家づくりのトラブルで起きやすいのが「言った言わない問題」です。
特に住宅完成後に発生すると取り返しがつかない恐れがあるため、事前に回避すべきポイントを理解しておくことが大切です。
この記事では「言った言わない問題!」の工務店側の対策と、起こる理由を徹底解説します。
言った言わない問題を未然に防げる、おすすめアプリも紹介します。
工務店に聞いた!言った言わない問題が起こる理由4選

間取り打ち合わせ・仕様打ち合わせなどの打合せの期間が長い
一般的に、家づくりの打ち合わせ期間は4〜6か月ほど、長ければ1年以上かかることもあります。
これほど期間が長引くと、最初に話した内容を思い出すことはまずないでしょう。
どちらが何を言ったかわからなくなるのは当然であり、言った言わない問題になる原因となります。
注文住宅の場合決めることが多く細かい
注文住宅は決定事項が多く、言った言わない問題が起こる原因になります。
具体例には以下のような項目を決めます。
- 部屋の数
- 壁紙のデザイン
- 扉の種類
- キッチンの色
- 外壁の種類
- 玄関のデザイン
- 太陽光発電の有無
決める項目が多すぎて最終的な仕様を忘れてしまい、言った言わない問題に発展するのはあるあるです。
また、仕様を決めた後に「やっぱりこうしたい」と要望が入ることもあります。
施主とのイメージの共有ができていない
言った言わない問題の原因の3つ目は、施主とのイメージ共有ができていないことです。
外壁材を例にすると、営業担当者と施主はカタログとサンプルを使ってデザインや色を決めていきます。
しかし実際の住宅はサンプルとは大きさが異なるため「イメージと違った」という事態につながるのです。
経験豊富な営業担当者ならば、ある程度住宅の完成図をイメージできるかもしれません。
しかし、家づくりが初めてのお客様は完成形をイメージしにくいため、言った言わない問題に発展しやすいのです。
打ち合わせが口頭のみでやりとりしている
口頭のみのやり取りは、言った言わない問題が起こる最大の原因です。
注文住宅は打ち合わせ期間が長く、決める項目が膨大なため情報量がどうしても多くなります。
そのため電話や口約束、対話などは間違いなく言った言わない問題やクレームに発展するでしょう。
なお、口頭のみのやり取りは、普段の仕事でもミスや言った言わないにつながる恐れがあるので、十分に注意する必要があります。
言った・言わない問題が起きた場合の対処方法とは?

打ち合わせ記録(議事録)などの確認をする
言った言わない問題が起きたときは、すぐに打ち合わせ記録で事実確認をします。
家づくりでは「何をどのように話したか」、という双方の理解がズレていくものです。
打ち合わせ中は議事録やちょっとしたメモ、メールのやりとりなど文字(書面)で用意できるのが望ましいでしょう。
また、言った言わないが起きた際には、同僚や施工業者に当時の状況をヒアリングするのも重要になります。
客観的な事実をもって冷静に施主と話し合う
言った言わない問題が起きたときは、打ち合わせ記録をもとに冷静に施主と話し合うことが大切です。
どちらかが感情的になると、問題解決はさらに難しくなります。
上司や関係のある社員を交えて、問題解決に向けて情報を整理していく必要があります。
「その都度議事録を取ります」など具体的な対応策を提示して、施主の感情を少しでも抑えると良いでしょう。
最善の対応案を社内で検討する
言った言わない問題が発生した時点で、再発防止に向けて対応策を検討しましょう。
工事の進捗状況によっては、やり直しができないケースが出てきます。
対応策の代表例は、以下のような内容です。
- 今後のコミュニケーションの改善策
- 責任の所在
- アクションプランの明確化
対応策は社内だけではなく、関係するインテリアコーディネーターや大工などに共有して、対応意識を高めておくことが大切です。
下記も参考にしてください。
民法第522条(契約の成立と方式)
1.契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
出典:e-Gov法令検索
2.契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
言った言わないの水掛け論が起きないようにするには?

商談・打ち合わせ記録を残す
家づくりは契約から竣工までの期間が長く、決定すべき項目が非常に多いです。
打ち合わせ記録を取っておくと、言った言わない問題の予防になりトラブルが起こった際の証拠になります。
具体的なアクションプランは以下の通りです。
- 営業担当者が打ち合わせ記録を取る(施主にコピーしたものを渡す)
- 電話だけのコミュニケーションは極力避ける
- 決定事項や保留事項、変更点などをメモしておく
- 営業担当者と施主のメモの内容にズレがないか確認する
- 次の打ち合わせの前に前回の打ち合わせ内容を復習しておく
言った言わない問題の一番の解決策は、きちんと「言葉」にして残すことです。
ボイスレコーダーで録音する方法もありますが、確認に時間がかかりすぎるため現実的とはいえません。
曖昧な表現は避けて、誰が見てもわかるように事実を淡々と言葉にしていきましょう。
お互いに図面の確認を疎かにしない
言った言わない問題を防ぐために、営業担当者と施主で図面を確認します。
住宅は例え打ち合わせやメモの内容が反映されていなくても、図面をもとに建てられるものです。
図面で言った言わない問題を防ぐ対策は、以下の流れになります。
- 打ち合わせの決定事項や変更点をその場で図面に記載する
- お互いに認識のズレがないか確認する
- 次回の打ち合わせまでに新しい図面を作成する
- 新しい図面に決定事項や変更点が反映されているか確認する
意見や要望が図面に反映されているかを確認することは、言った言わない問題の大きな解決策になります。
写真などで視覚的にイメージを共有する
写真を使って、視覚的にイメージ共有を行うのも良いでしょう。
人間は「自分がこう思っているから相手もそう思っているだろう」、という思い込みが働く生き物です。
また、言葉だけでイメージを伝えるには限界があります。
例えばお客様から「お風呂場の照明は暖かい色にしたい」と言われても、何ルーメンが適切かはわかりません。
注文住宅は自由にプランを決められるからこそ、写真などで視覚的にイメージを共有しましょう。
コミュニケ―ションが取りやすい環境をつくる
営業担当者と施主間のコミュニケーションが活発になれば、言った言わない問題のリスクが低くなります。
コミュニケーション不足になると内容が正しく伝わらなかったり、質問をするのが疎かになったりするからです。
常日頃から積極的にコミュニケーションを図り、気軽に質問できる関係性を築くのが理想的です。
仕事が忙しいからと切り捨てずに、時間をかけてコミュニケーションを重ねてみてください。
コミュニケーションツールを活用する
言った言わない問題の解決策として、コミュニケーションツールが有効です。
代表的なコミュニケーションツールは、次のようなものがあります。
コミュニケーションツールの種類 | 特徴 |
ビジネスチャット | メッセージの入力・送信が手軽に行えるツール。やりとりが残るうえ、通知機能を備えているのでスムーズな情報伝達が可能 |
コミュニケーションプラットフォーム | メール、チャット、ドキュメント共有など、複数のコミュニケーション手段を一本化できるツール。最新情報を共有しやすいが導入コストがかかる |
社内SNS | 全社的な情報伝達が行えるツール。情報共有のスピードが高まりコミュニケーションを活発化できる |
コミュニケーションツールは情報共有やコミュニケーションが促進されます。
さらにやり取りをデータ化することで、言った言わないの防止に大きく役立つのです。
「言った言わない」問題に役立つITツール
「言った言わない」に役立つツールは、コミュニケーションツールだけではありません。
タスク管理ツールでタスクや進捗状況を把握したり、RPAでルーティン作業を自動化したりすることも有効でしょう。
工務店専用コミュニケーションアプリ「つながる家づくり‐plantable‐」

「plantable」は施主との新しいコミュニケーションの形を提供する、工務店のためのメッセンジャーアプリです。
「言った言わないをなくしたい」という工務店と施主の声から生まれたもので、次のようなメリットがあります。
- 図面とコメントの連動・イメージ共有で、認識のズレをなくす
- リアルタイムで要望を管理して、未対応事項を明確にする
- 必要書類・情報を一元管理して、社内共有もスムーズにする
話題ごとに対応済か否かを確認できるので、漏れを防ぎ顧客満足度の向上にも貢献します。
言った言わない問題の防止・解決に力を入れたい方は、お気軽に資料を取り寄せてみてください。
まとめ「言った言わない問題!」の工務店側の対策と起こる理由を徹底解説
今回は工務店がよく直面する「言った言わない問題」の原因と、対策をお伝えしました。
「言った言わない問題」の防止および対処方法の最適解は、証拠を残すことです。
「文字」で証拠を残せば客観的な事実を確認できるでしょう。
不毛な水掛け論は避けて、施主の家づくりに全力を注げる環境を整えてください。