IT技術の進歩と生活への浸透、人材不足の背景などから、IT業界は将来性が高いといわれる業界です。
IT業界が未経験でも採用されやすい職種として「SES営業」があります。
しかしSES営業は「きつい」「やめとけ」といわれることもあり、転職を踏みとどまっている方が多いのも事実です。
この記事では現役SES営業が、仕事内容や将来性を含めた「SES営業とは?」という問いに対してお答えします。
年収やキャリアパスについても解説しますので、SES営業に少しでも興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
SES営業とは?

SES営業とは、クライアント企業に対して自社のエンジニアを提案・提供する職種のことです。
SESとは「System Engineering Service(システム・エンジニアリング・サービス)」の略称で、IT業界における業務委託契約を指します。
SESの特徴は、成果物ではなくITエンジニアの「労働力」に対して対価を得るという点です。
SES営業では、主にシステム開発企業に対して営業活動を行うことになります。
クライアントからニーズや悩みを聞き出し、自社のITエンジニアの中から最適な人材を見つけ出して紹介するのが主な仕事内容です。
SES営業はきつい?やめとけと言われる理由

トラブルに対応しなければならない
SES営業はクライアント企業へエンジニアを提供するため、常駐先で何かしらトラブルが発生する可能性があります。
よくあるトラブル事例としては「エンジニアのスキルがマッチしない」「エンジニアの欠勤や遅刻が多い」などでしょう。
また、エンジニア側からも「現場の雰囲気が悪い」「馴染めない」といった相談が寄せられる可能性も否めません。
営業という職種柄「人」を相手にすることになりますが、クライアントとエンジニア双方への対応力が求められます。
IT技術についていくために勉強・スキルアップが必要
進化し続けるIT技術についていくために、SES営業は常に新しいIT知識・IT技術を学ぶ姿勢が重要です。
具体的にはセミナーに参加したり本から知識を得たりして、スキルアップを目指します。
勉強して自己研鑽に励むと、心に余裕が生まれるだけでなく年収アップにつながる可能性が広がります。
よくある質問から考えるSES営業とは?

よくある質問から「SES営業とは?」という疑問を紐解いていきましょう。
SES営業の平均年収は?
マイナビエージェントが発表した「平均年収ランキング IT系営業」によると、IT系営業の平均年収は「472万円」でした。
年代別に見ると20代の平均年収が「410万円」、30代の平均年収は「585万円」であることから、経験を重ねるごとに年収がアップしやすい職業といえます。
ただし、こちらのWebサイトで発表している内容は「SES営業」に限定しているわけではないので、参考程度に留めておいてください。
参照:マイナビエージェント
SES営業は女性でも活躍できる?
結論から言うとSES営業で活躍する女性は増えており、今後も求人・転職情報は増え続けることが予想されます。
なぜなら、IT業界は性別の多様性を重視する傾向が強く、女性の活躍を推進している企業が多いからです。
女性エンジニアが増えていることからも、女性のSES営業には「女性ならではの視点」や「共感力の高さ」を活かすことが大切になります。
SES営業を目指したい方は求人や転職サイトをこまめにチェックして、早い段階から面接対策をはじめましょう。
SES営業が提案するエンジニアの種類

以下の表に、SES営業が提案するエンジニアの種類と違いをまとめました。
自社エンジニア | SES営業を行う企業に所属するITエンジニアで、クライアント企業に常駐して業務にあたります |
他社エンジニア | SES企業のパートナー企業に所属するITエンジニアで、クライアントのニーズに応えられる人材が自社にいない場合に派遣されます |
フリーランスエンジニア | 企業へ所属せずに活動するITエンジニアですが、SES企業に登録しているフリーランスエンジニアもいる。高度な知識やスキルを有すると重宝されやすい |
基本的に、SES営業がクライアントへ提案するエンジニアは「自社エンジニア」です。
自社エンジニアの中からクライアントのニーズに応えられる人材や予算、稼働状況などを考慮して、最適なエンジニアを提案します。
仕事内容から考えるSES営業とは?

ここでは、SES営業の仕事内容から「SES営業とは?」という疑問を解決します。
SES営業の仕事内容は、以下のとおりです。
新規営業先の開拓
テレアポやメール、マッチングツールなどを駆使して、自社サービスに興味があるクライアントの獲得を目指します。
クライアントのニーズや悩み、現状を把握して、自社のサービスを導入することでどのようなメリットがあるかを伝えます。
この際、Webサイトから問い合わせがあった企業に対しても、積極的にアプローチを仕掛けてニーズや悩みを聞き出すことが重要です。
商談・契約
SES営業の商談では、クライアントへの詳細なヒアリングを行います。
必要なエンジニア数やスキル、プロジェクトの開発期間などを把握することで、クライアントが必要とするエンジニアが明確になるでしょう。
ちなみにSESは準委任契約と呼ばれ、エンジニアに対する指揮命令権を持つのは「SES企業」となります。
そのため、クライアント企業から指示を受けてエンジニアが業務を遂行してしまうと、労働派遣法に触れるので注意が必要です。
エンジニアの確保・紹介
クライアントのニーズに応えられるITエンジニアを「自社エンジニア」「他社エンジニア」「フリーランスエンジニア」から確保します。
その後はクライアントとSES営業、エンジニアの3者間で面談・条件交渉を行い、合意があればエンジニアがクライアント企業で働くことになります。
常駐先エンジニアのフォローアップ
SES営業の仕事はエンジニアを紹介して終わりではなく、常駐先エンジニアのフォローも欠かせません。
「エンジニアが常駐先で悩んでいること」「勤怠状況」などをヒアリングして、課題を見つけ解決する能力が必要になります。
エンジニアが気持ちよく働ける環境を整え、業務に集中してクライアントが満足する結果へと導きましょう。
スキルから考えるSES営業とは?転職・求人で求められるスキル

ここでは、SES営業に必要なスキルから「SES営業とは?」という疑問を解決します。
スキルを身につけて、転職・求人で重宝される人材を目指しましょう。
コミュニケーション能力
SES営業はクライアントやエンジニアの話に耳を傾けて、適切に対話したり共感したりする総合的なコミュニケーション能力が必要です。
SES営業はエンジニアが客先常駐した後でもフォローが必要なため、コミュニケーションを取る機会が多い職種といえます。
コミュニケーション能力を伸ばすには、勉強やセミナーではなく「実践」で鍛えるというところがポイントです。
プレゼン力
効果的なプレゼン力は、SES営業として成功するために欠かせないスキルです。
プレゼン力が高いSES営業は、クライアントに対してわかりやすく具体的に物事を説明することができます。
プレゼン力を高められるように。日頃から情報を整理するクセをつけてロジカルな提案を行うことを意識しましょう。
SES営業の将来性・キャリアパスとは?SES営業キャリア・SES営業採用の今後

SES営業の将来性・キャリアプランから「SES営業とは?」という疑問を紐解きましょう。
SES営業からのキャリアパスとしては以下が考えられます。
- ITコンサルタントを目指す
- 同業他社に転職する
- 独立する
ITコンサルタントの仕事は「クライアント企業の経営課題を分析して、どのようなシステムを導入すれば課題を解決できるか」を提案するものです。
専門知識とコミュニケーション能力の高さが求められますが、年収を大きくアップすることができるでしょう。
また、営業職は「人」と「人」とをつなぐ架け橋であり、信頼関係も重視されることから、AIに代替されにくいといわれています。
そのため、SES営業はITエンジニアと同様に、将来性のある仕事として注目されています。
参照メディア:ハイクラス大学生向けの求人サイト「UT-Board」
まとめ
この記事では「SES営業とは?」について解説しました。
SES営業とはSES企業とクライアント企業を結ぶ架け橋であり、プロジェクトの達成にも関わる重要な職種です。
SES営業は未経験でも入ることができますが、コミュニケーション力やプレゼン力、常に新しいIT知識を学び続ける姿勢が求められます。
「コミュニケーション力に自信がある」「今より年収アップを目指したい」という方は、求人・転職サイトに目を通してみてはいかがでしょうか。