コスト管理はプロジェクトを予算内で終わらせて、利益を残すために欠かせない取り組みの一つです。
「赤字プロジェクトを脱却したい」「エクセルのコスト管理に限界を感じる」こんな悩みを抱えるPM・コスト管理担当者の方は多いでしょう。
この記事ではコスト管理の概要と重要性、コスト管理を行うメリットを解説します。
プロジェクトを成功に導くPMBOKコストマネジメント6つの手順と、効果的・効率的にプロジェクトを進めるツールもお伝えします。
コストマネジメント(コスト管理)とは?

コスト管理とは、企業やプロジェクトの活動に必要なお金を管理することです。
コストといっても項目数は非常に多いですが、大きく分けると「固定費」と「変動費」の2つです。
固定費 | 事業・プロジェクトを進める上で必ずかかる費用(人件費やシステム・サービスの利用料金など) |
変動費 | 事業・プロジェクトの売上によって価格が変動する費用(原価や光熱費など) |
一般的に、プロジェクトでコスト管理を行う際は、PMBOKのコストマネジメントを活用します。
PMBOKとはプロジェクトマネジメントに必要な、知識や手法を体系的にまとめたガイドブックのことです。
英語ではProject Management Body Of Knowledge、頭文字をとってPMBOK(ピンボック)と呼びます。
PMBOKは「10の知識エリア」と「5つのプロセス」、「3つのパート」で構成され、コストマネジメントは10の知識エリアで取り上げられます。
コストマネジメントの目的は「予算内でプロジェクトを完了させる」ことです。
そのため、プロジェクトに充てられた予算内で、いかに顧客や消費者のニーズに応える成果物を生み出すかが重要となります。
なお、PMBOKは現在のプロジェクトマネジメントの世界標準となっていて、多くの会社・プロジェクトで活用されています。
コストマネジメント(コスト管理)が重要な理由とメリット
コスト管理が重要な理由は、プロジェクトのコスト超過を防げることにあります。
プロジェクトを進めていると、予期せぬ出費やコストが発生するものです。
これらの原因は原材料の上昇や、顧客から想定外の要求が求められることで起こります。
コスト管理を適切に行えば、コストを定期的に把握した上で予算を調整し、プロジェクトを予算内で完了できます。
コスト超過の防止は、コスト管理を行う上でもっとも重要な要素なのです。
また、コスト管理の成功事例を積み重ねれば、他のプロジェクトへ横展開できるというメリットが生まれます。
集計・分析といった時間的コストを節約できますし、経験を重ねるごとにコスト管理の効果をさらに高められます。
案件を成功させるコストマネジメント6つの手順

プロジェクト管理におけるコスト管理の進め方を、6つのプロセスに分けて説明します。
リソースの確保
プロジェクトのコスト管理を決定する前に、プロジェクトに必要なリソースを把握しましょう。
リソースとはメンバーやITツール、設備、費用といったプロジェクトを完遂するために必要なものです。
まずは大まかで構わないので、見積もりを出してリソースの全体像を把握してください。
リソースの確保で必要なもの | 明確に定義されたプロジェクト目標 |
WBS(作業分解構成図) | |
仮のリソース管理計画 | |
プロジェクトスコープ記述書 |
コストマネジメント計画
コスト管理を行うための方針やルール、手順を決定してプロジェクトにどれほど予算が必要かを計画します。
このとき過去のプロジェクトで蓄積した経験やノウハウを参考にすると、よりリアリティのある計画を立てられます。
計画を立てた際にコストがカツカツでは、プロジェクト進行中に問題が発生するとコスト超過の恐れがあるので注意しましょう。
コストマネジメント計画では、5〜10%程度の余裕をもたせることが大切です。
コスト見積もり
コストの方針や手順が決まったら、予算を組む前に見積もりを行います。
アウトソーシングを行う場合は委託先に連絡を取り、具体的な金額を割り出して計画と見積もりの差異を確認してください。
金額の差異が予想以上に大きいときは計画の見直しが必要になる可能性があるため、なるべく早めに見積もりを取ることが重要です。
予算設定
通常、プロジェクトの予算は一度に与えられず、期間ごとに必要な予算が分割されます。
コスト計算や予算配分を間違えると、新しく資材を調達する予算が足りなかったりトラブルの原因になったりします。
PMやコスト管理担当者は必要なリソースを参考にしながら、詳細な計画、予算配分を行いましょう。
プロジェクトの予算設定が完了したら、コストを調整しつつプロジェクトを進行します。
コストコントロール
コスト管理のプロセスの大部分は「コストコントロール」で行います。
プロジェクト進行中は予算の超過を防ぐためのコスト計算が欠かせません。
定められた予算と実際のコストとの差異を比較して、コストの進捗状況を確認しましょう。
コストを見直す頻度はプロジェクトによって異なり、常時確認することもあれば四半世紀ごとに確認することもあります。
また、適切なコスト管理には、ステークホルダーとのコミュニケーションも重要となります。
コストの分析
プロジェクト完了後は成果を評価して、最終的なコストがどれほどだったのかを分析してください。
コストの差異の分析にはEVM(アーンド・バリュー・マネジメント)手法を用います。
分析結果は、次のプロジェクトに活かしたりノウハウとして蓄積できたりします。
蓄積したノウハウを活用すればプロジェクトの状況に応じて柔軟に対応できますし、コスト見積もりの正確性を高めることが可能です。
案件を成功させるコストマネジメントのポイント

ここでは、案件を成功させるためのコストマネジメントのポイントを解説します。
PMBOKはイレギュラーな事態に対応しにくい
PMBOKの最新版は2021年に発行されており、IT技術が発展した現代では通用しないケースに遭遇する恐れがあります。
そのため、イレギュラーな事態が発生した際は、自社で蓄積・共有している対処方法を用いることが大切です。
培ったノウハウとPMBOKを組み合わせて、変化の激しい時代に対応していきましょう。
コスト管理ツールを活用する
エクセルまたはテンプレートで自作したツールを使って、コスト管理をしている方は多いかと思います。
しかしエクセルでのコスト管理はリアルタイムの情報共有が難しく、ファイルの管理に手間がかかるなどのデメリットがあります。
そこでおすすめしたいのが、システム開発業から建築業、士業まで幅広い業界で利用されている「コスト管理ツール」です。
コスト管理ツールは工数予算・実績の確認から集計・分析までを効率的に行えるツールです。
迅速な判断と行動を促して、コスト管理を大きく手助けしてくれます。
案件の成功はアサイン管理とコスト管理(コストマネジメント)

案件を成功に導くには、アサイン管理とコスト管理の組み合わせが有効です。
アサイン管理とはメンバーの稼働状況、業務経験、スキル、資格などの情報を一元管理して、適切なアサイン(配置)を行う方法を意味します。
ここでは、コスト管理に深く関わる、アサイン管理の重要性を3つ紹介します。
- メンバーのスキルや人件費などを瞬時に把握し、案件に対して適切なアサインを実現する
- 稼働状況の偏りを抑えられるので、労務費の予算超過を防止できる
- メンバー稼働率100%を実現することで、利益を確保できる
プロジェクトを成功させてコストを削減するためにも、アサイン管理とコスト管理は欠かせない方法と言えるのです。
まとめ
正確なコスト管理はプロジェクトを予算内で完了できる上、利益の確保につながります。
また、蓄積したデータを次のプロジェクトにも活用できるので、時間的・金銭的な節約にもなります。
案件を成功に導くには「コスト管理」と「アサイン管理」を組み合わせる方法が有効です。
どちらも専用ツールがリリースされているので、気になる方は資料のダウンロードや無料トライアルの活用をおすすめします。