VB.NET(Visual Basic .NET)は、マイクロソフトが開発したオブジェクト指向のプログラミング言語です。
従来のVisual Basic 6.0から大きく進化し、.NET Framework上で動作することで、現代のソフトウェア開発の要求に応えています。
本記事では、VB.NETの基本から、現代における役割、そして「レガシーシステム」からの移行(マイグレーション)について詳しく解説します。

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VB.NETとは?
VB.NET(Visual Basic .NET)は、マイクロソフトの.NET Framework上で動作するプログラミング言語です。
従来のVisual Basic 6.0とは異なり、完全なオブジェクト指向プログラミングに対応しています。
この言語は、簡潔で読みやすい文法が特徴で、プログラミング初心者でも比較的短期間で習得することが可能です。主にWindowsデスクトップアプリケーションや、ASP.NETを利用したWebアプリケーションの開発に用いられます。
VB.NETの歴史とレガシーシステム
VB.NETの歴史を語る上で避けて通れないのが、前身であるVisual Basic 6.0です。
VB6は、1998年にリリースされ、GUIアプリケーションを簡単に開発できる手軽さから、多くの企業の業務システム開発に採用されました。
しかし、2008年にサポートが終了し、セキュリティリスクや最新OSへの非対応といった課題が浮上しました。
そこで、多くの企業で問題となっているのが、Visual Basic 6.0で構築されたレガシーシステムの老朽化です。
システムの維持管理コストの増大や、開発者の減少といった問題に直面し、最新の技術環境への移行が急務となっています。
VB.NETへのマイグレーション(移行)とは?
マイグレーションとは、古くなったシステムを新しい技術環境へ移行することです。
Visual Basic 6.0からVB.NETへのコンバート(コードの変換)は、特に一般的なマイグレーションのパターンの一つです。
VB6のコードはVB.NETと文法が異なるため、単純なコピペでは動きません。
しかし、多くの開発ツールや専門のサービスが、このコンバージョン作業を支援しています。
マイグレーションを成功させることで、システムのパフォーマンス向上、保守性の改善、そしてセキュリティの強化といった大きなメリットが得られます。
VB.NETのメリット・デメリット
VB.NETには、多くのメリットがあります。
- 学習コストが低い: 自然言語に近い構文のため、プログラミング初心者でも学びやすいです。
- GUI開発が容易: Visual Studioの強力なGUIデザイナ機能により、ドラッグ&ドロップで画面を作成できます。
- .NETの豊富なライブラリ: 膨大なクラスライブラリが利用でき、複雑な機能も手軽に実装できます。
- レガシーシステムからのスムーズな移行: VB6のコードと文法が類似しているため、開発者が移行しやすく、スムーズなマイグレーションが可能です。
一方で、デメリットも存在します。
- 求人数の減少: 近年、新規開発案件ではC#が主流となり、VB.NETの求人数は減少傾向にあります。
- クロスプラットフォーム開発の制限: 従来の.NET Framework上ではWindowsに特化しており、macOSやLinuxでの開発は限定的でした(現在は.NETによって改善)。
VB.NETとC#の違い
VB.NETとC#は、どちらも.NET上で動作する言語で、機能的な差はほとんどありません。最も大きな違いは文法です。
特徴 | VB.NET | C# |
文法 | 簡潔で読みやすい(End If , End Sub など) | C言語系({} 、; など) |
開発者 | VB6からの移行者や初心者 | JavaやC++からの移行者 |
強み | GUI開発、読みやすさ | Web開発、新機能への対応 |
VB.NETが活躍する分野と事例
VB.NETは、特に以下の分野で強みを発揮します。
- Windowsデスクトップアプリケーション: 企業の業務システム、在庫管理システム、会計システムなど。
- 既存システムの保守・改修: Visual Basic 6.0で構築されたレガシーシステムの改修やマイグレーション。
事例: ある製造業の企業では、VB6で構築された生産管理システムが老朽化し、保守が困難になっていました。
そこで、VB.NETへのマイグレーションを決断。
専門のツールを利用してコードを自動でコンバートし、不足している部分を手動で修正することで、短期間での移行に成功。これにより、システムのパフォーマンスが向上し、最新のセキュリティ対策も施すことができました。
VB.NETの将来性
VB.NETは、新規開発のシェアはC#に譲りつつも、決して衰退した言語ではありません。
マイクロソフトは今後もVB.NETをサポートし続けると公言しており、特にレガシーシステムのマイグレーションや保守開発において、今後も重要な役割を担い続けるでしょう。
まとめ
VB.NETは、初心者にも優しく、Windowsアプリケーション開発に強いプログラミング言語です。
特に、Visual Basic 6.0で構築されたレガシーシステムをマイグレーションする際の有力な選択肢となります。
システムのコンバートやコンバージョンを検討されている方は、VB.NETを学ぶことで、既存資産を活かしつつ、最新環境への移行をスムーズに進めることができるでしょう。