ITエンジニアや社員のスキル管理ツールfapi(ファピー)を提供する株式会社エフ・ディー・シーのDXサービス事業推進部 佐々木舞美が、200名以上のITエンジニアのスキル管理・アサイン管理を25年以上行ってきた実務経験をもとに、人員配置表の作り方を解説します。

人員配置表とは、従業員を適材適所に配置し、作業の効率を高めるための表です。ただし項目の設計を誤ると、配置の根拠を説明できない「ただの名簿」になってしまいます。この記事では、目標設定から始まる作成5ステップと、Excelで作るときに必要な管理項目を具体的に整理しました。

人員配置表とは?作成する3つの目的

人員配置表を作成する3つの目的

人員配置表とは、従業員を適材適所に配置し、作業の効率を上げることを目的とした表のことです。人員数や人員構成、所属部署を戦略的に管理し、実行と改善を繰り返すための土台になります。

混同されやすい「人員配置」は人事マネジメントの活動そのものを指し、「人員配置表」はそれを可視化して関係者で共有・判断するためのドキュメントです。作成方法は「Excelで作る」「専用システムで管理する」の2通りに分かれます。

人員配置表を作る目的を押さえておくと、必要な項目も自然と定まります。

目的 得られる効果
事業・プロジェクト計画の最適化 スキルと業務経験を活かした配置により、計画の遅延を防げる
人材マネジメントの強化 成長機会を提供でき、従業員のモチベーション向上につながる
離職防止 本人の希望を取り入れた配置で、長く働ける環境をつくれる

人員配置表の作り方【目標設定から5ステップ】

人員配置表の作り方5ステップ

人員配置表は、いきなり表を書き始めるのではなく目標設定から逆算するのが基本です。

ステップ やること ポイント
1. 目標設定と現状把握 達成したい目標を定め、現在の配置を可視化する 売上・納期・品質のどれを狙うかで必要な人材像が変わる
2. 要件定義 「やるべきこと」と「やるべき人」を明確にする 抜け漏れがあると後工程すべてに影響する
3. 人員配置の検討 スキル・経験・業務負荷を考慮して配置案を組む 候補者を先にリストアップするとトラブルを防げる
4. 計画の実行 関係者と調整したうえで配置を実行する うまく回らなければ要件定義まで戻って再検討する
5. 効果検証 業務量のバランス・品質・満足度を確認する 短期の数字ではなく中長期の視点で見極める

とくに重要なのがステップ1です。人員数や業務内容を把握せずに人員配置表を作ることはできません。現状を可視化すると、各現場の人員不足や過剰が見えるだけでなく、同じ人を複数案件で数えてしまうダブルカウントの防止にもつながります。

Excelで人員配置表を作るときの必要項目

Excelで人員配置表を作るときの必要項目

ここからが本題です。項目が不足すると配置の根拠を示せず、多すぎると更新が続きません。以下の4カテゴリーを軸に、自社に必要なものを取捨選択してください。

1. 基本情報の項目

誰の情報かを特定し、組織のどこに属しているかを示す土台の項目です。

項目 記載内容 必要度
社員番号 同姓同名を区別する一意のID 必須
氏名 従業員の氏名 必須
所属部署 現在の所属部門・チーム 必須
役職・等級 マネージャー、リーダー、一般など 必須
雇用形態 正社員、契約社員、業務委託など 推奨
入社年月 経験年数を判断する材料 推奨

2. スキル・経験の項目

適材適所の判断根拠になる、もっとも重要なカテゴリーです。ここが空欄だと、人員配置表は単なる名簿になってしまいます

項目 記載内容 必要度
保有スキル 使用できる技術・ツール・言語など 必須
スキルレベル 4段階程度の習熟度(後述) 必須
保有資格 業務に関連する資格・免許 推奨
業務経験 担当した業界・工程・案件規模 推奨
本人の希望 面談で聞き取ったキャリア志向 推奨

スキルレベルは判定がぶれないよう、行動で判断できる基準にしておきましょう。次の4段階が実務で扱いやすい形です。

レベル 判断基準
レベル4 他者を指導できる
レベル3 単独で実施できる
レベル2 指導を受ければ実施できる
レベル1 知識はあるが実施経験がない

3. 稼働状況の項目

稼働状況のイメージ

「誰が空いているか」を判断する項目です。スキルが合っていても稼働に余裕がなければ配置できないため、スキル情報とセットで管理します。

項目 記載内容 必要度
現在の担当案件 アサインされているプロジェクト名 必須
稼働率 100%、50%などの割合表記 必須
アサイン期間 開始日と終了予定日 必須
次回空き予定日 配置可能になる時期 推奨

4. 配置計画の項目

配置計画のイメージ

「これからどう配置するか」を記載する項目です。現状と計画を同じ表に並べると、異動の全体像を把握しやすくなります。

項目 記載内容 必要度
配置先(計画) 異動・アサイン先の部署や案件 必須
配置予定日 配置が発生する時期 必須
配置理由 スキル適合、育成、欠員補充など 推奨
備考 引き継ぎ事項、調整中の論点 推奨

人員配置表の完成イメージ

人員配置表の完成イメージ

4カテゴリーの項目を1行にまとめると、次のような表になります。1人1行で、現状と計画を横に並べるのが基本形です。

社員番号 氏名 所属 主要スキル Lv 現在の案件 稼働率 空き予定 配置先(計画)
1001 山田 第1開発部 Java 4 A社基幹刷新 100% 4月末 B社案件(5月〜)
1002 佐藤 第1開発部 Python 3 C社保守 50% 即時 B社案件(4月〜)
1003 鈴木 第2開発部 インフラ 2 0% 即時 D社案件(育成枠)

この形にしておくと、「Javaがレベル3以上で、4月に空く人」といった条件でフィルターをかけられます。配置の候補者を探す時間が大幅に短縮できるため、項目を並べる順番よりも「絞り込める形になっているか」を優先しましょう。

Excelで作るときのコツと注意点

必要項目をヘッダー行に並べたら、次の工夫を加えると運用が続きやすくなります。

  • スキルレベルは数値で入力し、フィルターで絞り込めるようにする
  • 入力規則(プルダウン)を設定し、表記ゆれを防ぐ
  • 条件付き書式で稼働率100%のセルに色を付け、空き要員を見つけやすくする
  • 部署ごとにシートを分けず、1シートに集約して全社横断で検索できるようにする
  • 更新日と更新者の列を設け、情報の鮮度がわかるようにする

組織構造を図で表したい場合はExcelのSmartArt(階層構造)が便利ですが、図はスキルや稼働率の検索・集計には向きません。配置判断に使う人員配置表は、表形式で作ると割り切りましょう。

一方で、Excel運用を続けると次の課題が表面化します。

  • 部署ごとにフォーマットが異なり、全社集計のたびに手作業が発生する
  • 複雑なマクロは作成者しか対応できず、属人化の原因になる
  • 個人情報の集合体にもかかわらず、共有設定次第で関係者以外が閲覧・編集できてしまう

人員配置表に関するよくある質問

FAQ よくある質問

人員配置表と組織図の違いは何ですか

組織図は部署の階層構造や指揮命令系統を示す図で、人員配置表は誰がどのスキルを持ち、どこに配置されるかを一覧化した表です。組織図は構造の把握に、人員配置表は配置判断に使います。配置の検討には検索・集計ができる表形式が適しています

どのくらいの頻度で更新すべきですか

稼働状況は案件の開始・終了のたびに更新するのが理想です。難しい場合は月1回など更新日を決めておきましょう。スキル情報は半期に1回、人事評価のタイミングと合わせると運用が定着しやすくなります。

従業員の希望はどこまで反映すべきですか

すべてを反映するのは現実的ではありませんが、希望を項目として記録しておくことに意味があります。配置理由を説明する際の材料になり、希望と異なる配置でも納得感を得やすくなるためです。面談で聞き取った内容は必ず表に残しておきましょう

エクセルからシステムへ切り替えるタイミング

すべての企業にシステムが必要なわけではありません。従業員数が少なく配置の変更頻度も低いなら、Excelで十分に運用できます。判断の目安として、次のサインが出始めたら切り替えを検討する時期です。

切り替えを検討すべきサイン 背景にある課題
管理人数が100名を超えてきた 横断検索や集計に手作業が増える
部署ごとにファイルが分かれている 全社の空き要員が把握できない
最新版がどれか分からなくなる 古い情報で配置を判断してしまう
特定の担当者しか更新できない 異動・退職で運用が止まる
配置の検討に毎回数日かかる 意思決定のスピードが落ちる

専用のアサイン管理システムなら、スキル・稼働状況・配置計画をひとつのデータベースで管理し、条件を指定するだけで候補者を絞り込めます。部署をまたいだ検索や変更時の再シミュレーションも容易になり、Excelでは難しかった「配置の根拠を示すこと」が可能になります。

とはいえツールは種類が多く、自社に合うものを選ぶのは簡単ではありません。選び方と主要ツールの比較は関連記事で解説していますので、Excelでの運用に限界を感じ始めた方はあわせてご確認ください。