2026年現在、多くの企業が「まだ動いているから」という理由で、1998年に誕生したVisual Basic 6.0(以下、VB6)で開発された業務システムを使い続けています。しかし、Windows 10のサポート終了(2025年10月)を経て、OS環境がWindows 11、そして次世代のWindows 12へと移行する中で、VB6アプリの運用は「緩やかな死」から「致命的な経営リスク」へとフェーズが変わりました。

本記事では、経験豊富なのエンジニアの視点から、2026年時点におけるVB6アプリの動作状況、互換性の限界、そして企業が直面する具体的なリスクについて詳述します。

開発本部
佐藤

ITエンジニアを150名以上抱え、多くのシステム開発に25年以上携わりながらISO9001を取得している弊社の開発本部で活躍しています。GMとしてチームメンバーを率いながら、多くのITエンジニアを育成中です。


1. 2026年時点でのVB6動作状況:Windows 11/12での真実

2026年現在、Windows 11および次期OS(Windows 12想定)において、VB6ランタイム自体は依然として「It Just Works(そのまま動く)」というMicrosoftの方針に基づき同梱されています。
しかし、これは「動作が保証されている」ことと同義ではありません。

最新のOSでは、セキュリティ強化のためにカーネルレベルでの変更が繰り返されており、VB6が想定していた古いAPI呼び出しが意図しない挙動を示すケースが増えています。
「昨日まで動いていたものが、Windows Update一つで動かなくなる」という薄氷を踏むような状況が、現在のリアルな姿です。

2. Windows 10サポート終了がもたらした「VB6の孤立化」

Windows 10サポート終了がもたらした「VB6の孤立化」

2025年10月のWindows 10サポート終了は、VB6ユーザーにとって大きなターニングポイントとなりました。多くの企業がWindows 11への強制的な移行を余儀なくされましたが、VB6アプリは32ビットアーキテクチャに依存しています。

Windows 11以降、OSの64ビット化はさらに純度を高めており、32ビットアプリを動作させるためのエミュレーションレイヤー(WOW64)への依存は、パフォーマンスの低下や、予期せぬメモリ競合のリスクを常に孕んでいます。もはやVB6は、最新OSの中で「異物」として扱われているのです。

3. 「2026年の壁」:エンジニア不足と技術継承の断絶

2026年、VB6を扱えるシニアエンジニアの多くが定年退職を迎え、保守の担い手が劇的に減少しています。若い世代のエンジニアにとって、VB6は「歴史上の言語」であり、その構文や独特のメモリ管理を理解する者は稀です。

  • ブラックボックス化: コードを読める人間がいなくなり、改修が不可能になる。
  • ドキュメントの欠如: 当時の開発資料が散逸し、仕様が不明確になる。
  • 採用難: VB6の保守案件に応募するエンジニアはおらず、外注単価も高騰。

これらは、システムが動いているかどうか以前の、組織的な存続リスクです。

4. サードパーティ製OCX/DLLのサポート終了という死角

VB6アプリの多くは、当時流行したサードパーティ製のコントロール(ActiveX/OCX)を利用して、グリッド表示や帳票出力を行っています。しかし、これらのベンダーの多くは、とっくの昔にWindows 11以降の動作サポートを打ち切っています。

例えば、有名なグレープシティ社製のコントロールなどは、Windows 10/11環境での動作を保証していません。OSのバージョンアップに伴い、画面が崩れる、特定の操作で異常終了する、といった不具合が発生しても、もはや修正パッチが提供されることはありません。

5. セキュリティ脆弱性:パッチが当たらない恐怖

セキュリティ脆弱性:パッチが当たらない恐怖

MicrosoftはVB6ランタイムの「維持」は約束していますが、脆弱性に対する「積極的な修正」は行っていません。2026年のサイバー攻撃はより高度化しており、古いランタイムに含まれる既知の脆弱性は、攻撃者にとって格好の侵入口となります。

セキュリティソフトがVB6の挙動を「不審な動き」と検知して隔離してしまったり、社内のセキュリティポリシーにより「サポート外ソフトの利用禁止」を突きつけられたりするケースも増えています。コンプライアンスの観点からも、VB6の継続利用は正当化できなくなりつつあります。

6. Windows 12(次世代OS)への互換性予測と懸念

Windows 12(仮称)世代では、AI統合やさらなるゼロトラストセキュリティが標準となります。ここで懸念されるのが、16/32ビット時代の古いコンポーネントの切り捨てです。

MicrosoftがもしWOW64(32ビット互換レイヤー)の軽量化や廃止に踏み切った場合、VB6アプリは一夜にして全滅します。2026年は、そのような「OSの大変革」に備えるための最終猶予期間と言えます。

7. 「とりあえず動く」が招く、見えない運用コストの増大

「まだ動くからマイグレーションは不要」という判断は、経済的に誤りである可能性が高いです。

項目VB6継続のコスト(隠れコスト)モダン化(VB.NET/C#)後のコスト
保守体制専門人材の確保が困難・高単価一般的なエンジニアで対応可能
不具合対応原因特定に膨大な時間がかかる最新ツール(デバッガ)が利用可能
システム連携最新クラウドAPIとの連携が困難標準ライブラリで容易に連携
インフラ特殊な設定のPCやVMが必要最新のクラウド、仮想環境で動作

2026年現在、VB6を延命させるための「工夫」にかかる工数は、将来的なマイグレーション費用を上回り始めています。

8. VB6から.NETへの移行:2026年における現実的な選択肢

VB6アプリを救う道は、大きく分けて3つあります。

  1. VB.NETへのマイグレーション: 構文の類似性を活かしつつ、.NET Framework/.NET 8以降へ移行する。
  2. C#へのフルスクラッチ書き換え: 長期的な保守性を重視し、最新の言語仕様に刷新する。
  3. ローコードプラットフォームへの移行: 業務プロセスを整理し、最新のツールで作り直す。

特に「VB Remake」のような専門サービスを利用することで、手作業では膨大な時間がかかる変換作業を自動化し、低コストかつ短期間での移行が可能になります。

9. マイグレーションを成功させる「資産棚卸し」の重要性

2026年に移行を決断した際、まず行うべきは「本当に必要な機能の選別」です。20年以上前に作られたシステムには、現在使われていない機能が30%〜50%含まれていると言われています。

  • ログ解析: どの画面が頻繁に使われているか調査。
  • 重複整理: 似たような機能を持つサブシステムを統合。
  • DXの契機: 単なる置き換えではなく、業務フロー自体の改善を同時に行う。

これが、投資対効果(ROI)を最大化する秘訣です。

10. 経営層が理解すべき「技術的負債」の正体

VB6アプリを使い続けることは、企業が「利息の高い借金」を抱えている状態と同じです。これを「技術的負債」と呼びます。2026年、この負債の利息(保守コストやリスク)は、事業の利益を圧迫するレベルに達しています。

システムは「動いているから資産」なのではなく、「変化に対応できるから資産」なのです。変化できないVB6は、もはや資産ではなく「リスク」そのものです。


まとめ:2026年、VB6からの脱却は「待ったなし」の経営課題

Windows 11/12という最新環境において、VB6アプリを使い続けるリスクと限界は、もはやエンジニアレベルの議論を超えています。セキュリティ、人材、互換性、そしてコスト。あらゆる面で限界を迎えているのが2026年の現状です。

システムの寿命をOSの慈悲に委ねるのではなく、自らの意思でモダンな環境へと舵を切ることが、企業競争力を維持する唯一の道です。手遅れになる前に、専門家による診断とマイグレーションの計画策定を強くお勧めします。