プロジェクトの成功において、人材、予算、時間などのリソースを適切に管理することは極めて重要です。
ITエンジニアや社員のスキル管理ツールfapi(ファピ)を提供する(株)FDCの佐々木舞美が、2025年最新のリソース管理システムとおすすめツール5選をご紹介します。
本記事では、各ツールの特徴や機能を詳しく解説し、自社に最適なシステムを選ぶためのポイントを比較表とともにお伝えします。リソース管理の効率化をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
リソース管理システムが必要とされる背景
現代のビジネス環境において、リソース管理システムの導入は企業の競争力を左右する重要な要素となっています。プロジェクトの複雑化や働き方の多様化により、従来のExcelやスプレッドシートでは限界があります。
プロジェクト管理における課題
多くの企業が抱えるリソース管理の課題として、以下のような問題があります。
- 誰がどのプロジェクトにアサインされているか把握できない
- 社員のスキルや経験が属人化し、適切な人材配置ができない
- リソースの過不足がリアルタイムで把握できず、プロジェクトの遅延が発生する
- 複数のプロジェクトを横断してリソース状況を確認することが困難
- 業務経歴やスキル情報の更新が手作業で非効率
これらの課題を解決するために、専用のリソース管理システムの導入が不可欠となっています。
リソース管理システム・ツールおすすめ5選
2025年現在、市場には多様なリソース管理システムが存在します。ここでは、特に評価が高く、実績のあるツールを5つ厳選してご紹介します。
1. fapi(ファピ)- ITエンジニアのスキル管理に特化

fapiは、株式会社FDCが提供するスキル管理・アサイン管理支援に特化したクラウドサービスです。20年以上のシステム開発実績を持つ専門家が開発したツールで、SES企業や受託開発企業の課題解決に最適化されています。
fapiの主な機能
- スキル管理機能:導入企業で必要となる項目で情報を管理し、スキル情報を体系的にツリー形式で登録できます
- アサイン管理機能:リアルタイムでアサイン状況を管理し、スキルとアサイン状況を基に候補者を検索できます
- データ分析機能:スキルやプロジェクト情報を自由に集計し、グラフ表示で視覚的に表示可能です
- 業務経歴表の自動生成:アサイン状況から業務経歴表への連携が可能で、Excel形式で出力できます
- 権限設定:ユーザーごとに閲覧や編集の権限を細かく設定できます
- 更新依頼機能:社員情報の更新依頼を個別または一括で実施できます
fapiの特徴と強み
fapiの最大の特徴は、ITエンジニアのスキル管理とプロジェクトへのアサイン検討を強力にサポートする点です。導入企業では「アサイン提案まで10分に短縮」「属人化したアサイン管理の解消」といった成果が報告されています。
2022年には、ASPIC IoT・AI・クラウドアワードを受賞し、日本クラウド産業協会から社会に有益なクラウドサービスとして評価されました。また、ISO9001認証を取得しており、品質と情報セキュリティにおいても信頼性が高いツールです。
料金プラン
| プラン名 | 月額料金 | 最低契約人数 | 主な機能 |
| Minimum | 300円/人 | 制限なし | 基本機能、QAサポート年6回まで |
| Standard | 400円/人 | 100名 | QAサポート無制限、項目間連携機能(一部) |
| Premium | 800円/人 | 100名 | 全機能、QAサポート無制限、項目間連携機能 |
初期費用(50万円)には初期設定の管理項目の相談や一括登録用Excelフォームの提供、導入サポートが含まれています。
2. Lychee Redmine(ライチレッドマイン)- 国産プロジェクト管理ツール

Lychee Redmineは、7,000社以上の導入実績を持つ国産のプロジェクト管理ツールです。オープンソースのRedmineをベースに、多くの機能を追加し、使いやすさを向上させています。
Lychee Redmineの主な機能
- リソースマネジメント機能:予定時間と実績時間のリアルタイム把握、メンバー稼働率や生産性の線グラフ化が可能です
- ガントチャート:ドラッグ&ドロップで直感的にスケジュール管理ができます
- カンバン機能:タスクの進捗を視覚的に管理できます
- タイムマネジメント:工数入力を簡単に行え、担当者自身で適切な計画を立てられます
- ダッシュボード:プロジェクトのKPIをリアルタイムで可視化できます
Lychee Redmineの特徴と強み
Lychee Redmineの強みは、「工数」「稼働率」「生産性」の3つの観点から人材マネジメントをサポートする点です。プロジェクトを横断して工数情報を瞬時に可視化できるため、リソースの再割り当てが実施しやすくなっています。
また、細かい管理だけではなく、大まかな進捗管理のしやすさも特徴で、複雑なプロジェクトにも柔軟に対応できます。無料プランも用意されているため、小規模チームでも導入しやすいツールです。
3. Backlog(バックログ)- 直感的な操作性が魅力

Backlogは、株式会社ヌーラボが提供するプロジェクト管理とタスク管理を統合したツールです。エンジニアと非エンジニアが共に使える直感的なインターフェースが特徴です。
Backlogの主な機能
- 課題管理:タスクの担当者や期日を明確にし、確認漏れや遅延を防ぎます
- ガントチャート:プロジェクトのスケジュールを視覚的に管理できます
- Wiki機能:ドキュメント管理とチーム内の情報共有が可能です
- Git/SVNバージョン管理:システム開発におけるコードのバージョン管理に対応しています
- ファイル共有:プロジェクトに関連するファイルを一元管理できます
Backlogの特徴と強み
Backlogは、プロジェクト管理に必要な機能を一つのプラットフォームに統合している点が最大の特徴です。親しみやすいデザインと直感的な操作性により、チーム全員が安心して利用できます。
2025年には、Backlog AIという新機能が発表され、プロジェクト管理の効率化がさらに進化しています。ただし、リソース管理機能は他のツールと比較すると限定的であり、誰がどれだけの作業負荷を抱えているかの可視化には別途工夫が必要です。
4. Asana(アサナ)- グローバルスタンダードのツール

Asanaは、世界中で利用されているプロジェクト管理とタスク管理のグローバルスタンダードツールです。柔軟性と使いやすさを重視した設計が特徴です。
Asanaの主な機能
- タスク管理とサブタスク機能:各タスクに詳細情報や添付ファイルを追加できます
- 複数のビュー機能:リスト、ボード、タイムライン、カレンダーなど、用途に応じて表示を切り替えられます
- ポートフォリオ管理:複数のプロジェクトを一元管理し、進捗を可視化できます
- 外部ツール連携:Slack、Dropbox、Googleカレンダーなど、さまざまなツールと連携可能です
- 自動化機能:繰り返し作業を自動化し、効率を向上させます
Asanaの特徴と強み
Asanaの強みは、複雑なプロジェクトでも柔軟に対応できる高いカスタマイズ性です。2025年夏には、AIによるワークフローの自動化機能が追加され、権限管理やレポーティングの高度化が実現されています。
リソース管理においては、カスタムダッシュボードやレポートを活用することで、リソースの割り当てや進捗を把握しやすくなっています。ただし、日本語サポートは限定的なため、英語に不安がある場合は注意が必要です。
5. monday.com(マンデードットコム)- ノーコードで自由にカスタマイズ

monday.comは、イスラエル発のノーコードで機能を自由に組み合わせられるプラットフォームです。世界186,000社以上で採用されており、業務の可視化とリソース管理を実現します。
monday.comの主な機能
- 仕事量管理機能:リソースの使用を計画し、その割り当てをスケジュールできます
- カスタマイズ可能なダッシュボード:プロジェクトの状況をリアルタイムで把握できます
- 自動化とインテグレーション:200以上の外部ツールと連携可能です
- ビジュアルプロジェクト管理:カンバン、ガントチャート、タイムラインなど、複数のビューで管理できます
- コラボレーション機能:チームメンバーとのコミュニケーションを促進します
monday.comの特徴と強み
monday.comの最大の特徴は、ノーコードで自由に機能を組み合わせられる柔軟性です。日本語UIに対応しており、現場の社員も直感的に操作できます。また、日本語によるサポート対応も充実しています。
リソース管理においては、仕事量ウィジェットを活用することで、従業員のキャパシティを可視化し、適切なリソース配分を実現できます。大規模なプロジェクト管理にも対応しており、エンタープライズレベルでの利用も可能です。
リソース管理システム・ツールの選び方のポイント
自社に最適なリソース管理システムを選ぶためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
1. 導入目的と課題の明確化
まず、何を解決したいのか、どのような成果を期待するのかを明確にすることが重要です。
- スキル情報の一元管理が必要か
- プロジェクトへのアサイン検討を効率化したいか
- 工数管理や稼働率の可視化が目的か
- 複数プロジェクトの横断管理が必要か
目的が明確になれば、必要な機能を逆算して考えることができ、最適なツール選びが可能になります。
2. 必要な機能の洗い出し
リソース管理システムには、さまざまな機能があります。自社に必要な機能を優先順位をつけて洗い出しましょう。
| 機能カテゴリ | 主な機能 | 重要度の判断基準 |
| スキル管理 | スキルマップ、業務経歴管理、資格情報管理 | エンジニアのスキル可視化が必要か |
| アサイン管理 | リアルタイム状況確認、候補者検索、見込み案件管理 | プロジェクトへの人材配置の最適化が必要か |
| 工数管理 | 予定時間・実績時間の記録、稼働率の可視化 | 正確なコスト管理が必要か |
| プロジェクト管理 | ガントチャート、カンバン、タスク管理 | 複数プロジェクトの進捗管理が必要か |
| レポート・分析 | ダッシュボード、データ集計、グラフ表示 | 経営判断に活用するデータが必要か |
3. 操作性とユーザビリティ
どれだけ高機能なシステムでも、現場の社員が使いこなせなければ意味がありません。以下の点を確認しましょう。
- 直感的に操作できるインターフェースか
- 日本語対応は十分か
- モバイルデバイスからもアクセスできるか
- トレーニングやマニュアルが充実しているか
無料トライアルを活用し、実際に現場で試用してから導入を決定することをおすすめします。
4. 連携機能と拡張性
既存のシステムとの連携や、将来的な機能拡張の可能性も重要な選定ポイントです。
- 既存の勤怠管理システムや会計システムと連携できるか
- API連携に対応しているか
- SlackやMicrosoft Teamsなどのコミュニケーションツールと連携できるか
- カスタマイズやアドオンで機能を追加できるか
5. コストとROI
導入コストだけでなく、運用コストや期待される効果(ROI)を総合的に評価することが重要です。
- 初期費用と月額費用のバランスは適切か
- ユーザー数による課金体系は自社に合っているか
- サポート費用は含まれているか
- 導入により削減できる工数や改善できる業務効率はどの程度か
6. サポート体制とセキュリティ
導入後のサポート体制と、情報セキュリティの観点も見逃せません。
- 日本語でのサポート対応は可能か
- 問い合わせの対応時間や方法は十分か
- データのバックアップ体制は整っているか
- ISO認証など、セキュリティ基準をクリアしているか
- 権限設定やアクセス制御機能は充実しているか
各システム・ツールの選び方のポイント一覧比較表
ここでは、ご紹介した5つのリソース管理システムを、主要な選定ポイントで比較します。
| ツール名 | fapi | Lychee Redmine | Backlog | Asana | monday.com |
| 主な強み | ITエンジニアのスキル管理とアサイン管理に特化 | 工数・稼働率・生産性の可視化に強い | 直感的な操作性と幅広い機能統合 | グローバルスタンダードで高い柔軟性 | ノーコードで自由にカスタマイズ可能 |
| スキル管理 | ◎(体系的管理) | ○ | △(限定的) | ○ | ○ |
| アサイン管理 | ◎(リアルタイム検索) | ◎ | ○ | ◎ | ◎ |
| 工数管理 | ○ | ◎(詳細な分析) | ○ | ○ | ◎ |
| ガントチャート | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
| レポート機能 | ◎(グラフ化) | ◎ | ○ | ◎ | ◎ |
| 日本語対応 | ◎(完全対応) | ◎(国産) | ◎(国産) | ○(一部対応) | ◎ |
| 外部連携 | ○(API連携) | ○ | ◎ | ◎(200+) | ◎(200+) |
| カスタマイズ性 | ◎(項目自由設定) | ◎ | ○ | ◎ | ◎(ノーコード) |
| 料金体系 | 月額300円~/人 | 無料プランあり | 有料プラン | 無料プランあり | 無料プランあり |
| 最適な企業規模 | 中小~大規模(特にIT企業) | 小規模~中規模 | 小規模~中規模 | 中規模~大規模 | 小規模~大規模 |
| サポート体制 | ◎(日本語、定期面談) | ◎ | ◎ | ○(英語中心) | ◎(日本語) |
| セキュリティ認証 | ISO9001取得 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
| おすすめの用途 | SES・受託開発企業のスキル・アサイン管理 | 工数重視のプロジェクト管理 | エンジニアと非エンジニアの協働 | グローバルチームの管理 | 柔軟なワークフロー構築 |
リソース管理システム導入のメリット
リソース管理システムを導入することで、以下のような具体的なメリットが得られます。
業務効率の大幅な向上
手作業による情報管理から解放され、管理工数を大幅に削減できます。fapiの導入事例では、アサイン提案にかかる時間が10分に短縮されたケースもあります。
リアルタイムな状況把握
プロジェクトの進捗状況やメンバーのアサイン状況をリアルタイムで把握でき、迅速な意思決定が可能になります。
最適な人材配置の実現
社員のスキルや経験を可視化することで、プロジェクトに最適な人材をアサインできるようになります。
属人化の解消
情報が一元管理されることで、特定の人にしか分からない状況がなくなり、チーム全体で情報を共有できます。
データに基づく経営判断
蓄積されたデータを分析することで、客観的な根拠に基づいた経営判断ができるようになります。
リソース管理システム導入時の注意点
リソース管理システムを導入する際には、以下の点に注意が必要です。
導入前の準備を十分に行う
システム導入前に、現状の業務フローを整理し、どの情報を管理すべきか明確にすることが重要です。準備が不十分なまま導入すると、期待した効果が得られない可能性があります。
現場の理解と協力を得る
システムを使うのは現場の社員です。導入の目的やメリットを丁寧に説明し、現場の理解と協力を得ることが成功の鍵となります。
段階的な導入を検討する
一度にすべての機能を使おうとせず、基本機能から段階的に導入することで、現場の負担を軽減できます。
定期的な見直しと改善
導入後も、定期的に運用状況を見直し、改善を続けることが重要です。無料トライアルやデモを活用して、自社に合ったツールかどうかを確認しましょう。
まとめ
本記事では、2025年最新のリソース管理システム・ツール5選をご紹介しました。fapi、Lychee Redmine、Backlog、Asana、monday.comは、それぞれ異なる強みを持っており、企業の規模や業種、目的に応じて最適なツールが異なります。
ITエンジニアのスキル管理とアサイン管理に特化したfapiは、SES企業や受託開発企業にとって特に有効なツールです。一方、工数管理に強みを持つLychee Redmine、直感的な操作性のBacklog、グローバルスタンダードのAsana、柔軟なカスタマイズが可能なmonday.comも、それぞれの特性を活かせる場面があります。
自社の課題と目的を明確にし、必要な機能を洗い出したうえで、比較表を参考に最適なシステムを選定してください。無料トライアルを活用して実際に試用し、現場の声を聞きながら導入を進めることで、リソース管理の効率化とプロジェクトの成功率向上を実現できるでしょう。

