一人で複数の業務や作業を進められる人材を「多能工」といいます。
どの企業でも人材不足が深刻な問題になっており、多能工の需要は非常に高まっています。
この記事ではITエンジニアを200名以上抱え、日々エンジニアのスキル管理を25年経験してきて効率化し、スキル管理ツールを開発・運用している弊社、DXサービス事業推進部 佐々木舞美が多能工の重要性やメリット・デメリット、多能工の効率的な育て方について解説。
スキル管理・アサイン管理を支援するおすすめツールもお伝えするので、人材不足で苦労する企業の悩みを解決できます。

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多能工とは?単能工との違い

多能工とは?単能工との違い

多能工とは一人で複数の業務や作業を進められる人材のことです。
読み方は多能工(たのうこう)で、マルチタスク、マルチスキルとも言い換えられます。
多能工化とは多能工の「教育・育成」を意味し、業務の切り替えロスを無くして生産性が向上できるのが特徴です。
多能工化は複数の機械を操作して大量生産につながるとして、製造業を中心に進んでいます。

多能工化がトヨタ自動車から生まれた背景

多能工化はトヨタ自動車工業の大野耐一副社長によって考案されたといわれています。
トヨタ紡織工場で女性従業員が一人で複数の機械を操作していたのを見て、自動車工場でも実現できないかと思ったのがきっかけです。
その後、一人の従業員が複数の業務をこなせるように、知識や技術の教育・訓練を重ねる多能工化が浸透していきます。
多能工の増員によって臨機応変な人材配置が可能となり、生産スピードアップや「ムダ・ムラ・ムリ」をなくすことにつながったのです。
ムダを徹底的に排除して高品質のものを提供するという考えは「トヨタ生産方式」「ジャストインタイム生産方式」と呼ばれ、今もなお多くの業界で採用されています。

単能工と多能工の違い

単能工は一人でひとつの業務や作業を行なう人材であり、言い換えるなら専門家やスペシャリストです。
技術力や経験値が高く、ひとつの業務をこなすスピードや品質には目を見張るものがあります。
今まで工場や生産現場では単能工が一般的でしたが、近年は多品種少ロット生産が主流になっていて、多能工の採用が進んでいます。
働き手が減る続ける日本の背景からも、今後は多能工の求人が増えることは間違いないでしょう。
企業サイドは多能工の育成に時間やコストをかけ、生産性の向上を図る体制が求められます。

多能工化が必要とされる業種・職種

多能工化が必要とされる業種・職種

ソフトウェア開発企業

近年ソフトウェア開発企業では、エンジニアに対して「ハードスキル」よりも「ソフトスキル」が重視されています。
ハードスキルとはプログラミングやデザインなどを意味し、ソフトスキルはコミュニケーション力や課題解決力などをさす用語です。
実際に、VSNがITエンジニアを対象に行った調査(2019年)によると、約6割もの人が「技術的スキルだけでは生き残れない」と回答しています
いくらエンジニアに知識や技術があっても、改善策を提案したり仕事を獲得できたりしなければ意味はありません。
このことからソフトウェア開発企業では、ソフトスキルに重きを置いて多能工化を進めていく必要があります。

製造業

製造業の現場ではQCDといわれる「品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery)」が重視されます。
品質が良いものを納品するのはどの会社でも行なっていますし、原材料の高騰を鑑みても今以上にコストを削減するのは難しいのが現状です。
つまり、企業が力を入れて伸ばすべきポイントは「短納期化を徹底する」ということです。
工場内に多能工を増員できれば、急な欠員に対処できたり機械トラブルが起こっても修理ができたりします。
機械の稼働率を上げることを一番に考えて、短納期化を実現しクライアントの信頼や受注機会を増やすことが大切です。

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多能工化によるメリット・デメリット

多能工化によるメリット・デメリット

多能工化によるメリット

業務を可視化できる

多能工化のメリットは業務を「可視化」できることです。
多能工の育成は研修や実践によってスキルや知識を習得していきますが、習得のレベルを可視化する必要があります。
なぜなら従業員のスキルを把握することは、業務の問題点や課題を発見するきっかけになるからです。
改善策や作業マニュアルを作れば、業務効率化や生産性向上などに活用できます。

業務負荷を平準化できる

多能工の増員で業務のフォローアップが可能となり、業務負荷の平準化が可能です。
組織に単能工が多い場合は、体調不良や有給休暇で担当者がいないときに業務がストップしてしまう恐れがあります。
業務負荷の平準化は品質水準を保ちつつ業務を進められたり、属人化を解消したりという重要な意味があります。

多角的な視点をもって仕事に取り組める

多能工の育成は、多角的な視点を持つことにつながります。
今まで関係なかった業務にも触れることで、他人の苦労がわかりますし興味関心も生まれるでしょう。
成功体験を積み重ねれば、チームワークが向上し意欲的に業務に取り組めるようになります。

多能工化によるデメリット

適正な人事評価が必要となる

多能工化にともない、適正な評価システムも必要となります。
覚えることが増え複数の業務をこなす必要がある多能工ですが、適正な人事評価を受けなければモチベーションが低下する可能性があります。
多能工が増員すればスキル管理が複雑化する恐れがあるため、スキル管理と評価制度をしっかり定めることが大切です。

モチベーションが低下する恐れがある

一方的に人材育成や新しい技術の習得を強要すれば、従業員のモチベーションが低下する恐れがあります。
従業員の中には頑固職人のように、一つの仕事しかしたくないという人もいるはずです。
多能工が求められる時代に好きな仕事ばかりを選ぶのは難しいですが、あらかじめ従業員へ目的の説明や同意を求めてください。

【4ステップ】人材育成の効果的な進め方【生産性アップ】

【4ステップ】人材育成の効果的な進め方【生産性アップ】

ここでは多能工の従業員を育成する、効果的な進め方を4ステップで解説します。

  1. 多能工化したい業務やスキル(力量)・資格を洗い出す
  2. 業務・スキル(力量)・資格のスキルマップを構築
  3. 人材の育成計画を立てる
  4. 業務・スキル(力量)・資格・評価・進捗を可視化

はじめに多能工化したい業務やスキル、資格を洗い出してください。
属人化している業務、人手が足りない業務、ムダなコストがかかっている業務は、優先的に多能工化を検討します。
次に、スキルマップを作成して保有スキルや習熟度などの現状を可視化します。
スキルマップのメリットは「スキルに隔たりがないか」「習得すべきスキルは何か」などが鮮明になり、確認や目標設定ができることです。
スキルマップを構築したら「誰が」「いつまでに」「何を」「どのように」育成を進めていくか、計画を立ててください。
多能工化にあたり問題が起こっていないか、負荷がかかりすぎていないかなどを、コミュニケーションをとりながら確認・修正を進めます。
同時にスキル管理や進捗を管理しながら、評価と振り返りを行いましょう。
多能工化が完了したら育成した時間やコストを無駄にしないように、相手の目線に立った業務の割り当てをしていきます。
実力を発揮して会社に長く定着してもらえるように、従業員のコミュニケーションやフォローアップは欠かさないようにしてください。
なおスキル情報や多能工化の進捗状況などは、ヒアリングやファイルのやり取りを行ない自分で情報を更新・修正する必要があります。
ワンストップで簡単に情報を更新したり業務管理を効率化したりしたい場合は、スキル管理ツールの導入をおすすめします。

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『fapi』は最新のスキル情報を一元管理して、提案スピードアップや業務効率化を図れるツールです。
多能工の育成において従業員一人ひとりのスキルや能力、業務状況を可視化することは欠かせません。
エクセルでのスキル管理はバラバラに管理された情報を、集計・分析する必要があり時間と手間がかかります。
ここから『fapi』の導入で改善された改善例をいくつか紹介するので、自社と照らし合わせてみてください。

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まとめ

この記事では多能工の重要性とメリット・デメリット、効率的な多能工育成についてお伝えしました。
人材不足が深刻な日本、従業員一人ひとりが複数の業務をこなせるようになることは非常に大切です。
多能工の育成にあたりスキル管理・アサイン管理を効率化したい方はぜひ『fapi』を検討してみてください。