日本の製造業の屋台骨を支えてきた生産管理システムや在庫管理アプリ。その多くがいまだに1990年代後半の技術である「Visual Basic 6.0(VB6)」で稼働しています。しかし、2026年現在、現場はかつてない危機に瀕しています。システムを構築し、長年保守してきた「生き字引」とも言えるベテランエンジニアたちが、一斉に定年退職を迎える時期に差し掛かっているからです。

本記事では、製造業のシステム担当者が直面する「VB6エンジニア不足」と「システムのブラックボックス化」の正体を暴き、保守不能という最悪の事態を避けるための「資産棚卸し」と「最新環境への移行戦略」を詳述します。

開発本部
佐藤

ITエンジニアを150名以上抱え、多くのシステム開発に25年以上携わりながらISO9001を取得している弊社の開発本部で活躍しています。GMとしてチームメンバーを率いながら、多くのITエンジニアを育成中です。


2026年の製造現場を襲う「VB6技術者定年」という時限爆弾

2026年、日本の労働市場において1960年代生まれのベテラン層が完全退職の時期を迎えています。製造現場のVB6システムは、彼らの頭の中にだけ存在する「暗黙知」によって維持されてきました。

  • 技術の断絶: 20代〜30代の若手エンジニアは、VB6の文法やActiveX、COMといった古い仕組みを習得していません。
  • 孤立無援: 外部のソフトハウスに保守を依頼しようにも、「VB6は対応不可」と断られるケースが急増しています。

この「人の欠如」は、ハードウェアの故障以上に致命的なリスクとなります。

製造業特有の「ブラックボックス化」が招く経営リスク

製造業特有の「ブラックボックス化」が招く経営リスク

製造業のVB6アプリは、長年の改修を経て、秘伝のタレのように複雑化しています。

  • ドキュメントの欠如: 現場の要望に応じて「その場しのぎ」で追加された機能が、コードのどこに影響しているか誰も把握できていない。
  • スパゲッティコード: 構造化されていないソースコードが絡み合い、一箇所を修正すると予想外の場所でエラーが出る。

この状態でベテランが去れば、万が一のシステムダウン時に復旧の目処が立たず、工場のラインが数週間にわたってストップする「事業停止リスク」に直結します。

なぜ今、資産棚卸しが必要なのか?

「動いているから触らない」という戦略は、2025年までが限界でした。2026年、Windows 11/12への完全移行が求められる中で、現状維持はもはやリスクでしかありません。

移行の第一歩は、現状のシステムに「何が書かれているか」を明らかにすること、すなわち資産棚卸しです。

  • 不要な機能の削除: 20年以上使い続ける中で、既に使われなくなった画面や帳票が30%以上存在すると言われています。
  • 依存関係の可視化: 外部DLLや古いデータベース(Access 97など)への依存関係を整理します。

保守不能に陥る前に確認すべき「5つの危険信号」

貴社のシステムが以下の項目に一つでも当てはまるなら、即座に対策が必要です。

  1. ソースコードはあるが、最新のコンパイル環境(VB6 IDE)が用意できない。
  2. 「あの人がいないと分からない」という特定個人への依存が常態化している。
  3. Windows Update後に、原因不明の画面崩れやエラーが発生したことがある。
  4. 周辺機器(バーコードリーダーや計量器)のドライバが新OSに対応していない。
  5. システム改修の依頼を出しても、ベンダーから「工数が読めない」と渋られる。

製造現場のUI/UXを維持したまま.NETへ移行する意義

製造現場では「操作性が変わること」への拒絶反応が非常に強い傾向にあります。

Web化(作り直し)を検討する場合、ブラウザ特有の「もっさりした動き」や「ファンクションキーの挙動の違い」が現場の生産性を著しく低下させます。

そこで有効なのが、.NETへの変換(マイグレーション)です。

  • 操作感の継承: VB6に近いWindows Forms形式で移行することで、現場の作業員は翌日から違和感なくシステムを使い続けられます。
  • 技術の近代化: 中身は最新のC#やVB.NETになるため、若手エンジニアでも保守が可能になります。

「VBリメイク工房」が解決するエンジニア不足問題

「VB Remake」が解決するエンジニア不足問題

弊社のVBリメイク工房は、単なるコード変換サービスではありません。

  • 自動変換エンジンによる工期短縮: 手作業による「写経」のような書き換えは行いません。独自エンジンで8割以上のコードを機械的に変換し、ヒューマンエラーを排除します。
  • 仕様の再構築: 変換過程でコードが整理されるため、ブラックボックス化していたロジックが再び「読み取れる状態」になります。

これにより、ベテランエンジニアが退職した後でも、最新の技術者が保守できる体制へとスムーズにバトンタッチできます。

費用対効果(ROI):保守コストの削減効果を検証

VB6を使い続ける「維持費」と、マイグレーションにかかる「投資額」を比較してみましょう。

項目VB6を継続する場合.NETへ移行する場合
保守要員コスト専門技術者(高単価・稀少)一般的なエンジニア(適正単価)
改修リスク修正のたびに全機能テストが必要標準的なデバッグ環境で迅速対応
インフラコスト旧式PCの維持・仮想環境構築最新PC・クラウド環境で動作
機会損失停止時の損害(1日1,000万円超も)安定稼働による損失回避

2026年時点では、3年〜5年のスパンで見ると、移行した方がトータルコストは確実に安くなります。

ステップ別:失敗しない資産棚卸しの進め方

製造業の担当者が今日から取り組むべき手順です。

  1. 現行資産の集計: 全プロジェクトファイル(.vbp)を集め、総ステップ数を算出する。
  2. 稼働状況のヒアリング: 現場の各部署で「実は使っていない機能」を洗い出す。
  3. 外部接続の調査: PLCやセンサー、外部Excel出力など、ハードウェア・外部ソフトとの連携箇所をリストアップする。
  4. 移行優先順位の決定: 故障した際に工場が止まる基幹機能から優先的に移行計画を立てる。

2026年、Windows 12登場とVB6ランタイムの不透明な未来

MicrosoftはVB6ランタイムのサポートを「Windows 10/11のライフサイクルに準じる」としていますが、次期OS(Windows 12想定)で32ビットアプリのサポートがどこまで維持されるかは不透明です。

製造業にとって、10年先を見据えた「止められないシステム」を古いランタイムに委ね続けることは、経営上の大きなギャンブルです。技術者が残っている「今」こそが、健全な資産へと作り変える最後のチャンスです。

合わせて読みたい:【VBエンジニアが解説】VB6ランタイムのライフサイクル(サポート)とは?

まとめ:技術者の引退は「システム刷新」の絶好の機会

ベテラン技術者の定年退職は、一見するとピンチですが、システムのブラックボックス化を解消し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる絶好の機会でもあります。

「まだ動くから」と問題を先送りにするのではなく、将来の安定稼働と保守性の向上を目指し、まずは現状の資産を正しく把握することから始めてください。


FAQ:VB6保守とエンジニア不足に関するよくある質問

Q
VB6の保守ができるエンジニアを新規で採用することは可能ですか?
A

2026年現在、VB6専任エンジニアの市場価値は非常に高騰しており、採用は極めて困難です。また、採用できたとしてもその方も高齢であるケースが多く、根本的な解決(技術の若返り)には至りません。

Q
資産棚卸しを自社で行うのは難しいのですが、サポートしてもらえますか?
A

はい、可能です。弊社の「VB Remake」サービスでは、ソースコードを解析して移行難易度や現行資産のボリュームを可視化する「資産診断」からサポートしております。

Q
ブラックボックス化していて仕様書がありません。移行できますか?
A

問題ありません。弊社のマイグレーション手法は、現行のソースコードを正(マスター)として最新言語へ変換するため、仕様書が不完全な状態からでも着手可能です。変換後にコードを整理することで、改めてドキュメント化しやすくなります。

Q
製造現場独自のハードウェア(計測器等)との連携も維持できますか?
A

可能です。シリアル通信や独自のドライバ連携についても、.NET環境での代替手段をご提案します。資産棚卸しの段階でこれらの依存箇所を特定し、最適な移行プランを策定します。

Q
移行期間中、工場のシステムを止める必要はありますか?
A

基本的に現行システムを動かしながら並行して開発を進めます。最終的な切り替え作業も、週末や長期連休などを利用して最小限のダウンタイムで行えるよう計画を策定します。


結論:保守不能になる前に、まずは「資産の可視化」を

2026年の今、貴社がすべきことは、消えゆくVB6技術を無理に延命させることではなく、最新のIT基盤への橋渡しをすることです。

「どこから手をつければいいか分からない」「まずは予算感だけ知りたい」というシステム担当者様のために、VB6マイグレーションの成功事例と費用感がわかる詳細資料をご用意しました。
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