ビジネスの現場でよく耳にする「アサイン」には、どのような意味があるのでしょうか。
アサインはITプロジェクトの成否を左右するため、決して無視はできません。
この記事ではアサインの意味や重要性、システムエンジニアのアサインでやってはいけないことを解説します。
プロジェクトを成功に導きたいSES営業やPMの方は、ぜひ参考にしてみてください。
アサインとは?

アサインとは「割り当てる」「任命する」「配属する」といった意味を持つビジネス用語です。
英語の「Assign」が語源が語源となっており、仕事の割り当てやプロジェクトにメンバーを配属する際に使われます。
たとえば「ITプロジェクトに10名アサインする」という文章は、担当するシステムエンジニアを10名配置するということです。
アサインの対義語には「リリース」が挙げられます。
リリースには「離す」「解放する」といった意味があり、プロジェクトチームからメンバーを外す際に用いられます。
アサインとはIT用語でどういう意味ですか?
IT業界には「キーアサイン」という言葉があります。
キーアサインとはキーボードの各キーに、どのような機能を持たせるか割り当てることです。
たとえば「F3キーに印刷機能をキーアサインしました」などと用いられます。
SES(システムエンジニアリングサービス)のアサインとは?

SESにおけるアサインとは、常駐先へ派遣するシステムエンジニアを決めることです。
SESはIT業界における契約形態の1種で、クライアント企業(顧客)へシステムエンジニアを派遣して技術力を提供します。
システムエンジニアのアサイン検討ではスキルや能力、報酬などからプロジェクトに採用するかを判断します。
SESは準委任契約と呼ばれ、システムエンジニアの労働力の対価として報酬を受け取るのが特徴です。
アウトソーシングとSESの違いは何ですか?

アウトソーシングは業務に必要な人員やツールなどを、外部から調達するという意味です。
アウトソーシングは業界や職種に関わらず、さまざまな業務を外部委託する際に使われます。
SESはシステムやソフトウェアの開発、保守・運用において、システムエンジニアの技術を提供することです。
アウトソーシングと同様に人員調達の意味がありますが、IT業界における契約形態であることから、限定的な状況で用いられます。
システムエンジニアが案件へ配属されるまでの流れ

SES営業を例にして、システムエンジニアが案件へ配属されるまでの流れを紹介します。
- 案件を獲得する
- 空いている人材をピックアップする
- 経歴書を作成し案件と人材のマッチングを行う
- 案件に関する面談を行う
- 契約を締結する
- 派遣先のシステムエンジニアのフォローアップを行う
システムエンジニアにはプログラミングスキルをはじめ、派遣先でスムーズに業務を進められるコミュニケーション能力も必要です。
チーム内でプロジェクトの目的や目標を一致させるためにも、コミュニケーション能力は非常に重視される傾向にあります。
アサインの重要性

ここでは、的確なアサインがいかに重要かがわかる、判例について紹介します。
東京地方裁判所 令和3年12月20日判決
ある企業(以下、元請け企業)が顧客企業からITプロジェクトの参加を依頼された。プロジェクトは顧客企業内で行われる開発であり、元請け企業にもメンバーを常駐させて顧客企業側メンバーと共に作業を行って
ほしいというものだった。
元請け企業はこの依頼をそのまま別のIT企業(以下、下請け企業)に出し、下請け企業のメンバーAが顧客企業で作業を行うこととなった。
ところがAのスキルは顧客企業の望むレベルに達しておらず、元請け企業にクレームが入った。元請け企業は下請け企業に改善策の提示を求めたが、結果として交渉は決裂し、下請け企業は契約期間をまだ残したままメンバーを撤退させた。
顧客企業が元請け企業に残期間の費用を支払わなかったため、その相当額を損害として下請け企業に賠償を求めて裁判となった。しかし下請け企業は「この契約は事実上元請け企業側から解除したものだ」として、本来支払われるはずだった費用の支払いを求める反訴を提起した。
出典:Westlaw Japan 文書番号 2021WLJPCA12208002
要約するとシステムエンジニアのミスマッチが発生し、元請け企業が下請け企業に裁判を起こしたが、下請け企業が反訴を起こしたことになります。
裁判の結果は、元請け企業の過失は認められず下請け企業の敗訴となりました。
システムエンジニアのミスマッチは損害賠償や信頼の失墜、メンバーの離職などあらゆる問題につながることを示唆しています。
それほど、ITプロジェクトにおいて、アサインはないがしろにしてはいけないということです。
アサインの軽視はプロジェクトの失敗のみならず、IT訴訟への発展という最悪の結末を迎える恐れがあるのです。
システムエンジニアのアサインでやってはいけないこと

記憶や感覚による属人的な管理
開発責任者やPM(プロジェクトマネージャー)の記憶や感覚に頼ったアサイン管理は、ミスマッチが発生する原因になります。
なぜなら、システムエンジニアのスキルや特性、業務経験などが加味されていないからです。
記憶や感覚に頼ったアサイン管理は、成果物の品質が保たれなかったり納期に遅れたりする可能性が出てきます。
システムエンジニアのアサインを検討する際は、正確な「データ」をもとに行うことが大切です。
アサイン管理表のメンテナンスを怠る
アサイン管理表は、定期的なスキル情報の更新が欠かせません。
なぜならプロジェクトに人材を割り当てる際に、最新のスキル情報を参考にしなければ意味がないからです。
アサイン管理表のメンテナンスを怠る原因は、手作業の更新が面倒になることが挙げられます。
スキル情報の更新に時間がかかっているという方は、専用のITツールを導入するのも1つの手です。
リソースに余裕があるか、逼迫しているかの管理ができていない
エクセルによるアサイン管理は、リアルタイムでアサイン状況を把握できません。
そのためリソースにどれほど余裕があるか、あるいは逼迫しているかの判断がつかないという問題が起こり得ます。
アサイン状況をリアルタイムで把握すると、人手不足のプロジェクトに人員を回したり空き要員をゼロにしたりできます。
プロジェクトの達成や利益確保にもつながるので、SES営業やPMの方はITツールの導入を検討してみてもよいでしょう。
アサイン管理にはクラウドツールの活用が重要

システムエンジニアのアサイン管理には、クラウド対応の「アサイン管理ツール」がおすすめです。
アサイン管理ツールとはスキル情報やアサイン状況をもとに、プロジェクトに最適なシステムエンジニアの割り当て・管理を行うITツールです。
クラウドに対応していることで情報の共有や連携がスムーズになり、ムダな業務を大幅に削減できます。
派遣先の現場でもPMが要員計画やアサイン管理などの状況を、常に把握可能です。
営業担当者とストレスなくコミュニケーションが取れるため、他社よりも素早い営業提案・案件獲得につなげます。
スキル管理・アサイン管理ツール「fapi」とは?

「fapi」はSES、受託開発を25年以上続けてきた株式会社エフ・ディー・シーが提供するスキル管理・アサイン管理ツールです。
エンジニアのスキル管理に最適なシステム構成に加えて、管理項目の自由度、登録データの集計・分析をアサイン業務に活かせます。
派遣先のシステムエンジニアにスキルシートの更新依頼を行えるので、常に最新スキルレベルや業務経歴・アサイン状況などを把握できる点も魅力です。
「システムエンジニアのミスマッチを減らしたい」「適材適所の人員配置で利益をあげたい」という方は、無料トライアルからぜひ始めてみてください。
まとめ
アサインは「割り当てる」「任命する」という意味を持つビジネス用語で、おもにSES企業やITプロジェクト開発の現場で使われています。
システムエンジニアのアサイン検討では、最新のスキル情報やリアルタイムのアサイン状況の把握が欠かせません。
スキル管理・アサイン管理を効率化して営業提案やアサイン検討の業務工数を大幅に削減できるのがクラウドツールです。
属人化されたアサイン管理をやめて、システムエンジニアの持ち味を存分に活かしたい方は導入を検討してみてください。