力量管理表(スキルマップ)の作成方法を教えてほしい、システム開発のIT企業や製造業・建設業の力量評価やスキル管理業務を効率化する力量管理表(スキルマップ)作成ツールについて情報を集めているけど自社の課題をどの力量管理表(スキルマップ)作成ツールが解決できるのか判断できない、というご相談が弊社によせられることがここ数年非常に多くなりました。
背景には、デジタル人材が不足していることの対策として東京都でも実践されているリスキリング、コロナによるリモートワークで加速した業務のDX化で社員スキルの更新頻度が増加したことなどが考えられています。
今回は、
・製造業の管理職
・IT企業のプロジェクトマネージャー
・建設業の現場責任者
の中でも、特に既存ツールやエクセル表で社員スキルの管理業務に限界を感じている方向けに、組織の強みと弱みが一目で可視化し、組織の人材育成に使える、力量管理表(スキルマップ)の作り方を、ITエンジニアを150名以上抱え、日々エンジニアのスキル管理・更新を25年経験してきて効率化しながらISO9001を取得している弊社、DXサービス事業推進部 佐々木舞美が解説いたします!
力量管理表(スキルマップ)とは?
力量管理表(評価表)とは、社員がどのようなスキル・資格・能力があるかを一元管理や見える化をする事で、人材育成や人材配置などの効率化が実現します。
例えばシステム開発会社や製造業の業務を例にあげると、力量管理・評価表(スキルマップ)などスキル管理によって、経験スキル・取得資格・過去の業務経歴など、要員情報が適格に把握できる事で、適材適所の要員計画(アサイン)やリソース管理が明確化される事や、スキル・資格の取得状況・経験値のバランスなど見える化をする事で人材育成(マネジメント)にも活用する事ができます。
スキル管理・スキルの棚卸・スキル・資格取得の視える化が課題の企業・組織の方は是非この機会に、力量管理・評価表(スキルマップ)を作成してみてはいかがでしょうか?

より詳しく力量管理表(スキルマップ)について知りたい方はコチラの記事もご覧ください。
力量管理表(スキルマップ)の作り方・書き方(エクセル編)
縦軸に業務内容、製品カテゴリーやスキル一覧、横軸に社員の名前を記載して作成します。
1.スキル項目をツリー形式で一覧化する
エクセルで力量管理表(スキルマップ)を作成する場合一番のポイントになります。
スキル項目をツリー形式できちんと一覧化ができていないと後々、修正が面倒、使われないなどとスキル管理をする意味がなくなり、力量評価表(スキルマップ)の作成がムダな工数になってしまいます。
2.スキルの分類を行う
はじめに、自社の「業務内容」や「製品カテゴリー」などの階層を作成し、そのあとに各、業務内容や製品カテゴリーごとに必要なスキルの一覧をリストアップするとスムーズにスキルの整理ができます。
他にも今後、取り組みたい業務や、製品の制作に必要なスキルもあわせてリストアップする事をおススメします。
一般的には業務フローの流れをイメージしてスキルを洗い出すと整理しやすいと言われています。
3.スキル名を決める
スキル一覧の分類ができましたら次に、スキル名を決めます。理由としてはエクセル管理の場合不特定多数の方が書き換え出来てしまします。 その為、きちんとスキル名のルール決めをする事で、スキル項目の重複を防ぐ事が大切になります。その為、誰が見ての分かるようなスキル名や、補助説明文を入れる事をおススメします。
4.スキルの階層数を決める
次にスキルの階層を決めます。業務内容、製品カテゴリーなど大項目を分類しその下層に小項目へとスキルツリーを作ってみましょう。 スキルの階層数には決まりはありませんが、あまり細かく分けてしまうと逆に複雑になってしまいますので、2∼3階層程度で管理するのがおススメです。
5.力量評価基準を決める(おススメは5段階評価)
次に力量を評価する為にスキルの達成の判断基準を設定します。5段階評価がおススメです。
5段階評価とは?
5段階評価とは、社員の力量を評価する為の判断基準で、5段階で評価を行う方法です。
たとえばスキルの習熟度や業務に対する力量を1から5やAからEなどと5段階で評価を付けます。
評価をきちんと数値化する事で社員の意識改革や企業・組織全体のスキルレベル可視化が可能になります。
5段階評価のメリット
5段階評価のメリットとして、企業・組織を育てて良いチームを構築する事が出来ることが挙げられます。
理由は企業・組織内でルール化された評価制度のもとで評価される事や、数値が可視化される事で、強み・弱みの分析ができる事です。
5段階評価のデメリット
5段階評価のデメリットは、日本人特有の、最高値と最低値をつけられない場合が多く、 どうしても評価が「3」「C」など中心傾向に陥ってしまいやすいというところです。
力量評価を効果的に5段階評価で行う方法
中央値である3点に評価が集中しないよう、きちんとした共通のルールで点数ごとの振り分け設定する事です。
点数ごとにきちんと補足や評価理由を付ける事によって効果的な評価を行う事ができます。
仮に5段階評価のデメリットである中心傾向の評価であってもきちんと評価の理由が明確であれば、一つ上の評価の内容を目指そうとマネジメントする為の指標としても効果的に活用できます。
例えば、システムエンジニアのスキル(力量評価)であればこのようなイメージではないでしょうか?
5点:十分な実務経験があり、Dレベルの人をフォローできる。4点:十分な実務経験があり、イレギュラーの対応もできる。3点:実務経験があり、一人で業務をこなすことができる。2点:実務経験はあるが、経験者によるフォローが必要である。1点:実務経験はないが、基礎知識(社内研修や独学レベル)がある。
6.スキルの棚卸
最後に力量・スキルレベルを評価します。力量・スキル評価の方法は、「上司が評価する」方法、「本人が評価し上司が確認する」という2通りの方法があります。
基本的には前者は一般的ではありますが、システム開発企業や派遣関係などはどうしても客先常駐などで部下を直接見ていなく評価できない場合があります。
そのような場合は後者の本人は力量を自己評価したのちに上司が確認・修正するケースもあります。
その為、自社の業務にあった力量評価方法をきちんとルール化する事をおススメします。
力量管理表(スキルマップ)の作り方・書き方(職業能力評価シート編)
職業能力評価シートとは?
職業能力評価シートとは、「職業能力評価基準」で職種・職務をレベル別に定める事で、「職務遂行のための基準」を簡略化したものです。
人材育成に有効な示唆を得ることができるチェック形式の評価シートです。
職業能力評価シートを活用する事で、「自分(または部下)の能力レベルはどの程度なのか」「次のレベルに上がるには何が不足しているのか」を具体的に把握することができます。
職業能力評価シートが活用できる職種・業種については下記の厚生労働省の参照元にて確認をお願いします。
参照:『キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード』厚生労働省
力量管理表(スキルマップ)の作り方・書き方(ITスキル標準(ITSS)編)
ITスキル標準(ITSS)とは ?
ITスキル標準(ITSS)とは、経済産業省が策定したスキル体系に沿ってスキルを明確化・体系化した指標であり、IT人材・ITサービスの教育等の評価基準の目的として、つくられたものです。
ITスキル標準(ITSS)では、ITの職種を11種類に分類しています。
マーケティング・セールス・コンサルタント・ITアーキテクト・プロジェクトマネジメント・ITスペシャリスト・アプリケーションスペシャリスト・ソフトウェアデベロップメント・カスタマーサービス・ITサービスマネジメント・エデュケーション
更に、11職種に対して細分化した分野に分けさらに細かく7段階のレベルが設定されています。IT関連の職種のスキルマップを作成する際には、活用してみてはいかがでしょうか。
参照:『ITスキル標準V3ダウンロード』IPA 独立行政法人情報処理推進機構
力量管理表(スキルマップ)の作り方・書き方(スキル管理ツール編)
エクセルでの運用で作成・運用・メンテナンス・管理・ルール決めなどの手間や、ファイルの破損、人的入力ミス、閲覧・編集などの権限設定などのリスクやエクセルではできない事を求められるかたはスキル管理ツールを利用する事をオススメします。
導入コストはかかりますが、スキル管理ツールは、エクセルで時間をかけて、力量管理表(スキルマップ)を作成しなくても、スキル管理・取得スキルの可視化・評価が一元化管理でき、スキル情報の更新や確認に手間がかからず、必要な情報を必要な時に引き出す事ができます。
スキル管理ツール利用のメリットとは?
・ISOの力量対応
・スキルマップ・資格取得管理表を作成共有
・スキル所持者をカンタンに横断検索
きちんとした力量管理表(スキルマップ)の管理・運用を目指される方はスキル管理ツールを利用する事を強くおススメします!
【無料トライアル】スキル管理・アサイン管理支援ツール fapi

『fapi』はエンジニアのスキルを管理してプロジェクトアサインを強力にサポートするクラウドサービスです。
システム開発会社だから実現できた使いやすいUIと管理項目の自由度の高さ、登録データの集計・分析で課題を解決に導きます。
ここでは『fapi』の導入で実際に改善できた、実例の一部を紹介します。
業務内容 | 今まで | fapi導入後 | 改善率 |
提案候補者の検討 | 60分 | 5分 | 92%削減! |
エンジニア情報の更新 | 30分 | 10分 | 67%削減! |
Excelと比較して業務工数を大幅にカットできるので、業務負荷を軽減したり仕事の受注率を上げたりすることが可能です。
『fapi』は政府が定めた「IT導入補助金」に対応しています。
簡単に申請できますし、最大350万円までの導入補助を受けられますので忘れずに申請を行ってください。
なお、Excelで100人を超えるスキルを管理すると、作成や更新が頻雑になり時間がかかってしまいます。
正確なスキル管理を基にプロセスをしっかりと構築したい方は、無料トライアルで業務の効率化や生産性の向上を確かめてみてください。
スキル管理・アサイン管理支援ツール fapi の詳細はこちら

力量管理表(スキルマップ)はISO9001の取得に必要?
結論から言いますと、ISO9001を取得する際はスキルマップの作成が重要です。
ISO9001とは国際標準化機構が定める、最も有名な品質マネジメントシステムです
サービスの品質・顧客満足度を向上させる為に、社員の「力量」を明確にする事が求められています。 その為にも、社員の力量(スキル)の管理から力量が足りない・スキルが満たな社員にたいしてきちんとした教育・マネジメントを行う事が求められている為です。
より詳しく品質マネジメントについて知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
力量管理表(スキルマップ)を活用している企業事例
トヨタ自動車(製造業界)
なぜトヨタ自動車が力量管理表(スキルマップ)を活用している理由は「多能公」という仕組みです。
多能公とは複数の工程を1人で出来る社員を指します。
力量管理表(スキルマップ)を活用した事で、全体のスキルの可視化ができ、スキルが足りない部分などの弱みを把握し、足りないスキルを習得する為の教育を行う事で、多能公の社員を増やし、たくさんの製品をどの社員が業務遂行しても同じ品質で、効率的に作り出すことができるようになったのです。
その他の力量管理表(スキルマップ)の活用事例はコチラからご覧いただけます。
力量管理表(スキルマップ)の活用が進む業界
品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001の厳しい要求を満たすために、社員の力量・スキル管理は会社の取り組みとして不可欠です。
その為、製造業だけではなく、プログラミングスキルを有するIT業界や、資格・経験を有する建設業界のみに限らず、IoT化、DX化、AIなど人材不足をカバーする為のデジタル技術の発展に伴い、業務の役割分担が明確化される為、飲食・小売り・サービス業など多くの業界で今後、力量管理表(スキルマップ)の導入は不可欠になってくるのではないでしょうか?

力量管理表(スキルマップ)の作り方まとめ
いかがでしたでしょうか?
力量管理表(スキルマップ)を活用する事でトヨタ自動車は業務の生産性向上・人材育成に役立てていたり、ISO9001の難しい要件を満たす為の仕組みとして活用できたりします。
力量管理表(スキルマップ)の作り方も難しいものではなく、エクセルやWEB上にあるテンプレートを活用して無料で作る方法から、弊社サービスのスキル管理・アサイン管理効率化ツールfapiのようなスキル管理ツールを利用する方法など、各企業様の状況にあわせたかたちで力量管理表(スキルマップ)を作成する事ができるのではないでしょうか?
力量管理表(スキルマップ)を作成する事で、企業・組織全体の力量・スキルの可視化ができる為、強み・弱みを明確にし、計画的な事業計画・人材育成・マネジメントに活用できるのではないでしょうか?
以上、力量管理表(スキルマップ)の作成についてでした。