Salesforceは、年に3回自動でバージョンアップ(リリース)が行われます。新しい機能の追加やセキュリティ強化が常に提供される一方で、「自社の設定が動かなくなるのでは?」「テスト環境がないけど大丈夫?」といった不安を抱えていませんか?

本記事では、ITエンジニアを200名以上抱え、システム開発を25年以上経験する弊社、FS部 佐々木舞美がSalesforceのバージョンアップの基本から、「サンドボックス」というテスト環境を最大限に活用した安全な運用方法までを、初心者にもわかりやすく解説します。この記事を読めば、Salesforceの進化を最大限に活用しながら、安定したシステム運用を実現できます。

その他、営業が変わる!Salesforceモバイル活用術を開発担当者が、別記事でもまとめておりますので合わせて参考にしてください。


Salesforceのバージョンアップ(リリース)とは?年に3回の自動更新

Salesforceは、クラウドベースのSaaS(Software as a Service)であるため、年に3回、大規模なバージョンアップが自動的に適用されます。これにより、ユーザーは常に最新のCRM機能を利用できます。

リリース時期(目安)

  • Spring Release: 2月頃
  • Summer Release: 6月頃
  • Winter Release: 10月頃

これらの正確な日程は、Salesforce Trustサイトで事前に確認できます。

なぜバージョンアップが必要?ユーザーが享受する3つのメリット

  1. 常に最先端のCRM機能を利用可能 AI、自動化ツール、新しいインターフェースなど、常に最新の技術が組み込まれます。
  2. システムメンテナンスの手間を削減 オンプレミスシステムのように自社でアップデート作業を行う必要がないため、大幅なコストと工数削減につながります。
  3. 強固なセキュリティを継続的に提供 最新の脅威に対応するためのセキュリティパッチが自動で適用され、システムの安全性が常に保たれます。

Salesforceのバージョンアップが与える影響とは?

自動で適用されるバージョンアップは便利ですが、時には既存のカスタマイズや外部連携に影響を与える可能性があります。

  • 既存の機能の挙動変更: 既存のプロセスや自動化が、新しい仕様によって意図せず停止・変更される可能性があります。
  • 新しい権限設定の確認: 新機能には新しいユーザー権限が必要な場合があります。
  • 廃止される機能: 古い機能やインターフェースが廃止され、代替機能への移行が必要になる場合があります。

これらのリスクを回避するためには、事前に入念なテストを行うことが不可欠です。


Salesforceの「サンドボックス」とは?テスト環境の重要性

Salesforceの「サンドボックス」とは?テスト環境の重要性

「サンドボックス(Sandbox)」は、本番環境の「開発・テスト用のコピー環境」です。本番環境とは完全に隔離されているため、安心して設定変更や開発、そしてバージョンアップ後の影響確認ができます。

なぜサンドボックスは不可欠なのか?4つの理由

  1. 本番環境の安全性確保: 直接本番で作業するリスクを排除し、設定ミスやデータ破損を防ぎます。
  2. 品質の高いシステム開発: 新機能やカスタマイズをリリースする前に不具合を発見・修正し、システムの品質を向上させます。
  3. 効率的な開発プロセス: 開発者や管理者が本番環境に影響を与えることなく、並行して作業を進められます。
  4. Salesforceバージョンアップへの対応: リリース前にサンドボックスでテストすることで、自社の設定への影響を事前に確認し、対応策を講じることができます。

サンドボックスの種類と使い分けを解説

サンドボックスには、コピーされるデータやリフレッシュ頻度によって複数の種類があります。

  • Developer Sandbox(開発者サンドボックス):
    • コピー内容: メタデータ(設定情報)のみ。
    • 用途: 単体テストや小規模な開発。
  • Developer Pro Sandbox(開発者プロサンドボックス):
    • コピー内容: メタデータのみ。
    • 用途: 複数開発者での大規模な開発や機能テスト。
  • Partial Copy Sandbox(部分コピーサンドボックス):
    • コピー内容: メタデータと、指定した量の本番データ。
    • 用途: 本番に近いデータを使った統合テストやUAT(ユーザー受け入れテスト)。
  • Full Sandbox(フルサンドボックス):
    • コピー内容: メタデータとすべての本番データ。
    • 用途: パフォーマンス負荷テスト、データ移行の予行演習など。最も本番に近い環境でのテスト。

: Full Sandboxは有料プランに含まれます。


サンドボックスを活用したバージョンアップのテスト手順

サンドボックスを活用したバージョンアップのテスト手順
  1. プレリリース組織の確認: リリース日の数ヶ月前から、最新バージョンのSalesforceを試せる「プレリリース組織」で新機能を確認します。
  2. サンドボックスのリフレッシュ: 本番環境の最新情報を反映させるために、テスト用のサンドボックスをリフレッシュします。
  3. テストシナリオの作成: 業務で重要なプロセス(例: 商談作成、リードの自動割り当て)が正常に動作するかをテストするためのシナリオを作成します。
  4. 影響テストの実施: 作成したシナリオに基づき、既存のカスタマイズや外部連携が正常に動作するかをテストします。
  5. 問題の修正と本番適用: 問題が発見された場合はサンドボックス上で修正し、本番環境への適用準備を進めます。

まとめ:バージョンアップとサンドボックスは運用担当者の必須知識

Salesforceのバージョンアップは、ビジネスの成長を支援する重要な仕組みです。

しかし、その恩恵を最大限に享受するためには、サンドボックスを使った入念なテストが不可欠です。

Salesforceの運用担当者や管理者は、サンドボックスを戦略的に活用することで、常に変化する環境に安全に対応し、システムの安定稼働とビジネスの成長の両立を実現できます。

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