プロジェクト終了時にコストが予算を上回っていた場合、プロジェクトが成功したとはいえません。
「コスト見積もりが大幅にズレてしまう」「赤字プロジェクトを脱却したい」と悩んでいる、コスト管理担当者は多いのではないでしょうか。
この記事ではプロジェクト管理におけるコスト管理のポイントを解説します。
コスト管理の具体的なプロセスから課題と解決方法、プロジェクト管理費を抑えるポイントまでコスト管理の悩みを解決する内容です。
プロジェクトでコスト管理を行う5つのメリット

コスト超過予防
コスト超過予防はコスト管理を行う最大のメリットです。
プロジェクトを進めていると、予期せぬ出費やコストはどうしても発生してしまいます。
コスト管理のプロセスを活用すれば、予算を使い過ぎていないかの確認が可能です。
適切なコスト管理でコストを定期的に把握し、予算を調整しながらプロジェクトを予算内で完了させましょう。
制約条件の理解
プロジェクト管理でコスト管理がもたらすメリットに、制約条件の理解があります。
コストは「コスト(費用)」「スコープ(範囲)」「時間(スケジュール)」と、3つの制約条件の一つです。
コストが上がればスコープや時間に影響を与えるため、プロジェクトが遅延する可能性があります。
PMやメンバーが「コスト」のことを十分に理解できれば、制約のバランスをとるための戦略を取り入れたりリスクに備えたりできます。
中断防止
コスト管理には、コストに起因するプロジェクトの中断を防止する効果があります。
プロジェクトは進行するに従って、予想外のコストが発生したり予算超過が起こったりする確率が高くなります。
コストの流れに注意しながら問題発生時は、早期に発見してプロジェクトを予算内で抑えましょう。
スコープクリープ防止
日頃からコスト管理をしておけば、スコープクリープを防止できます。
スコープクリープとはプロジェクトのスコープが予定より拡大することで、予算超過やスケジュール進捗の遅れといった問題につながります。
コスト管理を適切に行い、急な変更要求にもプロジェクトの予算内でしっかり対応しましょう。
他プロジェクトへの横展開
プロジェクト管理でコスト管理の成功事例が生まれると、他のプロジェクトへ横展開できます。
成功したプロセスは類似するプロジェクトにも適応する可能性が高く、計画時間の短縮やコスト削減の効果が期待できます。
また、成功事例を積み重ねることでコスト管理の効果をさらに高められます。
成功プロセスを活用してコスト分析や予算管理で横展開を拡大し、さらなる業務効率化、利益率アップを狙いましょう。
コストを管理するプロセスとは

コスト管理(コストマネジメント)は、PMBOKの一領域で紹介されています。
PMBOKとはプロジェクトマネジメントに必要な知識や手法を体系的にまとめたガイドブックで、プロジェクトマネジメントの世界標準となっています。
ここではPMBOKのコストマネジメントを参考にしながら、コスト管理のプロセスを解説します。
ステップ①プロジェクトアサイン計画
まずはプロジェクトに必要なリソースを把握して、プロジェクトアサインを計画しましょう。
人的リソースはプロジェクトの成果を左右するもっとも重要な要素です。
的確なプロジェクトアサインは業務効率化や利益率アップ、人材育成など、企業に多くのメリットをもたらします。
メンバーが足りない場合や費用に折り合いがつかないときは、業務委託も検討して人員を確保してください。
プロジェクトアサイン計画後はコストマネジメント計画を立てて、コストの方針や手順を決定します。
ステップ②コスト見積もり
コスト見積もりではプロジェクトに必要なリソースに対しての妥当なコストを、定量的に見積もります。
見積もりと予想していた費用の差が大きかった際は、計画を見直すこともあるため早めに行動することが重要です。
ステップ③プロジェクト予算設定
コスト見積もりが完了したら、その見積もりをもとにプロジェクト全体の予算を設定しましょう。
プロジェクト予算とはプロジェクト期間中に「何のために・いつまで・どれだけ」の費用をかけるかを、明確に計画することです。
基本的に、プロジェクトの予算は一度に与えられるわけではなく、段階的に必要な予算が分割されます。
予期せぬリスクも考慮し、余裕を持たせた「プロジェクト資金要求事項」を作成したうえで予算を要求してください。
ステップ④コスト・コントロール
プロジェクト進行中は予算の超過を防ぐために、コスト・コントロールでコストの計算や調整を行いましょう。
コストを見直す頻度はプロジェクトによって異なり、リアルタイムで確認することもあれば四半世紀ごとに確認することもあります。
適切なコスト・コントロールには、ステークホルダーとのコミュニケーションも欠かせません。
プロジェクト完了後は成果を評価して、最終的なコストの動きの分析を実施します。
コスト管理の2つの課題

見積の正確性
コスト見積もりの段階で金額を見誤ると、その後のプロジェクトで問題が発生します。
「コスト(費用)」「スコープ(範囲)」「時間(スケジュール)」の3つの制約条件は、相互に影響を与える関係です。
例えば見積もりが過小だった際に、実際のプロジェクトの費用が見積もりを超過すると、スケジュール遅延やスコープクリープ発生につながります。
コスト管理の成功事例などを参考にして、正確な見積もりを立てることが重要です。
少ない予算
プロジェクトの予算が十分でないと、以下の問題が発生する可能性があります。
- リソース不足
- スコープクリープ
- スケジュール遅延
リソースや予算の見直しをはじめ、必要に応じて予算提案も行うようにしましょう。
プロジェクト管理費を抑えるために必要な3つのポイント
プロジェクト全体を把握すること
効率的なコスト管理には、プロジェクトの全体像を把握して正確にコスト見積もりを行うことが大切です。
コスト見積もりに必要な情報が不足していると、見積もりの精度が低くなりコスト超過やコスト不足が起こってしまいます。
全体像を把握して正確な見積もりを出すためにも、内部だけではなく外部の業務やコストも確認しましょう。
プロジェクトの進捗状況を把握すること
プロジェクトの進捗把握も、適切なコスト管理に欠かせません。
なぜなら、コスト管理担当者が進捗を理解していないと、突発的なコスト調整に対応できないからです。
進捗状況を把握しつつ臨機応変に対応して、プロジェクトの出費を予算内に抑えてください。
コスト見積もりで概算を行うこと
適切なコスト見積もりで、プロジェクトを完了するために必要なリソースの概算金額を算出します。
PMBOKでは、コスト見積もりの精度について以下のように記載されています。
立ち上げフェーズでの見積もり精度:±50%
詳細情報が収集出来た段階での見積もり精度:±10%
概算では機器やサービス、コンティンジェンシーコストなど、プロジェクトに関連する全てのコストを見積もってください。
【段取り八分】プロジェクト管理におけるコスト管理のポイントはアサイン管理にあり

「段取り八分、仕事二分」という言葉がある通り、コスト管理でも段取りは重要です。
コスト管理の効果を最大化するため、アサイン管理にも力を入れましょう。
アサイン管理とはメンバーのスキルや業務経験、稼働状況などの情報を一元管理して、最適な人員配置を実現する取り組みです。
まずはアサイン管理がもたらすメリットを確認しましょう。
- メンバーのスキルや人件費などを把握して適切なアサインを実現できること
- 稼働状況の偏りを抑えて労務費などの予算超過を防止できること
- メンバー稼働率100%を実現して利益が確保しやすくなること
コスト超過やスコープクリープを防止してプロジェクトを成功に導きたい方は、コスト管理とアサイン管理を組み合わせる方法がおすすめです。
なお、プロジェクト管理やコスト管理、アサイン管理を効率化するため、専用ツールの導入を検討してみてください。
まとめ
この記事では、プロジェクト管理におけるコスト管理のポイントについて解説しました。
適切なコスト管理はプロジェクトを予算内で完了するために欠かせない取り組みであり、コスト管理担当者にとって欠かせないスキルの一つです。
プロジェクトに関わるコストを明確化したい方は、コスト管理ツールの導入を検討してみてください。
アサイン管理ツールも組み合わせると、コスト削減や赤字プロジェクトの脱却を加速することが可能です。