少子高齢化やマイナスイメージなどの影響から、製造業の人手不足は年々深刻さを増しています。
この記事では厚生労働省や経済産業省などのデータをもとに、製造業の人手不足の実態や原因について解説します。
人手不足によって起こる影響をはじめ、今すぐできる対策法もお伝えするので、限られた人員で利益に結びつけたい方は参考にしてみてください。
製造業の人手不足の実態
医療・介護業界は人手不足が進んでいることで知られますが、その次に深刻なのが製造業です。
経済産業省・厚生労働省・文部科学省が共同で公表した「2022年版 ものづくり白書」によると、製造業の就業者数は約20年間で約157万人も減少しています。
全産業に占める製造業の就業者割合も約20年間で3.4ポイント減少しており、製造業の人手不足は他産業と比べて深刻化しているのが現状です。
同調査では、製造業の若者離れを示唆するデータも報告されています。
製造業就業者数は約157万人減少しているなか、34歳以下の若年就業者数は約121万人と大幅に減少していることがわかりました。
また、製造業における56.3%の企業が、事業に影響を及ぼす社会情勢の変化として、人手不足を挙げているのです。
出典:2022年版 ものづくり白書|経済産業省・厚生労働省・文部科学省
さらに厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和5年12月分及び令和5年分)について」では、2023年12月の製造業の有効求人倍率は1.74倍となっています。
全業界の平均が1.27倍だったことから、製造業界の人材確保の難しさを露呈した結果となりました。
出典:一般職業紹介状況(令和5年12月分及び令和5年分)について|厚生労働省
人手不足の3つの原因
1.労働人口の減少
総務省の「令和4年版高齢社会白書」によると、1995年に8,706万人いた生産年齢人口は、2020年に7,509万人にまで減少し、25年間で約1,200万人も減っていることが明らかになっています。
さらに2050年には5,275万人に推移すると予測されており、2020年からの30年間で約2,200万人も減少する見込みです。
労働人口の減少は今後加速することが予測され、人手不足に拍車がかからない状況です。
2.人材の流動化
求人サイト「Indeed」が20〜50代の就業中の男女計8,848人(日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、韓国)を対象にしたアンケートによると、日本の転職率は6割以下でした。
日本の仕事観として「仕事よりもプライベート優先」「仕事はあくまでお金を稼ぐため」、という回答が多いのが特徴です。
近年は大手企業が大量リストラを実施するなど、日本の終身雇用は崩壊しつつあり、今後も人材の流動化は止まらないでしょう。
3.後継者の不足
帝国データバンクの調査によると、2023年の後継者難倒産は564件発生し、前年476件を超えて過去最多を大幅に更新しています。
後継者難倒産とは、後継者不在のため事業継続の見込みが立たなくなったことなどに起因する倒産のことです。
近年は働き方が多様化したり労働人口が減少していたりするため、技術継承がうまくできず後継者が育ちにくい状況にあります。
そのため「後継者不足向けのマッチングサイトを利用する」「外部から人材を採用する」などの対策が重要視されています。
製造業が人手不足に陥る根本的な原因
製造業は「きつい」「汚い」「危険」という3Kの負のイメージから、就業を敬遠される傾向にあります。
例えば、3Kのイメージとは以下の通りです。
- 劇薬や油を使うので臭いや健康状態が気になる
- 夜勤や4勤2休で生活が不規則になる
- 切断機やプレス機など危険な作業を伴う
- 重量物を取り扱うので怪我をしやすい
工場によっては当てはまらない部分もありますが、ネガティブな先入観を持たれているのは確かです。
負のイメージを払拭することが、人手不足の抜本的な原因の解決策となるでしょう。
製造業の人材不足による影響
生産ラインの減少・削減につながる
製造業の人手不足は、生産ラインの減少・削減につながります。
受注があっても増産体制をとれないので、生産性が下がり利益率の低下を招く可能性が高いです。
利益が圧迫されると、設備投資や人材投資に回せる資金が足りなくなります。
結果的に売上はさらに低迷し、ゆくゆくは事業の縮小・倒産につながるでしょう。
企業の競争力が低下する
製造業の人手不足は、企業の競争力を低下させる原因になりかねません。
その理由は、本来専門的な業務を担う中堅・ベテラン社員が、新人が担当するような業務までも対応しなくてはいけないからです。
さらに別の従業員が業務を掛け持ちすれば、全社的に業務負担は増加してしまいます。
このような状況が続くと人材の成長機会が失われてしまい、企業の競争力は徐々に低下します。
製造業の人手不足を解消するための対策
多能工を育成する
製造業の人材不足対策として、多能工の育成が有効です。
多能工とは1人で複数の業務をこなせる人材のことで、マルチスキル、マルチタスクとも呼ばれます。
業務の切り替えロスが減るため、1人あたりの生産性をアップできるのがメリットです。
さらに人手不足の製造ラインへ配置したり、繁忙期に柔軟に対応できたりするでしょう。
人手不足のなか多能工を効率的に育成するには、スキルと資格、多能工が必要とされる業務の洗い出しから始めてみてください。
近年の製造業は多品種少ロット生産が主流になっていることからも、多能工の育成はマストといえます。
特に属人化している業務やコストが無駄にかかっている業務などは、優先的に多能工への対応を進めると良いでしょう。
DXを推進する
人手不足対策の有効な手段の1つに、DXの推進があります。
DXとはAIやICTといったデジタル技術のことで、人手不足や技術の継承といった課題解決に役立つ手法です。
例えば定型業務や単純作業はロボットに代替して自動化することで、業務の効率化を図れます。
コア業務に時間と人材を割けるようになるので、生産性向上や利益率アップに期待ができるでしょう。
DX化には導入・運用コストや教育研修が必要ですが、人手不足対策になるのは間違いありません。
ITツールの活用で人材不足に対処し会社の業務効率を上げる
製造業でITツールを活用すれば、人手不足に対処して業務効率をアップできます。
アメリカを中心とする好景気経済の影響で、製造業関連の受注数は増加傾向です。
需要は増えているものの、一朝一夕で人手不足は解決しません。
人手不足対策になるITツールとして、プロジェクト管理ツールやスケジュール管理ツール、ビジネスチャットツールなどが挙げられます。
ITツールを導入する際は何を解決したいのか目的を明確にしつつ、従業員から理解を得ることが大切です。
製造業の人手不足解決は力量管理から徹底
企業が人手不足解決に向けてやるべきこととして、力量管理の徹底があります。
力量管理とは従業員の保有スキルを把握して、会社運営に活かす取り組みのことです。
力量管理は従業員一人ひとりのスキルや特性、能力を可視化することで、人材配置や人材育成を最適化できるのがメリットです。
限りある人材のポテンシャルを引き出して多能工化を進めるためにも、力量管理ツールの導入を検討してみてください。
スキル管理・アサイン管理支援ツールfapiで人材配置の効率化
fapiはスキル管理・アサイン管理の側面から、製造業における人手不足を解決するITツールです。
前述した通り、力量管理は人手不足解決の土台になります。
fapiは集計したスキル情報から力量管理表を簡単に作成できるうえ、スキル項目を自由に設定できます。
スキル情報の細かな絞り込みと部署横断検索により、適切なメンバーをスピーディーに見つけられるでしょう。
実際に、fapiの導入で改善された業務効率化の事例を、いくつか紹介します。
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まとめ:【課題解決】製造業が人手不足になる人手不足の3つの原因を解説
製造業は医療・介護業界などに続き、人手不足が深刻化しています。
製造業の人手不足を解消する対策として、以下の方法が有効です。
- 多能工を育成する
- DXを推進する
- ITツールを活用する
製造業の人手不足は一朝一夕で解決するわけではないので、限られたリソースをいかに効率化するかが大切になります。
まずはツールを使って従業員の力量管理を行い、「多能工に育成できないか」「業務の無駄を省けないか」などを検討してみてください。