ITエンジニアや社員のスキル管理ツールfapi(ファピー)を提供する株式会社エフ・ディー・シーのDXサービス事業推進部 佐々木舞美が、200名以上のITエンジニアの要員提案に25年以上携わってきた経験から「SES営業の提案をスピードアップさせるコツ」を解説します。
SES営業の提案は、速さがそのまま受注率に直結します。顧客からの引き合いに対して、他社より早く要件に合うエンジニアを提示できるかどうかで、面談に進めるかが決まるからです。ところが現場では、候補者探し・スキルシートの整備・社内確認に時間を取られ、提案が後手に回りがちです。
この記事では、SES営業の提案が遅れる3つの原因、提案の流れと時間がかかる工程、提案をスピードアップさせる5つのコツ、ツールを選ぶときの基準を整理しました。「引き合いが来てから候補者を出すまでに半日以上かかる」という営業担当の方は参考にしてください。
SES営業の提案が遅れる3つの原因

提案が遅れる原因は営業担当の能力ではなく、情報の持ち方にあることがほとんどです。
| 原因 | 現場で起きていること | 結果 |
|---|---|---|
| エンジニア情報が散らばっている | スキルシートがExcel・Word・メール添付で営業ごとに保管され、最新版が分からない | 候補者を探すだけで数時間かかる。古い情報で提案して信頼を落とす |
| マッチングが営業の記憶頼み | 「誰がJavaできたか」を担当者の頭の中で探している | 担当者によって提案の質とスピードがばらつく。退職でノウハウが消える |
| 提案資料の作成に時間がかかる | 案件ごとにスキルシートを手で整形し、単価・条件を都度確認する | 1件の提案に時間を取られ、新規開拓や既存顧客のフォローに手が回らない |
3つに共通するのは「エンジニアのスキルと稼働状況が、営業全員が同じものを見られる形になっていない」ことです。ここを解決しないまま営業の工夫だけで速くしようとしても限界があります。
SES営業の提案の流れと、時間がかかる工程
引き合いから契約までの一般的な流れと、各工程で時間がかかる理由を整理します。
| 工程 | やること | 時間がかかる理由 |
|---|---|---|
| 1. 引き合いの確認 | 顧客・元請けから案件情報(スキル要件・期間・単価・場所)を受け取る | 要件が曖昧なまま探し始めて、後で候補者が合わないと分かる |
| 2. 候補者の抽出 | 要件に合うスキルを持ち、時期的に空くエンジニアを探す | 最も時間がかかる。スキルと稼働状況が別の場所にあると突き合わせに手間取る |
| 3. 本人・上長への確認 | 候補者の意向と参画可否を確認する | 連絡待ちで止まる。候補者が1人だと断られた時点で振り出しに戻る |
| 4. スキルシートの整備 | 案件要件に合わせて経歴の見せ方を整え、提出用に整形する | 最新の経歴が反映されておらず、本人への確認からやり直す |
| 5. 提案・面談調整 | 顧客に提出し、面談日程を調整する | 提出が遅れると他社の候補者で枠が埋まる |
| 6. 契約・参画 | 条件を確定し契約を結ぶ | 単価・契約条件の社内確認に時間がかかる |
工程ごとの詳しい進め方は要員提案の流れやおすすめの管理方法を解説【SES営業向け】をご覧ください。この記事では、とくに時間を食う2と4を速くする方法に絞って解説します。
SES営業の提案をスピードアップさせる5つのコツ

1. エンジニア情報を1か所に集め、営業全員が同じものを見る
スキル・資格・業務経歴・現在のアサイン・参画終了予定を1つのデータベースにまとめます。営業ごとのExcelをなくし、「ここを見れば最新」という場所を1つに決めることが出発点です。更新は本人と上長が行う形にすると、営業が経歴を聞き直す手間がなくなります。
2. スキルと空き時期で検索できる状態にする
「Javaの経験3年以上で、来月から空く人」という条件で候補者が出てくる仕組みを作ります。スキルの項目を自社で細かく定義し(言語・フレームワーク・工程・業種)、稼働状況と同じ画面で見られるようにすると、工程2が数時間から数分に縮まります。
3. 引き合いの受け方をテンプレート化する
案件情報を受け取る段階で、必須スキル・歓迎スキル・期間・単価帯・勤務地・リモート可否・面談回数を必ず聞く項目として決めておきます。要件が揃っていれば候補者の抽出条件がそのまま決まり、「合わない人を出して差し戻される」往復が減ります。
4. スキルシートを自動で出力できるようにする
登録済みのスキルと経歴から、提出用の業務経歴表をExcelで出力できる状態にしておくと、工程4がほぼなくなります。案件に合わせて強調したい経歴を上に移す程度の調整で済み、本人に経歴を聞き直す必要もありません。
5. 候補者は複数出し、先読みで動く
1件の引き合いに対して候補者を2〜3人用意しておくと、本人の意向確認で1人に断られても止まりません。また、参画終了予定が見えていれば「来月空く人」を先に把握でき、引き合いが来てから探すのではなく、空く人に合う案件を取りに行く動きができます。提案の速さは、引き合いが来てからの速さだけでなく、来る前の準備で決まります。
提案スピードを上げるツールの選び方
1〜5をExcelとメールで実現するのは難しく、多くのSES企業がスキル管理・アサイン管理ツールを使っています。選ぶときの基準は次の4つです。
| 基準 | 確認すること |
|---|---|
| スキル項目を自社で設計できるか | 言語・工程・業種など、自社の提案で使う粒度で項目を作れるか。既存のExcelの項目を移せるか |
| スキル×稼働で検索できるか | 「このスキルで、この時期に空く人」を1回の検索で出せるか |
| スキルシートを出力できるか | 登録情報から提出用の業務経歴表をExcelで出せるか |
| 本人が更新できるか・権限を分けられるか | エンジニア本人が経歴を更新でき、単価など見せたくない項目を営業以外に隠せるか |
勤怠・請求まで含めた多機能なツールより、提案の工程2と4に効く機能が揃っているかで選ぶと、導入後に使われないリスクが下がります。
提案候補者の検討を60分から5分に短縮した「fapi」

fapiは、株式会社エフ・ディー・シーが自社のSES営業で使うために開発した、スキル管理とアサイン管理を一元化するクラウドツールです。自社では、提案候補者の検討にかかる時間を60分から5分に短縮しました。
| コツ | fapiでの実現方法 |
|---|---|
| 1. 情報を1か所に | スキル・経歴・アサイン状況をクラウド上で一元管理。本人・上長・営業がそれぞれ更新 |
| 2. スキル×空き時期で検索 | スコアリング検索で、要件に合い稼働に余力のある候補者を抽出 |
| 3. 引き合いのテンプレート化 | 案件情報を登録し、案件側から候補者を検討 |
| 4. スキルシート自動出力 | 登録情報から業務経歴表をExcel出力 |
| 5. 先読み | 参画終了予定とレポートで、来月空く要員を事前に把握 |
管理項目は自社で自由にカスタマイズでき、既存のExcelからの移行にも対応しています。ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2022を受賞し、ISO9001/ISO27001を取得した企業が開発・運用。IT導入補助金2025の対象ツールです。
まとめ
SES営業の提案が遅れる原因は、エンジニアのスキルと稼働状況が営業全員で共有できる形になっていないことにあります。情報を1か所に集め、スキル×空き時期で検索でき、スキルシートを自動で出せる状態にすれば、最も時間のかかる候補者抽出と資料整備が短縮されます。
引き合いの受け方をテンプレート化し、候補者を複数用意して先読みで動くことを加えれば、提案の速さは仕組みとして安定します。営業個人の努力に頼る前に、情報の持ち方から見直してみてください。

