リスキリングの導入を進めると、DX化やAI化といった新しい職業や業務に対応できます。
IT人材の育成は急速にDX化が進む社会において、早急に対応すべき課題です。
ITエンジニアを200名以上抱え、日々エンジニアのスキル管理を25年経験してきて効率化し、スキル管理ツールを開発・運用している弊社、DXサービス事業推進部 佐々木舞美がリスキリングの重要性と課題、メリット・デメリットについて紹介します。
学んだスキルを適切に管理する方法やツールもお伝えするので、ぜひ参考にして効率的にDX業務を進めてください。
リスキリングとは?

リスキリング(Re-skilling)とは「人材の再教育や再開発を行う仕組み」のことです。
デジタル技術の導入でビジネスの環境が変化し、社員に求められるスキルが変わりつつあります。
リスキリングは新しく得た学びを「実践」することで、DX化やAI化といった新たな職業や業務に対応することが目的です。
学習するだけではなく実践でスキルを発揮することにこそ意味があります。
また、2022年10月には、首相が企業のリスキリングの支援に5年で1兆円を投じると発表を行いました。
どの企業にとっても、リスキリングはDX化が進む社会のなかで早急に対応すべき課題なのです。
リカレントやアンラーニングとの違いは?

リスキリングと一緒に使われる言葉に「リカレント」と「アンラーニング」があります。
- リカレント・・仕事を一旦辞めて大学や専門学校に入り、自らの意思でスキルを学ぶこと
- アンラーニング・・過去に得た知識や価値観を振り返り、現状に合わせて取捨選択すること
リカレントとアンラーニングはリスキリングと対になる言葉ではありません。
どちらも自己成長のために必要なプロセスであり、リスキリングと組み合わせることで効果的な学びが期待できます。
リスキリングに注目が集まる理由と課題

リスキリングが注目される理由は、DXの推進が本格化に伴いどの企業でもIT人材を確保したいからです。
働き方が多様化して、既存の方法で業務を遂行することが困難になっています。
近年はIT人材を充足させるため、企業ではDXに対応できるIT部門の設立が進んでいます。
また、従業員はデジタル技術に関連するスキルや能力を磨いて、市場価値を高めていく必要があります。
リスキリングの課題
リスキリングの課題は「IT人材不足」と「リスキリングの認知不足」の二つです。
経済産業省が公表した「IT人材の供給動向の予測」によると、2030年に最大約79万人のIT人材が不足すると懸念されています。
さらに、経済産業省の「DXレポート」ではIT人材不足の増加や業務効率の低下、国際競争に敗れることも懸念されています。
コロナ禍によるオンライン業務の一般化や、第4次産業革命で大きな技術革新が起ころうとしている現代。
プログラミングやWebサーバーといった基本的なITスキルは、社会人すべてが持つべきスキルと言えるでしょう。
また、一般社団法人プロティアン・キャリア協会は、人事部門・経営者他277人を対象に「2023年リスキリング実態調査」を実施しています。
質問1.「あなたの企業ではリスキリングプログラムを実施していますか?」 | |
実施している・・36% | |
実施していない・・64% |
質問2.「リスキリングを実施する上で、どのような課題がありますか?」 | |
組織文化の変革の難しさ・・38% | |
リソースの不足・・23% | |
スキルの不足・・17% | |
予算の不足・・15% | |
その他・・8% |
リスキリングを実施していると回答した企業は、実に「36%」しかありません。
また「組織文化の変革の難しさ」という課題が浮き彫りになりました。
リスキリングを行うメリットを広めて、変化の激しい時代に対応できるIT人材が求められます。
IT企業がリスキリングを導入するメリット・デメリット

IT企業がリスキリングを実施するメリット
業務を効率化できる
全社員が学び直しを行い新しいスキルを習得することで、業務効率化が図れます。
適材適所で人材のスキルや能力を発揮できますし、アサインの幅も広がるでしょう。
社内リソースだけでDX業務に対応できれば新しくエンジニアを採用する必要もなく、コスト削減にも効果的です。
新規事業やイノベーションが起こる可能性がある
新たな知識やスキルを活かすことで、新規事業やイノベーションなどのアイデアが生まれる可能性があります。
新しいアイデアの導入は、新規顧客を獲得したり利益が拡大したりする力を秘めています。
イノベーション企業は増加傾向が予測されていますが、市場での先行者利益にもつながるでしょう。
従業員のモチベーションとエンゲージメントが向上する
リスキリングを通じて成功体験を得ると「新しいスキルを習得したい」というモチベーションが高まります。
主体的に資格を取得したり講座を受講したりすれば、生産性の向上や売上アップにも期待できます。
また、エンゲージメントの向上によって、会社と従業員が成長し合える関係を築けるでしょう。
モチベーションとエンゲージメントの向上は、離職率の低下にもつながります。
IT企業がリスキリングを実施するデメリット
非IT人材の育成には時間がかかる
非IT人材の育成には時間がかかります。
基本的なIT知識がない人材が、いきなりプログラミングなどを学習するのは困難です。
全社的に取り組んだりサポートしたりする環境を作り、徐々にステップアップを目指してください。
IT企業のリスキリングを取り組む方法

リスキリングへの理解
一方的にリスキリングを進めても、社員の反発を買ってしまうので注意が必要です。
日立製作所やAmazonといったリスキリングの導入事例を紹介して、理解度を高めていくことが求められます。
新たなスキルや能力を習得することは、DX化が進むこれからの社会を生き抜くパスポートになります。
リスキリングの必要性やメリットを伝えながら、社員一人ひとりのスキルの可視化も行いましょう。
リスキリングへの支援
勉強会を開いたりインセンティブを用意したりして、リスキリングへの支援を行なってください。
学習モチベーションを維持するための仕組み作りが、リスキリング達成のポイントです。
いつから始めるか、何を学ぶかなど社員の意見を尊重することも大切です。
リスキリングに関する補助金や公的支援も用意されていますので、併せて活用してみてください。
リスキリングの推進
環境を整えたら「教育プログラム」を受講してもらいます。
教育プログラムでITスキルを習得した、業務での実践です。
スキルは実践を重ねることで定着していきます。
業務で実践が積めない場合は、新規事業を想定して早い段階から経験を積めるようにしてください。
取得スキルの管理(力量管理)
リスキリングの導入で得たITスキルや資格は、会社の大切な財産です。
取得スキルを適切に管理することで、新規プロジェクトや既存プロジェクトに効果的なアサイン調整が行えます。
また、リスキリングの導入前後でどのような変化が起こったかを数値化して、効果検証や見直しにつなげてください。
IT企業のスキル管理(力量管理)の重要性

スキルや資格を適切に管理することは、効果的なプロジェクトアサインにつながります。
社員のスキルや能力を把握できていないと、アサイン調整は難しいでしょう。
リスキリングとして学ぶのに最適なITスキルと資格の一覧を、以下にまとめました。
リスキリングで学びたいITスキル
- プログラミング
- マーケティング
- コミュニケーション
- マネジメント
- データサイエンス
リスキリングで役立つIT系の資格
- ITパスポート
- MOS
- AWS認定資格
- VBAエキスパート
- ビジネス統計スペシャリスト
リスキリングで学びたい内容は企業によって異なります。
どのように社員のスキルアップや業務効率化したいかを考えて、プログラムを実施することが大切です。
IT企業向けのおすすめのスキル管理ツール『fapi』

『fapi』はスキル管理・アサイン管理に特化したITツールです。
全社員のスキルやアサイン状況を一元管理できるので、アサイン調整や業務提案がスムーズに行えます。
DX化した業務にアサインする場合は、スキルや稼働状況を常に把握できると便利です。
Excelによるスキル管理は最新情報がわからなかったり管理が面倒だったりと、使いにくさが目立ちます。
部署によっては管理方法やフォーマットに統一感がなく、集計や分析が困難でしょう。
ここでは、実際にツールの導入によって改善された、実例の一部を紹介します。
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業務工数を大幅にカットすることでスピーディーな提案が可能です。
IT人材のスキルやアサインを適切に管理して、効率的にDX業務を進めてください。
料金プラン | |
ミニマム | 300円/月・人 |
スタンダード | 400円/月・人 |
プレミアム | 800円/月・人 |
お試しプラン | 1か月無料でお試しできます。 |

まとめ
この記事ではリスキリングの重要性と課題、メリット・デメリットについて紹介しました。
IT企業でリスキリングを取り組む方法についてもお伝えしたので、ぜひ企業で実施を進めてみてください。
リスキリングで学んだITスキルはITツールで一元管理して、効率的にDX業務を進めてください。