新規事業やシステム開発を推進するためには、プロジェクト単位で業務にあたるのが一般的です。
プロジェクトマネジメントは進捗管理やリソース管理などを適切に管理して、プロジェクトを達成するための活動です。
今回は、ビジネス現場に欠かせない「プロジェクトマネジメントとは?」について深掘りします。
概要や代表的な手法、失敗・成功するプロジェクトマネジメントとは?という気になる疑問を解決する内容です。
プロジェクトマネジメントで陥りやすい注意点やPMに必要なスキル・資格もまとめたので、プロジェクトの成功を目指す方は参考にしてください。
プロジェクトマネジメントとは?

プロジェクトマネジメントとは「プロジェクトを達成するためにはどうするか」を明確にして、計画および管理することです。
具体的には「いつまでに・どの段階まで、どのように進めるか」を明確化して、プロジェクト達成までのプロセスを構築します。
プロジェクトマネジメントの主な仕事は「目標・ゴールの定義」「計画・スケジュール作成」「人員や資源の調達」となります。
なお、プロジェクトマネジメントを効率よく進行させるには「PMBOK」が便利です。
PMBOKとは1987年にアメリカの非営利団体PMIが発表したガイドブックであり、現在のプロジェクトマネジメントの国際的標準となっています。
プロジェクトマネジメントを行ううえでの注意点

小さな問題でも早急に対処すること
どんなに小さな問題でも、納期や品質に影響がありそうなら早めに対処しましょう。
問題を先送りにすると後々問題が大きくなり、納期に間に合わなくなるなどの事態に陥る可能性があります。
日頃からメンバーとコミュニケーションを取ったり定期的に会議を開いたりして、問題に気づきやすい環境を作ることが大切です。
人間関係に目を配ること
プロジェクトマネジメントはチームで進めることから、人間関係が円滑かどうかはプロジェクトの成否に大きな影響を与えます。
人間関係が希薄もしくはギクシャクしていると、プロジェクト達成が難しくなることは必須です。
プロジェクトマネージャーはチーム内の人間関係に目を配り、良好な関係を保てるように務めましょう。
失敗するプロジェクトマネジメントとは?失敗する原因

「失敗するプロジェクトマネジメントとは?」と、原因を知りたいPMの方は多いかと思います。
ここでは、プロジェクトマネジメントが失敗する原因を一覧にまとめました。
- 目標がはっきりしていない
- コミュニケーションが不足している
- スコープクリープが発生する
- 経営資源に限りがある
- スケジュール管理が甘かった
- リスク対策を怠った
- 人員・費用の調達に時間がかかる
- 上層陣・運営の理解を得るのに苦労した
成功するプロジェクトマネジメントとは?成功のポイント
「成功するプロジェクトマネジメントとは?」と、成功の秘訣が知りたい方は多いかと思います。
ここでは、プロジェクトマネジメントが成功するポイントを簡潔にまとめました。
- プロジェクトの目的を明確にしてチーム内で共有する
- プロジェクト達成に必要な計画を立てる
- コミュニケーションを密に取る
- プロジェクトの進捗やスケジュールを見える化する
- 成果に着目してノウハウを蓄積する
プロジェクトマネジメントの代表的な手法

PMBOK
PMBOKは現在のプロジェクト・マネジメントの国際的標準です。
「10の知識エリア」「5つのプロセス」「3つのパート」で構成され、効率的にQCD(品質・費用・納期)を管理できるメリットがあります。
10の知識エリア | 5つのプロセス |
統合マネジメント | 1.立ち上げ |
スコープマネジメント | 2.計画 |
スケジュールマネジメント | 3.実行 |
コストマネジメント | 4.監視・コントロール |
品質マネジメント | 5.終結 |
資源マネジメント | |
コミュニケーションマネジメント | |
リスクマネジメント | |
調達マネジメント | |
ステークホルダーマネジメント |
プロジェクトに応じて必要なプロセスを選択することで、効率的にプロジェクトを進められます。
また、プロジェクト達成までのプロセスを細かくコントロールできるため、精度の高い管理が可能です。
WBS
WBSはタスクを細分化して、プロジェクトの全体像を把握できる構成図のことです。
「いつまでに・どの段階まで、どのように進めるか」が明確になるので、タスクの重複や抜け漏れを防げるというメリットがあります。
また、タスクレベルで進捗を把握できるので、もし作業に遅れが発生しても柔軟かつ迅速に対応できます。
クリティカルパス
クリティカルパスとはプロジェクトを最短時間で完了するために、重要なタスクを特定する手法を意味します。
クリティカルパスの導入はプロジェクト全体のタスク数や所要時間の把握につながり、進捗管理や効率的な進め方を検討する時間を生み出します。
クリティカルパスはPERT図を併用することで、より正確にタスク数や所要時間の予測が可能です。

ツールを使ったプロジェクトマネジメントとは?

プロジェクト管理ツール
プロジェクト管理ツールとは進捗管理やスケジュール管理、予実管理など、プロジェクトに関連するあらゆる管理業務を効率化するツールです。
プロジェクト管理をエクセルで行う企業は多いですが、情報の集計に時間がかかったり正確性に欠けたりするといった課題が目立ちます。
プロジェクト管理ツールは一つのシステムへ情報を集約可能です。
「案件やタスクの進捗状況が一目でわかる」「レポート出力が可能」など、管理業務を強力に支援します。
アサイン管理ツール
アサイン管理ツールは人材のスキルや業務経験、稼働状況を一元管理して、適切なアサイン(人員配置)を実現するツールです。
特にシステム開発業や製造業で導入が進んでおり、従業員が50人を超えるような企業におすすめです。
適材適所の人員配置が簡単に行えることから、プロジェクトを効率的・効果的に進められます。
プロジェクトマネジメントに関するよくある質問

プロジェクトマネジメントは誰でもできる?
プロジェクトマネジメントは誰でも簡単に行えるわけではありません。
プロジェクトの成否に大きく関わることから、PMや管理担当者にはさまざまなスキルが求められるからです。
プロジェクトの規模が大きくなると管理すべき対象(ヒト・モノ・カネなど)は増え、業務はより複雑化するでしょう。
一筋縄ではいかないものの、プロジェクトマネジメント力が身につけば、他社との差別化や利益拡大に大きく貢献できます。
プロジェクトマネジメントは何から始めればよいですか?
プロジェクトマネージャーが身につけやすいスキルに「コミュニケーションスキル」が挙げられます。
コミュニケーションのビジネス本や関連書籍は数多く出版されていますし、日々の生活の中で身につけやすいからです。
プロジェクトマネージャーにかかわらず全ビジネスパーソン必須のスキルともいえるので、まずは「自分から話しかけること」を意識してみてください。
なお、プロジェクトマネージャーに必要なスキル・資格は以下のとおりです。
- コミュニケーションスキル
- チームのマネジメントスキル
- QCDの管理スキル
- プロジェクトマネージャー資格(PM)
プロジェクトマネジメントで困ることは何ですか?
株式会社アジャイルウェアが2021年10月に発表した「プロジェクトマネージャー100人アンケート第一弾」によると、プロジェクト進行で一番困ることは「要求者側からの急な仕様変更」でした。
「要求者側からの急な仕様変更」は66%でもっとも多く、「開発側からの業務報告が不十分」の41%、「委託先・外注先のコントロールがきかない」の34%と続きます。
急な仕様変更は、メンバーの負担増加やスケジュール調整の手間が発生します。
ビジネスパートナーとの良好な関係を続けるためには、仕様変更の背景をしっかり聞き出して、できること・できないことをきちんと伝えることが重要です。
まとめ
この記事では「プロジェクトマネジメントとは何か?」について解説しました。
プロジェクトマネジメントとは「いつまでに・どの段階まで、どのように進めるか」を明確にして、計画的かつ効率的に業務を進めることです。
中長期的に研修・実践のサイクルを回すことで、企業の利益確保につながるプロジェクトマネージャーを育成できます。
プロジェクトマネジメント力を身につけて、ここから他社との差別化や利益拡大に大きく前進して下さい。