SES事業の効率化において、案件と要員のマッチング業務は最も時間とコストがかかる業務の一つです。
今回はITエンジニアや社員のスキル管理ツールfapi(ファピ)を提供する(株)FDCの佐々木舞美が、2025年最新のSESマッチングツール・プラットフォームを厳選してご紹介します。
本記事では、管理・効率化に特化したツールから、マッチングプラットフォームまで、実務に即した視点で各ツールの特徴や機能を詳しく解説していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
SESマッチングツール導入のメリット
SESマッチングツールは、システムエンジニアリングサービス事業における案件獲得と人材調達を効率化するための支援ツールです。従来はExcelやメールで管理していた案件情報や要員情報を一元管理し、最適なマッチングを支援します。
SESマッチングツールの主な機能
- 案件情報・要員情報の一元管理
- スキルや条件に基づく自動マッチング機能
- 業務経歴書(スキルシート)の自動生成
- 商談進捗管理・アサイン状況の可視化
- 契約書・請求書などの帳票管理
導入によるメリット
SESマッチングツールを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 業務効率化 | メール処理や情報整理の時間を大幅削減 |
| マッチング精度向上 | AIやシステムによる高精度なマッチング |
| 情報の一元管理 | 属人化を防ぎ、組織全体で情報共有 |
| 稼働率の向上 | エンジニアの空き時間を最小化 |
【管理・効率化】おすすめSESマッチングツール3選
まずは、社内の要員管理やアサイン業務を効率化する管理系ツールをご紹介します。これらのツールは自社エンジニアのスキル管理やプロジェクトへのアサイン検討を強力にサポートします。
fapi(ファピ)

fapiは、株式会社FDCが提供するスキル管理・アサイン管理支援に特化したクラウドツールです。システム開発・SES受託企業が監修しており、実務に即した機能設計が特徴です。
主な機能
- 社員のスキル・アサイン状況のリアルタイム可視化
- 部署横断での要員検索機能
- 業務経歴表の自動生成(Excel出力対応)
- プロジェクトへのアサイン候補者検索
- スキルマップ機能による人材育成支援
- API連携機能(Ver3.0以降)
特徴と強み
fapiの最大の特徴は、導入企業ごとに管理項目を自由にカスタマイズできる柔軟性です。2025年にリリースされたVer3.0では、操作性が大幅に向上し、スキルマップ機能やAPI連携機能が追加されました。ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2022を受賞しており、品質と信頼性も確保されています。
また無料でトライアルができるのも大きなメリットです。
料金プラン
| プラン | 料金 | 特徴 |
|---|---|---|
| Minimum | 300円/月・人 | 最低契約人数なし、QAサポート年6回 |
| Standard | 400円/月・人 | 最低100名、QAサポート無制限 |
| Premium | 800円/月・人 | 最低100名、全機能利用可能 |
※初期費用:500,000円
ようかん

ようかんは、株式会社エス・ジーが提供するSES営業に特化した要員管理アプリケーションです。Salesforce Platform上で動作するクラウドサービスとなっています。
主な機能
- 要員とプロジェクトの情報をクラウドで一元管理
- 要員の稼働状況確認・空き要員検索
- 案件と要員のマッチング機能
- 売上状況確認機能
- 技術経歴書作成機能
- 請求書作成機能
特徴と強み
ようかんは、少人数のSES企業向けに特化した設計が特徴です。要員管理と請求業務に注力しており、エンジニアや営業の人数が少ない企業でも使いやすい仕様となっています。2025年3月にはVer5.0がリリースされ、機能がリニューアルされました。
公式サイト:ようかん公式サイトはこちら
SESクラウド(エスクラ)

SESクラウドは、SES業務に特化したCRMツールとして、マッチング機能と帳票管理機能を一元化したシステムです。
主な機能
- 要員・案件管理機能
- システムマッチング機能
- SES契約に必要な各種帳票の一元管理
- 見積書・注文書・請求書の作成・管理
- 契約情報の一元管理
- 取引先情報・担当者情報の管理
- メール送信機能(案件・要員情報の配信)
特徴と強み
SESクラウドの最大の特徴は、営業機能とバックオフィス機能を統合している点です。マッチング機能により業績向上を図りながら、同時にバックオフィスの業務負荷を軽減し、経費削減にも貢献します。システムマッチングにより、業務負担を約1/3に軽減できるとされています。
公式サイト:SESクラウド公式サイトはこちら
【プラットフォーム】おすすめSESマッチングサービス5選
続いて、案件探しや要員調達を支援するマッチングプラットフォームをご紹介します。これらのサービスは、社外との商談機会を創出し、新規取引先の開拓を支援します。
SESBoard

株式会社FloBoardが提供するSES事業者向けのERPシステム「SESBoard」です。小規模システム開発会社・SES会社での使用に特化しています。
主な機能
- 案件・要員のマッチング機能
- 提案進捗管理
- アフターフォロー機能
- 受発注手続き管理
- 経理データ連携
- 社員給料計算機能
- 弥生データ連携
特徴と強み
FloBoardは、マッチングから経理処理まで幅広い業務をカバーするERPシステムとして展開しています。小規模事業者でも導入しやすい設計となっており、業務の一気通貫管理が可能です。
公式サイト:SESBoard公式サイトはこちら
WhiteBox(ホワイトボックス)

WhiteBoxは、株式会社WhiteBoxが提供するSES・受託向けの無料マッチングプラットフォームです。2025年7月にはAI自動マッチングサービス「TalentSync」のクローズドβ版もリリースされています。
主な機能
- 案件検索・エンジニア検索機能
- スキルシート管理(統一フォーマット)
- マッチング自動推薦機能
- 契約・請求処理の一元管理
- 案件情報・人材情報の掲載
- AI自動マッチング機能(TalentSync)
特徴と強み
WhiteBoxの最大の特徴は、案件探しから成約まですべて無料で利用できる点です。2025年6月時点で常時500案件、登録エンジニア2万人を超える規模となっており、豊富なマッチング機会を提供しています。生成AIを活用したマッチングシステムにより、単価・商流・スキルなどを考慮した最適なマッチングが可能です。
対象プラン
- SIerプラン:大手SI企業向け
- パートナープラン:SES事業者向け
- フリーランスプラン:個人エンジニア向け
ITなびSES

ITなびSESは、株式会社SYSTEM LINKSが提供する成功報酬型のSESマッチングツールです。東京23区内を中心に展開しています。
主な機能
- 案件検索・人材検索機能
- 待ち・探しの2つのアプローチ方法
- 成功報酬型の料金体系
- 名刺交換会の定期開催(日本橋オフィス)
- 無料会員・有料会員制度
特徴と強み
ITなびSESは、東京23区内の1万社を超えるIT企業の案件情報を扱っています。成功報酬型のため、初期投資を抑えて導入できる点が魅力です。また、定期的な名刺交換会を開催しており、オンラインだけでなくリアルな商談機会も提供しています。
公式サイト:ITなびSES公式サイトはこちら
CloudMeets(クラウドミーツ)

CloudMeetsは、株式会社itoqが提供するSES営業向けの無料プラットフォームサービスです。2025年1月にはデザインを全面リニューアルし、使いやすさが向上しました。
主な機能
- ビジネスパートナーマッチング機能
- タイムラインでの情報交換
- 1対1のセキュアなDM機能
- タグ機能による案件・エンジニア検索
- カレンダー予約機能
- 情報交換申請機能(1日3人まで無料)
- 投稿削除機能
特徴と強み
CloudMeetsは、SNS型のインターフェースを採用しており、直感的な操作が可能です。登録者数は5,180名以上、ビジネスパートナーマッチング数は55,450組以上の実績があります。完全審査制のため、安心安全に利用できる環境が整っています。情報交換の申請も承認もボタン1つで完了し、アナログの営業手法に比べて新規訪問が格段に簡単になります。
公式サイト:CloudMeets公式サイトはこちら
SES_HUB(エスイーエスハブ)

SES_HUBは、Hit me up株式会社が運営するSES業務に特化したSaaS型営業支援ツールです。AI(NLP:自然言語処理)を活用した自動化機能が特徴です。
主な機能
- 案件・人材情報の登録・管理
- AI(NLP)による情報自動入力機能
- リコメンドAIによる自動マッチング
- 情報検索機能
- 問い合わせ機能(1提案/秒の高速提案)
- アナリティクス機能(データ解析)
- 外部出力機能
- アクティビティ機能
特徴と強み
SES_HUBの最大の特徴は、AI(自然言語処理)を活用した営業情報の自動入力機能です。様々なフォーマットをAIが自動変換・入力するため、営業工数を大幅に削減できます。また、業界初のエンジニア目線でのフォーマット化を実現しており、誰でも再現度の高い営業活動が可能です。データベース内では営業情報をリアルタイムで可視化でき、ダイレクトセールス前に問い合わせ先との相性まで把握できます。
料金プラン
無料プランと有料プランがあり、有料プランではすべての機能が利用可能です。※2025年10月現在、新規登録・有料会員加入を一時停止中(再開は2025年冬頃予定)
公式サイト:SES_HUB公式サイトはこちら
SESマッチングツールの選び方

多数のSESマッチングツールの中から、自社に最適なツールを選ぶためのポイントをご紹介します。
目的を明確にする
まずは導入目的を明確にしましょう。
- 社内の要員管理・アサイン業務を効率化したい→管理系ツール(fapi、ようかん等)
- 新規案件や要員の獲得を強化したい→プラットフォーム系(WhiteBox、CloudMeets等)
- 両方の機能が必要→複合型ツール(SESクラウド、FloBoard等)
企業規模に合わせる
| 企業規模 | おすすめツール | 理由 |
|---|---|---|
| 小規模(~50名) | ようかん、FloBoard | 少人数でも使いやすい設計 |
| 中規模(50~200名) | fapi、SESクラウド | 柔軟なカスタマイズ性 |
| 大規模(200名以上) | fapi Premium、WhiteBox | 大量データの管理機能 |
コストパフォーマンスを考慮する
初期費用、月額費用、成功報酬など、費用体系を総合的に評価することが重要です。
- 無料で始めたい:WhiteBox、CloudMeets、ITなびSES z
- 段階的に機能を拡張したい:fapi(Minimumプランから)
- 成功報酬型が良い:ITなびSES
AI機能の有無を確認する
2025年現在、AI機能を搭載したツールが増加しています。
- WhiteBox:AI自動マッチング(TalentSync)
- SES_HUB:NLPによる自動入力、AIリコメンド
- SESクラウド:システムマッチング機能
サポート体制を確認する
導入後のサポート体制も重要な選定ポイントです。
- QAサポートの回数制限
- 定期面談の有無
- 導入時のレクチャー内容
- マニュアルの充実度
導入時の注意点
SESマッチングツールを導入する際の注意すべきポイントをまとめます。
データ移行の計画を立てる
既存のExcelやシステムからのデータ移行は、導入時の大きな課題です。データのクレンジングや整理を事前に行い、スムーズな移行を実現しましょう。
社内への浸透施策を考える
ツールを導入しても、社員が使いこなせなければ効果は半減します。
- 導入説明会の実施
- マニュアルの整備
- キーマンの設定
- 段階的な機能展開
セキュリティ対策を確認する
人材情報や案件情報は機密性の高いデータです。各ツールのセキュリティ対策を必ず確認しましょう。
- データの暗号化
- アクセス権限の設定
- バックアップ体制
- ISO認証の取得状況
無料トライアルを活用する
多くのツールは無料トライアルや無料プランを提供しています。実際に操作感を確認してから本格導入することをおすすめします。
最新SESマッチングツールのトレンド

最新SESマッチングツール市場には、以下のようなトレンドが見られます。
生成AIの活用拡大
生成AIを活用したマッチングシステムが急速に増加しています。「SES Tech カオスマップ 2025」によると、AIマッチングツールが最も増えたカテゴリーとなっています。
プラットフォームの統合化
マッチング機能だけでなく、契約管理、請求管理、スキル管理など、複数の機能を統合したオールインワン型ツールが主流になりつつあります。
リアルとオンラインの融合
ITなびSESやCloudMeetsのように、オンラインツールとリアル交流会を組み合わせたハイブリッド型のサービスが増加しています。
フリーランス対応の進化
WhiteBoxのフリーランスプランなど、個人エンジニアも参加できるプラットフォームが拡充されています。
まとめ
2025年最新のSESマッチングツール・プラットフォーム7選をご紹介しました。
管理・効率化に特化したツールとしては、fapi、ようかん、SESクラウド、FloBoardがあり、それぞれ企業規模や目的に応じた特徴を持っています。マッチングプラットフォームとしては、WhiteBox、ITなびSES、CloudMeets、SES_HUBが、案件獲得や要員調達を強力にサポートします。
ツール選定の際は、以下のポイントを押さえましょう。
- 導入目的を明確にする(社内管理 or 案件獲得)
- 企業規模に合ったツールを選ぶ
- コストパフォーマンスを総合的に評価する
- AI機能やサポート体制を確認する
- 無料トライアルで実際の操作感を確認する
SES事業の効率化と業績向上のため、自社に最適なSESマッチングツールを選定し、DXを推進していきましょう。多くのツールは無料トライアルや無料プランを提供していますので、まずは気軽に試してみることをおすすめします。
