SalesforceのカスタマイズをIT企業に外注しようと考えているものの、
「何から準備すればよいのか」
「費用はどのくらいかかるのか」と悩む担当者の方は少なくありません。
この記事ではSalesforceの導入サポート、開発・連携を行う(株)FDCのエンジニアチームが、Salesforceのカスタマイズを外注を検討する前に必ず押さえておきたい5つのポイントをわかりやすく解説します。
外注を成功させるためには、目的の明確化から費用相場の把握、適切なパートナー選びまで、事前に知っておくべき知識が数多くあります。
この記事を読めば、きっと外注先とのコミュニケーションもスムーズになり、プロジェクト成功の確率を大幅に高めることができることでしょう。

株式会社エフ・ディー・シーはSalesforceコンサルティングパートナー

ポイント1|カスタマイズの「目的と要件」を外注前に明確にする

Salesforceのカスタマイズを外注する際に、最も重要かつ最初に取り組むべきことが「要件定義」です。要件が曖昧なまま外注先に依頼すると、開発途中で仕様変更が多発し、納期の遅延やコストの大幅な超過につながります。プロジェクトの成否は要件定義で8割決まるといわれるほど、この工程は重要です。

外注先に丸投げするのではなく、発注側(自社)が主体となって「何を実現したいのか」「現状の業務フローのどこに課題があるのか」を整理しておくことが、スムーズなプロジェクト進行の鍵となります。

要件定義で決めるべき3つの項目

項目 内容 失敗を防ぐポイント
ビジネス要件(What) 目的・ゴール・KPI・業務フローの現状と理想 「なぜ」その機能が必要か、「何をもって」成功とするかを明確にする
システム要件(How) 実装する機能・データモデル・外部連携の範囲 「必須」「あれば良い」「フェーズ2以降」に優先順位をつけてスコープを絞る
非機能要件 セキュリティ・パフォーマンス・運用保守体制 導入後の運用フェーズを具体的に想定し、SLAを含めて合意する

Salesforce公式のサクセスナビでも「要件定義に進む前の3つのステップ」として、データ活用に関する意識合わせ・データの全体像の整理・業務プロセスの整理とユースケースの洗い出しが推奨されています。まずはこれらを社内で整理してから外注先との話し合いに臨みましょう。

「標準機能で代替できないか」を必ず確認する

Salesforceは年3回(Spring・Summer・Winter)の大規模アップデートが行われており、以前はカスタム開発が必要だった機能が、いつの間にか標準機能として実装されているケースが増えています。外注前に「本当にカスタマイズが必要か」を確認することが、コスト削減の第一歩です。標準機能で代替できる部分はできる限り活用し、真に必要な箇所だけをカスタマイズ対象とすることが、費用対効果を高める基本戦略です。

ポイント2|Salesforceカスタマイズの「種類」を把握しておく

Salesforceのカスタマイズには、コーディングが不要なものからプログラミングが必要なものまで、難易度・費用・保守性の異なる複数の手段があります。カスタマイズの種類を正しく理解することで、外注先との認識のズレを防ぎ、適正な見積もりを引き出すことができます。

ノーコード・ローコードで実現できること

以下の手段はコーディングなしまたは最小限のコードで利用でき、保守性が高く、Salesforceのアップデートの影響も受けにくい特長があります。

  • フロー(Flow Builder):業務プロセスの自動化・承認フロー・画面フローの作成。ドラッグ&ドロップで直感的に構築でき、コーディングなしで高度な自動化が可能です。2025年以降はワークフロールールやプロセスビルダーからの移行先として推奨されています。
  • カスタムオブジェクト・カスタム項目:業務に合わせたデータ構造の設計。設定画面から作成できるため、開発工数がほとんどかかりません。
  • レポート・ダッシュボード:売上集計や活動分析など、データの可視化を標準機能で実現します。
  • 承認プロセス:見積もりや稟議などの承認ルートを自動化します。Lightning Experience対応の新しいフロー承認プロセスも2026年現在活用が広がっています。
  • 入力規則(検証ルール):データ品質を保つための入力制御をコードなしで設定できます。

プログラムコード(Apex・LWC)が必要な場面

標準機能やフローでは対応しきれない複雑な要件がある場合に、プロコード開発が必要になります。コストと保守負担が増えるため、本当に必要かどうか慎重に検討することが重要です。

技術 概要 主な利用シーン
Apex Salesforce独自のJava系プログラミング言語 複雑なビジネスロジック・大量データ処理・外部API連携
Lightning Web Components(LWC) Web標準技術ベースのUIコンポーネント 独自のカスタム画面・UIの構築、ページへの埋め込み
Visualforce 旧来のSalesforce独自マークアップ言語 既存の旧システムとの互換維持(新規開発はLWC推奨)
外部システム連携(API) REST/SOAP APIによる他システムとの接続 基幹システム・会計システム・MA/SFAツールとのデータ連携

Salesforce公式でも、フローで実現できる処理はなるべくフローを優先し、大量データ処理や複雑な条件分岐など、フローの限界を超えた場合にApexを使うというアプローチが推奨されています(Salesforce Trailhead Community参照)。

ポイント3|外注前に「費用の構造」を理解して予算計画を立てる

Salesforceのカスタマイズを外注する際、費用の見当がつかないまま相見積もりを取ると、金額の差が大きすぎて判断できないという状況に陥りがちです。費用の構造と変動要因をあらかじめ把握しておくことで、適正価格の見積もりを選別する目が養われます。

費用を左右する主な要因

カスタマイズ費用は主に「エンジニアの稼働時間(人月)」と「実装の複雑さ」によって決まります。一般的に、ノーコード・ローコードの範囲内で収まる軽微な改修から、Apexを用いた複雑な開発・基幹システム連携まで、要件の規模によって費用は大きく変わります。標準機能で対応できる範囲を最大化することが、費用を抑える最も効果的なアプローチです。

費用を抑えるための3つのアプローチ

  1. 標準機能・フローを最大限に活用する:カスタムコーディングを最小限に抑えることで、開発費用と将来の保守費用を大幅に削減できます。
  2. 要件を明確にして見積もり精度を上げる:要件が曖昧だと外注先は「予備費」を上乗せせざるを得ません。解決したい課題を具体的に提示することで、余分なコストをカットできます。
  3. フェーズを分けて段階的に開発する:一度にすべてをカスタマイズしようとせず、優先度の高い機能から着手することで、初期費用を抑えながらROIを確認しつつ進めることができます。

SFsolutionでは、貴社の要件・規模に応じた費用を個別にご案内しております。まずはお気軽に無料相談からご連絡ください。

ポイント4|外注先(Salesforceパートナー)の選び方を知る

Salesforceのカスタマイズ外注において、外注先の選び方がプロジェクトの成否を大きく左右します。「価格が安い」だけの理由でパートナーを選ぶと、知識不足や開発のブラックボックス化といったリスクに直面する可能性があります。以下のポイントを参考に、信頼できる外注先を見極めましょう。

外注先を選ぶ際の重要チェックリスト

No. チェック項目 確認すべき内容
1 Salesforce認定パートナーであるか AppExchangeに掲載されている認定コンサルティングパートナーか確認する
2 担当者の実務経験年数 PMや主要エンジニアのSalesforce開発経験が3年以上あるか
3 類似プロジェクトの実績 自社と同業界・同規模のプロジェクト事例があるか
4 標準機能優先の提案姿勢 標準機能で対応できる部分を積極的に提案してくれるか
5 見積もりの透明性 工数(人月)・作業内容・単価が詳細に記載されているか
6 保守・運用サポート体制 導入後のSLA・障害対応・トレーニング支援が明確か
7 ドキュメントの充実度 設計書・操作マニュアルの作成・引き渡しポリシーがあるか

外注で起きやすい「ブラックボックス化」とは

外注プロジェクトで特に注意すべきリスクのひとつが「開発のブラックボックス化」です。これは、開発の進捗や内部の仕様が発注側(自社)に見えにくい状態を指し、以下のような問題に発展することがあります。

  • 仕様の誤解やバグが最終段階まで発見されず、手戻りによる納期遅延が連鎖する
  • 特定のエンジニアにしかわからないコードや設定が残り、担当者が離脱すると保守・改修が困難になる
  • ソースコードや設計書が納品されず、別ベンダーへの乗り換えが事実上できなくなる(ベンダーロックイン)

これを防ぐためには、契約前にソースコードの知的財産権が自社にあることを明記し、開発中のSandbox環境へのアクセス権を付与してもらう仕組みを取り決めておくことが重要です。また、週次の進捗レビューを実施するアジャイル的な開発スタイルを採用することも有効です。

内製化と外注を組み合わせる「ハイブリッド戦略」

Salesforceの運用を長期的に安定させるためには、「外注で基盤を構築し、内製で運用を担う」ハイブリッド戦略が効果的です。

  1. 初期開発は外注:複雑な要件定義・システム連携・コーディングが必要な初期導入フェーズは、専門ベンダーに依頼する
  2. ベンダーに内製化支援を依頼する:将来的な内製化をゴールとして伝え、ドキュメント整備や自社管理者へのOJTを組み込んでもらう
  3. 運用・軽微な改修は内製化:ユーザー管理・レポート作成・簡単なワークフロー変更などを自社のシステム管理者(アドミン)が担当する

ポイント5|Salesforceのアップデートと保守運用リスクを事前に考慮する

Salesforceは年3回(Spring・Summer・Winter)の定期アップデートが行われており、各リリースで新機能の追加や既存機能の変更が実施されます。カスタマイズを外注する際には、このアップデートへの対応方針をあらかじめ外注先と合意しておくことが非常に重要です。

アップデートがカスタマイズに与える影響

Salesforce公式のリリースノートでも明記されているように、「一部のリリース更新は既存のカスタマイズに影響する場合がある」とされています(Salesforce Help「リリース更新」より)。2026年のSpring ’26リリースでも、以下のような変更が既存カスタマイズに影響を与える可能性があると報告されています。

  • Apex Blob.toPdf()のレンダリングエンジン変更:Summer ’26で強制適用されるため、既存PDF出力機能のレイアウト崩れが発生する可能性がある(Sandbox環境でのテストを推奨)
  • 共有ルールの再計算・アクセシビリティ関連のリリース更新:既存のカスタマイズに影響する可能性があり、早期にSandboxで確認することが推奨されている
  • ICUロケール形式の有効化:日付・数値の表示形式が変わり、既存の画面表示やレポートに影響が出るケースがある
  • レガシーURLリダイレクトの段階的終了:カスタムボタンや外部連携で旧URLを使用している場合に影響が生じる

(出典:Salesforce公式「Spring ’26リリースノート」「リリース更新」ページ、2026年)

保守運用契約時の確認事項

カスタマイズ後の保守・運用にも継続的なコストが発生します。外注先と契約する際には、以下の点をあらかじめ確認しておきましょう。

確認事項 ポイント
保守費用の範囲 月次対応・スポット対応など契約形態と費用感を事前に確認する
アップデート対応の有無 年3回のリリースごとに影響確認・修正対応が含まれるか明確にする
障害対応のSLA 重大障害の対応開始時間と解決目標時間を契約書に明記する
Sandbox環境でのテスト 本番環境への反映前にSandboxで動作確認できる体制があるか
ドキュメントの引き渡し 設計書・操作マニュアルの納品タイミングと形式を事前に合意する

知識不足の外注先が開発したカスタマイズは、アップデートのたびに動作しなくなるリスクが高く、その都度改修コストが発生します。Salesforceの技術仕様(ガバナ制限・リリースサイクルなど)を深く理解した外注先を選ぶことが、長期的なコスト最適化につながります。

まとめ

Salesforceカスタマイズを外注する前に知っておきたい5つのポイントを解説しました。要点を整理します。

  • ポイント1:カスタマイズ前に「目的と要件」を社内で整理し、要件定義を主体的に進める
  • ポイント2:カスタマイズの種類(ノーコード・フロー・Apex・LWC)を把握し、標準機能で代替できないかを先に検討する
  • ポイント3:費用は要件の規模・複雑さ・開発手法によって大きく変動する。標準機能の活用・要件の明確化・段階的開発が費用を抑えるカギ
  • ポイント4:Salesforce認定パートナーであること・標準機能優先の提案姿勢・ドキュメント体制などを軸に外注先を選定する
  • ポイント5:年3回のアップデートによる影響と保守運用の確認事項を含めた総合的なコストを計画に盛り込む
株式会社エフ・ディー・シーはSalesforceコンサルティングパートナー

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FDCはSalesforce認定コンサルティングパートナーとして、200名以上のITエンジニアが在籍し、システム開発25年以上の実績をもとにカスタマイズから保守運用まで一貫してサポートします。費用は貴社のご要件・規模に応じて個別にご案内しております。まずはお気軽にお問い合わせください。