エンジニアのリソース管理表は、会社や管理者にとってプロジェクトの成功を左右する重要なツールです。

ITエンジニアや社員のスキル管理ツールfapi(ファピ)を提供する(株)FDCの佐々木舞美が、実務経験をもとに効率的なリソース管理表の作成方法を解説します。

本記事を読むことにより、エンジニアのスキルやアサイン状況を可視化し、プロジェクトへの最適な人材配置を実現するために必要な項目と作成手順知ることができ、リソース管理表を適切に運用することで、アサイン検討時間を大幅に短縮し、チーム全体の生産性を向上させることができるようになるでしょう。

エンジニアにとってのリソース管理表の重要性

エンジニアのリソース管理表は、単なる人員配置表ではありません。技術者のスキル、稼働状況、プロジェクト経験を一元管理し、組織全体の人的リソースを最適化するための戦略的ツールです。

2025年現在、多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する中、エンジニアのスキルと稼働状況を正確に把握することは、競争力を維持するために不可欠となっています。リソース管理表を活用することで、プロジェクトマネージャーは適材適所の人材配置を迅速に行い、プロジェクトの成功確率を高めることができます。

リソース管理表がもたらす3つのメリット

  • アサイン検討時間の大幅短縮:全社員のスキルと稼働状況が一目で把握できるため、最適な人材を迅速に選定できます
  • プロジェクト品質の向上:各エンジニアの得意分野とスキルレベルを考慮した配置により、プロジェクトの品質が向上します
  • 人材育成の最適化:スキルの偏りや不足を可視化することで、計画的な人材育成が可能になります

エンジニア専用リソース管理表に入れ込むべき15の必須項目

エンジニアのリソース管理表には、技術者特有のスキル情報やプロジェクト経験を詳細に記録する必要があります。以下では、実務で必須となる15の項目を詳しく解説します。

基本情報(3項目)

項目名記載内容重要度
社員ID・氏名社員を一意に識別するID番号と氏名必須
所属部署現在の所属組織・チーム名必須
社員区分正社員、契約社員、パートナー企業など雇用形態必須

基本情報は、リソース管理表の土台となる項目です。特に社員IDは重複のない一意の識別子として設定し、データベース管理の基準とします。所属部署は組織改編時にも更新しやすいよう、明確な命名規則を設けることが重要です。

技術スキル情報(5項目)

項目名記載内容管理のポイント
プログラミング言語習得している言語とスキルレベル(Java、Python、C#など)レベルは5段階評価で記録
フレームワーク・ライブラリ使用経験のあるフレームワーク(Spring、React、Djangoなど)実務経験の有無も記載
データベース操作可能なDB(MySQL、PostgreSQL、Oracle、MongoDB など)設計経験の有無も含める
インフラ・クラウドAWS、Azure、GCPなどクラウドサービスの構築・運用経験認定資格も併記
開発ツール・環境Git、Docker、Jenkins、CI/CDツールなどの使用経験チーム開発での実務経験を重視

技術スキル情報は、エンジニアリソース管理表の核となる項目です。スキルレベルは「未習得」「基礎レベル」「応用レベル」「指導可能レベル」「エキスパート」の5段階で評価すると、プロジェクトへのアサイン判断がしやすくなります。また、最終使用時期も記録しておくことで、スキルの鮮度を把握できます。

業務経験情報(4項目)

項目名記載内容活用場面
プロジェクト経歴過去のプロジェクト名、期間、役割、担当業務類似案件へのアサイン検討
開発工程経験要件定義、設計、実装、テスト、運用保守の経験工程別の人材配置
業界知識金融、医療、製造、小売など業界ドメイン知識業界特化型案件のアサイン
チームリーダー経験PM、PL、リーダー経験の有無とチーム規模マネジメント人材の配置

業務経験情報は、技術スキルだけでは判断できない実務能力を示す重要な指標です。特にプロジェクト経歴は時系列で整理し、直近3年間の案件を重点的に記録することで、現在のスキルセットとの整合性を保つことができます。

稼働・アサイン情報(3項目)

項目名記載内容更新頻度
現在のアサイン状況現在参画しているプロジェクト名、稼働率、期間週次または月次
今後のアサイン予定確定している次期プロジェクトと開始時期プロジェクト確定時
稼働可能時期新規プロジェクトへのアサイン可能となる時期週次

稼働・アサイン情報は、リアルタイム性が求められる項目です。特に稼働可能時期の情報は、新規案件の受注判断や見込み案件へのアサイン検討において極めて重要です。クラウドツールを活用することで、この情報を常に最新の状態に保つことができます。

エンジニア専用リソース管理表の効率的な作り方

リソース管理表を作成する際は、運用の継続性と情報の鮮度を保つことが最も重要です。以下のステップで効率的に作成しましょう。

ステップ1:管理目的の明確化

まず、リソース管理表を何のために作成するのか、目的を明確にします。プロジェクトへのアサイン検討なのか、スキルの可視化なのか、人材育成計画の策定なのか、目的によって必要な項目が変わってきます。

  • アサイン管理重視:現在の稼働状況と稼働可能時期を詳細に管理
  • スキル管理重視:技術スキルの詳細な記録とスキルマップの作成
  • 人材育成重視:スキルギャップの分析と育成計画の策定

ステップ2:管理項目の選定とテンプレート作成

前述の15項目を基準に、自社の業務に必要な項目を選定します。項目が多すぎると更新が負担になり、少なすぎると必要な情報が得られません。まずは必須項目から始め、運用しながら段階的に項目を追加していくアプローチが効果的です。

Excelで作成する場合は、以下の構成がおすすめです。

  1. シート1:基本情報とスキル情報を一覧化
  2. シート2:現在のアサイン状況をガントチャート形式で可視化
  3. シート3:個人別の詳細なプロジェクト経歴
  4. シート4:スキルマップ(スキル×人材のマトリクス表)

ステップ3:初期データの登録

テンプレートが完成したら、既存社員の情報を登録します。この際、一度にすべての項目を完璧に埋めようとせず、基本情報と重要度の高い項目から段階的に入力していくことが継続のコツです。

データ登録時のポイントは以下の通りです。

  • 社員本人に自己申告してもらう項目と、上司が評価する項目を分ける
  • スキルレベルの評価基準を明文化し、全社で統一する
  • プロジェクト経歴は直近案件から優先的に記録する

ステップ4:更新ルールと運用体制の確立

リソース管理表の最大の課題は、情報の鮮度を保つことです。更新頻度、更新担当者、更新タイミングを明確に定め、組織全体で運用ルールを共有することが不可欠です。

情報種別推奨更新頻度更新担当
基本情報変更時人事部門
技術スキル四半期ごと本人と上司
稼働状況週次プロジェクトマネージャー
プロジェクト経歴案件終了時本人

Excelとクラウドツール、どちらを選ぶべきか

リソース管理表の運用には、Excelとクラウド型のスキル管理ツールという2つの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、組織の規模や運用体制に合わせて選択しましょう。

Excelでのリソース管理表作成

メリット

  • 初期費用がかからず、すぐに始められる
  • 自由にカスタマイズでき、独自の項目を追加しやすい
  • 既存の業務フローに組み込みやすい

デメリット

  • 複数人での同時編集が困難で、バージョン管理が煩雑になる
  • データの検索・抽出機能が限定的で、大規模データの分析が難しい
  • リアルタイムでの情報共有ができず、情報の鮮度が低下しやすい
  • ファイルの破損リスクやセキュリティ面での懸念がある

クラウド型スキル管理ツールの活用

社員数が100名を超える企業や、複数のプロジェクトを並行して管理する組織では、専用のクラウドツールの導入が業務効率を大幅に改善します。

クラウドツールの主な利点

  • リアルタイムでの情報共有と更新が可能
  • 強力な検索・絞り込み機能により、条件に合うエンジニアを瞬時に抽出
  • 権限設定により、閲覧・編集できる情報を柔軟に制御
  • データの自動集計・分析機能でスキルマップやレポートを簡単に作成
  • アサイン状況から業務経歴表への自動連携が可能

スキル管理・アサイン管理ツール「fapi」の特徴

ITエンジニアのスキル管理とアサイン管理に特化したクラウドツール「fapi(ファピ)」は、エンジニアリング企業の実務経験から生まれたツールです。

fapiが選ばれる3つの理由

1. エンジニアに最適化された管理項目

技術スキル、プログラミング言語、フレームワーク、業務経験など、エンジニアに必要な情報を体系的にツリー形式で管理できます。導入企業ごとに必要な項目を自由にカスタマイズでき、独自のスキル管理体系を構築できます。

2. 強力なアサイン検討機能

スキル条件と稼働状況を組み合わせた横断検索により、プロジェクトに最適な人材を瞬時に抽出できます。見込み案件の候補者管理にも対応し、将来のアサイン計画を効率的に立案できます。

3. 業務経歴表の自動生成

アサイン状況から業務経歴表を自動生成でき、SES営業での提案資料作成時間を大幅に短縮します。企業独自の雛形でExcel形式での出力が可能です。

リソース管理表の運用を成功させる5つのポイント

リソース管理表を作成しても、適切に運用されなければ意味がありません。以下の5つのポイントを押さえて、継続的な運用を実現しましょう。

ポイント1:更新の負担を最小化する仕組み作り

情報更新の負担が大きいと、運用が継続できません。定期的な一括更新依頼機能や、個別の更新依頼機能を活用し、社員が自分のスキル情報を簡単に更新できる環境を整えましょう。

ポイント2:権限設定による情報セキュリティの確保

社員の個人情報やスキル情報は慎重に扱う必要があります。閲覧・編集権限を適切に設定し、必要な人だけが必要な情報にアクセスできるようにします。

ポイント3:スキルレベル評価基準の統一

評価者によってスキルレベルの判断基準が異なると、データの信頼性が低下します。全社で統一された評価基準を設け、具体的な判断指標を明文化することが重要です。

ポイント4:データの可視化と活用促進

蓄積したデータをスキルマップやレポートとして可視化し、経営判断や教育計画に活用します。データを「見える化」することで、組織のスキル状況や人材配置の最適性を客観的に評価できます。

ポイント5:定期的な見直しと改善

業務環境や技術トレンドの変化に応じて、管理項目や運用ルールを定期的に見直します。四半期ごとに運用状況を振り返り、改善点を洗い出すサイクルを確立しましょう。

まとめ:効果的なリソース管理でプロジェクト成功率を高める

エンジニア専用のリソース管理表は、適材適所の人材配置とプロジェクトの成功に不可欠なツールです。基本情報、技術スキル、業務経験、稼働状況の15項目を適切に管理することで、アサイン検討時間を大幅に短縮し、プロジェクトの品質向上と人材育成の最適化を同時に実現できます。

小規模な組織ではExcelでの管理からスタートし、組織の成長に応じてクラウド型ツールへ移行するのが現実的なアプローチです。特に社員数が100名を超える企業では、専用ツールの導入が業務効率を飛躍的に向上させます。

fapiに興味がある方はぜひお気軽お問い合わせください。