スキル管理・アサイン管理支援ツールfapi(ファピー)を提供する株式会社エフ・ディー・シーのDXサービス事業推進部 佐々木舞美が、200名以上のITエンジニアのリソース配分・アサイン管理を25年以上行ってきた経験をもとに、リソース配分(リソースアロケーション)の考え方とやり方を解説します。
リソース配分とは、ヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源を、事業・部署・プロジェクトに割り当てることです。この記事では、定義と考え方、4ステップのやり方、メリット、うまくいかないときの原因と対策を順に説明します。
リソース配分(リソースアロケーション)とは
リソース配分とは、企業が持つ経営資源(リソース)を、どの事業・部署・プロジェクトに、どれだけ割り当てるかを決めることです。英語のResource Allocationから、リソースアロケーションとも呼ばれます。
均等に分けるのではなく、目標に対して優先度の高いところへ集中させるのがリソース配分の基本です。配分の対象になるリソースは、一般に次の6種類に整理されます。
| リソース | 具体例 |
|---|---|
| ヒト | 社員、協力会社の要員、そのスキルと稼働時間 |
| モノ | 設備、機器、システム、オフィス |
| カネ | 予算、投資資金、運転資金 |
| 情報 | 顧客データ、市場データ、社内ノウハウ |
| 時間 | 納期、各業務に充てられる工数 |
| 知的財産 | 特許、商標、ブランド |
この記事では、プロジェクト型の組織で最も配分が難しい「ヒト」を中心に解説します。
リソース配分の考え方:3つの原則
| 原則 | 内容 |
|---|---|
| 1. 目標から逆算する | 経営目標・事業計画で優先する領域を先に決め、そこへ厚く配分する |
| 2. 現状を正確に把握してから配る | 誰が・どのスキルで・いつまで稼働しているかが見えていないと、配分は勘になる |
| 3. 配って終わりにしない | 進捗や受注状況の変化に合わせて、余剰を移し不足を補う |
特に2が抜けると、「空いているはずの人が実は別案件で埋まっている」「必要なスキルを持つ人が社内にいたのに外注した」という配分ミスが起きます。
リソース配分のやり方(4ステップ)
| ステップ | やること | ヒトの配分での具体例 |
|---|---|---|
| 1. 仕事を分解する | プロジェクトをタスクに分け、必要なリソースの種類と量を見積もる | WBSで工程を分け、工程ごとに必要なスキルと人月を出す |
| 2. 配分の基準を決める | 重要度・期限・難易度から優先順位を決める | スキルレベル、過去の担当経験、稼働率を基準にする |
| 3. 割り当てる | 基準に沿ってリソースを配分し、過不足を確認する | 候補者のスキルと空き状況を突き合わせてアサインする |
| 4. 見直す | 進捗と実績を見て配分を調整する | 月次で稼働率を確認し、偏りがあれば再配分する |
ステップ1〜3を一度決めて終わりにせず、4を定期的に回すことで、配分の精度が上がっていきます。
リソース配分を適切に行うメリット
| メリット | 理由 |
|---|---|
| 目標達成が早くなる | 優先領域に必要な量のリソースが集まり、遅れの原因になる人手不足・予算不足を防げる |
| コストと手戻りが減る | 過剰配分や、スキルの合わない担当による品質問題・やり直しを減らせる |
| 負荷の偏りが減る | 特定の人への集中が見えるため、離職や品質低下のリスクを下げられる |
| 変化に対応しやすい | 受注増減や市場変化に応じて配分を組み替えられる |
リソース配分がうまくいかない原因と対策
| 原因 | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| リソースの現状が把握できていない | スキルや稼働状況が不明で、配分が担当者の記憶頼みになる | スキルと稼働状況を一覧化し、全員が見られる状態にする |
| 優先順位が決まっていない | 声の大きい案件にリソースが流れる | 経営目標から配分の優先基準を文章で決める |
| 特定の人に集中する | 高スキル者に案件が集まり、過負荷と属人化が進む | 稼働率の上限を決め、月次で偏りを確認する |
| 情報共有が遅い | 空きや不足が見えず、再配分が後手に回る | アサイン状況を一元管理し、更新をリアルタイムにする |
4つの原因はいずれも「ヒトのリソースが見えていない」ことに行き着きます。人数が増えるほどスプレッドシートでの把握は難しくなるため、スキルと稼働状況を一元管理する仕組みが必要になります。
人的リソースの配分はスキル×稼働状況の可視化から
ヒトの配分精度を上げるには、「誰がどのスキルを持ち、いつまで稼働しているか」を一つの画面で見られることが前提です。スプレッドシートでも作れますが、人数と案件が増えると更新が追いつかず、空き状況の確認に時間がかかります。
この状態を解消するのがリソース管理ツールです。スキルと稼働状況を一元管理し、条件に合う人の検索から案件への割り当てまでを同じ画面で行えるため、配分のステップ2〜4を短い周期で回せます。ただし、タスク進捗が中心のツールと、人のスキル・稼働を主語にしたツールでは向き不向きが分かれるので、自社の配分単位(案件か、タスクか)に合わせて選ぶことが重要です。
主要なリソース管理ツールの比較と、自社に合うタイプの選び方は次の記事にまとめています。
まとめ
リソース配分は、経営資源を目標に対して優先度の高いところへ集中させることです。仕事の分解→基準の設定→割り当て→見直しの4ステップを回し、特にヒトについてはスキルと稼働状況を可視化してから配分することが、失敗を防ぐ近道になります。


