ITエンジニアや社員のスキル管理ツールfapi(ファピー)を提供する株式会社エフ・ディー・シーのDXサービス事業推進部 佐々木舞美が、200名以上のスキル管理・アサイン管理を25年以上行ってきた実務経験をもとに、工場・製造業向けの人員配置システムを解説します。
紙やエクセルで「なんとなく」人員配置を決めている工場は少なくありません。しかし誰がどの工程を担当できるかを把握できていないと、生産ラインは本来の力を発揮できません。この記事では、工場の人員配置が難しい理由、システムの3つのタイプと選び方、エクセル管理との違いを整理しました。
工場・製造業の人員配置が難しい理由
人員配置とは、従業員の能力や特性から、生産性の高いチームを編成するための配置・異動のことです。とくに工場や製造業では、他業種にはない次のような難しさがあります。
| 工場特有の事情 | 人員配置への影響 |
|---|---|
| 従業員数が多い | 一人ひとりのスキルを把握しきれない |
| 交代勤務・24時間稼働 | シフトごとに必要なスキルを揃える必要がある |
| 工程ごとに必要な資格・技能が異なる | 「この工程を任せられる人が限られる」状態が起きやすい |
| 受注量に繁閑差がある | 人員の過不足が発生しやすく、急な組み替えが必要になる |
| 多能工化が進んでいない | 特定の人が休むとラインが止まるリスクがある |
これらの条件が重なると、紙やエクセルで全従業員の状況を把握するのは現実的ではなくなります。結果として「いつものメンバー」で組む属人的な配置に陥り、生産性の改善余地が見えなくなるのが典型的なパターンです。
工場の人員配置システムとは?

工場で利用される人員配置システムとは、従業員の情報を一元管理し、適切な人員配置を支援するシステムです。フォーマットが統一されるため集計や管理に手間がかからず、個人の能力や希望を考慮しながら生産性の高いラインを組めるようになります。
ただし「人員配置システム」と一口に言っても、担う役割は製品によって大きく異なります。ここを理解しないまま比較すると、導入後に「思っていた機能がなかった」というミスマッチが起こります。
人員配置システムの3つのタイプと選び方
工場・製造業で使われる人員配置システムは、大きく3つのタイプに分けられます。自社の課題がどこにあるかで、選ぶべきタイプが変わります。
| タイプ | できること | こんな課題に |
|---|---|---|
| 生産計画最適化型 | 受注情報から設備・人員の割り当て計画を自動立案する | 計画立案に時間がかかる/納期回答が属人的 |
| シフト・勤怠管理型 | 交代勤務のシフト作成、勤怠実績の管理を行う | シフト作成の工数が大きい/残業が偏る |
| スキル管理(多能工管理)型 | 誰がどの工程を担当できるかを可視化し、配置候補を絞り込む | 特定の人しかできない工程がある/属人化を解消したい |
生産計画最適化型

受注情報をもとに、AIが設備稼働と人員配置の割り当て計画を立案するタイプです。熟練者の経験に頼っていた生産計画の立案を標準化できる一方、工程順序や所要時間といったマスタデータの整備が前提になります。
シフト・勤怠管理型

交代勤務のシフト表作成や、勤怠実績の集計を効率化するタイプです。人数と時間帯の充足を見るのが主目的のため、「その人が実際にその工程をこなせるか」までは踏み込まない製品が多い点に注意が必要です。なお、シフト管理システムには小売業向け・建設業向けなど業種特化型も多いため、自社の業種に対応しているかを必ず確認してください。
スキル管理(多能工管理)型

従業員一人ひとりの保有スキル・資格・習熟度を一覧化し、「この工程を任せられるのは誰か」を即座に絞り込めるようにするタイプです。多能工化の進捗が数値で見えるため、育成計画とも連動させやすいのが特徴です。ISO9001の力量管理の記録としても活用できます。
なお、各製品の料金や機能は変更されることがあるため、比較検討の際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
工場の人員配置を最適化する3ステップ
システムを導入する前に、配置の考え方そのものを整理しておきましょう。
ステップ1. 現状の人員配置を可視化する
まずは現状を一覧にまとめます。どの工程にどれだけの人員が張り付き、どれほどの成果が出ているかをデータで見るのが狙いです。人材の偏りや業務負荷率、同じ人を複数工程で数えてしまうダブルカウントの防止にもつながります。
ステップ2. 4段階の計画を取り決める
人員配置を最適化するには、次の4つの計画を順番に定めます。
| 計画 | 決めること |
|---|---|
| 定員計画 | 事業計画の達成に必要なおおよその人員数と人件費を決める |
| 要員計画 | 事業計画や予算から部門ごとの人員数を割り出す |
| 人員計画 | 一人ひとりのスキルや適性を考慮して具体的な配置を検討する |
| 代謝計画 | 要員計画と人員計画の差異(人材不足など)を埋める調整を行う |
ステップ3. 配置後に効果検証を行う
配置を実施したら、パフォーマンスを発揮できているか、業務負担は適正かを検証します。従業員が本来の力を発揮できれば、エンゲージメントの向上や離職防止にもつながります。配置の前後にヒアリングを行い、本人の希望や負担感を拾っておくと精度が上がります。
エクセルで人員配置表をつくるメリット・デメリット
人員配置を適切に行うには「人員配置表」が有効です。まずはエクセルで作る場合の長所と短所を整理しておきましょう。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| テンプレートが豊富で手軽に作成できる | 部署ごとにフォーマットが異なると集計が大変 |
| 操作に慣れた従業員が多く、項目の追加・削除がしやすい | 複雑なマクロは作成者しか扱えず属人化する |
| 追加コストがかからず、少人数なら十分に運用できる | 個人情報の集合体にもかかわらず、閲覧・編集の制御が難しい |
配置対象が少人数であれば、エクセルから始めるのが現実的です。一方で、従業員数が増えて部署ごとにファイルが分かれ始めると、全社の状況を横断的に見ることができなくなります。
人員配置システムを導入するメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 従業員一人ひとりの情報を一元管理できる | 導入・運用のコストがかかる |
| 集計に手間がかからず属人化を防げる | 多機能な製品ほど教育に時間がかかる |
| 個人の能力を活かした生産性の高い配置ができる | 既存データの移行・整備が必要になる |
| 計画立案の時間を短縮し、人的ミスを減らせる | 現場に定着させる運用ルールづくりが欠かせない |
コストは避けられないため、目的に合わないタイプを選ぶと投資が回収できません。前述の3タイプのうち、自社の課題に対応するものから検討しましょう。
fapi(ファピー)なら生産ライン最適化のカギ「誰が何をできるか」を可視化
生産計画を自動化しても、シフトを効率よく組んでも、最後に配置できる人がいなければラインは動きません。「この工程を任せられるのは誰か」「多能工化はどこまで進んでいるか」——この土台が曖昧なままでは、どのシステムを入れても効果は限定的です。
スキル管理・アサイン管理ツールのfapi(ファピー)は、管理項目を導入企業ごとに自由に設定できるのが特徴です。工程名や必要資格、習熟度の段階を自社の実態に合わせて定義できるため、多能工スキルの可視化やISO9001の力量管理にも応用できます。部門をまたいだ横断検索により、「この資格を持ち、来月手が空く人」といった条件で候補者を絞り込めます。
クラウドサービスとしての品質は「ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2022」の受賞、および「つくばクオリティ」の認定を受けています。料金プランは次のとおりです。
| プラン | 月額(1人あたり) | 最低契約人数 |
|---|---|---|
| ミニマム | 300円 | なし |
| スタンダード | 400円 | 100名〜 |
| プレミアム | 800円 | 100名〜 |
紙やエクセルに頼った「なんとなくの人員配置」では、従業員が本来の力を発揮できず、生産ラインの改善余地も見えないままです。まずは自社のスキル情報を可視化するところから、生産ライン最適化の一歩を踏み出してみてください。

