プロジェクトマネジメントの世界標準となっていることから、PMBOKを導入している企業は多いでしょう。
PMBOKのメリットは知っていても、具体的なプロセスや注意点を知らない方もいらっしゃるかと思います。
この記事では、PMBOKに基づく要員管理の4つのプロセスを解説します。
要員管理の効率性を高めるおすすめツールも紹介しますので、管理者の方はぜひ参考にしてみてください。
PMBOKとは?

PMBOK(ピンボック)とは、プロジェクトマネジメントに関する知識や手法を体系的にまとめたガイドブックで、現在の世界標準です。
アメリカの非営利団体「PMI」が1987年に発表したもので、PMBOKガイド第7版(2021年)が最新版となっています。
第7版では従来のPMBOKのプロセスベースから大きく変わり、プロジェクトマネジメントの原理・原則が掲載されています。
PMBOKの意義・目的

PMBOKの意義は大きく2つです。
- プロジェクトマネジメントを初めて体系化したこと
- プロセスをマネジメントするという重要性を説いたこと
従来のプロジェクト管理では要員管理を重視する人やコスト管理を考える人など、人によって管理内容がバラバラでした。
PMBOKは10の知識エリア・5つのプロセス・3つのパートに整理したことで、プロジェクトマネジメントの基礎を築いたのです。
さらに、QCD管理が中心だったプロジェクトマネジメントにおいて、目標達成までのプロセスもコントロール対象としました。
具体的には要員管理やスコープ管理、リスク管理などを明確なコントロール対象に定めています。
PMBOKの目的はQCDの達成だけではなく、管理項目などを含めた全体の最適化です。
PMBOKの活用メリット

PMBOKのメリットは、効率的にQCD(品質・費用・納期)を管理できることです。
プロジェクトに応じて必要なプロセスを選択することで、効率的にプロジェクトを進められます。
また、プロジェクトのプロセスそのものを管理することにも大きなメリットがあります。
PMBOKに基づく要員管理のプロセスとメリットは、後ほど詳しく解説するのでこのまま読み進めてみてください。
PMBOKの限界

PMBOKはあくまで知識体系であり、そのままでは現場で使えません。
PMBOKを現場で活用するためには、十分に理解した上で効率的なプロジェクトマネジメントツールを導入する必要があります。
また、PMBOKは単一のプロジェクトを対象にしていることも留意しておきましょう。
通常、プロジェクトは複数が同時に動いているものです。
複数のプロジェクトのマネジメントを行いたいときは、P2Mを参考にするのも1つの手です。
プロジェクトマネジメントが身に付く「PMP」とは?

PMPとは、PMIが認定しているプロジェクトマネジメント関連の国際資格です。
PMP試験はPMBOKガイドに基づいて実施され、プロジェクトマネジメントに関する一定水準のスキルを有しているかを判断します。
資格を取得するとプロジェクトマネジメントの技術や知識を客観的に証明できるため、評価上昇やキャリアアップの効果が見込めます。
なお、資格は1回取れば終わりではなく、一定期間ごとにCCRプログラムの履行義務があることを覚えておいてください。
PMBOKに基づく要員管理の4つのプロセス

ここでは、PMBOKに基づいた要員管理のプロセスについて解説します。
人的資源マネジメント計画
まずは、人的資源マネジメント計画書を作成します。
計画書には以下の内容を記載しましょう。
- リソース(ヒト・モノ・カネ)の特定・調達
- 役割と責任
- 要員マネジメント計画
マネジメントの方針が固まったら、スムーズに進行させるための項目を細かく設定します。
具体的には、以下の8項目を記載してください。
要員調達 | 調達先、コスト |
資源カレンダー | 作業期間、調達時期 |
要員ヒストグラム | 作業時間や要員数などのヒストグラム |
要員離任計画 | 要員の離任方法や時期 |
表彰・報酬 | 表彰方法と基準 |
トレーニング・強化計画 | スキル強化計画 |
法令遵守 | 遵守すべき法とその運用 |
安全 | 安全と健康などを考慮した方針 |
プロジェクト・チーム/メンバー編成
人的資源マネジメント計画書をもとに、プロジェクトに必要なスキルや能力を持つ人材を調達して、チームを編成します。
この際、人数が足りなかったりスキルが不足していたりすることもあるでしょう。
要員調達に問題がある場合は、内部だけではなく外部にも相談してチームへアサインします。
必要な人員が揃ったら、資源カレンダーに役割や期間などをまとめる作業です。
プロジェクト・チーム/メンバー育成
チームを編成しても、最初からパフォーマンスを最大限に発揮できるとは限りません。
仕事の進め方や個性の違うメンバーが、チームワークや生産性、モチベーションを向上できるようにトレーニングを実施します。
トレーニングにはタックマンモデルを採用して、以下の5段階の過程を経たうえでの成長を目指してください。
形成期 | プロジェクトやメンバーの状況を理解・把握する |
混乱期 | 意見交換により対立が発生する |
統一期 | お互いの役割が明確になり信頼関係が生まれる |
機能期 | 結束力がより強まってパフォーマンスが向上する |
散会期 | プロジェクトが完了してチームが解散する |
管理者は各メンバーの実績や成長したスキルをまとめて、次の要員管理に活かせるようにしましょう。
プロジェクト・チーム/メンバーマネジメント
プロジェクトチームのマネジメントは、パフォーマンスの確認と課題解決を行うプロセスです。
成熟していないチームでは、コンフリクト(衝突)が起こることがあります。
衝突や対立の解決には、コンフリクトマネジメントを実施します。
コンフリクトマネジメントとは、チーム内で生じた衝突をポジティブなものとして捉えて、解決を図ることです。
個人間の問題ではなく、チームの課題として認識するところがポイントです。
コンフリクトの解決は、以下の5つの要素に分けて考える必要があります。
強制 | 相手へ意見を押し通している状態 |
妥協 | 当事者が妥協できる案を模索する |
鎮静 | 同意できる意見を協調する |
協調 | 異なる意見を取り込む |
撤退 | 問題を先送りにする |
状況に応じて適切な手段を選択することで、早期に解消することが可能です。
プロジェクト管理における要員管理の方法

要員管理はプロジェクトに必要なスキルを持つ人材を調達して、適切に配置する手法です。
要員管理に用いられる「Excel管理」と「クラウドツール管理」の特徴・メリットを簡単に紹介します。
Excel管理
Excelによる要員管理は、操作に慣れていたりコストを抑えられたりするメリットがあります。
ただし、要員管理やアサイン状況をリアルタイムで把握できない、属人化しやすいといったデメリットも存在します。
従業員が多くなると動作が不安定になることがあることから、Excelで要員管理を行う際は50人以下を目安にしてください。
クラウドツール管理
クラウドツールは登録したスキル情報や最新のアサイン状況をもとに、適切なアサインを実現します。
クラウドツールのメリットは業務工数を大幅に削減し、本来の作業に集中できる点です。
「複数のプロジェクトを同時並行する」「50人以上の要員管理を行いたい」という場合は、クラウドツールの導入をおすすめします。
要員管理はクラウドサービスの利用がおススメ(スキル管理・アサイン管理支援ツールfapi)

「fapi」はクラウド型のスキル管理・アサイン管理ツールで、要員管理や人員配置を強力にサポートします。
要員管理に特化したシステム構成でデータ管理や情報共有の手間がかからず、スピーディーかつ正確なプロジェクトアサインを実現できます。
ツールの導入でプロジェクトの課題が解決された事例は以下のとおりです。
業務内容 | 今まで | fapi導入後 | 改善率 |
エンジニア情報の更新 | 30分 | 10分 | 67%削減! |
提案候補者の検討 | 60分 | 5分 | 92%削減! |
アサイン状況が見える化することで、マッチングの機会を損失せず人材稼働率100%を目指せます。
「fapi」では1ヶ月間の無料トライアルを実施しているので、操作性や機能をじっくりと検討できます。
まとめ
プロジェクトを成功させて利益を上げるには、PMBOKを活用した要員管理が重要です。
PMBOKにおける要員管理は、以下の4つのプロセスに分類されます。
- 人的資源マネジメント計画
- チーム編成
- チーム育成
- チームマネジメント
スピーディーかつ正確なアサインで利益を上げたい方は、ぜひクラウドツールの導入を検討してみてください。