最近SNSやビジネスブログなどでスキルマップ導入は意味がないというものが稀に見かけられます。
今回はITエンジニアや社員のスキル管理ツールfapi(ファピー)を提供する(株)FDCの佐々木舞美が、「スキルマップは意味がない」という声について、本当に意味がないのか、なぜそのような声が起こるか、メリットとデメリットを項目ごとに徹底比較して解説します。
スキルマップ導入を検討している企業の人事担当者や管理職の方々が、正しい判断材料を得られるよう、最新の情報をもとに事実ベースでお伝えします。ぜひ最後まで読んでみてください。

スキルマップが「意味がない」と言われる5つの理由

スキルマップの導入後に「意味がない」と感じる企業が少なくありません。その背景には、運用上の課題や設計段階での問題が存在します。ここでは、スキルマップが形骸化してしまう主な理由を5つに分けて解説します。

理由1:作成と更新に手間と時間がかかる

スキルマップの作成には、職種ごとのスキル項目の洗い出し、評価基準の設定、従業員ごとのスキル評価といった多くの工程が必要です。特に従業員数が多い企業では、初期作成だけでなく定期的な更新作業が大きな負担となります。

ポイント

2025年の調査によると、スキルマップの更新が滞る企業の約65%が「更新作業の負担が大きい」ことを理由に挙げています。
出典:LIGHTWORKS BLOG

理由2:評価基準が曖昧で属人的になる

スキルマップの評価基準が明確でない場合、評価者によって判断がばらつき、公平性が失われます。「レベル3」と「レベル4」の違いが言語化されていないと、評価者の主観に依存した属人的な評価になってしまいます。

理由3:「作ること」が目的化してしまう

経営層からの指示でスキルマップ導入が決まったものの、「何のために作るのか」という目的が共有されないまま作成作業だけが進むケースがあります。この場合、スキルマップは作成されても実際の人材育成や配置には活用されず、形だけの資料となってしまいます。

ポイント

最も多い失敗パターンが「スキルマップを作ること自体がゴールになってしまうケース」です。
出典:Manadic コラム

理由4:従業員の間で温度差が生じる

スキルマップの入力や更新を負担と感じる従業員と、効果的な人材配置や評価を期待する従業員との間に温度差が生まれることがあります。特に評価に直結しない場合、従業員のモチベーションが低下し、協力が得られなくなります。

理由5:スキルに執着して本質を見失う

スキルマップを導入することで、スキル向上やスキル評価に執着してしまい、組織の成長という本質的な目的を見失ってしまう恐れがあります。スキルは手段であり目的ではないという視点が重要です。

出典:HR NOTE

スキルマップのメリットとデメリットを表で比較

スキルマップの導入には、明確なメリットがある一方で、運用上のデメリットも存在します。ここでは、項目ごとにメリットとデメリットを表形式で比較し、導入判断の材料を提供します。

項目 メリット デメリット
スキルの可視化 従業員一人ひとりのスキルレベルが明確になり、組織全体の能力を把握できる 評価基準が曖昧だと、属人的な評価になり信頼性が低下する
人材配置 各従業員の強みを活かした適材適所の配置が可能になり、業務効率が向上する スキルだけで配置を決めると、本人の希望やキャリアプランが考慮されない場合がある
人材育成 不足スキルが明確になり、効率的な育成計画を立てられる 育成計画を立てても実行されなければ意味がなく、継続的なフォローが必要
採用活動 組織に不足するスキルが明確になり、採用要件を具体的に設定できる スキルマップの更新が滞ると、現状とズレが生じ採用ミスマッチにつながる
従業員のモチベーション 自身の成長が可視化され、目標設定がしやすくなりモチベーションが向上する 評価が不公平だと感じると、逆にモチベーションが低下し不満につながる
作成・運用コスト デジタルツールを活用すれば、効率的な作成・更新が可能 初期作成と定期的な更新に時間と人的リソースが必要で、負担が大きい
評価の公平性 明確な基準があれば、客観的で公平な評価が可能になる 評価基準が不明確だと、評価者の主観に左右され公平性が失われる

出典:LIGHTWORKS BLOGカオナビ人事用語集

スキルマップ導入で得られる7つのメリット

適切に運用されたスキルマップは、組織の成長と従業員の育成に大きく貢献します。ここでは、スキルマップがもたらす具体的なメリットを7つの観点から解説します。

メリット1:スキルの可視化と不足スキルの明確化

スキルマップを活用することで、組織全体でどのようなスキルが保有されているか、どのスキルが不足しているかが一目で把握できます。これにより、戦略的な人材育成や採用活動の方向性を定めることができます。

メリット2:適材適所の人材配置を実現

各従業員の強みや弱みが明確になるため、その能力を最大限に活かせる部署や職種への配置が可能になります。結果として、業務効率の向上や生産性の改善が期待できます。

出典:カオナビ人事用語集

メリット3:効率的な人材育成計画の策定

従業員一人ひとりの現状スキルと目標スキルのギャップが明確になるため、個別最適化された育成計画を立てることができます。研修予算や時間を効果的に配分できる点も大きなメリットです。

メリット4:採用活動の精度向上

組織に不足しているスキルが可視化されることで、採用要件をより具体的に設定できます。これにより、採用のミスマッチを防ぎ、即戦力となる人材の獲得につながります。

出典:FDC スキルマップとは

メリット5:従業員のモチベーション向上

自分のスキルが可視化され、成長の過程が明確になることで、従業員は目標を持って業務に取り組むことができます。また、公平な評価基準があることで、納得感のある評価につながります。

メリット6:組織の技術継承とリスク管理

特定の従業員にしか保有されていないスキルを可視化することで、技術継承の計画を立てることができます。属人化のリスクを軽減し、組織の持続可能性を高めます。

メリット7:時代の変化に対応した人材戦略

2025年以降、DX推進やデジタルスキルの需要が高まる中、組織に必要なスキルは常に変化しています。スキルマップを活用することで、時代の変化に応じた柔軟な人材戦略を立てることができます。

出典:LIGHTWORKS BLOG

スキルマップのデメリットと具体的な対策

スキルマップには多くのメリットがある一方で、運用上のデメリットも存在します。ここでは、主なデメリットとそれぞれの対策を具体的に解説します。

デメリット 具体的な対策
作成と更新に手間と時間がかかる スキル管理ツールを導入し、デジタル化することで更新作業を効率化する。自動更新機能やテンプレート機能を活用する
評価基準が曖昧で属人的になる 各スキルレベルの具体的な行動基準を文書化し、評価者間で共有する。定期的な評価者研修を実施する
目的が不明確で形骸化する 導入前に「何のために使うのか」を明確にし、人材育成計画や評価制度と連動させる。定期的に活用状況をレビューする
従業員の協力が得られない スキルマップの目的と従業員にとってのメリット(キャリア支援、公平な評価など)を丁寧に説明する。入力負担を最小化する
定量評価が難しい職種がある 定性的なスキルについては、具体的な行動例を示した評価基準を作成する。職種ごとにカスタマイズした項目を設定する

出典:LIGHTWORKS BLOGGLOBIS 学び放題

スキルマップを効果的に運用するための5つのポイント

スキルマップを「意味がない」状態にしないためには、以下の5つのポイントを押さえた運用が重要です。

  1. 明確な目的設定と関係者への周知:スキルマップを何のために使うのか、人材育成・配置・評価のどの場面で活用するのかを明確にし、全従業員に共有する
  2. 具体的で客観的な評価基準の設定:各スキルレベルについて、具体的な行動例や成果物の基準を文書化し、評価者間のばらつきを防ぐ
  3. 定期的な更新と見直しのルール化:四半期ごと、半期ごとなど更新タイミングを決め、ルーティン化する。更新作業を評価項目に含めることも有効
  4. スキル管理ツールの活用:Excelでの管理は更新が滞りやすいため、専用のスキル管理ツールを導入し、効率化と可視化を図る
  5. スキルマップと他の人事制度との連動:人事評価制度、育成計画、キャリアパスと連動させ、実際の人事施策に活用することで形骸化を防ぐ

出典:Manadic コラム日本能率協会マネジメントセンター

ポイント

2026年現在、多くの企業がスキルマップのデジタル化を進めています。クラウド型のスキル管理ツールを活用することで、更新作業の負担を大幅に軽減し、リアルタイムでの可視化が可能になります。

スキルマップが向いている組織・向いていない組織

スキルマップはすべての組織に適しているわけではありません。ここでは、スキルマップの導入が効果的な組織と、慎重に検討すべき組織の特徴を解説します。

スキルマップが向いている組織

  • 技術職やエンジニア、製造業などスキルが定量的に評価しやすい職種が中心の組織
  • 従業員数が一定規模以上あり、組織全体のスキル把握が難しくなっている企業
  • 人材育成や配置に課題を感じており、データに基づいた人事施策を実行したい企業
  • 技術継承や多能工化を進めたい製造業や建設業
  • プロジェクトごとに最適なメンバーをアサインする必要があるIT企業やコンサルティング企業

スキルマップの導入を慎重に検討すべき組織

  • 営業やクリエイティブ職など、定量評価が難しい職種が中心の組織
  • 従業員数が少なく、管理職が各従業員のスキルを十分把握できている小規模企業
  • スキルマップの更新や運用に人的リソースを割けない組織
  • 評価制度や育成制度が整っておらず、スキルマップを活用する仕組みがない組織

出典:HR NOTE

次の記事ではおすすめのスキルマップツール5選を紹介

スキルマップを効果的に運用するためには、適切なツール選びが重要です。Excel管理では更新が滞りやすく、形骸化のリスクが高まります。次の記事では、2026年最新のおすすめスキルマップツール5選を、機能や価格、導入事例とともに詳しく紹介しています。

自社に最適なツールを見つけるために、ぜひ以下の記事もチェックしてみてください。