本記事では、Salesforceの導入サポート、開発・連携を行う(株)FDCのエンジニアチームが、Salesforce Marketing Cloudの特徴や機能、具体的な活用法について、どなたにでもわかりやすく解説します。
マーケティング施策の効率化や顧客エンゲージメントの向上を目指す方は、ぜひご参考ください。

Salesforce Marketing Cloudとは
Salesforce Marketing Cloudは、AIを活用したクラウドベースのデジタルマーケティングプラットフォームです。2026年現在、Agentforce Marketingという新しい名称でも展開されており、SalesforceのCustomer 360エコシステムの中核を担う製品として位置づけられています。
このプラットフォームは、メール、SMS、SNS、Web、広告など、あらゆるチャネルで顧客とコミュニケーションを取り、一方向のキャンペーンを双方向の会話へと変革することを目的としています。マーケターは、オーディエンスのセグメント化、メッセージの個別化、キャンペーンのパフォーマンス追跡、リアルタイムのインサイトに基づく戦略の最適化を一つのプラットフォームで実現できます。
Marketing Cloudの位置づけ
Marketing Cloudは、世界No.1のCRMプラットフォームであるSalesforceにネイティブに統合されています。これにより、営業部門が使用するSales Cloud、カスタマーサービス部門が使用するService Cloudとシームレスに連携し、顧客情報を組織全体で共有できます。マーケティング、営業、サービスが一体となって顧客体験を最適化できる点が、他のMAツールとの大きな違いです。
Marketing Cloudの主要な5つの機能
Marketing Cloudは、マーケティング活動を包括的にサポートする5つの主要機能で構成されています。2026年の最新アップデートでは、AI機能の強化やデータ統合機能の向上が図られています。
1. Data 360 for Marketing(データ統合)
Data 360 for Marketingは、Salesforce Data Cloudと統合されたカスタムデータプラットフォームです。ファーストパーティーデータを一元管理し、顧客の360度ビューを実現します。
- オンライン・オフラインを問わず、顧客の行動履歴を統合
- Salesforce内外のデータソースを接続し、統一された顧客プロファイルを作成
- リアルタイムでデータを更新し、常に最新の顧客情報を活用
- セグメント作成が容易で、特定の条件でプロモーション対象から除外することも可能
2. Engagement(エンゲージメント管理)
Engagementは、メール、モバイル、広告、カスタマージャーニー、ロイヤルティプログラムなど、複数のチャネルでの顧客接点を一元管理する機能です。
- Email Studio:HTMLメールやテキストメールの作成・配信
- Mobile Studio:SMS、プッシュ通知、LINEメッセージの配信
- Journey Builder:顧客の行動に応じた自動化されたマーケティングジャーニーの設計
- Advertising Studio:Facebook、Google、Instagramなどの広告プラットフォームと連携
- Loyalty Management:ポイントプログラムや会員特典の管理
2026年のWinter ’26およびSpring ’26リリースでは、ジャーニーダッシュボードに新しいアイコンが追加され、ハイスループット送信などが設定されたジャーニーを識別しやすくなりました。
3. Personalization(パーソナライゼーション)
Personalizationは、AIを活用してリアルタイムで顧客ごとに最適化されたコンテンツを配信する機能です。WebサイトやWebアプリケーション上でのユーザーの行動をリアルタイムで追跡し、次のベストアクションを自動的に提案します。
- リアルタイムのパーソナライゼーション:顧客の行動に応じて動的にコンテンツを変更
- AIによる推奨:過去のデータから顧客が興味を持つ可能性が高いコンテンツを予測
- A/Bテストの自動化:複数のコンテンツパターンを自動でテストし、最適なものを選択
4. Account Engagement(アカウントエンゲージメント)
Account Engagementは、以前Pardotとして知られていた製品で、BtoB向けのマーケティングオートメーションに特化しています。リードジェネレーション、アカウントベースドマーケティング(ABM)、マーケティングと営業の連携を強化します。
- リードスコアリング:見込み客の行動に基づいて優先度を自動的に判定
- ドリップキャンペーン:段階的に情報を提供する自動メールシーケンス
- Sales Cloudとの緊密な連携:マーケティング部門と営業部門の情報共有を促進
5. Intelligence(インテリジェンス・分析)
Intelligenceは、マーケティング活動の効果を測定し、データに基づいた意思決定をサポートする分析機能です。
- パフォーマンスダッシュボード:キャンペーンのROI、開封率、クリック率などを可視化
- アトリビューション分析:どのマーケティング施策が売上に貢献したかを追跡
- 予測分析:AIを活用して将来のトレンドや顧客行動を予測
Marketing Cloudで実現できること
Marketing Cloudを導入することで、マーケティング活動の質と効率が大きく向上します。具体的にどのようなことが実現できるのか、主なメリットを解説します。
顧客データの一元管理と360度ビュー
従来、顧客データは各部門やシステムに分散していることが多く、全体像を把握することが困難でした。Marketing Cloudでは、すべての顧客接点からのデータを統合し、一人ひとりの顧客を多角的に理解できます。
| 従来の課題 | Marketing Cloudによる解決 |
|---|---|
| データが複数のシステムに分散 | Data 360で全データを統合管理 |
| 顧客の全体像が見えない | 360度ビューで顧客理解を深化 |
| リアルタイム対応が困難 | 即座にデータが更新され、最新情報で施策実行 |
1to1パーソナライゼーションの実行
現代の消費者は、画一的なマーケティングメッセージではなく、自分に関連性の高い情報を求めています。Marketing CloudのAI機能を活用することで、顧客一人ひとりに最適化されたコンテンツを自動的に配信できます。
- 顧客の興味・関心に基づいたコンテンツ推奨
- 購買履歴や閲覧履歴から次に興味を持つ可能性が高い商品を提案
- 顧客のライフサイクルステージに応じたメッセージの自動配信
マルチチャネルでの一貫した顧客体験
顧客は、メール、SNS、Webサイト、店舗など、複数のチャネルを行き来しながら購買行動を取ります。Marketing Cloudでは、すべてのチャネルで一貫性のある体験を提供できます。
- 顧客がWebサイトで商品を閲覧
- カートに入れたまま離脱した顧客に自動でメールを送信
- メールを開封しなかった顧客にはSMSやプッシュ通知でリマインド
- 購入後にはフォローアップメールとロイヤルティポイントを付与
このように、顧客の行動に応じて最適なチャネルとタイミングでアプローチすることで、エンゲージメント率が32%向上するというデータもあります(Salesforce Customer Success指標、2026年)。
営業部門との連携強化
Marketing CloudはSales Cloudとシームレスに連携するため、マーケティング部門が創出したリードの情報が自動的に営業部門に共有されます。これにより、リードの取りこぼしを防ぎ、商談化率を向上させることができます。
Marketing Cloud導入による具体的な効果
実際にMarketing Cloudを導入した企業では、以下のような効果が報告されています(2026年Salesforce公式データ)。
| 指標 | 改善率 |
|---|---|
| マーケティングROI | 32%向上 |
| 顧客生涯価値(LTV) | 34%向上 |
| カスタマーエンゲージメント | 32%向上 |
| 新規顧客獲得コスト | 27%削減 |
これらのデータからも、Marketing Cloudがマーケティング活動の質と効率を大きく改善することがわかります。
Marketing Cloudの活用シーン
Marketing Cloudは、業種や企業規模を問わず、さまざまなビジネスシーンで活用されています。
BtoC企業での活用
小売業、EC事業者、旅行業、飲食業など、消費者と直接取引を行う企業にとって、Marketing Cloudは非常に有効です。
- 新商品のプロモーションをメールとSNS広告で展開
- 購入履歴に基づいたレコメンドメールの自動配信
- 店舗来店時の位置情報を活用したクーポン配信
- 会員ランクに応じた特別オファーの提供
BtoB企業での活用
Account Engagementを活用することで、長期的な商談サイクルを持つBtoB企業でも効果的なマーケティングが可能です。
- ウェビナー参加者への自動フォローアップ
- ホワイトペーパーダウンロード者へのナーチャリングキャンペーン
- リードスコアに基づいた営業へのホットリード通知
- アカウントベースドマーケティング(ABM)の実行
メディア・エンターテインメント業界での活用
ストリーミングサービスやメディア企業では、コンテンツの視聴履歴に基づいたパーソナライズが重要です。
- 視聴傾向に基づいた新作コンテンツのレコメンド
- 離脱リスクの高いユーザーへのリテンション施策
- イベントやライブ配信の告知と参加促進
Marketing Cloud導入時の注意点
Marketing Cloudは非常に強力なツールですが、導入を成功させるためにはいくつかの注意点があります。
データ品質の確保
Marketing Cloudの効果を最大化するには、質の高いデータが不可欠です。不正確なデータや重複したデータが混在していると、セグメンテーションやパーソナライゼーションの精度が低下します。導入前にデータクレンジングを実施し、継続的にデータ品質を管理する体制を整えることが重要です。
組織全体での活用体制の構築
Marketing Cloudは、マーケティング部門だけでなく、営業部門やカスタマーサービス部門とも連携して効果を発揮します。部門間でデータや目標を共有し、協力して顧客体験を向上させる文化を醸成することが成功の鍵です。
段階的な導入の検討
Marketing Cloudには多数の機能がありますが、すべてを一度に導入しようとすると、現場が混乱する可能性があります。まずは優先度の高い機能から段階的に導入し、効果を確認しながら展開範囲を広げることをおすすめします。
2026年の最新アップデート情報
Salesforceは年3回(Spring、Summer、Winter)のリリースサイクルで製品をアップデートしています。2026年のMarketing Cloudには、以下のような新機能が追加されています。
Winter ’26の主な新機能
- ジャーニーダッシュボードの機能強化:ハイスループット送信やSalesforceアクティビティが設定されたジャーニーを識別しやすくなりました
- Agentforce Marketingの正式リリース:自律型AIエージェントが顧客との会話を生成し、リアルタイムで対応
- Data Cloudとの統合強化:より迅速なデータ同期と高度なセグメンテーション機能
Spring ’26の注目機能
Spring ’26リリースは2026年2月22日から順次展開される予定です(出典:Salesforce公式リリースノート)。
- 双方向コミュニケーション機能の強化:顧客からの返信に自動で対応するAI機能
- パーソナライゼーション機能の拡充:より細かい粒度でのコンテンツ最適化
- 統合レポート機能:Marketing CloudとSales Cloudのデータを統合したレポート作成
まとめ:Marketing Cloudで実現する次世代マーケティング
いかがだったでしょうか、今回はSalesforce Marketing Cloudについて詳しく解説してきました。
この記事を読むことで、ある程度はSalesforce Marketing Cloudについてご理解いただけたと思いますが、実際の導入や活用にあたっては、自社のビジネス特性や課題に合わせた設計が不可欠です。
Salesforce Marketing Cloudは、AIとデータを活用して顧客一人ひとりに最適化された体験を提供し、マーケティングROIを大きく向上させる強力なプラットフォームです。2026年の最新アップデートでは、自律型AIエージェント「Agentforce」の導入により、さらに高度な自動化とパーソナライゼーションが可能になりました。
マーケティング活動の効率化、顧客エンゲージメントの向上、営業部門との連携強化など、多くのメリットを享受できるMarketing Cloud。導入を検討される際は、専門的な知識を持つパートナーと協力し、自社に最適な活用方法を見つけることが成功への近道です。
もしMarketing Cloudの導入や活用、またAPIを使用したカスタマイズなどをご希望でしたらぜひおすすめしたいのが、弊社(株)エフ・ディー・シーが提供している「SFsolution」。これはSalesforce導入・活用サポートサービスで、数多くの企業様にご利用いただいています。
興味をお持ちの方はお問い合わせ、もしくは資料ダウンロードをしていただければ幸いです。
