国土交通省の発表によると、毎年15,000〜20,000程度の建設業許可業者が誕生しています。
この記事では工務店経営を起業する方法から、必要な許可・資金までを解説します。
工務店経営をサポートするおすすめのデジタルツールも紹介するので、事業のスタートダッシュを切りたい方はぜひ参考にしてみてください。
工務店経営で起業できる?

工務店経営で起業することはもちろん可能です。
熟練の職人が独立して、個人事業主あるいは法人会社を設立して起業するケースはよく見られます。
国土交通省の「建設業許可業者数調査の結果について-建設業許可業者の現況(令和6年3月末時点)-」によると、令和5年度の建設業許可業者数は479,383業者でした。
資料によると、毎年15,000〜20,000程度の新規事業者が誕生している計算です。
参考:建設業許可業者数調査の結果について-建設業許可業者の現況(令和6年3月末時点)-|国土交通省
工務店の種類は地域密着型や下請け業務型、リフォーム特化型などに分かれます。
工務店経営で起業する方法はいくつかあるので、ここから一つひとつ見ていきましょう。
工務店経営で起業する方法は3つ
個人事業主として起業する
税務署に開業届を提出すれば、個人事業主として工務店を開業できます。
一般建設業許可を取得していない場合は工事金額が建築一式工事は1,500万円以下、一式工事以外だと500万円以下の工事を請け負えます。
個人事業主で起業する場合でも、従業員を雇用する際には雇用保険と労災保険へ加入しなければなりません。
従業員を5人以上雇用する場合は、健康保険・厚生年金保険への加入が必須です。
なお、個人事業主と混在されやすい一人親方とは、従業員を雇わないで業務を行う、個人事業主のことです。
個人事業主や一人親方は、小規模な工事から経験を重ねて一般建設業許可を取得した後に法人化するというプランもあります。
法人として起業する
法人として工務店経営を起業する方法は、以下の2つです。
概要 | メリット | デメリット | |
株式会社 | 株式を発行して株主から集めたお金で会社を回す | 社会的な信用度が高く、金融機関から融資を受けやすい。節税効果が高ったり赤字を繰り越せたりする | 設立費用が30万円ほどかかる |
合同会社 | 経営者と出資者が同じで意思決定がスムーズ | 決算公告義務がない。一人でも立ち上げられる | 社会的な信用度が株式会社ほど高くないため、金融機関から融資を受けにくい |
株式会社は経費計上の範囲が大きいため、好調な業績で推移できるなら株式会社の起業をおすすめします。
ちなみに2006年の会社法改正に伴い、現在は有限会社を設立できなくなりました。
フランチャイズに加盟する
フランチャイズ展開する企業に加盟して、工務店経営を行う方法もあります。
フランチャイズ経営は設計のマニュアルや建材などが提供される代わりに、契約料やロイヤリティを企業へ支払う契約形態です。
また企業が開催するセミナーに参加すれば、経営手法や営業ノウハウを学べるのがメリットです。
建設業界に詳しくない方でも始めやすいことから、未経験から起業したい方におすすめできます。

工務店経営の起業に必要な許可・資格

前述した通り、小規模な工事であれば工務店経営の起業に必要な許可はありません。
資格も不要ですが「建築士」や「電気工事士」、「建築施工管理技士」があれば工務店の運営が有利になります。
法人化するしないに関わらず、事業規模拡大を目指すなら「一般建設業許可」の取得は外せないでしょう。
工事金額は建築一式工事で1,500万円以上、一式工事以外は500万円以上の工事を請け負う際には、建設業法に基づく建設業許可が必要です。
建設業許可を取得するには、以下の要件を満たす必要があります。
経営業務管理責任者の設置 | 建設業の業務経験に関し、5年以上など所定の年数携わった経験がある人 |
専任技術者の設置 | 所定の学科を修了している・実務経験がある・所定の資格を取得している人 |
事故資本金が500万円以上 | 貸借対照表あるいは残高証明書の提出が必要 |
欠格要件に該当しないこと | 暴力団関係者ではない・刑の執行が執行が終了している・破産者ではない人 |
社会保険へ加入すること | 雇用保険・健康保険・厚生年金保険・労災保険へ加入している人 |
建設業許可申請は最寄りの地域振興局で行います。
事務手続きが苦手な方や時間が取れない方は、行政書士に依頼するのが賢明です。
工務店経営の起業に必要な資金

結論から伝えると、安定的に工務店経営を行うために必要な資金は、1,500万円です。
ここでは工務店を法人で設立すると仮定し、費用の目安をまとめています。
項目 | ポイント | 費用の目安 |
会社設立費用 | 株式会社を設立する場合 | 30万円 |
建設業許可申請費用 | 行政書士へ依頼する場合 | 10万円 |
事務所の取得費用 | 敷金・保証金など | 100万円 |
事務所備品費用 | パソコンや机など | 50万円 |
機材・工具の購入費用 | 測量機器や測定機器など | 500万円 |
車両取得費用 | 営業車両 | 200万円 |
広告費用 | 広告宣伝費・ホームページ制作費など | 110万円 |
運転資金 | 人件費や光熱費など(3ヶ月分) | 500万円 |
合計1,500万円 |
1,500万円を用意するのが難しくても、1,000万円は準備したいところです。
下請け業者に依頼する場合は機材・工具を用意する必要がないので、費用を抑えられます。
建設工事は完成までにある程度の期間を要します。
そのため資材の購入や下請け会社への外注費用などで、立替払いをする機会が多いです。
金融機関から短期資金借入ができる状態にするために、起業時には金融機関の開拓も忘れずに行いましょう。
工務店経営の起業に必要なもの
工務店を起業するうえで、最低限必要なものを確認しましょう。
- 測量機器
- 測定機器
- 事務所
- 営業車両
- 建築施工管理技術マニュアルなどの図書
- 建築基準法や都市計画法などが記載された法律書
- 営業エリアの住宅地図帳
- 資材保管倉庫
- 施工管理・顧客管理をするためのツール
機材・工具が不足していると、工事の進捗に遅れが出たり品質が低下したりする可能性があるので注意が必要です。
近年は人手不足の解消や残業時間の減少に対応するために、デジタルツールを導入する工務店が増えています。
「工事の進捗をリアルタイムで把握したい」「業務工数を削減したい」という方は、デジタルツールの導入を検討することをおすすめします。
工務店と顧客間の言った言わない問題をなくす「plantable」のご紹介

「plantable(プランテーブル)」は、施主様との新しいコミュニケーションの場を提供するメッセンジャーアプリです。
「言った言わない問題をなくしたい」という工務店と施主様の声から生まれ、施主様とのつながりをより強固にする機能を備えます。
プランテーブルを活用するメリットは大きく3つです。
- 図面とコメントとの連動機能で、イメージを共有しやすくして認識のズレをなくす
- 「連絡未返信」などのお知らせ機能を搭載し、返信の遅延や対応遅れを防ぐ
- 必要書類や情報の一元管理が可能で、業務工数を減らして社内共有をスムーズにする
さらに図面ごとに話題を展開したり対応済みか否かのステータス管理が行えたりするのは、plantable独自の強みです。
工務店経営を始めた直後は、忙しさから言った言わない問題が起こりやすい状況といえます。
認識のズレをなくして打ち合わせ時間の短縮や顧客満足度の向上につなげたい経営者様は、ぜひ資料をお問い合わせください。
まとめ
本記事でお伝えした通り、誰でも工務店経営を起業できます。
中規模以上の工事を受注するためにも、一般建設業許可の取得が一つの目標になります。
自社の生産性を高め、受注率・売上率アップを実現したい方は、plantableの導入を検討してみてください。
早い段階から導入することで、顧客満足度の高い良い口コミが広がり、新たな仕事受注へとつながるはずです。