ITエンジニアや社員のスキル管理ツールfapi(ファピ)を提供する(株)FDCの佐々木舞美が、エンジニアのスキルマップ作成に必要な項目について、職種別に詳しく解説します。

近年、DX推進や人材育成の観点から、エンジニアのスキルを可視化するスキルマップの重要性が高まっています。
しかし、「どのような項目を設定すればよいのか」「職種ごとにどう変えるべきか」といった疑問を持つ企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、全エンジニア共通項目から職種別の専門スキルまで、具体的な項目例と作成のポイントを紹介します。ぜひ最後まで読んでみてください。

スキルマップとは?エンジニアに必要な理由

スキルマップとは、従業員が保有するスキルや習熟度を可視化したツールです。特にIT業界のように技術の進化が速い分野では、エンジニア個人のスキルを客観的に把握し、計画的な育成を行うことが重要になります。

スキルマップを導入するメリット
  • 自分のスキルレベルを客観的に再認識できる
  • 学習計画を効率的に策定しやすくなる
  • 成長の可視化によりモチベーションが向上する
  • 組織全体のスキル分布が把握できる
  • 適切な人材配置や育成投資が可能になる

2026年現在、DX推進の加速により、エンジニアのスキル管理はますます重要視されています。スキルマップを活用することで、個人のキャリア形成と組織の人材戦略の両方を効果的に進めることができます。

全エンジニア共通のスキルマップ項目

職種に関わらず、すべてのエンジニアに求められる基本的なスキル項目があります。これらは「スキル」「マインド」「ナレッジ」の3つのカテゴリに分類すると整理しやすくなります。

基本スキル項目

カテゴリ スキル項目例
業務遂行能力 資料作成スキル、PC基本操作、情報収集力、分析力
対人関係能力 コミュニケーション能力、傾聴力、交渉力、調整力
課題解決能力 論理的思考力、問題発見・解決能力、戦略立案能力
マインド 主体性、協調性、責任感、成長意欲、経営理念への共感
ナレッジ 業界知識、自社製品・サービス知識、コンプライアンス知識、情報セキュリティ知識

コンプライアンス・セキュリティ関連項目

現代のエンジニアには、技術的な知識だけでなく、法令やコンプライアンスへの理解も不可欠です。特に以下の項目は必須といえます。

  • 情報セキュリティに関する危機管理の理解と実施
  • 個人情報保護法などの関連法規の理解
  • 社内ガイドラインの理解と遵守
  • インターネットとセキュリティの基礎知識

全エンジニア共通のスキルマップからは、技術的な知識だけでなく、法令やコンプライアンスへの理解が重視されていることが分かります。特に情報セキュリティに関する知識は、個人情報保護法やデジタル社会の発展に伴い、すべてのエンジニアに不可欠なスキルとなっています。

出典:レバテックキャリア – エンジニアのスキルマップ例

職種別スキルマップ項目の詳細

エンジニアとひと言で言っても、職種によって求められるスキルセットは大きく異なります。ここでは主要な職種ごとに必要な項目を解説します。

アプリケーションエンジニアのスキル項目

アプリケーションエンジニアは、ユーザーが直接触れる部分の開発を担当するため、マルチメディアデータの処理からプログラミング、テストまで幅広いスキルが求められます。

大項目 小項目
画像・映像制作 画像/映像の最適化、データ処理と実装、品質改善
プログラミング クライアントサイドプログラミング、アプリケーション構築、コード最適化
デザイン UI/UXデザイン、ゲームデザイン、ユーティリティソフトウェアデザイン
テスト ユニットテスト、システム統合テスト、ユーザビリティテスト、セキュリティテスト

サーバーサイドエンジニアのスキル項目

サーバーサイドエンジニアには、バックエンドの技術に関する深い知識と実装能力が必要です。開発だけでなく運用・保守のスキルも重要視されます。

大項目 小項目
プログラミング サーバーサイドプログラミング、API設計、プログラムチェックと改善
インフラ構築 サーバ構築、プラットフォーム構成設計、環境の最適化
データベース データベース設計、運用管理、パフォーマンスチューニング
セキュリティ ネットワークセキュリティ設定、脆弱性対策、セキュリティテスト
運用・保守 システム監視、サーバー保守、障害対応

Webディレクターのスキル項目

Webディレクターには、プロジェクト管理能力とマーケティング分析力の両方が求められます。

  • チーム編成管理とジョブアサイン能力
  • 進捗管理とスケジュール調整力
  • アクセス解析とマーケティング分析スキル
  • SEO・SEM対策の実施と改善能力
  • 広告戦略の立案と展開チェック

ITエンジニア職の専門スキル項目

DX推進の中核を担うITエンジニアには、より詳細なスキル定義が重要です。2025年の東京都デジタルスキルマップなども参考になります。

カテゴリ スキル項目例
戦略・企画系 ITストラテジー、サービスデザイン、マーケティング、ビジネスモデル設計
開発系 UI/UXデザイン、Webアプリ設計・開発、スマホアプリ開発、フレームワーク活用
基盤・運用系 クラウド技術、サーバ基盤設計・構築、ネットワーク、セキュリティ対策
その他 プロジェクトマネジメント、データ利活用、AI・機械学習

ITスキル標準(ITSS)を活用した評価レベルの設定

スキル項目を設定したら、次は評価レベルの基準を定める必要があります。経済産業省とIPAが策定したITスキル標準(ITSS)は、エンジニアのスキル評価に広く活用されている指標です。

ITSSの7段階レベル定義

レベル 定義 想定される役割
レベル1 最低限必要な基礎知識を保有 新人・研修生
レベル2 上位者の指導の下に実務を遂行できる 若手担当者
レベル3 独力で実務を遂行できる 中堅エンジニア
レベル4 チームをリードし、高度な専門性を発揮できる シニアエンジニア・リーダー
レベル5 社内で第一人者として認知される エキスパート・マネージャー
レベル6 国内トップクラスの専門家 スペシャリスト
レベル7 世界で通用する専門家 エグゼクティブ・フェロー

ITSSでは、G検定はレベル2、E資格はレベル3相当と位置付けられています。ITスキル標準によって、スキルを職種別に分類し、初級から上級までのレベルで示すことで、個人の能力を可視化することができます。

出典:スキルノート – ITSS(ITスキル標準)とは

評価レベル設定のポイント

自社でスキル評価レベルを設定する際は、以下のポイントに注意しましょう。

  1. 評価段階は3~5段階が一般的(ITSSは7段階だが、自社の規模に応じて調整可能)
  2. 「できる」といった曖昧な表現ではなく、具体的な行動で定義する
  3. 大分類・中分類・小分類と項目を細かく分けて構造化する
  4. 自己評価だけでなく、上司や同僚からの客観的評価も取り入れる
  5. 半年に一度など、定期的に更新するルールを設ける

スキルマップ作成の実践的な5ステップ

実際にスキルマップを作成する際の具体的な手順を紹介します。

ステップ1:目的と対象範囲を明確にする

まず、「なぜスキルマップを導入するのか」という目的を明確にします。目的によって設定すべき項目の粒度や運用方法が変わります。

ステップ2:スキル項目の洗い出し

業務プロセスを可視化し、現場へのインタビューを通じて必要なスキル項目を抽出します。厚生労働省の「職業能力評価基準」などのテンプレートも活用できます。

ステップ3:スキルの体系化とレベル定義

洗い出したスキル項目を「スキル」「マインド」「ナレッジ」などのカテゴリで分類し、各項目の評価基準を設定します。

ステップ4:フォーマットの作成

Excelやスキルマネジメントシステムなどのツールを使って、具体的なマップの形に落とし込みます。

ステップ5:運用ルールの策定

評価方法、評価期間、更新タイミングなど、継続的な運用ルールを定めます。

スキルマップ運用の成功ポイント
  • 最初から完璧を目指さず、特定部門でスモールスタートする
  • スキル定義の「粒度」を適切にそろえる
  • 人事制度や研修と連動させて実効性を高める
  • 定期的な見直しと更新を行う仕組みを作る

まとめ:効果的なスキルマップで人材育成を加速させる

エンジニアのスキルマップは、単なる評価ツールではなく、個人の成長と組織の人材戦略を結びつける重要な仕組みです。本記事で紹介した職種別の項目例や評価レベルの設定方法を参考に、自社に最適なスキルマップを構築してください。

2026年現在、DX推進やAI技術の進化により、エンジニアに求められるスキルは日々変化しています。定期的な見直しと更新を行いながら、継続的な人材育成に取り組むことが重要です。

次の記事ではおすすめのスキルマップツール5選を紹介していますので、ぜひ併せてご覧ください。