社員のスキルを適切に把握し、人材育成や配置に活かすための重要なツールとして、スキルマップが多くの企業で注目されています。
今回はITエンジニアや社員のスキル管理ツールfapi(ファピ)を提供する(株)FDCの佐々木舞美が、Excelを使った効率的なスキルマップの作り方から、最新のスキル管理ツールまで、2025年の最新情報をもとに詳しく解説します。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
スキルマップとは?その重要性と活用目的
スキルマップとは、組織内の従業員が保有するスキルや能力を可視化した一覧表のことです。縦軸に従業員名、横軸にスキル項目を配置し、各従業員のスキルレベルを数値や記号で表現することで、組織全体のスキル保有状況を一目で把握できるようになります。
スキルマップを作成する3つの主要目的
スキルマップの作成には、以下のような明確な目的があります。
- 人材の適正配置とプロジェクトアサインの最適化
- 従業員の育成計画立案と教育研修の効率化
- 組織全体のスキルギャップの可視化と戦略的な人材育成
- ISO9001などの品質マネジメントシステムにおける力量管理の対応
2025年現在、DX推進やリモートワークの普及により、従業員のスキルを正確に把握し、適材適所の配置を行うことがますます重要になっています。
Excelでスキルマップを作る5つのステップ
Excelを活用したスキルマップの作成は、以下の5つのステップで進めることができます。初心者の方でも理解しやすいよう、各ステップを詳しく解説します。
ステップ1:作成目的と対象範囲の明確化
まず最初に、なぜスキルマップを作るのかという目的を明確にします。人材育成が目的なのか、プロジェクトアサインの効率化が目的なのかによって、必要なスキル項目や評価方法が変わってきます。また、対象とする部署や職種も明確にしておきましょう。
ステップ2:必要なスキル項目の洗い出し
次に、対象となる業務に必要なスキル項目を洗い出します。この際、以下のような観点から整理すると効果的です。
- 技術スキル(プログラミング言語、開発ツール、専門知識など)
- 業務スキル(業務プロセス理解、業界知識、顧客対応力など)
- ヒューマンスキル(コミュニケーション能力、リーダーシップ、問題解決力など)
- 資格・認定(保有資格、認定証、ライセンスなど)
スキル項目は具体的かつ測定可能なものにすることが重要です。例えば「プログラミングスキル」ではなく、「Javaでの開発経験」「Pythonによるデータ分析」といった具体的な項目にします。
ステップ3:評価基準とレベルの設定
各スキルの習熟度を測るための評価基準を設定します。2025年現在、多くの企業で採用されている評価方法には以下のようなものがあります。
| 評価方法 | 特徴 | 適用場面 |
| 5段階評価(1~5) | 細かな習熟度の差を表現できる | 技術スキルの詳細な評価 |
| 4段階評価(1~4) | レベル1:定例業務遂行 レベル2:チーム中心メンバー レベル3:小規模組織責任者 レベル4:大規模組織責任者 |
役職や責任範囲と連動 |
| 3段階評価(◯△✕) | シンプルで分かりやすい | 簡易的な全体把握 |
| 数値スコア(0~100点) | 定量的な評価が可能 | 試験結果や資格スコア |
評価基準は全社で統一し、誰が評価しても同じ結果になるよう、具体的な判断基準を文書化しておくことが重要です。
ステップ4:Excelフォーマットの作成
評価基準が決まったら、実際にExcelでスキルマップのフォーマットを作成します。基本的な構成は以下の通りです。
- A列:従業員名や社員番号
- B列以降:各スキル項目(列見出しにスキル名を記載)
- 各セル:該当するスキルレベルを数値や記号で入力
- 条件付き書式:レベルに応じてセルの色を変更し、視覚的に分かりやすく
Excelの機能を活用することで、自動集計やグラフ化も可能になります。例えば、COUNTIF関数を使えば各スキルレベルの人数を集計でき、組織全体のスキル分布を把握できます。
ステップ5:評価の実施と定期的な更新
作成したフォーマットに基づいて、実際にスキル評価を実施します。評価は以下の方法を組み合わせると効果的です。
- 自己評価:従業員自身が自分のスキルを評価
- 上司評価:直属の上司が客観的に評価
- 360度評価:同僚や関係者からの多角的な評価
スキルマップは作成して終わりではなく、定期的な更新が必要です。四半期ごとや半期ごとなど、更新サイクルを決めて運用しましょう。
Excelでスキルマップを作成するメリットとデメリット
Excelを使ったスキルマップ作成には、メリットとデメリットの両面があります。自社の状況に合わせて最適な方法を選択することが重要です。
Excelで作成するメリット
- 導入コストがかからず、すぐに始められる
- 多くの従業員が操作に慣れており、習得コストが低い
- 自社の業務に合わせて自由にカスタマイズできる
- 関数やグラフ機能を活用した分析が可能
Excelで作成するデメリット
- 従業員数が増えるとファイルサイズが大きくなり動作が重くなる
- 複数人での同時編集が困難で、バージョン管理が煩雑になる
- 更新作業に手間がかかり、最新情報の維持が難しい
- セキュリティ管理やアクセス権限の設定が限定的
- データの自動連携や高度な分析機能には限界がある
特に従業員数が100名を超える企業では、Excelでの管理に限界を感じるケースが多く、専用のスキル管理ツールの導入を検討する企業が増えています。
スキル管理ツールの種類と特徴比較
2025年現在、Excelの課題を解決する様々なスキル管理ツールが提供されています。ここでは主要なツールの種類と特徴を比較します。
スキル管理ツールの主な種類
| ツール種類 | 主な特徴 | 適している企業 | 代表的な機能 |
| 業界特化型ツール | IT業界やエンジニア向けに特化した機能を提供 | SES企業、システム開発会社 | プロジェクトアサイン管理、業務経歴書自動作成、技術スキルツリー管理 |
| タレントマネジメント型 | スキル管理を含む総合的な人材管理が可能 | 大企業、人事管理を包括的に行いたい企業 | 人事評価、目標管理、組織図管理、採用管理 |
| シンプル特化型 | スキル管理機能に絞った使いやすいツール | 中小企業、スキル管理から始めたい企業 | スキルマップ作成、検索機能、レポート出力 |
| プロジェクト管理連携型 | プロジェクト管理と連動したスキル管理 | プロジェクト型業務が多い企業 | リソース管理、工数管理、タスク管理 |
業界特化型スキル管理ツールの特徴
IT業界やエンジニア向けに特化したツールの一例として、スキル管理・アサイン管理支援ツールfapi(ファピ)があります。fapiは以下のような特徴を持っています。
- エンジニアのスキルを体系的にツリー形式で管理
- プロジェクトへのアサイン状況をリアルタイムで把握
- スキルとアサイン状況を基にした候補者検索機能
- 業務経歴表を独自の雛形でExcel形式で自動出力
- アサイン状況から業務経歴の自動登録が可能
- 登録データの集計・分析でスキル動向を可視化
20年以上のシステム開発実績を持つ専門家が開発しており、SES企業や受託開発企業の実務課題を解決するために設計されています。ISO9001認証取得企業として品質とセキュリティも担保されており、2022年にはASPIC IoT・AI・クラウドアワードを受賞しています。
スキル管理ツール選定のポイント
自社に最適なスキル管理ツールを選ぶためには、以下のポイントを確認することが重要です。
導入前にチェックすべき7つのポイント
- 自社の業界や職種に特化した機能が備わっているか
- 従業員数の増減に柔軟に対応できる料金体系か
- 既存の人事システムや業務フローとの連携が可能か
- 権限設定やセキュリティ機能が十分か
- 導入サポートやカスタマイズ対応が充実しているか
- スマートフォンやタブレットからもアクセス可能か
- 無料トライアルで実際の操作感を確認できるか
特にIT業界やエンジニア組織では、技術スキルの詳細な管理やプロジェクトアサインとの連携が重要になるため、業界特化型ツールの検討をおすすめします。
スキルマップを効果的に活用する方法
作成したスキルマップを最大限に活用するためには、以下のような運用方法が効果的です。
人材育成への活用
スキルマップを使って、従業員一人ひとりの強みと弱みを把握し、個別の育成計画を立案できます。組織として不足しているスキルを特定し、重点的に研修を実施することも可能です。
プロジェクトアサインの最適化
新規プロジェクトの立ち上げ時に、必要なスキルを持つメンバーを素早く検索し、最適なチーム編成ができます。これにより、プロジェクトの成功確率が向上します。
キャリアパスの可視化
従業員自身が目指すべきスキルレベルを明確にし、キャリア開発の道筋を示すことができます。これはモチベーション向上にもつながります。
採用計画への活用
組織全体のスキル分布を分析することで、戦略的な採用計画の立案が可能になります。不足しているスキルを持つ人材を優先的に採用することで、組織力の強化につながります。
スキルマップ運用の成功事例
実際にスキルマップやスキル管理ツールを導入し、業務改善に成功している企業の事例をご紹介します。
アサイン提案時間を10分に短縮
ある企業では、業務経歴の一元管理とスキル検索機能により、新規案件へのアサイン提案時間を大幅に短縮することに成功しました。従来はExcelファイルを探し回り、複数のファイルを照合する作業に時間がかかっていましたが、ツール導入後は必要なスキルで検索するだけで候補者が即座に表示されるようになりました。
属人化の解消とPM業務工数の削減
プロジェクトマネージャーの頭の中にしかなかった要員情報を可視化することで、属人化を解消し、誰でもアサイン管理ができる体制を構築した事例もあります。これにより、特定の担当者に負担が集中することがなくなり、業務効率が向上しました。
まとめ:スキルマップで組織力を最大化しよう
スキルマップは、組織の人材を可視化し、戦略的な人材活用を実現するための重要なツールです。Excelを使えば手軽に始められますが、規模が大きくなるにつれて専用ツールの導入も検討する価値があります。
2025年現在、DX推進や働き方改革が進む中で、適切なスキル管理は企業の競争力を左右する重要な要素となっています。この記事で紹介した作成手順やツール比較を参考に、自社に最適なスキル管理の仕組みを構築してください。
次の記事ではおすすめスキルマネジメントツールを紹介しています。ぜひこちらも併せて読んでみてください。
