Salesforceの開発や他システムとの連携を行う際、APIバージョンの確認をしようと思ってもどこから行えば良いのかわからないという声をよく耳にします。
今回はそんな方に向けてSalesforceの導入サポート、開発・連携を行う(株)FDCのエンジニアチームが、SalesforceのAPIバージョンを確認する方法をわかりやすく解説します。
APIバージョンは年に3回のメジャーリリースごとに更新され、2025年10月現在の最新バージョンはSummer ’25のAPI バージョン 64.0です。
ぜひこの記事でバージョン確認のやり方を知ってください。

SalesforceのAPIバージョンとは
Salesforce APIバージョンは、Salesforceプラットフォームが提供するAPIの機能と仕様を示すバージョン番号です。Salesforceは年に3回のメジャーリリース(Spring、Summer、Winter)を実施しており、それぞれのリリースで新しいAPIバージョンが提供されます。
| リリース時期 | APIバージョン | リリース名 |
|---|---|---|
| 2025年2月 | API 63.0 | Spring ’25 |
| 2025年6月 | API 64.0 | Summer ’25 |
| 2024年10月 | API 62.0 | Winter ’25 |
APIバージョンを正しく管理することで、新機能を活用しながら既存の連携を安定して稼働させることができます。また、古いAPIバージョンは定期的に廃止されるため、定期的な確認と更新が必要です。
組織のAPIバージョンを確認する基本的な方法
設定画面から組織情報を確認する
最も基本的な方法は、Salesforceの設定画面から組織情報を確認する方法です。以下の手順で確認できます。
- 画面右上の歯車アイコンをクリックして「設定」を選択します
- クイック検索ボックスに「組織情報」と入力します
- 「組織情報」をクリックします
- 「API バージョン」の項目に現在のバージョンが表示されます
この方法では、組織全体で利用可能な最新のAPIバージョンを確認することができます。組織のエディション情報も同時に確認できるため、API利用の可否を判断する際にも役立ちます。
Enterprise WSDLから確認する方法
より詳細な情報が必要な場合は、Enterprise WSDLを生成して確認する方法があります。
- 「設定」から「クイック検索」ボックスに「API」と入力します
- 「統合」セクションの「API」をクリックします
- 「Enterprise WSDL を生成」をクリックします
- 「生成」ボタンをクリックします
- 表示されたXML出力ページの上部コメント部分に現在のAPIバージョンが記載されています
WSDLファイルには、組織で利用可能なAPIの詳細な仕様が含まれているため、開発者にとって重要な情報源となります。
Apexクラスで使用されているAPIバージョンを確認する
個別のApexクラスのバージョン確認
組織内で実際に使用されているApexクラスのAPIバージョンを確認することも重要です。古いAPIバージョンを使用しているクラスは、APIの廃止により動作しなくなる可能性があります。
- 「設定」から「クイック検索」ボックスに「Apexクラス」と入力します
- 「Apexクラス」を選択します
- 確認したいクラス名をクリックします
- 「バージョン設定」タブをクリックすると、使用中のAPIバージョンが表示されます
最新のAPIバージョンを確認する方法
組織で利用可能な最新のAPIバージョンを確認するには、新しいApexクラスを作成する画面から確認できます。
- 「Apexクラス」ページで「新規」ボタンをクリックします
- 「バージョン設定」タブを開きます
- Salesforce API のドロップダウンリストに表示される最大の数値が最新バージョンです
この方法で、現在の組織で作成可能な最新のAPIバージョンを確認することができます。
VisualforceページのAPIバージョン確認
VisualforceページもそれぞれAPIバージョンを持っており、古いバージョンを使用している場合は更新が必要です。
- 「設定」から「クイック検索」ボックスに「Visualforceページ」と入力します
- 「Visualforceページ」を選択します
- バージョン番号は各ページの詳細画面の「バージョン設定」セクションに表示されます
Visualforceページを多用している場合、定期的にバージョンを確認して最新版に更新することで、パフォーマンスの向上やセキュリティの強化が期待できます。
REST APIでバージョン情報を取得する
開発者向けの高度な方法として、REST APIを使用してプログラム的にバージョン情報を取得することも可能です。
利用可能なAPIバージョンの一覧取得
REST APIのVersionsリソースを使用すると、現在利用可能なすべてのAPIバージョンの一覧を取得できます。
- エンドポイント:
https://yourInstance.salesforce.com/services/data/ - このエンドポイントにGETリクエストを送信すると、各バージョンの情報(バージョン番号、ラベル、各バージョンへのリンク)がJSON形式で返されます
この方法は、複数の組織のAPIバージョンを自動的に確認したい場合や、CI/CDパイプラインに組み込む際に便利です。
古いAPIバージョンの使用状況を確認する
イベントログファイルブラウザの活用
Summer ’25リリース以降、APIバージョン21.0から30.0が廃止されるため、現在使用中の古いAPIバージョンを特定することが重要です。
- 「設定」から「クイック検索」ボックスに「イベントログファイルブラウザ」と入力します
- 「イベントログファイルブラウザ」を選択します
- 日付範囲を指定してAPI使用状況を確認します
- CSVファイルとしてダウンロードし、APIバージョンでソートして古いバージョンを使用しているアプリケーションを特定します
API合計使用量イベントの監視
API合計使用量イベント種別を使用すると、すべてのAPIバージョンで実行された要求の詳細を監視できます。Platform SOAP API、Platform REST API、Bulk APIのすべてのバージョンが対象となります。
- 「設定」から「イベント管理」にアクセスします
- 「API合計使用量」イベントを選択します
- 使用状況をモニタリングし、バージョン別の利用状況を把握します
APIバージョン管理のベストプラクティス
定期的なバージョン確認の重要性
Salesforceは定期的に古いAPIバージョンを廃止しています。Summer ’25リリース(2025年6月)でAPIバージョン21.0から30.0が廃止されるため、それ以前のバージョンを使用している場合は更新が必須です。
- 年に3回のメジャーリリース前に組織内のAPIバージョンを確認しましょう
- 廃止予定のバージョンがないか、Salesforceの公式アナウンスを定期的にチェックしましょう
- テスト環境で新しいAPIバージョンの動作を検証してから本番環境に適用しましょう
バージョン更新時の注意点
APIバージョンを更新する際は、以下の点に注意が必要です。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 既存の連携システム | 外部システムとの連携が新しいAPIバージョンで正常に動作するか確認 |
| Apexコード | 新しいAPIバージョンで非推奨となった機能を使用していないか確認 |
| パフォーマンステスト | 新しいバージョンでのパフォーマンスを測定し、問題がないか検証 |
| ドキュメント更新 | 使用しているAPIバージョンの情報を社内ドキュメントに記録 |
複数のメタデータの一括確認
組織内に多数のApexクラスやVisualforceページがある場合、コマンドラインツールやスクリプトを使用して一括で確認することが効率的です。Salesforce CLIやメタデータAPIを活用することで、すべてのメタデータのAPIバージョンを効率的に確認できます。
まとめ
SalesforceのAPIバージョン確認は、システムの安定運用と最新機能の活用に欠かせない作業です。本記事で紹介した4つの確認方法を状況に応じて使い分けることで、効率的にAPIバージョンを管理できます。
- 組織情報画面から基本的なAPIバージョンを確認する
- ApexクラスやVisualforceページで使用中のバージョンを個別に確認する
- REST APIを使用してプログラム的にバージョン情報を取得する
- イベントログファイルブラウザで古いバージョンの使用状況を監視する
2025年現在、Summer ’25のAPI 64.0が最新バージョンとして提供されており、APIバージョン21.0から30.0はSummer ’25で廃止されます。定期的な確認と計画的な更新を行うことで、Salesforceシステムを安全かつ効率的に運用することができます。APIバージョンの管理は、Salesforce開発者だけでなく、システム管理者にとっても重要なスキルですので、本記事を参考に適切な管理を実施してください。
