経済産業省の発表では、2030年には国内で約79万人のIT人材が足りなくなるといわれています。
この記事ではIT業界でエンジニアが人手不足になる原因と、IT人材不足の領域について解説します。
IT人材不足に対して企業が実施したい対策や、要員リソースを最大化する方法もお伝えするので、エンジニア不足に悩む方は参考にしてみてください。
将来日本のIT人材が不足するのは本当ですか?
2019年3月に経済産業省が公表した「IT人材需給に関する調査」によると、2018年を基準とした場合2030年には最大約79万人のIT人材が不足するとされています。
約79万人というデータは、IT需要の伸び率別に高位(約9〜3%)・中位(約5〜2%)・低位(1%)のシナリオの中から、高位シナリオをたどった場合の予測です。
また、同調査ではIT関連産業の従業者数は2018年の103万人から、2030年までには113万人へ拡大すると予測されています。
しかしながら、現状はDX需要の伸びに対して、従業者数が追いついていないのが現状です。
IT業界でエンジニアが人手不足な原因を解説
IT業界でエンジニアが人手不足な原因は、主に次の3つです。
- IT需要の拡大
- 労働人口の減少と少子高齢化
- IT技術の進歩
IT需要の拡大
IT業界でエンジニアが不足する原因は、IT需要の拡大です。
ご存知の通りIT市場は急成長を遂げており、需要は今後も拡大することが予想されます。
近年はリモートワークの普及や働き方改革の推進、AI分野の発展など、多角的な要因に伴ってIT市場が活発化しているのです。
また大企業ではシステムが不具合を起こさないように保守・管理が欠かせず、新システムへの移行も控えています。
他にも、農業・林業・漁業などITとは無関係に思える産業でも、IoTやITツールが導入されています。
産業・業界・分野を超えてIT需要は拡大しているため、今後もIT業界でエンジニア不足が続くでしょう。
労働人口の減少と少子高齢化
労働人口の減少と少子高齢化も、エンジニアが不足する原因の1つです。
ご存知の通り、日本は超少子高齢化社会に突入し、人口は減少の一途を辿っています。
パーソル総合研究所の調査によると、2030年には644万人もの人手不足になるとの予測がされました。
また、経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材の平均年齢は2030年までに上昇する見込みです。
労働人口減少と高齢化の2つの問題は、業界の人手不足をより深刻化しています。
IT技術の進歩
IT分野は進化のスピードが早く、先端技術を扱うエンジニアは常に不足しています。
IT技術の進歩についていくためには、知識のアップデートや実践が欠かせません。
しかしながら経済産業省の「IT人材に関する各国比較調査」で、「自主的に勉強している」と回答した日本のIT人材は、世界で最も低い結果になっています。
IT技術の進歩についていくため、企業が教育体制を整備したりモチベーション管理を進めたりする必要があるでしょう。
エンジニアが足りない分野は?
前出の「IT人材需給に関する調査」では、「先端技術」の分野において人手不足が懸念されています。
同調査では先端IT人材の定義を「AI やビッグデータ、IoT 等、第4次産業革命に対応 した新しいビジネスの担い手として、付加価値の創出や革新的な効率化等により生産性 向上等に寄与できる IT 人材」としています。
その他、先端技術にはDXやAR・VR、ロボットなども含まれるでしょう。
人手が最も足りない言語スキルは?
アクサス株式会社が実施した調査によると、人手が最も足りない言語スキルは「JavaScript」で、需要ギャップは-6.9%でした。
一方で「SQL(11.9%)」や「Python(8.0%)」などのデータベースを活用する言語スキルは、供給が需要を大きく上回っているのです。
同調査では「ビジネスにおけるデータ活用が重要視される昨今、データ抽出・加工ができるこれらの需要は高まっているため、将来的には求人の増加が見込まれている」と予測しています。
ちなみに、最も人手不足の職種は「プログラマー」で、競争倍率が高いことがわかります。
出典:「エンジニアの理想と実際の求人」に関する調査|アクサス株式会社
ITエンジニアが増えない理由は何ですか?
ITエンジニアが増えない理由として、IT業界にネガティブなイメージを抱く人が多いことが挙げられます。
華やかなイメージがあるIT業界ですが、以下のようなエンジニアの不満の声がネット上に寄せられて、一気に広まりました。
- 納期が短く、残業・休日出勤が多い
- クライアントの要求で何度も修正がある
- 納期に追われるプレッシャーがある
- 給料が安い
- プライベートと仕事の両立が難しい
近年は、働き方改革やITツールの活用により、労働環境は徐々に改善されつつあります。
しかしながら企業によっては従来の名残が残っており、新しいITエンジニアが増えない原因になっているのです。
IT人材不足に必要な対策
エンジニアの待遇を見直す
企業ができる人材不足対策として、人事評価の基準と給与の見直しがあります。
具体的には評価基準を公表し、スキルアップや成果に合わせて給与に適切に反映される体制が必要です。
他にも過度な時間外労働や休日出勤が発生している場合は、人員配置を最適化するなどしてワークライフバランスを実現を目指すことが望まれます。
海外人材を採用する
人口減少の背景などから、人材不足対策として海外人材の採用も有効です。
実際に経済産業省は優秀な高度外国人材を定着させるために、在留期間を無期限にしたり教育プログラムを推進したりしています。
多角的な視点でエンジニアを確保することが、企業の存続に大きく影響するといえるでしょう。
国が行っているIT人材不足の対策
IT人材不足は今後ますます深刻化していく恐れがあることから、国も対策に乗り出しています。
ここでは国が実施する、制度や政策の一例をまとめました。
制度・政策 | 管轄省庁 | 内容 |
小学校プログラミング教育の必修化 | 文部科学省 | スキルの取得ではなく、コンピュータを理解して活用する力を身につけるための教育 |
デジタル分野の人材育成重点化 | 各省庁 | 義務教育を修了した国民に向けて、デジタル人材を育成する施策 |
セキュリティ・キャンプ | 経済産業省 | 22歳以下の若者を対象に、合宿形式で情報セキュリティの講習を行う |
教育訓練給付制度 | 厚生労働省 | 指定の教育訓練を修了した際に受講費用の一部を支給する制度。「第四次産業革命スキル習得講座」システム(IoT、AI、データサイエンス)、高度技術(ネットワーク、セキュリティ)などが対象 |
国際面での取り組み | 経済産業省 | アジアにおけるIT人材育成支援など |
これらの制度・政策は先端IT人材不足への対策になるだけではなく、現在働いているITエンジニアのスキルアップにもつながるのです。
スキル管理・アサイン管理支援ツール「fapi」で人手不足対策・要員リソース最大化
エンジニア不足は、今すぐに解決できる問題ではありません。
企業が手っ取り早く人手不足対策・要員リソースを最大化する方法として、ITツールの導入が挙げられます。
「fapi」は人材のスキル情報を一元管理して、プロジェクトに最適なリソース配置を導き出すスキル管理・アサイン管理ツールです。
アサイン状況が一目でわかるので、エンジニアの空き工数をリアルタイムで確認してリソースの最大化につなげます。
スキルの細分管理と合わせて、最適な人材選定が可能になるでしょう。
また、Excelによる管理と同様の項目をシステムへ反映できるので、業務の引き継ぎがしやすいのもメリットです。
ぜひ1ヶ月間の無料トライアルから始めて、操作性の良さや業務工数の削減効果を実感してみてください。
まとめ:【エンジニア不足】2030年には約79万人のIT人材が足りなくなる?
労働人口の減少やIT業界へのネガティブなイメージなどを理由に、2030年には最大約79万人のIT人材不足が懸念されます。
企業側としては労働環境の整備や海外人材の活用を視野に入れて、従業員が少しでも長く定着する環境を整えることが重要です。
まずは今いる人的リソースを最大限に活かせるように、ITツールの導入から始めることをおすすめします。