在のプロジェクトにおけるスキル評価シートを並行して使用することで、社員の持つスキル情報へのより強固な理解を得ることができ、プロジェクトの効率化に役立てることができるかもしれません。
炎上プロジェクトは楽しい!? 炎上プロジェクトから得られるもの
ここからは(少しずるいと思われるかもしれませんが)、プロジェクト炎上に関するさまざまな体験例を集め、プロジェクト炎上によって得られるものを紹介していきます。プロジェクト炎上を経験する前に、プロジェクト炎上を経験しているかような知識を持って、プロジェクトの円滑な進行を図っていきましょう。
炎上プロジェクト体験例1:あえて炎上プロジェクトに飛び込んでいくケース
世の中には、「炎上マニア」と呼ばれるプロジェクトマネージャーが存在するようです。炎上プロジェクトの火消しと立て直しにやりがいや楽しさすらを見出し、自分の成長の糧とする猛者です。そういう人たちに、炎上プロジェクトにぜひ積極的に参加するように勧められた…という体験談があります。
炎上プロジェクトへの参画を勧める理由の中には、「炎上プロジェクトの経験はプロマネとしての実力を上げる最短ルートである」「炎上プロジェクトを立て直したプロマネは評価が上がりやすい」というものがあります。現実問題、事前に100%誤りのないプロジェクト計画を立てることは無理に等しく、炎上プロジェクトが発生することは数多くのプロジェクトがある限り必然となってきます。そのような状況の中で、炎上プロジェクトを立て直した人の評価が格段に上がることが一般化されてきているのかもしれません。
しかし、それに偏った実態は、プロジェクトの健全性はもちろん、技術者の心身の健全さを保つためにあまり良いものとは言えないかもしれません。炎上プロジェクトはマネージャーにも技術者にも心身の負担を強いるものですので、そのようなプロジェクトへの参加を促すことは長期的に見て貴重な人材を失うリスクとなります。人員の評価者は、炎上プロジェクトを立て直す力を評価するのはもちろんのこと、事前に炎上の回避やリカバリーをすることのできた計画力や采配力も大きく評価することを検討してみるとよいかもしれません。
炎上プロジェクト体験例2:新人や経験の少ないメンバーが突然マネジメントの役割に駆り出される
プロジェクトメンバーは新人や外注のフリーランサーが多く、進捗管理やスキルの伝授が上手くいかずに燃え上がってしまった……。という状況があります。プロジェクトのアサイン検討の質が良くなかったのかとは思いますが、そのような状況になると不慣れな新人や経験の少ない社員が突然プロジェクトマネージャーのようなメンバー管理業務を行う事態になることも少なくありません。プロジェクトマネージャー育成記事でも触れた通り、確かに、プロジェクトマネージャーを真の意味で育てるのは実経験ですので、新人にとっても良い経験となることは間違いないのですが、その前に、マネジメント能力を新人のうちから教育しておくという手もあります。チームの進捗管理などは、必ず経験年数の多いリーダーやマネージャーがやらなくてはいけないという決まりはないので、もし、マネージャーとして見込みのありそうな若手がいれば、ベテランがサポートしながらマネジメント業務を体験させてみることで、のちのちマネージャーの業務をサポートできるメンバーが増え、炎上の回避につながるかもしれません。
炎上プロジェクト体験例3:プロジェクト炎上の原因は大体コミュニケーションの欠陥?
炎上プロジェクト体験のうち、多く耳にするのが「マネージャーから、現在のプロジェクトが危機的状況に陥っていてもそれを知らされなかった」「リーダーやマネージャーに逆らえない/任せておけば大丈夫だと思っていた」「進捗度の可視化やリカバリーにつながらない進捗報告しかしてこなかった」という、コミュニケーションにおける課題です。
プロジェクトマネージャーやリーダーはそのプロジェクトにおける強い権限を持っていますので、チームメンバーはマネージャーやリーダーの言うことには必ず従って作業するくらいに思っていてもよいかもしれません。(メンバーが指示にないことを進めてしまう、指示の意図が伝わらない、といったコミュニケーション課題もありますが、今回は一旦注意点として挙げるだけにとどめておきます)さらに言えば、メンバーは基本的にマネージャーやリーダーを信頼していますので、プロジェクトを引っ張る役割として必要なことは、彼らに道標を提示するために作業の明確なゴールを定めておくことです。
マネージャーやリーダーから提示される成果物の要件や、プロジェクトにおける各タスクの期限がふんわりとしていれば、メンバーは悩み、作業にも迷いが生じて、遅れにつながってしまいます。また、指示の不明瞭さに気づいていても、立場などから気後れしてしまい、それを指摘できない人の方が多いです。プロジェクトの管理者は、プロジェクト完遂のために為すべきことを明確化してメンバーに伝えましょう。また、1on1での対話ツールやガントチャートツールを用いるなどして、プロジェクトマネージャー・プロジェクトリーダーと各メンバーの報告がしやすい環境づくりを行うことで、進捗管理やプロジェクト計画がスムーズになったという例もあります。
【まとめ】炎上プロジェクトあるあると原因は?立て直し火消し方法

いかがでしたでしょうか?
プロジェクト炎上の防止と立て直しについて紹介してまいりましたが、そのどちらにおいても、「適切な進捗管理のためのコミュニケーション改善」「技術者の持つスキルを明瞭化しておくこと」が重要であることを認識いただけたかと思います。
昨今では、コミュニケーションの改善や技術者のスキルマップ作成を手助けしてくれるツールも数多く存在します。使えるものは駆使して業務効率化をはかりつつ、炎上プロジェクトに疲弊させられる方が少しでも減ることを願っております。
今回は少し長い記事となりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました!