従業員のスキルを適切に管理して、配置・育成・採用に活用できるのがスキル管理表です。
この記事ではスキル管理表のメリットや作成手順、作成をアシストするツールについて解説します。
「的確なスキル管理・アサイン管理を行いたい」「業務のムダ・ムリ・ムラを見直したい」という方は、ぜひご覧ください。
スキル管理表とは何ですか?

スキル管理表は従業員一人ひとりの能力や資格、経験などを可視化した表のことです。
スキルの一元管理によって、一目で従業員のスキル状況がわかるという利点があります。
スキル管理表を作成すれば、例えば以下の要素がわかります。
- 従業員がどのようなスキルを持っているか
- 不足しているスキルは何か
- スキルの習熟度はどれくらいか
- 今後従業員をどのように育成するか
スキル管理表は人員配置から人材育成、人事評価まで業務を効果的・効率的に進められる重要なツールです。
なお、スキル管理表には「スキルマップ」「力量管理表」「スキルマトリクス」など、業界・企業ごとにさまざまな呼び方があります。
スキル管理表を作成するメリット

スキル管理表を作成するメリットは8つあります。
- 業務の効率化
- スキルの可視化による組織や個人の弱みの把握
- 適切な人材配置が可能になる
- 適切なスキル評価が可能になる
- 人材育成の計画が立てやすくなる
- モチベーション向上につながる
- 資格の更新漏れなどのリスク管理が可能になる
- 採用活動に活かせる
以下から、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
業務の効率化
スキル管理表は人材配置や人材育成、人事評価などあらゆる業務へ応用できます。
一般的にエクセルやスキル管理システムで一元管理を行うので、情報が分散せず業務工数の削減にもつながるでしょう。
スキルの可視化による組織や個人の弱みの把握
スキルを正確に可視化することで、個人だけではなく組織全体の弱みも把握できます。
分析しにくい組織の弱みを把握できるので、解決策を具体的に練ることが可能です。
適切な人材配置が可能になる
従業員のスキルや特性、経験などをもとに適切な人材配置が可能になります。
これまでの人材配置や人事異動は上司の勘や経験に頼ることが多く、個人にフォーカスを当てているとは言えませんでした。
新規プロジェクトを立ち上げる際にも、必要なスキルを持った人材を的確に探すことにも活用できます。
適切なスキル評価が可能になる
スキル管理表を作成すると、適切かつ公平なスキル評価を行えます。
従来、社員の評価は見えにくいもので、上司や管理職も一人ひとりのスキルを正確に把握していませんでした。
スキル管理表ではスキルを言語化・定量化することで、スキル基準を揃えて公平な評価へとつなげます。
人材育成の計画が立てやすくなる
スキル管理表は、従業員一人ひとりの保有スキルやスキルレベルを明らかにします。
業務に必要なスキルと比較することで、具体的で効果的な育成計画が立てられるでしょう。
スキル管理と併用した人材育成は、急な欠勤や転職、退職に対応しやすくなるはずです。
モチベーション向上につながる
自分の得意分野に配属されたり周囲から評価されたりする機会が増えれば、モチベーションの向上につながるでしょう。
不足しているスキルや習熟度が明確になるので、従業員は新たに目標設定をしてスキルの習得に取り組むようになります。
従業員のスキルや能力を十分に発揮できれば、結果として組織全体のパフォーマンスもアップします。
資格の更新漏れなどのリスク管理が可能になる
プロジェクトを成功に導くためには、スキルを考慮した的確な人員配置が必要です。
スキル管理表でリアルタイムにスキル情報を管理することで、資格の更新漏れなどに備えることができます。
なお、スキル管理ツールによっては、契約の更新を通知で知らせてくれます。
採用活動に活かせる
スキル管理表は「不足しているスキルを補充したい」「多能工を育成したい」など、組織の状況に応じ採用活動に活用できます。
スキル管理表と応募者のスキルシートを比較すれば「どのスキルを」「どの程度のレベルで持っているか」が、一目瞭然です。
採用活動を効率化できるため、時間短縮や人事の負担を減らすことにつながります。
【厚生労働省】スキルマップのテンプレート
ここでは、厚生労働省が公開する、エクセル向けのスキルマップ用テンプレートを紹介します。
テンプレートには人事や情報システムなどの19種類の事務系職種と、フィットネス産業やホテル業といった16業種が用意されています。
さらにレベル別の事務系職種テンプレートも用意されており、新人からスペシャリストまであらゆる従業員が対応可能です。
キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード|厚生労働省
スキル管理表の作り方

ステップ1.スキル管理表の目的を明確にする
スキル管理表を作成する前に、導入の目的を明確にしましょう。
「どのような課題を解決したいのか」「どのように活用するのか」などを整理することで、設計の方針が決まり調整がスムーズになります。
ステップ2.スキル項目を洗い出す
各業務に必要なスキル項目を、すべて洗い出します。
システムエンジニアを例にすると、スキル項目は「プログラミング能力」「要件定義」「コミュニケーション能力」「セキュリティ関連のスキル」です。
スキル項目は細分化しすぎると方法が頻雑になりますが、この段階では思いつく限りスキルをリストアップします。
スキル項目の洗い出しでは「そのスキルが本当にプロジェクトに必要か」という客観的な視点で選別することが大切です。
現場の従業員にヒアリングを行って、業務フローやマニュアルと照らし合わせることをおすすめします。
ステップ3.スキル項目の体系の分類・階層を決める
スキル項目の洗い出しが終わったら、それぞれのスキルをどのような体系に分類するのかを決めましょう。
スキルとスキルの関連性が明確になるので、スキル管理表が運用しやすくなります。
スキル項目の分類をした後は、階層数を決めます。
階層数に制限はありませんが、細かくしすぎると管理が複雑になり、スキル管理表が使用されなくなるかもしれません。
そのため、スキル項目の階層数は、2〜3階層程度で統一することをおすすめします。
ステップ4.スキル名を決定する
スキル名は誰が見ても判別しやすいものにしましょう。
企業によっては「要件定義ができる」「給与を計算できる」と、文章で表現する場合があります。
管理のしやすさやスキル項目の集計作業の利便性を踏まえて「要件定義」「給与計算」と、単語で統一するのがおすすめです。
ステップ5.スキルの評価基準・評価段階を決定する
スキル管理表の作成手順の5つ目は、スキル項目の評価基準・評価段階の決定です。
一般的な企業は評価段階が3〜6段階ですが、厚生労働省の職業能力評価シートでは4段階を採用しています。
評価段階を4段階にした場合の、評価基準は以下の通りです。
レベル4 | 他者を指導できる |
レベル3 | 単独で実施できる |
レベル2 | サポートがあれば実施できる |
レベル1 | 知識がある |
ステップ6.スキル管理表を作る
これまでの手順を踏まえて、実際にスキル管理表を作成しましょう。
作成後はテスト的に運用を開始して、従業員からフィードバックを収集します。
ただし、導入前の調整に時間がかかりすぎると、運用開始が遅れてしまうので注意してください。
ステップ7.スキル管理表の運用・管理・更新
スキル管理表の運用を開始したら、スキルの種類や評価基準、評価段階などを適時調整します。
定期的に微調整を行なって、的確かつ使いやすいスキル管理表へブラッシュアップしましょう。
スキルマップはITツールで自動作成がおススメ

従業員数が多かったり業務が多岐に渡ったりする場合は、スキル管理表の作成に相当の時間を要します。
なぜなら転記ミスが起きやすく、情報の整合を確認するのに時間と手間がかかるからです。
従業員数が50人を超える組織では、ITツールによる自動作成が便利です。
スキル管理・アサイン管理支援ツールfapi

「fapi」はIT業界やソフトウェア業界に特化した、スキル管理・アサイン管理ツールです。
スキル管理では自由に管理項目を設定できるので、より業務にフィットした無駄のないスキル管理が実現します。
スキル情報をもとにしたスキルマップ化も容易なうえ、ISOの監査に対応したレポートを作ることもできます。
さらに「fapi」は最大利用料の50%が補助される「IT導入補助金2024」の対象ツールです。
1ヶ月間の無料トライアルを実施しているので「どんなことができるのか試したい」という方は、ぜひ気軽に触ってみてください。
まとめ
スキル管理表はブラッシュアップを重ねながら、自社に馴染ませていくことが大切です。
まずはスキル管理表を作成する目的を明確にして、スキルの洗い出し作業から始めましょう。
「今すぐスキル管理表を活用したい!」という方は、「fapi」の無料トライアルをぜひお試しください。