ISO17025は試験所及び校正機関で正確な測定・校正ができているかを認定する規格です。
ISO17025では「力量管理」に関する技術的要求事項が厳しく、取得を断念する企業も見受けられます。
この記事ではITエンジニアを200名以上抱え、日々エンジニアのスキル管理を25年経験してきて効率化し、スキル管理ツールを開発・運用している弊社、DXサービス事業推進部 佐々木舞美がISO17025を取得するメリットやISO9001との違い、力量管理の最適な方法について解説します。
試験所及び校正機関としての信頼を高めたい企業は、参考にしてください。

詳細は弊社コーポレートサイトをご確認ください

ISO17025とは?概要と取得するメリット

ISO17025とは?概要と取得するメリット

ISO17025とは、試験所及び校正機関で正確な測定・校正が可能かどうかを認定するマネジメントシステムです。
企業が製品の検査や測定、分析を行う試験所・計測機器の信頼性を担保するための審査、ともいえるでしょう。
審査を行う認定機関はいくつかありますが、認定の取得には「試験」「校正」の2分野があり、認定範囲が以下のように定められています。

試験とは製品や製品の機構部品・材料・原料の特性、性質等について、決められた試験方法に基づいて試験結果を得るために行なうプロセス
校正とは計測ききに表示される値とそれに対応する既知の値(国際標準など)との関係を、特定の条件下で確認する一連の操作
(例:校正前の電子天秤を用いて100gの標準分銅を測定した結果、電子天秤の表示値が101gになった時、電子天秤の校正値を101gと報告すること、または100gに調整すること。)

※PJLA「試験とは 校正とは」より引用https://www.pjla.jp/iso17025/iso17025/
ISO17025の審査では、試験・校正プロセスがISO17025の要求事項に適合し、妥当性を確認します。
認定を受けることができれば「試験所および校正機関として運営の信頼を高められる」ことがメリットです。
なお、2017年の改訂版(JIS Q 17025:2018)から、内部監査員や技術者の「力量の有無」を証明する文書が必要となりました。

ISO17025とISO9001の違い

ISO9001とは、品質保証の仕組みができているかを認証する「品種マネジメントシステム」です。
ISO17025には品質保証をはじめ「技術的要求事項」が加わり、「技術能力」の保持も求められるという違いがあります。
ISO17025には施設、設備、能力に関する具体的な要求事項がありますが、ISO9001にはありません。
ISO17025では「技術的要求事項」がもっとも要視されることを覚えておいてください。
他にも「SO17025の取得には時間がかかる」という点も留意しましょう。
なぜなら認定機関への登録申請を行ってから、審査や認定に至るまで順調にいっても1年3ヶ月ほどかかるからです。
企業側としては動向を予測できないのが現状で、ISO17025の取得を断念するケースも見受けられます。
他にも「技術的要求事項を満たしていなかった」「技術者の力量が把握していない又は足りなかった」と言った事態も起こります。
試験・校正・力量管理には十分にコスト(費用、人材)をかけ、入念に準備してからISO17025の申請を行なうことが望ましいです。

ISO17025の要求事項とは?

ISO17025の要求事項とは?

ISO17025の要求事項は、試験所及び校正機関で正確な試験と結果の妥当性を証明するための「技術的要求事項」を定めています。
下表の「6.4 設備」を例にすると、設備(試験機)やはかりなどで正確な測定はできるか、規格に準ずる校正はできているか、を検査します。

項番要求事項項番要求事項
4一般要求事項7.6測定不確かさの評価
4.1公平性7.7結果の妥当性の保証
4.2機密保持7.8結果の報告
5組織構成に関する要求事項7.9苦情
6資源に関する要求事項7.10不適合業務
6.1一般7.11データの管理及び情報マネジメント
6.2要員8マネジメントシステムに関する要求事項
6.3施設及び環境条件8.1選択肢
6.4設備8.2マネジメントシステムの文書化
6.5計量計測トレーサビリティ8.3マネジメントシステム文書の管理(選択肢A)
6.6外部から提供される製品及びサービス8.4記録(選択肢A)
7プロセス要求事項8.5リスク及び機会に取り組むための処置(選択肢A)
7.1依頼、見積仕様書及び契約のレビュー8.6改善(選択肢A)
7.2方法の選定、検証及び妥当性確認8.7是正処置(選択肢A)
7.3サンプリング8.8内部監査(選択肢A)
7.4試験・校正品目の取り扱い8.9マネジメントレビュー(選択肢A)
7.5技術的記録

ISO17025における8項「マネジメントシステムに関する要求事項」はA、Bから選択可能です。
もしISO9001を取得している場合は、8項のB(8.1.3)を選択するとISO9001の内容で対応できます。
この他、要員の「力量」に関する要求事項が細かく用意されているのが特徴です。
公平な結果が得られることを目的に、要員の力量(学歴、資格、教育、技術的知識など)を文書化することが要求されます。

ISO17025の審査・認定を行う機関

ISO17025の審査・認定を行う機関の一覧を下表にまとめました。
ISO17025から認定を受ける目的や試験項目に合わせて、審査の申請をしてください。

認定機関サイトURL
ペリージョンソン ラボラトリー アクレディテーション インク(PJLA)https://www.pjla.jp/
製品評価技術基盤機構(NITE)認定センター(IAJapan)https://www.nite.go.jp/iajapan/aboutus/index.html
日本適合性認定協会(JAB)https://www.jab.or.jp/
電磁環境試験所認定センター(VLAC)https://www.vlac.co.jp/

ISO規格における力量管理(スキル管理)の重要性とツール導入のススメ

前述したようにISO17025では技術管理者の「力量の有無」を文書で提出する必要があり、担当者を悩ませています。
社員一人ひとりの力量管理をしなくてはならず、業務にかかるコスト(工数や時間)が無視できないのが状況です。
力量管理をする方法は「エクセル」か「スキル管理ツール」です。
力量管理表を作成すれば、社員のスキルや資格、経験などの見える化ができます。

スキル管理ツールの導入は、ISO17025が求める「技術的要求事項」に対応できるほか、的確なプロジェクトアサインや効率的な人材育成を実現します。
人材不足でスキル管理表やマニュアルを作成する時間がない、という企業はスキル管理ツールを検討してみてください。

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まとめ

この記事ではISO17025のメリットと、ISO17025とISO9001の違いを解説しました。
ISO17025で重要視されるのは「要員の力量管理を文書で提出する」ことです。
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