製造業では従業員のスキルを適切に管理して、人員配置や人材育成に活かすことが重要です。

この記事では製造業におけるスキルマップのメリット・デメリット、スキルマップの作成方法を項目例を添えて解説します。

製造現場のスキル管理をサポートするツールも紹介するので、生産性・利益率の向上を図りたい方はこのまま読み進めてみてください。

製造業のスキル管理にはスキルマップが必須?

製造業界ではモノづくりの発展を目的に、スキルマップが数多くの企業で活用されています。

スキルマップとは従業員一人ひとりのスキルや業務経験などを可視化して、適切な人員配置や人材育成につなげるツールのことです。

製造現場では常に新しい機械や技術が投入されており、専門性が高い分野は属人化しやすいという問題があります。

そのため、スキルマップで従業員の強み・弱みを把握して、人材配置や人材育成に活かすことが欠かせないのです。

なお、スキルマップの呼び方は企業によって異なり、力量管理表やスキルマトリクスと呼ばれることもあります。

スキルマップとISO9001の関係を解説

スキルマップとISO9001の関係を解説

ISO9001の認証を受ける条件の1つに、スキルマップの提出があります。

スキルマップを提出する理由は、力量の明確化や実施証拠とするためです。

実際に、要求事項には「製品品質に影響がある仕事に従事する要員に必要な力量を明確にする。」とあります。

ISO9001が要求する「力量」とは、業務に必要な知識や技能、資格といった能力のことです。

業務に必要な力量を洗い出して従業員に足りない力量を教育・訓練するためにも、スキルマップは非常に有効なツールなのです。

出典:6.2.2 力量、認識及び教育・訓練|こちらISO事務局!

製造現場でスキルマップを活用するメリットとデメリット

製造業はスキルマップがもっとも導入されている職種です。

ここでは、製造業でスキルマップを活用するメリット・デメリットを簡単に紹介します。

製造業でスキルマップを活用するメリット

  • スキルを可視化できる
  • 人材配置を最適化できる
  • 人材育成・人材研修の計画が立てやすくなる
  • 従業員のモチベーションアップにつながる
  • 公平な人事評価ができる
  • 採用活動に活かせる

特に従業員数が多い企業は、スキル管理が頻雑になりがちです。

スキルマップで一元管理すると組織全体の強み・弱みが明確になり、適切な人員配置や人材育成に活かすことができます。

製造業でスキルマップを活用するデメリット

  • 作成に時間がかかる
  • 従業員から不満が出る恐れがある
  • 定期的な更新が必要になる

スキルマップでは従業員一人ひとりの保有スキルを、可視化したり評価に活かしたりします。

そのため「製造ラインから外された」「監視されているようで嫌だ」などの不満が漏れることもあるでしょう。

従業員が前向きにスキルアップを目指せるように、適切なコミュニケーションと環境づくりが求められます。

製造業向けスキルマップの作り方と項目例

製造業向けスキルマップの作り方と項目例

ここでは製造業向けスキルマップの作成方法を、具体的な項目例を添えて解説します。

スキルマップの作成は以下の5ステップです。

  1. スキルマップ導入の目的を明確にする
  2. スキル項目を洗い出す
  3. スキル項目の体系の分類・階層を決める
  4. スキルの評価基準・評価段階を決める
  5. スキルマップを作成して定期的に見直す

ステップ1.スキルマップ導入の目的を明確にする

スキルマップを作成する前に、導入の目的を明確化します。

目的が明確でないと、スキル項目の策定に時間がかかり業務に関連しない内容が盛り込まれる可能性があるからです。

「生産性が向上する人材配置を実現する」「ムダのない人材育成をおこないたい」など、担当者同士で目的を話し合いましょう。

ステップ2.スキル項目を洗い出す

目的を明確にした後は、スキル項目を洗い出します。

あまり深く考えずに、業務フローを思い浮かべながら大項目と小項目に分けてみてください。

その際、業務の担当者にヒアリングをおこなうと、スキル策定の効果を高めることができます。

ステップ3.スキル項目の体系の分類・階層を決める

スキル項目を洗い出したら、どのような体系に分類するのかを決定します。

スキル項目の分類をした後は、階層数を決めましょう。

製造業の「組立業務」を例にすると、以下のようになります。

業務内容作業内容3段階評価
工程内容の理解
部品の組立
組立強度測定
外観検査
異常時の対応

階層数に制限はありませんが、細かすぎると管理がしにくく形骸化する恐れがあるので、注意しましょう。

ステップ4.スキルの評価基準・評価段階を決める

次に、スキル項目の評価基準・評価段階を策定します。

スキルマップは一般的に、評価段階を3〜6段階にすることが多いです。

評価段階を3段階にした場合の評価基準は、以下のようになります。

レベル3他者を指導できる
レベル2単独で実施できる
レベル1理解していない

ステップ5.キルマップを作成して定期的に見直す

これまでの手順を踏まえて、実際にスキル管理表を作成します。

作成後はテスト的に運用を開始して、従業員からフィードバックを収集するのがポイントです。

定期的にスキルマップの更新・調整をおこなって、職場の底上げを図ってください。

製造業界では自動化やDX化といった取り組みが、果敢に進められています。

求められるスキルが変わりやすいので、時代の流れを汲み取りながら効果が見込めるスキルマップになるように、更新・調整を繰り返しましょう。

【Excelテンプレート・項目例あり】厚生労働省の職業能力評価シート

厚生労働省のホームページでは、製造業界で活用できる「生産管理」や「ねじ製造業」向けの職業能力評価シート(スキルマップ)を公開しています。

例えばねじ製造業では職務を「圧造・フォーマー」「転造・タッピング」「切削二次加工」に分けて、職業能力をレベル1〜4まで区分します。

評価基準は4段階になっており、以下の内容です。

レベル4他者を指導できる
レベル3単独で実施できる
レベル2サポートがあれば実施できる
レベル1知識がある

職業能力評価シートはExcel向けに作成されており、管理項目や評価項目を業務に合わせて変更できます。

現場でスキルマップを活用したい方は、下記よりダウンロードしてみてください。

キャリアマップ:職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード|厚生労働省

【脱Excel】製造業向けに項目が自由に作れるスキル管理システムfapiとは?

スキル管理・アサイン管理支援ツールfapi 紹介動画

fapiは製造業のスキル管理を支援する、クラウド型のスキル管理システムです。

Excelによるスキル管理は、従業員数の増加に伴い「更新が滞っている」「フォーマットが統一されていない」といった問題が起こりやすいです。

fapiはスキル管理を想定したシステム構成になっており、業務工数の削減、生産性・利益率の向上に貢献します。

例えば「空き要員を探す」「業務経歴で探す」など従業員の検索シーンを想定して、検索項目を登録する機能があります。

部署間をまたいで従業員を簡単に見つけられるので、スムーズにプロジェクトを進められるでしょう。

脱Excelでスキル管理や予実管理を効率化した方は、ぜひ1ヶ月間の無料トライアルから試してみてください。

まとめ:製造業がスキルマップを作成する目的や項目例を徹底解説

変化の激しい製造業界は、時代の流れに応じて適時スキルマップを更新・調整することが重要です。

これからスキルマップを作成する方は、導入の目的を明確にしてスキルの洗い出し作業から始めましょう。

従業員が50人を超える企業の方は、スキル管理・アサイン管理に特化したfapiをぜひお試しください。