ITエンジニアや社員のスキル管理ツールfapi(ファピ)を提供する株式会社FDCの佐々木舞美が、プロジェクト管理で注目を集めるリソース管理ツールJiraについて、メリット・デメリットを詳しく解説します。 Jiraはアジャイル開発やプロジェクト管理に優れたツールですが、リソース管理表やスキル管理の観点から見ると、どのような特徴があるのでしょうか。導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
Jiraとは?プロジェクト管理ツールの概要
Jira(ジラ)は、オーストラリアのAtlassian社が開発したプロジェクト管理ツールで、世界約30万社の企業が導入している実績があります。2025年現在、AI機能の統合やUI刷新など、大幅なアップデートを実施しており、進化を続けているツールです。
もともとはアジャイル開発を行うチームを対象としていましたが、現在では開発者だけでなくビジネスユーザーにも広く利用されています。タスクやプロジェクトの進行状況をリアルタイムで可視化でき、個々の担当者の作業状況や未完了タスク、遅延リスクを一目で確認できる点が特徴です。
Jiraの主な機能
- カンバンボードやスクラムボードによる視覚的なタスク管理
- ガントチャートでのスケジュール管理
- 課題(イシュー)の作成と追跡機能
- ワークフローのカスタマイズ
- BitbucketやGitHubなど開発ツールとの連携
- AI機能によるタスクの自動化と改善提案
- 詳細なレポート生成機能
Jiraのメリット:プロジェクト管理における強み
Jiraがプロジェクト管理ツールとして選ばれる理由は、その豊富な機能と柔軟性にあります。ここでは、Jiraの主なメリットについて解説します。
アジャイル開発との相性が抜群
Jiraはアジャイル開発に最適化された設計となっており、スクラムやカンバン方式に対応しています。スプリント管理やバックログの優先順位付けなど、アジャイル開発に必要な機能が充実しています。
2025年の最新バージョンでは、AI機能により次に完了すべきタスクを自動的にメンバーに割り当てる機能も実装されており、プロジェクトマネージャーの業務効率化に貢献しています。
高いカスタマイズ性
Jiraは多機能で柔軟性があり、プロジェクトの内容やチームのニーズに合わせて、画面内に表示する項目をカスタマイズすることが可能です。ワークフロー、フィールド、画面の設定を自由に変更でき、企業独自の運用ルールに対応できます。
豊富な連携機能
1,000以上のアプリと統合可能で、他のツールとの連携性が高い点も大きなメリットです。開発ツールだけでなく、ConfluenceやSlackなどのコミュニケーションツールとも連携でき、情報の一元管理が実現します。
リアルタイムでの進捗可視化
タスクやプロジェクトの進行状況をリアルタイムで可視化できるため、マネージャーは早期に問題を発見・対応できます。ダッシュボードやレポート機能により、プロジェクト全体の状況を俯瞰的に把握することができます。
無料プランの充実
Jiraのフリープランでは、10ユーザーまで制限なしでほぼすべての機能にアクセスできます。小規模チームであれば、無料で本格的なプロジェクト管理を始めることができる点も魅力です。
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| アジャイル対応 | スクラム、カンバン方式に完全対応し、AI機能でタスク自動割り当ても可能 |
| カスタマイズ性 | ワークフロー、フィールド、画面を自由に設定可能 |
| 連携機能 | 1,000以上のアプリと統合可能、開発ツールとの親和性が高い |
| 可視化 | リアルタイムでプロジェクトの進捗状況を把握できる |
| コスト | 10ユーザーまで無料で利用可能 |
Jiraのデメリット:導入前に知っておくべき課題
一方で、Jiraにはいくつかのデメリットや課題も存在します。特にスキル管理やアサイン管理の観点では、物足りない部分があります。
学習コストの高さ
Jiraは機能が豊富な反面、習得に時間がかかる可能性があります。操作が複雑で、初めて使うユーザーにとっては使いこなすまでに学習期間が必要です。特に小規模なチームにとっては、この学習コストが負担となる場合があります。
スキル管理機能の不足
Jiraはプロジェクト管理やタスク管理には優れていますが、メンバーのスキル管理機能は限定的です。Advanced Roadmapsにはステージとスキルの設定機能がありますが、体系的なスキルマップの作成や、スキルレベルの可視化、スキルベースの要員検索といった機能は十分ではありません。
エンジニアの技術スキルを詳細に管理し、それをもとにプロジェクトへの最適なアサインを検討したい場合、Jiraだけでは対応が難しいケースがあります。
アサイン管理・リソース管理の限界
Jiraでは基本的なタスクの割り当ては可能ですが、全社横断的なリソース管理やアサイン状況の可視化には専用プラグインが必要になります。Tempo PlannerやTeamBoard ProSchedulerなどのリソース管理用のプラグインを追加しなければ、複数プロジェクトをまたいだリソース配分や、要員の空き状況の一覧管理は困難です。
また、リソースの偏りやボトルネックの発見、最適なメンバーのアサイン検討といった、リソース管理に特化した機能は標準では備わっていません。
業務経歴表・スキルシートの出力に非対応
SES企業や受託開発企業で必要となる業務経歴表(スキルシート)の自動生成機能は、Jiraには標準で搭載されていません。営業提案時に必要となる技術者のスキルシートを作成する際は、別途手動で作成するか、他のツールと連携する必要があります。
コストの継続発生
クラウド型のサービスであるため、システム利用料金が継続的に発生します。ユーザー数が増えると、月額料金も増加するため、大規模な組織では予算管理が重要になります。
サーバーダウン時のリスク
クラウドサービスのため、サーバーが落ちた場合には使用ができなくなります。重要なプロジェクトの進行中にアクセスできなくなるリスクを考慮する必要があります。
| デメリット | 詳細 |
|---|---|
| 学習コスト | 機能が豊富で複雑なため、習得に時間がかかる |
| スキル管理 | 体系的なスキル管理機能が不足、スキルマップや力量管理には別ツールが必要 |
| アサイン管理 | 全社横断的なリソース管理には専用プラグインが必要 |
| 業務経歴表 | スキルシートの自動生成機能が標準では非搭載 |
| 運用コスト | 継続的な利用料金が発生、ユーザー数増加で料金も増加 |
リソース管理表としてのJira活用のポイント
Jiraをリソース管理表として活用する場合、以下のポイントを押さえることが重要です。
プラグインの活用が必須
Jira単体でリソース管理を行うには限界があるため、Tempo PlannerやONES Resourceなどのリソースプランニング専用プラグインの導入を検討しましょう。これらのツールを組み合わせることで、視覚的なスケジュール管理や、リソースの割り当て、進捗状況の追跡が容易になります。
Confluenceとの併用
要件管理やスキル情報の管理には、Confluenceを併用することで補完できます。Confluenceで要件やスキル情報を管理し、それにリンクした課題をJiraで作成することで、より包括的な管理が可能になります。
カスタムフィールドの活用
Jiraのカスタムフィールド機能を使用して、リソース管理に必要な項目を追加することができます。ただし、設定には専門知識が必要であり、運用ルールを明確に定めておく必要があります。
スキル管理・アサイン管理に特化したツールとの比較
Jiraはプロジェクト管理には非常に優れたツールですが、スキル管理やアサイン管理をメインの目的とする場合、専用ツールの導入を検討する価値があります。
スキル管理・アサイン管理専用ツールfapiの特徴
株式会社FDCが提供するfapiは、スキル管理とアサイン管理に特化したツールです。Jiraとは異なり、以下の機能が標準で搭載されています。
- 体系的なスキル管理:スキル情報をツリー形式で登録し、スキルマップとして可視化
- 要員検索機能:全社員のスキルとアサイン状況を横断検索し、最適な候補者を抽出
- アサイン管理:リアルタイムでアサイン状況を管理し、見込み案件の候補者管理も可能
- 業務経歴表の自動生成:導入企業独自の雛形でExcel形式の業務経歴表を出力
- データ分析:スキルやプロジェクト情報を自由に集計し、グラフで可視化
- 権限設定:ユーザーごとに閲覧・編集権限を細かく設定可能
fapiはSES企業や受託開発企業のリソース管理に最適化されており、エンジニアのスキル管理からプロジェクトへの最適なアサイン、営業提案用の業務経歴表作成まで、一気通貫で対応できます。
Jiraとfapiの使い分け
理想的な運用としては、Jiraとfapiを併用することで、それぞれの強みを活かすことができます。
- Jira:プロジェクト内のタスク管理、開発進捗管理、課題管理に活用
- fapi:全社のスキル管理、リソース管理、アサイン検討、業務経歴表作成に活用
このように役割を分担することで、プロジェクト管理とリソース管理の両方を効率化できます。
Jira導入を成功させるための注意点
Jiraを導入する際には、以下の点に注意することで、より効果的に活用できます。
チーム内でルールを明確にする
Jiraはカスタマイズ性が高い反面、使い方のルールを決めておかないと混乱が生じます。ワークフローの設定、ステータスの定義、課題の種類など、チーム内で統一したルールを策定しましょう。
段階的な導入を検討する
すべての機能を一度に使おうとすると、学習コストが高くなりすぎます。まずは基本的な課題管理から始め、徐々に機能を拡張していく段階的なアプローチが効果的です。
トレーニングとサポート体制の整備
Jiraを効果的に活用するには、適切なトレーニングが必要です。公式ドキュメントやトレーニング資料を活用し、チームメンバーのスキルアップを図りましょう。
他ツールとの連携を計画する
Jiraだけですべてを完結させようとせず、スキル管理やリソース管理など、不足している機能については専用ツールとの連携を計画しましょう。
まとめ
Jiraはプロジェクト管理には非常に適しているツールであり、アジャイル開発やタスク管理、進捗可視化においては優れた機能を持っています。カスタマイズ性の高さや豊富な連携機能、AI機能による自動化など、プロジェクト管理の効率化に大きく貢献します。
しかし、スキル管理やアサイン管理の機能については物足りないと言えます。体系的なスキルマップの作成、全社横断的なリソース管理、業務経歴表の自動生成といった機能は標準では搭載されておらず、専用のプラグインや他ツールとの連携が必要になります。
もしスキル管理とアサイン管理をメインにお考えなら、専用ツールfapiがおすすめです。fapiはエンジニアのスキル管理からプロジェクトへの最適なアサイン、営業提案用の業務経歴表作成まで、リソース管理に必要な機能を包括的に提供しています。
次の記事では、スキル管理・アサイン管理ツールfapiについて詳しく解説していますので、併せて読んでみてください。
