工務店の職人が持つコツやノウハウを共有し、属人化解消や業務効率化を目的とした「ナレッジマネジメント」。
属人化解消や業務の効率化ができれば、高齢化や新人不足が叫ばれる建設業界を大きく改善することができます。
この記事では工務店がナレッジマネジメントを導入する目的や効果、導入ポイントをわたくしDXサービス事業推進部 佐々木舞美がこの機会に解説します。
人手不足や非効率な業務に悩まされる工務店の方は、ぜひ参考にしてみてください。
会社内で知識や情報を共有し、顧客とスムーズに商談を進められるおすすめ関連サービスも紹介します。
工務店・住宅業界のナレッジマネジメントとは?

ナレッジマネジメントとは個人が持つ「コツ」「カン」「ノウハウ」などを、企業・組織内で共有する経営手法です。
ナレッジには「知識」や「情報」といった意味があります。
業務や経験から生まれる知識や情報は、言語化して伝えることが難しく、社内で共有できていないケースが多いです。
会社で貴重なナレッジを共有できれば社員一人ひとりのレベルアップにつながり、仕事の質向上や業務効率化が図れます。
ここでは、ナレッジマネジメントを理解するための3つの要素について解説します。
- 暗黙知
- 形式知
- SECIモデル
暗黙知
「暗黙知」とは経験やノウハウ、カンといった言葉や図で表すのが難しいナレッジのことです。
例えばベテラン職人のカンやノウハウは、工務店で共有したい貴重な情報源と言えます。
形式知
「形式知」とは言葉や図で表現できるナレッジを意味します。
例えば、社内マニュアルや社内FAQが該当するでしょう。
形式知にする場合は、誰でも理解しやすいカタチに落とし込む必要があります。
SECI(セキ)モデル
SECIモデルは暗黙知を形式知に変換し、形式知同士を組み合わせて「新たな知識」を生み出す手法です。
SECIモデルはナレッジマネジメントの基本理論と言われ、4つのプロセスで構成されます。
- 共同化(Socialization)
- 表出化(Externalization)
- 連結化(Combination)
- 内面化(Internalization)
各プロセスの具体的な方法は以下の通りです。
プロセス | 具体的な方法 |
共同化 | 暗黙知を体験して共有するプロセスのこと |
表出化 | 共同化から得た暗黙知を言葉や図にして共有するプロセスのこと |
連結化 | 表出化した形式知と既存の形式知を組み合わせて新たな形式知にするプロセスのこと |
内面化 | 連結化した形式知を社員一人ひとりが体得するプロセスのこと |
SECIモデルでは上記のプロセスを何度も繰り返して、個人の知識や技術のスキルアップを目指します。
結果的に企業全体の知識資産が増大し、組織力を高められます。
工務店のナレッジマネジメント導入の目的と効果

全社員のスキルを向上するため
工務店でナレッジマネジメントを導入すれば、全社員のスキルアップが図れます。
本来、ベテラン職人のカンやノウハウを言語化することが難しく、工務店での共有は困難でした。
ナレッジマネジメントシステムはマニュアルで手順や考え方を学べるので、職人の技術を効率的に吸収できます。
また、知識や情報を簡単に検索・応用できるため、若手社員の育成もスピーディーに行えます。
事故を防止するため
ナレッジマネジメントの導入は、工務店で働く社員の安全を守ることができます。
工務店をはじめ、建設業界は労働災害による死亡事例がもっとも多い業界です。
業務上の失敗やミスといった情報を教訓にすることで、事故の防止につながります。
属人化を解消するため
「業務の属人化」と「社員の高齢化」は工務店が抱える大きな課題です。
ナレッジマネジメントの活用は、属人化の解消につながる重要な要素と言えます。
属人化とは特定の人しか業務をこなせない状態にあることを指し、以下のデメリットがあります。
- 特定の人が休んだり退職したりすると業務が回らなくなる可能性がある
- 業務に取り組める人が決まっていて業務が非効率になる
- 業務スピードが下がる
工務店は業務の専門性が高く情報共有のフローが整っていないことから、属人化が起こりやすいです。
ナレッジマネジメントによって全社員でスキルを共有すれば、トラブルに対応しやすくなり業務を効率化できます。
業務スピードを向上するため
ナレッジマネジメントでスキルアップの実現や属人化を防止できれば、業務スピードを劇的に改善できます。
顧客対応のスピードや新人の戦略化スピードをアップできるので、導入するメリットは大きいと言えるでしょう。
ツールを導入する場合は、必要な情報に簡単にアクセスできるものを選んでください。
ナレッジマネジメント導入のポイントと課題

導入する目的を明確にする
工務店でナレッジマネジメントを導入する際は、目的をはっきりと決めてください。
なぜなら、目的によって共有するポイントが異なるからです。
ナレッジマネジメントは規模が大きくなるほど運用が難しくなります。
自社にとってプラスになるスキルやノウハウの共有を、少しずつ始めていくことをおすすめします。
モバイル端末で利用できるツールを導入する
ナレッジマネジメントツールはモバイル端末に対応したものを選んでください。
実際、工務店より現場で使う機会が多く、スマホやタブレットへの対応は必須と言えるでしょう。
モバイル端末へ非対応だと、工務店で作業をする必要があり面倒です。
モバイル対応は移動時間などの隙間時間を有効に活用することにつながります。
誰でも使えるようなツールを導入する
ナレッジマネジメントツールは高齢の社員でも使いやすいツールを選びましょう。
国土交通省「建設産業の現状と課題(平成27年)」によると、工務店が属する建設業の55歳以上の割合は、33.8%にも上ります。
経営者や管理者だけではなく現場にもヒアリングして、シンプルな操作性のツールを探してみてください。
誰でも使えるようなツールを導入する
ナレッジマネジメントツール導入後は、使い方がわからないといったトラブルが起こるもの。
サポート体制が不十分な場合、すぐに回答がもらえないなど業務に支障が出ることがあります。
ナレッジマネジメントツールによっては無料トライアルがありますので、工務店へ導入する前に使い勝手を試してみてください。
工務店でナレッジ共有するためのオススメツール「plantable」

工務店で社員同士および顧客とナレッジを共有できるツールが「plantable(プランテーブル)」です。
プランテーブルは工務店との共同開発で生まれたコミュニケーションアプリで、工務店や顧客の悩みを解決します。
プランテーブルの導入によって得られる主な効果は、以下の3つです。
- 図面とコメントの連動・イメージ共有で誤解を防ぎ、認識のズレをゼロに!
- リアルタイムで要望を管理し未対応事項を明確に!
- 必要書類・情報を一元化。業務工数を短縮し社内共有もスムーズに!
プランテーブルのコンセプトは、工務店と顧客の間で起こる「言った言わない問題」を解決すること。
「言った言わない問題」が起こる原因は、社内でナレッジが共有できていないことや顧客との認識のズレにあります。
プランテーブルは図面にコメントを残したり未対応情報を通知したりと、工務店と顧客双方で確認や書き込みが可能です。
カスタマイズ性が高く必要な情報に絞って表示できるため、高齢の社員でも安心して利用できます。
コメントも簡単に見返せるので、ナレッジマネジメントのように知識共有やスキルアップに役立ててください。
プランテーブルで顧客との接点を増やし、最適な提案や業務の効率化を目指しましょう。
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まとめ
この記事では「全社員スキルアップ」「事故の防止」「属人化解消」が可能となる、ナレッジマネジメントについて解説しました。
社員の高齢化や属人化に悩む工務店はナレッジマネジメントを導入し、早めにノウハウや知識を共有することが大切です。
ナレッジマネジメントを活用してスキルの維持や伝承を行い、強い組織を目指してください。