マイグレーションについてご存知でしょうか？
マイグレーションはシステムを稼働させ続けるためには欠かせないものです。
本記事ではマイグレーションの意味や種類、移行手順についてを詳しく紹介していきます。
マイグレーションとは？
マイグレーション（英語：Migration）とは、移動、移転を意味する英単語です。
ITの世界では、既存システムなどを別の環境や新しいプラットフォームへ移行する意味で使用されています。
対象は基盤システムや情報システム、データやサーバーなどさまざまです。
特にデータの容量不足や使用されている言語や環境などのサポートが終了した場合などはマイグレーションを検討する必要があります。
マイグレーションと似ているIT用語とその違いについて
マイグレーションのことを調べていると意味が似ているIT言語を見かけるかもしれません。
そこで、マイグレーションと意味が似ているIT言語とその違いについて紹介します。
コンバージョンとは？
コンバージョン（英語：Conversion）とは、転換、変換、変化を意味する英単語です。
ITの世界では、システムやデータの形式変換という意味で使用されています。
リプレースとは？
リプレース（英語：Replace）とは、取り替えるや交換するを意味する英単語です。
ITの世界では、システムやデータの一部、もしくはすべてを新規のものに取り換えるという意味で使用されています。
エンハンスとは？
エンハンス（英語：Enhance）とは、向上させる、改善させる、高めるを意味する英単語です。
ITの世界では、システムやデータの品質向上や機能追加を行うという意味で使用されています。
アップデートとは？
アップデート（英語：Update）とは、改訂する、更新する、最新の状態にするを意味する英単語です。
ITの世界では、システムやデータを最新の状態に更新するという意味で使用されています。
モダナイゼーションとは？
モダナイゼーション（英語：Modernization）とは、現代化、近代化を意味する英単語です。
ITの世界ではシステムやデータを最新技術で刷新するという意味で使用されています。
| 言葉 | 概要 |
| マイグレーション | システムやデータを新しい環境へ移行すること |
| コンバージョン | システムやデータの形式を変換すること |
| リプレース | システムやデータの一部・すべてを新規のものに取り換えること |
| エンハンス | システムやデータの品質向上や機能追加を行うこと |
| アップデート | システムやデータを最新の状態に更新すること |
| モダナイゼーション | システムやデータを最新技術で刷新すること |
システム移行をする目的について
マイグレーションが必要になるのは、データの容量不足や環境のサポートが終了した場合などです。
その場合はマイグレーションを検討する必要があります。
例えば、Visual Basic 6.0（VB6）は2008年4月8日でマイクロソフト社の延長サポートが終了しています。
Visual Basic6.0が使用されているシステムは早めにVisual Basic 6.0（VB6）からVisual Basic.NET（VB.NET）へ移行することをおすすめします。
マイグレーションのメリットとデメリット
マイグレーションを行うことで得られるメリットがあります。
以下では、マイグレーションを行うメリットを3つ紹介します。
メリット①生産性の向上
機能性が悪く、動作が遅い問題を抱える現行システムを使い続けるのは、その分リスクや手間がかかります。
そこでマイグレーションを行い、新システムに移行することで、機能性を改善することができ、業務時間が短縮し、生産性を高めることができます。
メリット②既存システムの有効活用
マイグレーションはゼロから作る新規開発とは異なり、現行システムを活用することができます。
移行時の変更点が少ない場合は、業務への影響を少なくすることができます。
新規開発と比べ、費用も抑えられることが多いです。
メリット③セキュリティの向上
現行システムが古い場合、使われているソフトウェアのサポートが終了していることがあります。
サポートが終了しているソフトウェアを使い続けるのはセキュリティのリスクが高いです。
そこでマイグレーションを行い、新システムに移行することで、セキュリティ機能も強化することができ、脆弱性を取り除くことができます。
デメリットについて
さまざまなメリットがあるマイグレーションですが、一方でデメリットも存在します。
マイグレーションを実施するために、現行システムの構造や機能やデータを見える化する必要があります。
見える化をすることで、不要なデータや機能をなくし、新しく追加すべき機能を把握でき、新システムをより良いものにすることができます。
システムの規模にもよりますが、見える化作業は時間がかかることがあります。
ただ、マイグレーション成功のためには必要不可欠な作業なので、マイグレーションのメリットを最大限得るためにも、実施の必要があります。
マイグレーションの種類
マイグレーションにはいくつかの種類があります。
以下で代表的な種類を3つ紹介します。
システムを移行する「システムマイグレーション」
システムマイグレーションは、古い（レガシー）システムを新しいシステムに移行することを意味します。
環境を移行するだけでなく、ブラックボックス状態を改善したり、機能改善を行うこともできます。
データを移行する「データマイグレーション」
データマイグレーションは、古いシステムから新しいシステムにデータを移行することを意味します。
DBマイグレーションとも表記します。
現在データに基づいた活動を行う企業が増えているため、データマイグレーションに注目が集まっています。
サーバーを移行する「サーバーマイグレーション」
サーバーマイグレーションは、古いサーバーで稼働しているシステムを新しいサーバー環境へ移行することを意味します。
サーバーを再構築せず移行できるため、サービスの中断を最小限に抑えることができます。
マイグレーションの手法と特徴
マイグレーションには主に次のような手法があります。
リホストについて
現行システムで使用している言語やソフトウェアの仕様を変更せずに、新しいプラットフォームへ移行する手法です。
移行によるリスクや費用を抑えることができます。
リライトについて
現行システムで使用している言語のみを変更し、新しいプラットフォームへ移行する手法です。
古い言語から新しくすることでパフォーマンスやセキュリティの向上が期待できます。
リビルドについて
現行システムを完全に再構築し、新しいプラットフォームへ移行する手法です。
現行システムの課題を根本的に解決することができます。
システム移行の実施手順
マイグレーションの基本的な実施手順を紹介します。
移行対象の規模や実施内容で手順は変わりますので、あくまで参考程度の情報となります。
①現行システムの把握とマイグレーションの目的や方針の決定
マイグレーションをするためには、まずは現行システムを把握し、課題の洗い出しを行うことが大切です。
現行システムを適切に把握することで、マイグレーションを行う目的や基本方針を整理することができます。
以下がこの手順で洗い出すべき内容の具体例です。
・現行システムの課題を整理
・現行システムの構成やデータの調査
・マイグレーション実施範囲の決定
・マイグレーション手法の選択
・移行先の決定
・リスクや費用の把握
・タスク・スケジュール整理
②移行計画書の作成
移行計画書を作成することで、マイグレーションを円滑に行うことができます。
誰が、いつ、何をするかなどの詳細を決定し、業務担当者が正しく理解できるような内容にすることが大切です。
以下は記載するべき内容の具体例です。
・移行方式
・移行の影響（リスク）
・移行前のテスト計画
・全行程のスケジュール
・移行体制（チーム）
③検証環境でのリハーサル実施・移行判定
②移行計画書が作成できたら、実際の移行作業に移ります。
移行前のテストが完了したら、本番環境でのテストも実施します。これをリハーサルと呼びます。
リハーサルを複数回行い、不具合発見と修正を繰り返します。
移行後の不具合を防ぐためにも念入りにテストを繰り返す必要があります。
④本番環境での移行実施
リハーサルが完了したら、本番環境での移行作業を行います。
⑤運用テスト
移行が完了したら、再度運用テストを行います。
万が一、不具合が発生した場合は、速やかに対処しましょう。
マイグレーションが完了した後も、システムの改善をしながら生産性の向上を目指していくことが大切です。
実施時の注意点
マイグレーションを実施することで、既存のシステムを一時的に停止しなくてはならない場合もあります。
スケジュールや関係者への周知を行い、業務に支障が出ないようにすることが大切です。
まとめ
いかがでしたか？
マイグレーションは、ITの世界では、既存システムなどを別の環境や新しいプラットフォームへ移行する意味で使用されています。
現在使用しているシステムもマイグレーションが必要かもしれません。
例えばVisual Basic（VB）を使ったアプリケーションは数多くありますが、Visual Basic 6.0（VB6）はサポートが終了しているため、マイグレーションが必要です。
今一度ご使用中のシステムのサポート状況を確認し、長く使っていくことを考えてみても良いかもしれません。
Visual Basic 6.0（VB6）からVisual Basic.NET（VB.NET）への移行を短期間・低コストで行いたい方は、弊社「VBリメイク工房」も是非検討してみてください。
以上、マイグレーションについてでした。
