近年、ビジネスシーンで「バッファを持たせる」、「バッファを設ける」という会話を耳にする機会が増えてきました。
ビジネスにおけるバッファとは、スケジュールや予算の「余裕」や「ゆとり」のことです。
この記事ではバッファが持つ意味や正しい使い方について、例文を使ってわかりやすく解説します。
業務効率化や従業員のストレスを軽減する「CCPM管理」もお伝えするので、管理者の方も参考にしてみてください。
仕事中に会話で取り残されないように、意味や使い方をマスターしましょう。
バッファとは?

バッファとは、スケジュールや予算に持たせる「余裕」や「ゆとり」のことです。
「バッファを持たせる」「バッファを設ける」といった使い方が一般的で、聞いたことがある方は多いかもしれません。
元々はIT業界のビジネス用語ですが、現在、多くのビジネスシーンで使われています。
ちなみに、バッファは「バッファー」と表現されることもありますが意味は同じです。
英語でのバッファの意味は?
バッファは英語で「buffer」と表記します。
名詞では「緩和材」「緩衝器」「緩衝装置」、動詞では「和らげる」「保護する」という意味になります。
「buffer」には本来ビジネス用語で使われる「余裕」という意味はないので、間違わないように注意しましょう。
対義語や用語の言い換え方は?
実は、バッファに対義語は存在しません。
あえて対義語で表現すれば「切迫」「手一杯」「キャパオーバー」、動詞では「ひっ迫した」「差し迫った」などです。
ビジネスシーンに言い換えると「余裕」や「ゆとり」、「備え」などが当てはまります。
プログラミング・ITなど仕事関連における用語の使い方

IT用語としての「バッファ」は、パソコンに一時的にデータを保存するメモリ装置を意味します。
主にデータの入力・出力において、タイミングのズレを調整するために用いられる記憶領域です。
例えば、データの入力中に処理能力を超えるデータが送られてしまうと、回路がパンクして順序通りに処理できなくなります。
バッファへデータを一時保存することで、パソコンの処理が追いつき、システムのパフォーマンス向上に貢献するのです。
バッファを持たせるメリット
ビジネスにおいて、バッファを持たせるメリットを簡単にまとめました。
- 業務変更や要望の追加に柔軟に対応できる
- リソースの効率的な配分が行える
- 焦りによるミスが減り品質を維持できる
- 顧客からの信頼性が向上する
- 従業員のストレスを軽減する
従業員がゆとりを持って業務にあたることで、多くのメリットが生まれることがわかります。
バッファがあるとビジネスチャンスや新規事業に飛び込みやすくなるので、企業としての競争優位性を保つことができるでしょう。
【例文】バッファの正しい使い方と間違った使い方
【例文】正しい使い方
例文1.「納期まであと1週間あるが、バッファをとるためにあと3日で終わらせよう」 |
例文2.「新規プロジェクトの予算はバッファを含めた数字ですか?」 |
例文3.「ミーティングの資料にバッファを持たせておこう」 |
バッファは「ゆとり」や「予備」、「在庫」などを意味する用語であることから、ビジネスシーンでは上記のような会話が交わされます。
【例文】間違った使い方
例文「Aさんはいつも忙しそうでバッファがない」 |
一見すると意味が通じそうですが、「バッファがない」という使い方は正しくありません。
バッファはスケジュールや予算などの「余裕」や「ゆとり」を表すビジネス用語ですが、精神的な余裕は含まないからです。
したがって、正しい使い方は「Aさんはスケジュールのバッファがなくていつも忙しそう」となります。
バッファは精神的ではなく「物理的な余裕」を表すことを覚えておきましょう。
ビジネス以外でのバッファの意味

動画や音楽などのメディア業界
バッファは、動画や音楽のストリーミング配信でよく目にする用語です。
スマホやパソコンの処理能力やダウンロード速度の関係で、映像や音楽が途切れ途切れになった経験は誰にでもあるでしょう。
バッファ領域にデータを一時保存することで、動画や音楽が途切れ途切れにならず、スムーズな配信を楽しめるようになります。
IT業界
IT業界では、しばしば「バッファオーバーフロー攻撃」に対応することもあります。
バッファオーバーフローとは、悪意のあるユーザーがサーバーのバッファ領域を超えるデータを送り付け、誤作動を起こさせる攻撃のことです。
他には、カメラやプリンタの「データを一時保存するメモリ装置」という意味でも、バッファが使われます。
システムや機器におけるバッファは、データの処理能力に合わせて最適な処理をサポートしてくれる、頼もしい存在といrます。
バッファの管理手法「CCPM」とは?

「CCPM(Critical Chain Project Management)」とは、プロジェクトのタスクの納期をギリギリに調整して、バッファを設けるプロジェクト管理手法です。
CCPMでは各タスクのバッファを一元管理します。
例えばプロジェクトの期間が90日あり、同程度の時間がかかるタスクが3つあるとしましょう。
一般的には各タスクを30日ずつで見積もりますが、CCPMでは各タスクを25日ずつで配分します。
その結果「15日分」のバッファが生まれ、プロジェクト全体の進捗把握や遅延しているタスクに人員を割り当てる、といったことが可能になるのです。
※CCPM の概念は、エリヤフ・ゴールドラット博士が考案し「制約条件の理論 (TOC)」と密接な関係があります。
CCPM管理の進め方
ここでは、実際にCCPM管理の進め方を確認しましょう。
- Step1.ODSCを決定する
- Step2.クリティカルパスとリソースの量を見極める
- Step3.バッファを設定する
Step1.ODSCを決定する
まずは、プロジェクトのゴールであるODSCを明確にします。
ODSCとはObjectives(目的)、Deriverables(成果物)、Success Criteria(成功基準)を指し、プロジェクトの初期段階に決める考え方です。
プロジェクトメンバーで完成イメージを共有することで、具体性を持って業務にあたりプロジェクトの成功確率を高めることが可能となります。
Step2.クリティカルパスとリソースの量を見極める
次に、クリティカルパスを見極めてリソースの量を判断します。
クリティカルパスとは、プロジェクトを最短時間で完了するために重要なタスクを特定することです。
計画全体の土台部分にあたり、タスク数や所要時間を把握することで進捗管理や効率的な進め方を検討する時間が生まれます。
リソースは作業者やタスクの所要時間、チームで使用する製品やツールのことです。
プロジェクト達成に必要なリソースを管理しておけば、各タスクを効率的・効果的に推進できます。
Step3.バッファを設定する
最後に、クリティカルパスとリソースに基づいて、設定すべきバッファを算出します。
各タスクに要する時間数と最短で作業を終わらせられる時間数を計算した、二つの時間の差分がバッファです。
プロジェクトが進行すると、何かしらタスクで遅延が発生するものです。
プロジェクトマネージャーはタスクの進捗とバッファの残量を把握することを、忘れないようにしましょう。
まとめ
今回は、ビジネスシーンで目にする機会が増えてきた「バッファ」について解説しました。
バッファはスケジュールや予算の余裕やゆとりを意味し、「バッファを持たせる」「バッファを設ける」といった使い方が一般的です。
この記事を参考にしてバッファの役割と使い方をマスターし、ビジネスを円滑に進めましょう。